- Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
- / ISBN・EAN: 9784473040510
作品紹介・あらすじ
〈作家・いしいしんじが綴る18篇の茶の湯随筆集〉
〈アロハシャツにジーンズ姿で茶道の門を叩いた、いしいしんじと亡き師匠との思い出〉
タイトルの「且坐喫茶(且く坐して茶を喫せよ)」とは、禅の言葉で「まぁ、お座りになってお茶でも飲みなさいよ」の意味。茶の師匠から人生のすべてを学んだという作家・いしいしんじは、アロハシャツにジーンズ姿で師匠の門戸を叩いたことからはじまりました。その茶観は、どのようにして形成されていったのか。本書では、著者が禅僧・牧師・茶人・現代画家・和菓子作家・陶芸家などを亭主とする一期一会の茶事に臨み、一亭一客の狭小の茶室のなかで坐して茶を喫した経験を通し、日本人の美意識、亡き師匠の思い出などを綴ります。月刊誌『なごみ』2014年連載「しゃざきっさ」に加筆をし単行本化。
感想・レビュー・書評
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衝撃を受けた。
作者の圧倒的な感受性の強さ、そしてその表現力に。
茶を通しての出逢いと気づきがエッセイ風に描かれているのだが、高尚な論説文を読んだかのような深みがある。ぜひ他の著作権も読みたいと思わされる一冊だった。また、最後まで詳しく描かれなかった「先生」の話もぜひ読みたいと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ものがたり作家のいしいしんじが、新宿にほど近い場所にある茶道の「先生」に入門し、茶の湯を知ってから、さまざまな場所、主人を相手にお茶をいただくエッセイ集だ。
茶道雑誌「なごみ」に掲載されていたものらしい。
よくある茶室訪問記とか茶会記とはまったく違っていて、著者らしい独特の世界観、すべてが広がってひっくり返って何もかもを内包していくような、いっそファンタジーといってもいいような「お茶」が語られていて、なんとも面白い。
お茶って自由だ。 -
茶会を書く、いつか自分にもそういうことができるようになれば、と思う。
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「真剣ですよ、いしいさん、真剣よ。あいまいに生きていて、いったい、なにがおもしろいもんですか」
作家のいしいしんじさんが、幾つかのお茶席について書いた随筆集。
茶道を文章で書けるんだ!というのにまず驚く。
平易な言葉、しかしとても新鮮な世界を見た。
胸に染み入る文章だった。
何を見ても、何を感じても、いしいさんの心は亡くなった茶道の先生に還っていく。
あるいは、先生の周囲を回り続ける衛星のようでもある。
茶道だけでなく、人が人を思うことや、生と死を静かに突きつけて来るような本だった。 -
ー且(しば)らく坐し医て茶を喫せよ
という意味であるらしいです
「喫茶」そのものが
お茶を飲む 以上の意味をたっぷり含んでいますよね
「茶事を重ねる」
「陽炎を割って炎が立ち上る」
形而上の比喩言葉がどっさり
立ち現れます
邪魔くさい文体といってしまえば
その通りなのですが
それでも
なんでしょうね
妙に心惹かれてしまって
とうとう 最後まで読んでしまいました
面白かった?
と言われれば
はい
ではあるのですが… -
絶品です。言葉が体に沁み込み、体が解けだす。諸法無我。
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先日、茶道の世界を描いた森下典子さんのエッセイ『日日是好日』を読んで衝撃を受けました。俄然お茶に対する興味が高まり、続いて本書を手に取りました。
いしいしんじさんのイメージと茶道って、はじめはシックリ繋がらなかったのですが、読み進むうちに少しだけわかったような気がしました。著者は茶道の中に死生観を見ておられるようです。お茶によって、時間と空間を行き来し、森羅万象、壮大な宇宙と繋がり交わることで、死を通して見た生きる形がそこにあると感じられたのではないでしょうか?氏の小説にもそのようなものを、そこはかとなく感じとることができます。
お茶を通して語られるいしいさんの体験には、この世に生まれ、生きていることの意味のようなものを垣間見ることができます。けれど、それでもやっぱりわからない。お茶そのものがわからないとおっしゃっています。いしいさんのついた先生は、わからないからいいともおっしゃいました。そうですね。わかってしまっては、面白くありませんものねぇ。
技に磨きをかけると術になり、術をさらに極めると法となり、法に精神性が加わると道になると、何かで読んだ覚えがあります。中国から伝わったお茶が、日本人独特の死生観、美意識によって、ここまで研ぎ澄まされたものになるなんて・・・茶の湯の世界って深く壮大なものなのですねぇ。いつか習ってみたいものです。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2 -
良き師に恵まれ茶の道に目覚めた著者が色々なお茶事に参加した様子、感想を綴ったエッセー集。描写や心の動きの描き方が抽象的すぎて、ちょっとわかりにくかった。