実践メンタル強化法 ゾーンへの招待

  • 大修館書店 (1997年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784469263787

感想・レビュー・書評

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  • あらすじ
    本番で実力を発揮できない原因を「精神力の弱さ」のせいにせず、具体的な技術として心を整えるための実践手法を体系化した一冊。試合前の極度の緊張や焦り、試合中の予期せぬトラブル、ここ一番でのプレッシャーといった勝負の局面において、いかに冷静さを取り戻し、持てるパフォーマンスを100%引き出すかを説く。呼吸法や身体の脱力といったフィジカルからのアプローチ、試合前後のルーティン構築、ポジティブなセルフトーク(自己対話)の設計、そしてミスを引きずらない思考の切り替え方まで、日々の練習から試合当日まで使える具体的な「心の筋トレ」メソッドを解き明かす。

    所感・深掘り
    「メンタルを強くする」というと、歯を食いしばって耐える根性論や、生まれつきの性格の問題として片付けられがちだが、本書が教えてくれるのは「メンタルは技術であり、フォームと同じように練習で再現性を高められるものだ」という極めて合理的で実用的な事実だった。

    特に深く頷かされたのは、「緊張やプレッシャーを無理に消そうとしない」というスタンスだ。緊張するのは目の前の勝負に本気で挑んでいる証拠であり、なくすべき敵ではない。大切なのは、上がってしまった心拍数や浅くなった呼吸を自覚し、あらかじめ決めておいたルーティンや息を吐き切る動作によって「身体側からブレーキをかける」という具体的な手順を持っておくことだ。感覚頼みではなく、身体の操作を通して心を平常時へ引き戻す技術は、プレッシャーに晒される選手にとって最大の武器になると感じる。

    また、指導者の視点としても、「気合を入れろ」「落ち着け」といった抽象的な言葉がけがいかに無意味であるかを痛感させられた。ミスが続いた選手に対して必要なのは、感情的な叱咤ではなく、「今、視線はどこを向いているか」「次のワンプレーでやるべき動作は何か」といった、具体的でコントロール可能な行動へと意識の焦点を戻してあげることだ。

    勝負の命運を分けるのは、一時の感情の爆発ではなく、積み重ねてきた技術を信じて淡々と目の前の一点に集中できる静かな強さである。

    大舞台で結果を残したい競技者はもちろん、プレッシャーと戦う選手を支え、自立した判断力を育てたい指導者にとっても、折に触れて読み返したくなる確かな実践書だ。

  • 第1章 私のメンタルトレーニング小史
     1 自律訓練法を利用したイメージトレーニング
      体操選手をめざして
      怪我との戦い
      イメージトレーニングの実践
     2 自律訓練法から禅へ
      勝利の美酒
      座禅との出会い
      私の参禅体験
     3 わがヨーガ修行記
      佐保田先生との出会い
      ヨーガ体操の効用
      佐保田先生の死
      さらなる師を求めて
      ヨーガ修行の目的
      人間五臓説とヨーガの8部門
      ヨーガ行法のスポーツトレーニングへの応用

    第2章 メンタルトレーニングの概要
     1 メンタルトレーニング小史
     2 メンタルトレーニングの意義
      勝負の分かれ目
      技術練習における心理的問題
      体力トレーニングにおける心理的問題
      心を鍛えることの意義
     3 スポーツ選手に必要な精神的能力
     4 スポーツ選手の精神的能力の評価と分析
     
    第3章 スポーツ選手の精神的能力とその養成法
     1 セルフモティベーション
      セルフモティベーションとは何か
      セルフモティベーションンのチェック法
      コーチのためのコミュニケーションスキル
     2 適切な目標設定と自信
      自信についての誤解
      自信とセルフイメージ
      目標設定の技術
      セルフイメージを改善し、あらかじめ自信を高める技術
     3 イメージトレーニング
      運動イメージと技術練習
      五感とイメージ
      技術習得(修正)のためのイメージトレーニングの注意点
      シューティングのイメージトレーニング
      イメージリハーサル
     4 集中力
      集中力とは何か
      インナーゲーム
      インナーソフトボール
     5 感情コントロール
      スポーツ選手の感情を乱す因子
      感情コントロール能力の意義と育成法
      感情の4つのレベル
      感情コントロールのためのメンタルテクニック
      
    第4章 メンタルトレーニングの実際
     事例1 萩原美樹子選手
      現状の把握
      目標像の確認
      自己分析後の第1の処方箋
      第2の処方箋
      第3の処方箋
      萩原美樹子が名実ともに日本のエースとなるための自己指示の確認書
      第4の処方箋
      萩原選手の簡易内観
      私のメンタルトレーニング体験記
     事例2 春名美佳選手
      期待という名のプレッシャー
      アトランタオリンピックのイメージリハーサルシナリオ
      コーチのメンタルトレーニング体験記(田村栄子コーチ)
      
    メンタルトレーニングの実例
     ①「五感でとらえる3回宙返り」(エアリアルスキー全日本チャンピオン・横山岳男選手)
     ②「イメージシューティング」(シャンソン化粧品・村上睦子選手)
     ③「イメージは現実化する」(日本ハムファイターズ・白井一幸選手)
     ④「インナーソフトボール実践」(東邦銀行女子ソフトボール部ピンクパンサーズ元監督・馬上達幸)

    あとがき

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著者プロフィール

福島大学人間発達文化学類教授。メンタルトレーナー。専門はスポーツ運動学。独自のメンタルトレーニング理論により、女子バスケットボールの五輪日本代表チームをはじめ、スピードスケート五輪銀メダリストの田畑真紀選手、2005年最多勝を挙げたプロ野球下柳剛投手など、数多くのスポーツ選手を指導。さらに、2010年サッカーワールドカップ日本代表、岡田武史監督のチーム作りをサポートした。

「2014年 『フローゴルフへの道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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