- Amazon.co.jp ・本 (133ページ)
- / ISBN・EAN: 9784473037008
感想・レビュー・書評
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日本庭園の管理の仕方がわからなかったので参考になりました。
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千利休は茶室を現世における清浄無垢な仏土を実現する場と位置付けた。その清浄なる空間に入るに際しては心を入れ替えることが求められる。浮世の雑念を捨てて茶室に入るための仕掛けが露地である。露地は茶室に至る道であると同時に、茶室に籠もる心の静謐さを表す風景でもある。露地に足を踏み入れると、そこはもう別世界になる。露地を一歩踏みしめるなり、空気が変わる。清涼感がある。
露地は、庭の中にありながら、自然の景観の一部ではない。むしろ、自然の景観から切り離された異界である。そして、この異界性こそが、露地の魅力であり、テーマでもある。露地は、人間にとって最も自然な状態でありながら、同時に最も非日常的な場所である。だからこそ、露地は、人間の内面にあるものを映し出してくれる鏡のような存在として、私達の前に立ち現れる。そこにいる者の心象風景を描き出す。
利休が露地に高い精神性を付与していたことは以下の言葉が示している。
「露地はただ浮世の外の道なるに心の塵をなどちらすらん」
「露地は草庵寂寞の境をすべたる名なり、法華譬論品に長者の諸子三界の火宅を出て露地に坐すると説き、また露地の白きと云ひ、白露地共いへり。一身清浄の無一物底也。」(『南方録』)
書院台子の茶の対義語が草庵露地の茶となる(野上彌生子『秀吉と利休』中公文庫、1973年、20頁)。露地は、ただ茶席に至る通路という地理的な意味だけではなく、そこを通ることによって心地を露わにするという超現実的・出世間的・宗教的なものになる(久松真一『茶道の哲学』講談社学術文庫、1987年)。
心理学者は露地の心理効果を以下のように説明する。「露地とは、この浮世の外にある地上の天国、いや極楽の超ミニ版への超ミニ参道で、進行につれて刻々と清浄感や鎮静効果が深まる」(安西二郎『新版 茶道の心理学』淡交社、一九九五年、三三頁)。