日本語の値段 (ドルフィン・ブックス)

著者 :
  • 大修館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784469212594

作品紹介・あらすじ

ことばは売り買いされている。言語によって語学学校の授業料や辞書の価格が異なるのはなぜか。方言みやげの売れる地域はどこか、売れない地域はどこか。いちばん低コストで効率よく覚えられる言語は何か。「値段」というユニークな視点から、日本語を中心に言語市場の裏側を探る。

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  • 【書誌情報】
    著者:井上 史雄[いのうえ・ふみお] 社会言語学。方言学。
     〈http://urayasu.meikai.ac.jp/innowayf/
    装丁:井之上 聖子[いのうえ・せいこ] 装丁家。
     ※人名の読み方は、こちらのサイトを参照。
     〈https://hiramatu-hifuka.com/onyak/sote-a.html

    【メモランダム】
    ・大修館書店サイトには、何故か本書のページが無い。
    ・同シリーズ「ドルフィン・ブックス」の他の本(例えば、井上京子『もし「右」や「左」がなかったら』)であれば、ページが存在している。

    【目次】
    まえがき [iii-v]
    目次 [vii-viii]


    I ことばの知的価値と情的価値 

    〈1〉日本の言語市場 004
      言語市場の例――語学教育
      外国語の市場価値の計量――語学講座・会話学校
      外国語の市場価値の計量――出版物
      外国語の市場価値の計量――路上観察
      まとめ――値段の違い

    〈2〉ことばの知的価値 024
      言語の市場価値の決定要因――話し手の数
      言語の市場価値の決定要因――経済力
      言語の市場価値の決定要因――通過としての言語
      外国語学習の理由――実用と教養
      言語能力と職業の格差
      言語能力と所得水準

    〈3〉ことばの情的価値 045
      言語の絶対的情緒価値
      言語の相対的情緒価値
      言語権の発想――地位計画と実体計画
      言語の市場価値の不合理


    II 日本語の格付け 

    〈1〉日本語の市場価値の変動 054
      「言語市場」という考え方
      日本語使用圏の拡大
      日本語学校の創立と廃校
      日本語学習者数と国民総生産
      世界の言語教育拡大傾向
      言語における集積の利益
      まとめ――言語市場の理論へ

    〈2〉今なぜ日本語の試験か 080
      日本人向け母語テスト
      外国人向け日本語テスト

    〈3〉外国語の試験 088
      日本人向け外国語テスト
      外国人向け外国語テスト

    〈4〉ことばに値段がつく時代 096
      母語の試験の社会的背景
        1 短期的背景――ことばの経済学 
        2 中期的背景――ことばの世相学
        3 長期的背景――言語経済史
        4 言語コミュニケーションの高度化 
      母語の試験の功罪
        1 ことばへの関心 
        2 言語能力の対照研究
        3 試験の限界――伝える技術
        4 日本語検定と敬語

    〈5〉日本語の難易度 110
      日本語の相対的難易度の高さ
      日本語の絶対的難易度は中程度
      難易度と初期投資――単純さと類似度
      日本人の言語観と体外言語行動


    III 日本語のさまざま 

    〈1〉歌の外国語 128
      歌詞における外国語と方言
      歌詞での外国語の使われ方――個々の外来語
      歌詞での外国語の使われ方――外国語風の発音
      歌における欧米崇拝

    〈2〉方言ラップの社会言語学 136
      歌詞での文語の使われ方
      歌詞での方言の使われ方――民謡の方言使用
      歌曲の方言語彙――個々の要素
      方言の歌――体系全体
      新方言とら抜きの歌
      方言ラップの位置――ラップとしての背景
      方言ラップの位置――方言の復権としての背景
      歌詞の社会方言学的価値
      歌謡の社会言語学

    〈3〉価値の高い方言/低い方言 152
      方言の社会的3類型
      現代方言の価値変動
      第1類型――方言撲滅
      第2類型――方言記述
      第3類型――娯楽としての方言
      第3類型の発展――方言入門書
      第3類型の亜種――方言みやげ
      第2類型の亜種――方言の学術的価値
      方言の値段

    〈4〉新方言の誕生 188
      新方言の背景
      新方言の実例――東京新方言
      各地の新方言
      言語変化としての新方言
      方言の社会的地位の変遷
      方言の復権
      新方言の将来性
      言語と方言と集団語の値段
      ことばに値段のつく範囲


    参考文献 [209-213]
    参照音源 [214]
    あとがき(2000年5月連休 井上史雄) [215-219]
    索引 [220-222]

  • この本とともに授業の教科書として使った『日本語は生き残れるか』(井上史雄、2001年、PHP新書)と重なる部分が多いが、こちらの方は『日本語の値段』よりももっと分かりやすいデータ・事例が多く、より一般的な内容。まず新書を読んで、興味があればこの単行本を読めばいいのでは。

  • 言語はどれも平等であるという言語学の前提を打ち破り,
    学習者が多い言語,収入アップにつながる言語,などなど様々な差異や差別が存在するということを提唱する。
    その際,差別のもととなるのは知的価値と情的価値。
    どれも実情をきちんと捉えていると思った。
    やはり奇麗事抜きに,生れて身に付けた言語によって有利不利は存在する。

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著者プロフィール

井上史雄(いのうえ・ふみお)
東京外国語大学名誉教授、明海大学名誉教授

「2022年 『社会言語学の枠組み』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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