レトリックのすすめ

著者 : 野内良三
  • 大修館書店 (2007年11月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784469213157

作品紹介

カレーの辛さを表現するのに、「口中はヨウコウロのごとくなり…」などと言えば、大げさなようでも辛さの感覚は効果的に伝わる。このように誇張や喩えを駆使して読み手の想像力を刺激するのがレトリックの力である。そのダイナミズムを究明すべく、清少納言から村上春樹まで、古今の名文を卓抜なセンスで俎上にのせ、そこに見られるレトリックの使われ方を解明。作者の脈動がいかに読者に共振して伝わるか、その不思議に迫る。日本語表現の奥深い豊かさを「発見する」レトリック読本。

レトリックのすすめの感想・レビュー・書評

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  • いろいろな時代、ジャンルの中から美文を紹介・解説してくれていて面白い。解説分も美文。

  • レトリックの原理

    言葉の工夫(文彩)とは通常の表現に変化(偏差)を与えることであり、多かれ少なかれ規範を逸脱すること。「移動する」「追加する」「繰り返す」はプラスの方向への働きかけ。「ほのめかす」「ぼかす」「省略する」はマイナスの方向への働きかけ。「喩える」「対照する」の骨法は通常は思いつかない2つのものを強いて接近(対比)させることである。「呼びかける」「引用する」も意外なものへ大きく逸脱する方が効果的。レトリックの本質とは誇張すること、驚かすこと

    協働することもある
    「喩える」+「誇張する」=隠喩、直喩
    「ほのめかす」+「省略する」=暗示的看過法

    ものの見方、視点の取り方に関わる。対象をどう捉えるか。認識論的原理(思考のパターン)
    ①誇張する
    ②喩える(直喩、隠喩、擬人法、諷喩)
    ③対照する(対照法、換語法、訂正法)
    ④ほのめかす(換喩、転喩、皮肉法)
    ⑤ぼかす(提喩、婉曲法、緩叙法、迂言法)

    ①誇張する
    誇張の方法
    比較
    列挙
    反復

    ②喩える
    「未知のもの」「複雑なもの」「抽象的なもの」をなじみの深い事物に振って「それと同じようなもの」と説明するプロセス。比喩とは「XをYとして見なす」ということ。よい比喩の条件はXとYがなるべくかけ離れたものであること
    比喩には3つの要素がある。「喩えられるもの」(主意)と「喩えるもの」(媒体)、この両者を結びわせる類似性(根拠)

    ③対照する
    対比の基準(視点)の取り方が重要。関係のないもの同士でも基準の取り方によっては対照を形づくることができる。意外な新しい視点によって関係のないと思われていたもの同士が結びつ
    ・換語法 否定表現を介して対象の本質に迫る ex. あの男は人間ではない、悪魔だ
    ・訂正法 すでに述べたことについて、その表現を和らげたり、強めたり、修正したり、取り下げたりする
    ex. 果報は寝て待て、いや飲んで待て

    ④ほのめかす
    ・換喩
    ⅰ全体ー部分  門で家、大陸で中国
    ⅱ入れ物ー中味 お銚子でお酒
    ⅲ産地ー産物 九谷、西陣
    ⅳ原因ー結果 筆を取る=書く、冷や汗が出る=恥ずかしい、
    ⅴ主体ー属性 白バイ、赤帽
    ⅵ人ー物 シェイクスピアを読んだ

    ・転喩

    ・皮肉法 「XはYである」と言いながら「Xは反Yである」と暗示すること

    ⑤ぼかす
    ・提喩 
    類(グループ)と種(メンバー)の包摂関係に基づく。類でもって種を、種でもって類を表す。前者はひいてぼかす「括り」であり、後者は代表例にピントを絞る「挙例」。カメラに例えて言えば、ズームインとズームアウト
    ex. 花で桜で花見、酒が日本酒

    提喩的表現を使う心理 経済性(ものぐさ)と余情性(余白の表現効果、語らないことによって読者の想像力が掻き立てられる)

    婉曲法、緩叙法、迂言法


    語句・文の処理に関わる。語句・文をどう配置するか。文体論的原理(統語のパターン)
    ⑥繰り返す(反復法、平行法)
    ⑦追加する(追加法、挿入法、同格法、類語法、列挙法、暫層法、懸延法、接続語=補語多用)
    ⑧省略する(省略法、黙説法、暗示的看過法)
    ⑨移動する(転置法、奇先法)

    ⑥繰り返す
    ことばの詩的機能
    同母音反復 
    同子音反復 ex. なくてななくせ
    類音語反復 ex. 短気は損気

    ・平行法 似たような表現法(A-B、A'-B')を並置して平行性の形式美を求める

    ⑦追加する
    違うもの、新しいものを足す
    追加法、挿入法、同格法、類語法、列挙法、暫層法、懸延法、接続語=補語多用

    ⑧省略する
    文章を引き締めて、余情、余韻を狙う

    ・省略法 体言止め
    ex. 男は黙ってサッポロビール(を飲む)

    ・黙説法 ex. 例の件だが実は...

    ・暗示的看過法 ちらリズム ex. これは周知のことだが..

    ⑨移動する
    「省略する」と「追加する」の合わせ技で、ある文の要素を本来あるべきはずの場所から別の場所に移すこと。意外性を文体論的に翻訳する文彩


    読者への働きかけ。読者をどう動かすか、どうこちらへ引き込むかが問題で、必要とあれば「自分を売り込む」「演技する」必要も出てくる。つまり論証的=心理的原理が働いている(スタンスのパターン)
    ⑩呼びかける(呼びかけ法、詠嘆法、設疑法、問答法)
    ⑪驚かす(言葉遊び、撞着語法、逆説法)
    ⑫引用する(挙例法、引用法、引喩、声喩)

    ⑩呼びかける
    ・呼びかけ法 ex. 春よ来い
    ・詠嘆法 ex. あぁ無常
    ・設疑法 ex. 日本は今のままでいいのだろうか
    ・問答法

    ⑪驚かす
    ・言葉遊び
    関係のない語を音だけの同一性(類似性)によって力ずくで「出会わせる」
    ダジャレ その手はくわなの焼きはまぐり
    掛詞 み吉野は山も霞みて白雪のふり(降り、旧り)にし里に春は来にけり
    地口 恩を肌で返す 

    ・撞着語法
    ex. うれしい悲鳴、かわいい悪魔、沈黙が語る

    ・逆説法
    ex. 急がば回れ、負けるが勝ち

    ⑫引用する
    ・挙例法 論より実例
    ・引用法 虎の威を借る
    ・引喩 ex. 古きを温めて新しきを作る
    ・声喩 オノマトペ ex. ささの葉さらさら

  • 読書家よりも文章書き(ブログとかホムペとか増田とか)へ使い甲斐ある文例本。
    前書きにあるように「文例は平安朝から現代作家まで、小説、エッセー、評論、演劇など幅広く渉猟」し、41のレトリックを紹介します。
    「“忘れてほしくない日本語““懐かしい日本語”をなるべく採った」んだそーです。セレクト、偏ってます、結構。

    漱石・鴎外はもちろんですが、佐藤春男と谷崎潤一郎を名レトリシアンとするあたり、さすが修辞研究家。

  • さまざまなレトリックを12に分類し、それぞれについて使用方法、目的等々を説明したのち、実際の文章中でどのようにつかわれているかを解説しています。

    レトリックについて、その重要性や効果、目的を筆者の意見として述べることがメインとなっているわけではありません。

    教科書のような印象をうけました。

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