- Amazon.co.jp ・本 (479ページ)
- / ISBN・EAN: 9784469110180
感想・レビュー・書評
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哲学探究
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「語る事ができるものは、ことごとく明確に語りうる。語りえないものについては、沈黙しなければならない」と、啖呵を切って、その言葉通り、哲学を引退したウィトゲンシュタイン。
だが、さらに哲学を探求するために戻ってきたのは、日常言語の世界。なので、この「哲学探究」、表現はすごく平易で、日常的な事例が多く上げられている。
にもかかわらず、この本は、全く難解極まるものとなっている。つまり、書いてある事は分かっても、その問題意識がどこにあるのか、話がどうつながっているのか、皆目、見当がつかないわけだ。
ということで、この「後期」ウィトゲンシュタインの名著、長らく気になりつつも、いつも数ページで、ギブアップしてきた。
だが、最近、鬼界彰夫さんの「ウィトゲンシュタインはこう考えた」や永井均さんの「ウィトゲンシュタイン入門」という親切な解説書を読んで、やや視界が開けてきて、さらには、スチュアート・カウフマンの「カウフマン、宇宙と生命を語る」での「哲学探究」に関する記述を読んで、目から鱗が落ちる思いがしたので、再チャレンジ。
と、おー、文章が次から次に、意味を伴って、頭に入ってくるではないかー。
なんてことは、やっぱりなく、相当に難解なままであった。
でも、ここで議論されていることの問題意識は、ちょっとだけ見えてきたような気はする。
というより、自分でも同じようなことを考えていたところが、あちらこちらで引っ掛かってきた、というのが正確かな。
結局、ウィトゲンシュタインって、自分自身でもいっているけど、過去に同種の問題を考えた人しか、分からない哲学者なんですね。
満足度は、基本的に「最後まで読んだ」という満足度で、本の内容や私の理解度とは関係ない。 -
「哲学探究」全編を読むのは初めてだ。
平易な言葉が使われてはいるが、ウィトゲンシュタインの思考はそうそう一筋縄ではいかない。
各種命題をめぐる長年の論争は、命題自体も「言語ゲーム」として分析し直すことで、異様な新光景が立ち現れてくる。その先に何があるのか、読み取ることはかなり難しいようだ。
先日講談社学術文庫『ウィトゲンシュタイン講義』を読んだから、後期ウィトゲンシュタインの発想の概略は把握できていた。けれども、本書でのウィトゲンシュタインの語り口はとりつきやすいとは言えない。
「わたくしは、自分の手稿によって他の人がみずから考える労を省くようになるのを望まない。できることなら、誰かが自分自身で考えるための励ましになりたいと思っている。」(序)
と自身が言うとおり、本書は数行ごとに、読者が文意を追うだけでなく「自分で考えるように」強いられる。だからこの本を読み通すのには時間がかかる。
しかも、ウィトゲンシュタインは本書で、ほとんどひとつの投げかけを延々と変奏・反復し続けるので、その思考の先に何があるのか、それが読み取れないという不安を払拭できなかった。
そもそも数学者という人びとは、私とは全く異なるシナプス構造を持った人種だと思っている。数学者の人びとのロジックにはなかなか追いつけない。数学的思考をベースに、命題、判断、感覚等の常識的把握を言語・文法の哲学として開示し直すこの「ウィトゲンシュタイン・ゲーム」は、めくるめくような輝きを放つが、私にはどうにもなじめない異質さも残る。私はウィトゲンシュタインのよき読者とは言えないだろう。
たとえ本書を今すぐもう一度読み返したとしても、本書への理解が深まるとは考えられない。ウィトゲンシュタインの指摘を噛みしめながら、読者はみずから思考しなければならないのだ。 -
参考資料.クリプキ『ウィトゲンシュタインのパラドックス』産業図書
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後期ウィト代表作『哲学探究』。言葉はいかにして我々に与えられるのか? に関してつづられた断片集。疑問系と否定形が多くたいへん読みづらかったです。2008.2.14-(29)-3.4(20d).
(再読)『論考』を踏まえて読むとおもしろさが格段とアップしました。2008.10.12-20(9d). -
「論考」を読んでいると胸がむかむかしてきます。(すみません)
「探求」を読んでいると心があらわれるような気がします。 -
ウィトゲンシュタインの既存の考え方に対する破壊力はすごい。本書には一見してバラバラで奇妙な小話がたくさん載っているが、そこには哲学的に深い議論が隠されている。
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探求でございます。