移動する民 ノマドのくらし

  • 玉川大学出版部 (2024年11月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (72ページ) / ISBN・EAN: 9784472060335

作品紹介・あらすじ

定住地をもたず移動しながら生活する民、ノマド。極北のシベリア、サハラ砂漠、東南アジアの海など、さまざまな環境で伝統的なくらしをつづける7つのノマド社会を、美しい絵とともに紹介します。よけいなものをもたず、環境に調和したくらしを営む生活スタイルには、持続可能な社会を目指すためのヒントがつまっています。

感想・レビュー・書評

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  • ここ数年よく耳にする「ノマド」
    ノマドとは、定住地を持たず移動しながら生活する民のこと!
    現在もノマドの生活を続けている7つのノマド社会を、キンチョイ・ラムが味わい深いイラストで紹介する。

    「モンゴルの遊牧民」
    モンゴル帝国を築いたチンギス・ハンの名が浮かぶ。冬はマイナス40度になり、夏は40度を超えるモンゴル。大草原(ステップ)を、馬に乗り家畜と共に移動する姿がどこまでも続く。
    ゲルという移動式住居の中にはソファと家具、冷蔵庫やテレビも置かれていて居心地が良さそうだが、近年は気候変動により都市への定住者が増えている。ゲルでの生活や服装、食べ物もイラストだとよくわかる。

    「トゥアレグ」
    青い衣装に青いターバン(タゲルムスト)を巻いたトゥアレグ族は、サハラ砂漠をラクダのキャラバンで移動する。
    夏には気温が50度になり、冬の夜は氷点下になる。砂漠の砂が入ってこないよう考えられたテントで暮らす。トゥアレグ文化では男性と女性は平等で、結婚するとテントは妻が所有するそうだ。
    手工芸が盛んで、凝った銀細工に心惹かれる。

    極北の遊牧民「ネネツ」
    トナカイの大群をつれ、えさの苔や草を求めて1000km移動。夏はシベリアのヤマル半島を北上し、冬はオビ川を渡り南の森林へと向かう。神聖な結びつきをもつネネツとトナカイにも困難な問題が!石油や天然ガスの採掘で放牧地の質が悪化したり、採掘設備による移動ルートの変更を余儀なくされる。

    職人・商人の移動民「ロマ」は、ヨーロッパや南北アメリカで暮らす。
    「ジプシー」や「ツィガン」などの呼び方は差別的だと見られている。
    家馬車の時代を経て、今では殆どのロマがトレーラーハウスで暮らしながら移動を続ける。家父長制であり家族は強い絆で結ばれている。ヨーロッパ各地で音楽や芸能に影響を与えていて、スペインのフラメンコもロマの文化から生まれたと知った。一方でロマの人々への迫害や子どもたちが十分な教育を受けられないなどの問題も起きている。

    以下にも珍しいノマドのくらしがある。

    東アフリカのサバンナで、牛を放牧する遊牧民「マサイ」

    フィリピン、マレーシア、インドネシアの沖で海上移動をしながら暮らす漂海民「サマ・バジャウ」
    漁をしたり海産物を売ってくらす。
    かつてはレパという家船、今では沿岸の浅海に杭を打って建てた木の家に住んでいる。

    「ヤノマミ」
    アマゾン熱帯雨林に残る最後のアメリカ先住民のひとつ。小さな共同体に分かれ、それぞれトゥシャウワという首長がいるが民主的に物事を決める。

    気候変動や自然破壊の影響をもっとも受けやすい環境にあるノマド。
    定住民が作った社会や価値観でノマドの生活スタイルが変えられていくこともある。歴史と伝統あるノマドはこれからどう生きていくのだろう!
    移動する民が次の世代に伝えていくことは、定住者である私たちにとっても決して無関係ではない。
    人類がみんなノマドだった時代に思いを馳せた。

  • ◎移動する民(ノマド)の暮らしと文化
     「かべや境界や所有物がそれほど重要でなくなった世界では、ダレモガもっとひろい心で考えられるようになると信じたい」p5

    ○誰もがかつてノマドだった
     それぞれの暮らしをありのままに続けていけれ方法を見つけられたら

    ・モンゴルの遊牧民族
     人口密度が低い
     ゲルでの暮らし
     放牧の暮らし
     服装と食べもの
     これから
     …2009年気象災害、ウランバートルへの移住がすすむ
      ゲル地区、大気汚染。下水・電気の設備が十分でない

    ・トゥアレグ(イモハグ自由な人、青い民)
     サハラ砂漠のラクダのキャラバン
     アムガール
     男女平等
     食べものと水
     宗教と伝統と社会
     タゲルムスト 悪霊除けの青いターバン
     手工芸品…職人階級イナダン・優れた職人
     トゥアレグへの差別、迫害
     塩キャラバン

    ・ネネツ 極北の遊牧民 かつてはサモエド(見下した言い方)
     生活と信仰
     ツンドラネネツと森林ネネツ
      トナカイへの深い愛情
       自分自身の化身のようなトナカイを持っている
     テントでの暮らし
     これから
      土地の資源 経済的な安定と環境の悪化
      活動中グループが組織されはじめている

    ・ロマ ヨーロッパや南北線アメリカに暮らす移動の民
     生活と宗教と伝統
      …暮らす国の宗教を信仰することが多い
     家族 家父長制 
        ファミリアの強い絆
        ファミリアの一団…ヴィツァ
     職業 音楽や芸能、細工師、現在は日雇いの仕事
     これから
      定住する人が増えている
      貧困問題と不公正

    ・マサイ サバンナの牛を放牧する遊牧民
     生活 ウシが社会と経済と家族の中心
     服装とアクセサリー
      赤は勇気と牛の血の象徴
      ビーズ細工、パターンで年齢や地位が分かる
      上級戦士のみ髪の毛を伸ばせる
      年齢階梯制 年齢のグループ
      ダンス
     宗教と伝統
      エンガイ・ナロク…黒い神 慈愛の神
      エンガイ・ナニョキー…赤い神 復讐の神
     マサイとライオン
     これから
      土地問題、遊牧の生活スタイルを捨てざるを得ない
      観光産業←古くからの伝統が単純化されてしまう代償
      したたかな対応力でアイデンティティを保ち、近代化の取捨選択を行っている
      団結を強め、発言力を高め、権利を守っている

    ・サマ・バジャウ フィリピン・マレーシア・インドネシア海域の海上移動の漂海民
     陸サマ(サマ・ディラヤ)と海サマ(サマ・ディラウト)
     生活
      レパ(家船)…昔はレパで暮らした
      沿岸の浅瀬に建てた木の家
      魚とり…モリや水中銃で
           脾臓が大きく、体内の酸素量が多い
           最長13分も潜っていられる
     宗教 イスラム教やキリスト教
        祖先の霊、守護霊 
     伝説 陸の王の娘が嵐で海に流される
        サマ・バジャウは見つけられず、海に永遠に漂海することを選ぶ
     これから
      海から陸にあがる漂海民が増えている
       地元の人たちとの諍い
      伝統の漁のスタイルが破壊的なものになりつつある

    ・ヤノマミ アマゾンの最後のアメリカ先住民族
     自分たちを国のような集団ではなく、複数の共同体の集まりととらえている
     敵対する共同体とは激しく戦う
     勇猛な民族
     共同体の中は平等、首長はいるが重要事項は民主的に決定
     生活
      ヤシノミの葉のシャボノという大きな家
       内側に家族ごとの区画
       シャボノのまわりに畑…バナナやキャッサバ
       土地が痩せたら移動
     服装
      ピアスと羽根飾り
      黒と赤の染料で体に幾何学模様
     食べもの
      畑の収穫物、狩りや漁の獲物、森の採取物(植物、薬草、昆虫)
     宗教
      精霊とシャーマン
     これから
      現代社会の脅威にさらされている

  • ーーカバー袖よりーー
    定住地を持たず移動しながら生活する民、ノマド。

    極北のシベリア、サハラ砂漠、アマゾンの熱帯雨林、東南アジアの海など、世界の様々な環境で伝統的な暮らしを続ける7つのノマド社会を、美しいイラストともに紹介する画期的絵本。

    余計なものを持たず、環境に調和した暮らしを営むノマドの生活スタイルには、持続可能な社会を目指すためのヒントが詰まっている。
    ----

    =手にした理由=
    なんとなく どんな暮らしをしているのだろう?と思ったから。
    日本でも、「デジタルノマド」なんて言葉もあって、フリーランスで、仕事はオンライン、仕事場はカフェだったり、共有スペースだったり、食事は自分で作らず、寝起きする場所もその時 自分の気に入った街の宿泊施設で寝泊まりする。
    戸籍はあるだろうし、本籍や住民票もどこかに登録しているのかもしれない。
    災害が起きた時に、避難所へ入れなかったとかって噂もあった。
    世界には、定住生活を知らない人もいる。

    イギリスの番組で ロマの人たちを取り上げていた。
    いつも決まった時期に来て、騎乗したまま川へ入り騒ぐのだとか。住民たちの反応は様々だったけど、昔は物流の一端を担っていたのかもしれない。

    ノマドの人たちは、果たしてノマド以外の暮らしを知っているのか?したことがあるのか?
    そのうえで再びノマド生活に戻ったのなら、
    定住生活をしてみて、どんなところが嫌だったのだろう?

    田舎暮らしは嫌とか、都会暮らしは息が詰まるとか、せいぜいその程度の想像しかできないなぁ。

    定期的に移動する 例えば転勤族とか、でも今は家族で引っ越す人たちも少ないか…。

    共産圏の国で、政府指導で少数民族を定住させた番組もあったけど、高層マンション暮らしになったおばあさんが、一日中タバコを吸って暮らしていた。ほかにする事が無いそうだ。集落にいたときは、役割も担っていたのだろうけど。生活はあがなえても、尊厳には届いていないように見えた。

    この本の終わりのほうに、ノマドの共同体は存続が難しくなっていること。ノマドの文化を保護するのは大切だとと考えていること。その理由として、失ってしまったら、人類史のルーツとのつながりが失われること。持続可能な別の在り方との接点も失うこと。この二つのことを挙げていた。

    なんとなく、ノマドの当人達や、かかわりのある人たち(土地の所有者、近くの定住者など)のことではなく、人類史のルーツ(根源)とのつながり、が分かる資料。持続可能な別の在り方(ノマドの暮らし=サンプル)みたいな見方しかしていないのか? それなら ぞっとするな。と、うがった見方をしてしまった。

    知ることから始めないとだけど。結婚とか、どうしているんだろう?血が濃くなりすぎたりしないのかな?
    外部から加わった人はいるのだろうか?お墓はどこにあるのだろう?無いのかな? わからないことがいっぱいだわ。

  • でもいまでもノマドの暮らしをしている民もいるわけで、これは世界中のノマドの人たちの暮らしぶりを紹介した本です。
    中国の作家さん?

    日本のノマドは、サンカの人たちだろうけど、もういない。

    2025/04/04 更新

  • トゥアレグの藍染の衣に惹かれた
    舟の遊牧民もいるとは思わなかった

    素敵さだけじゃなく、次の頁には現実が描かれてるのでなんとも言えない気持ちになるけど
    時々眺めたい絵本
    衣装や食べ物の頁数がさらに多いと嬉しい

  • 【本学OPACへのリンク☟】

    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/728663

  • 原題 Nomads
    by Ziggy Hanaor & Kinchoi Lam
    illustrated Kinchoi Lam 2022
    くまがいじゅんこ 訳 2024

    人類はみんなノマドだった

    ノマドは3つの文化に分類できる
    ①狩猟採集民
    ②牧畜遊牧民
    ③職人・商人

    現在もつづく7つのノマド社会
    モンゴルの遊牧民
    トゥアレグ
    ネネツ
    ロマ
    マサイ
    サマ・バジャウ
    ヤノマミ

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