茶の湯と陰陽五行―茶道具にみられる陰陽五行

制作 : 淡交社編集局 
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  • Amazon.co.jp ・本 (111ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784473016348

感想・レビュー・書評

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  • <小間に座して掌中に宇宙を収む>

    陰陽五行とは、それぞれ、陰陽説・五行説と呼ばれる中国戦国時代の古代哲学が、漢代に至って融合していったものである。生命の根源・宇宙の活力となるものを「気」と呼ぶ。気は陰と陽に分けられ、この二つの平衡により、世界の秩序が保たれる。これが陰陽である。また、宇宙の事象は木火土金水(もく・か・ど・ごん・すい)の五元素の働きによるとする。これが五行である。老荘思想家(道家)は陰陽説を唱え、儒家は五行説を主張した。これを折衷したのが陰陽家であり、彼らが唱えたのが陰陽五行説、そしてそれを実線に移したのが方士であった。その後、仏教との習合もあり、医療や神仙術、民間信仰へと大きな広がりを見せた。

    日本に陰陽五行思想が伝来したのは7世紀初頭と言われる。
    日本においては、政治を司る基本ともなり、聖徳太子の冠位十二階や憲法十七条は陰陽五行の影響を受けたという。天武天皇の時代には、陰陽寮という役所ができるなど、国家陰陽道の成立も見られる。平安時代になると安倍晴明を代表とする宮廷陰陽師も大活躍する。戦国時代には陰陽師の唱える兵法がもてはやされる。
    江戸時代に到ると、八卦や星宿といった形で、暦を通じて、民間にも広く定着していくのである。
    俗信・迷信といえばまぁその通りなのだが、長く親しまれ、そしていまだに生活の中に取り込まれてきているものである。

    さて、この陰陽五行、茶の湯にもゆかりが深い。
    ざっと見てきた歴史からもうかがい知れるように、世界の不思議な法則を知り、掌握し、利用するといった面で、茶を嗜んだ権力者も好んだ思想だろう。
    陰陽五行を元にして、十二支や十干、易、二十四節気、五節句、四神なども生まれているし、もちろん、天文とも結びつきが深い。季節感や方位を大切にする茶の湯とは親和性が高いのである。

    本書は裏千家系の出版社による、茶の湯と陰陽五行に関するムック本である。
    さまざまな茶道具に取り入れられた陰陽五行ゆかりの意匠を写真とともに紹介する。
    曰く、風炉中に敷かれる灰の中央には、水を表す卦が描かれ、火を鎮める意味を持つ。
    曰く、茶室の理想として、床の間を北に設け、客は陽に位して南面の座に着き、亭主は陰に座し、北面して点前をする。
    曰く、茶事では初座(前半)を陰として後座(後半)を陽とする。初座のうちは、簾が掛かる陰翳の中、粛々と茶事が進む。後座が始まると、簾は上げられ、クライマックスである濃茶へと、明るさの中、向かっていくのである。

    十二支にゆかりの道具の数々。
    幾何学的な天文の意匠。
    月の名を冠した菓子。

    眺めていると何だかどんどんと気が大きくなっていくのである。
    気宇壮大、天空海闊、天衣無縫、飛龍乗雲、天馬空を行く。
    宇宙の秘密などわからぬままに、まるで掌中に広々とした空間を収めるかのようである。

    座して無辺の世界に遊ぶ。茶の湯Wonderland。

  • 読みやすいけれど、初心者向けかな?その道に詳しい人には物足りないと思う。

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