脱マニュアル小論文: 作文と論文をつなぐ指導法

著者 :
  • 大修館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784469221824

感想・レビュー・書評

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  • 最初「違う」と思った。

    著者は「体験・経験」を小論文の核に据える。
    自分の経験から感じたことを深め、問題意識を作る。
    その問題意識を提示された資料と絡め、何かを論じる。
    そうしないと観念だけが先走りし、一般的な倫理を唱える空理空論しか書けない、と。

    正論ではある。
    ではあるけれど、現実的に可能なのだろうか、との疑問がふつふつと。
    ほとんどの高校生が、特別な経験などせず、ただなんとなく無難に日常を過ごしているのではないか?
    その中で、何か人に伝えられるような問題意識を育めとするのは、あまりに酷な要求なのではないか?

    ただ読んでいくうちに、僕の違和感は間違っていることに思い至る。
    何も「特別な経験」など必要ないのだと思う。
    大切なのは
    「経験から問題意識を見つけだし、それを人に分かる形でアウトプットする」
    と、「普段から意識」すること。
    この意識が、日常を一変させる。同じ経験をしても、その経験の捉え方がガラッと変わる。
    ちょうど僕が、子どもが生まれた翌日から、周りに赤ちゃんが驚くほど多いことに気付いたように。
    持っている意識が違っていれば、見えるものや聞こえるものもまた、違っているのだ。確実に。

    それにしても本書で例に使われている高校生の文章、おそろしくレベルが高い。
    こういう訓練をされた子たちが大人になり、社会で活躍してくれるってことを、とても心強く思う。

  • 学校の先生向きの本だと思う。結局のところ、問題意識を持てということ。

  • 中井先生。

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著者プロフィール

1954年東京生まれ。京都大学卒業後、現在国語専門塾鶏鳴学園塾長。国語教育、作文教育の研究を独自に続ける傍ら、90年代から進められている教育改革についての批評活動をした。教育改革についての著作は、『高校卒海外一直線』(2002年中公新書ラクレ)、『徹底検証・大学法人化』(2004年中公新書ラクレ)、『大学入試の戦後史』(2007年中公新書ラクレ)、『被災大学は何をしてきたか』(2014年中公新書ラクレ)。編著に『論争・学力崩壊』(2001年中公新書ラクレ)、共著に『研究不正と国立大学法人化の影』(2012年社会評論社)などがある。国語教育では、『脱マニュアル小論文』(2006年大修館書店)、『「聞き書き」の力-表現指導の理論と実践』(2016年大修館書店)、『日本語論理トレーニング』(2009年講談社現代新書)がある。こうした活動の根底にあるのがヘーゲル哲学の研究である。30歳代の10年間を牧野紀之氏のもとでヘーゲル哲学研究に没頭し、その発展の立場を獲得することをテーマとしてその後も研鑽してきた。その成果として、『ヘーゲル哲学の読み方』(2020年社会評論社)がある。

「2022年 『現代に生きるマルクス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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