京菓子と琳派: 食べるアートの世界

制作 : 濱崎 加奈子  勝冶 真美 
  • 淡交社 (2015年8月5日発売)
4.75
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  • 本棚登録 :16
  • レビュー :2
  • Amazon.co.jp ・本 (95ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784473040398

作品紹介・あらすじ

〈琳派とともに歩む京菓子の伝統〉
〈京菓子のなかの琳派表現をさぐる〉

尾形光琳が創始した「光琳文様」は、古来、驚くほど京菓子の意匠の中に用いられています。つまり、菓子の上でも琳派の文様は好まれているといえるでしょう。琳派400年の本年、琳派が従来どのように京菓子に表現されているのかを鑑みるとともに、現代ではどのように琳派を捉え、菓子の意匠として創造しているか、京菓子職人の発想と手法が存分に楽しめる内容となっています。

京菓子と琳派: 食べるアートの世界の感想・レビュー・書評

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  • ・濱崎加奈子監修「京菓子と琳派 食べるアートの世界」(淡交社)によると、琳派のエッセンスは抽象性、平面性、装飾性、デフォルメの美、デザイン性、「自然を捉える視点の豊かさ」等である(「はじめに」3頁)といふ。帯のコピーは「自然を写す かわいい琳派」である。修飾語が「かわいい」である。華麗とか繊細とか言はずに「かわいい」である。洋菓子のケーキもきれいなのや可愛いのが多い。どのやうに違ふのか。本書でいふ「京菓子の二要素」(9頁)の一つが茶道である。お茶席での「非日常を演出する抽象的な意匠の主菓子に対して、日常的な感性をやさしく表現するのが干菓子といえる」(「京菓子とは何か 琳派から考える」12頁)。今一つは有職の色である。ごく分かり易く言へば襲の色目である。「有職と茶道の、ある種相反する美の要素を互いに譲れないところまで重ね、両者合致するところで再び削ぎ落とした極みとして、京菓子は日本文化の一つの美の頂点に位置づけることができる」(同13頁)。これからすれば、京菓子は洋菓子とは根本的に違ふ作法で作られたものなのであらう。 こんな一文もある。菓子は「果物であり木の実」であることをふまへて、それが「もっとも洗練された京菓子に形を変えても、本来菓子が携えていた精神性―神と人をつなぐ役割―は、脈々と受け継がれている。」(24頁)そんなわけで、洋菓子とは質が違ふのである。かくして、京菓子の本質を探究していくと、いづれはお菓子を食べ損なひさうな気がする。私は、京菓子は見て美しく、食してうまいものであると思ふ。本書は正に、そんな見て楽しむ書なのである。
    ・最初のお菓子は光琳の紅梅白梅図屏風と並ぶ紅白きんとんである。左半白、右半紅のきんとんである。ここはきんとんの説明ゆゑに、若葉や紅葉と桜、つまりは花見団子風の色合ひのきんとんが並ぶ。さう、「きんとんは、色によって十二ヶ月をあらわすこともできる」(7頁)のである。この紅白きんとんは光琳から触発されたお菓子である(らしい)。以下、本書には「『琳派』をテーマにして」(「いま、創造される琳派 京菓子から」28頁)「伝統的な京菓子の原材料 だけを用いて製作され」(同29頁)たお菓子が並ぶ。曰く、風神雷神×唐獅子、二神一体等々と続く。すべて琳派にちなむ。最後は燕子花図屏風で締める。最初のは燕子花、羊羹である。色合ひは正に燕子花、「京菓子の抽象的な特徴をよく示している。」(83頁)のだとか。2番目は兎子花、干菓子、花と葉が別々で 、「花弁の1枚を手に取れば、兎の形。」(84頁)である。3番目は落雁のかきつばたである。最後は主菓子と干菓子の組み合はせの杜若、花が主であ る。2番目が本書の「かわいい琳派」である。実は、これより「かわいい」のも多くあり、その代表がChu♡nである。チュンチュン、鳥の鳴き声、つまりスズメである。神坂雪佳の代表作の、薯蕷製とあるから饅頭であらうか、これは見るからに「かわいい」。シンプルである。Day and Night光琳×Escherといふのは、光琳の千鳥にエッシャーの有名な「昼と夜」の鳥を合体させたもの、黒や逆さに置かれた千鳥が珍しくも「かわいい」。材料からすれば、この黒千鳥も和三盆である、その味は見当がつく。しかし、食べてみたいと思ふ。ところが「一点一点が、アートとしての固有の『作 品』なの」(29頁)だといふ。羊羹もきんとんも食へないのである。一点限りの作品、売り物に非ず。書名に「食べるアート」とあるものの、実際に食することができないのが本書の最大の難点である。しかし、「かわい」くておもしろい書ではあつた。

  • 琳派の作品に見立てた素敵な和菓子がたくさん見られます。お菓子を見てすぐにあの作品だ!と分かったり、少し考え込むものもあったり。和菓子の好きな人も琳派の好きな人も、どちらも楽しめます。

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京菓子と琳派: 食べるアートの世界はこんな本です

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