禅とジブリ

著者 :
  • 淡交社
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感想 : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784473042590

作品紹介・あらすじ

〈「今」を生きなきゃ!──スタジオジブリプロデューサーと禅の僧侶が語らう、現代の生き方〉
〈ジブリを禅で読みとく、禅をジブリで読みとく白熱対談〉

「過去、未来じゃなく、もっと今のことを考えなきゃ」──スタジオジブリプロデューサー鈴木敏夫氏が禅僧と奔放対談。対するは、玄侑宗久氏(作家・福聚寺住職)、横田南嶺氏(臨済宗円覚寺派管長)、細川晋輔氏(龍雲寺住職)の三人。『もののけ姫』『火垂るの墓』などジブリの名作から、死生観や人生哲学などを禅的に読みとき、宮崎駿・高畑勲両監督との映画制作の経験に照らして禅を語ります。月刊『なごみ』連載に対談と鈴木氏のエッセイを追加収録。

感想・レビュー・書評

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  • 言わずと知れた、スタジオジブリの名プロデューサー鈴木敏夫氏と三人の禅僧による禅問答。
    何故ジブリと禅?と不思議に思って読むと、ジブリと禅との数々の共通点に驚かされる。
    鈴木氏によるジブリ作品や宮崎駿監督に関するエピソード、仕事との向き合い方・生き方等々、感心したり感動したりの連続で付箋紙張りまくりとなった。

    ●宮崎監督の作る映画は人の弱さをちゃんと認めている。認めた上で、弱い子もやりようによっては元気になる、そういう映画。
    ●過去や未來にとらわれず、今この瞬間に集中する。今目の前のことをちゃんとする。
    ●「この世の中、捨てたもんじゃないよ」というのがジブリの基本姿勢。だから、先のことばかり考えずに今のことをちゃんとやるべし。
    ●亡くなった人と再び逢えるかどうかはわからない。しかし共に生きることはできる。「不識」、つまりわからないことこそが人生だ。
    ●坐禅は何かを得るというより捨てる場。ちょっと立ち止まって自分にベクトルを向ける時間。
    『魔女の宅急便』のキキも風邪をひいて寝込む時間があったから、また空を飛べるようになった。自分なりの答えが出てきたのだ。
    ●キキにとって黒猫ジジは自分自身。まだ自己を確立していないキキが自分になったからジジは話す必要がなくなった。
    ●「一日暮らし」どんなつらいこともその日一日だと思えば耐えられるし、どんな楽しいこともその日一日だと思えば浮かれることはない。
    ●宮崎監督は「今、ここ」の人。「今、ここ」への集中力が半端ない。
    ●現実の壁に突き当たり、思うようにならず、もう一度やり直す。誰でもその繰り返し。
    ●好きな人とは思うようにいなかないからいい。そこに美がある。
    ●宮崎監督と鈴木さんとの共通項は過去の話をしないこと。いつも「今、ここ」。そして互いを尊敬していない。
    ●ジブリ作品は「何が起こるかわからない。それでも行く」
    ●夫婦で問題が生じるのは、必ず「向き合おう」とするところから。向き合うとたいがい相手の欠陥しか見えない。
    ●「老いの熟成」年をとれば肉体的には衰えるけれど精神は自由になる。
    ●慣れを手放す。
    ●色気をほんのちょっと持つ、枯れない年寄りになる。

    77歳(2018年3月現在)になった宮崎監督は未だに成長を続けているという。
    強靭な精神力をいつまでも失わず、熟成し続けて新たな作品を生み出してほしい。

  • ジブリのプロデューサーの鈴木さんと禅僧の対談。
    ジブリ映画を契機に禅の話がとても分かりやすく語られる。禅の言葉と、ジブリ作品の中で描かれた禅的なものが語られていて、とても興味深い。
    今、目の前のことに集中すること、足るを知ること(すなわち、不要なものはすてること)の大切さを改めて学ぶ。理想の自分にとらわれると、現実の自分がみじめになってしまう。だから、今、目の前の事に集中することが大切ということ。
    そして、本来無一物。全ては縁によって成り立っているので、自分一人でゴールまで行くのではなく誰かにバトンを渡すというスタンスでいればよいという言葉に感銘を受ける。なんでも、一人で全てやろうと思わなくてもよいし、それは思い上がりだと知る。この本来無一物という言葉が、小説宮本武蔵にも出ていると言われており、再読しようかと思った。
    「両行」:対立するもの両方をそのまま生かしておくと、必ず何かがうまれてくる、という考え方が説明されていて、救いを感じる。これは、平川克己の「21世紀の楕円幻想論」での語られた貨幣経済と贈与・全体給付の対のバランスをとるということの基本になるという気がした。
    また、怒りもエネルギーの源だから、完全に捨て去るのではなく、怒りをどの程度自分の心に残すかがカギであるという禅僧の言葉には、驚いた。
    そして、禅のすべては「着て」「食べて」「出して」「寝る」。ああ、その通りだという横田南嶺老子の言葉は平明で、そこに集約して考えれば、迷いがなくなるような気がした。
    しかしながら、荘子の一節で「一切をあるがままに受け入れるところに真の自由がある」というのは、とてもとてもたどり着ける気がしなかった。

    とにかく学び、気づきの多い一冊。何度でも読み返そうと思う。

    心に残ったのが次の言葉たち。
    ・即今目前
    ・放下著
    →いろいろと放り出して、目の前のことに集中せよ
    ・前後際断
    →過去も未来もどんどん捨てろ
    ・小説 宮本武蔵の中で、「本来無一物」という言葉が出ているということ。本来無一物とは、自分は何も持っていない、全ての縁によって成り立っていること。「金も名誉もすべて手放せ」と言っているのではなく、自分が無一物であることを認識すると、悩みも自分の影法師である、と。

  • 禅宗の僧侶とジブリプロデューサーの鈴木敏夫さんの対談を書籍化したもの。
    以下記憶に残った言葉

    「それは理想とする自分がいて、そこから今の自分を見ているからでしょ。そうじゃなくて今、目の前のことをちゃんとやりなさいよ。」
    →これにはハッとさせられる。少し前の自分は現在の職場に漠然とした不安と不満があり、転職してステップアップしたいと考えていた。あの頃は理想とする自分がいて、そこから現在の自分を見て絶望していたのだと思う。それだといくら頑張っても今の自分に合格点を上げられないんだよね。ようやく分かりました。

    「宮崎駿も色々なものに影響を受けていて、影響って、いわば真似ることじゃないか。誰にも真似できないって主張するのは違うのでは」
    →仕事は真似することが大事。人の真似をすることはオリジナリティがないと思うかもしれないが、真似というのは必ずする側の脚色が入り混じるわけで、それゆえ同じものにはならない。真似は悪いことと思われやすいが、それは違うのだと思う。

    「自我は自分だけがという心。自己はじっくりと見つめるべき対象」
    →自我を捨てて、自己を見つめよ。自分があれこれしたいという煩悩は捨てて、周りの中での自分をじっくりと見て、行動しなさいということ。ギブアンドテイクというのは見返りを求める欲求が含まれるので自我が含まれる。ギブアンドギブの精神を持つことは周りの中で自分の役割を考えて行動するということ。これをできるようになれば、良い人間関係が築ける。

  • 東洋思想と西洋思想って全然違う。最近の風潮として、やはり分かりやすく答えが明快で出やすい西洋思想に偏っていると思う。目標、計画、実行。
    鈴木さんは始終受け身の人間だというけど、それでここまで大成しているのだからやはりただ者ではないのだろう。普通の人はやはり東洋的思想だと不安に耐えられなくて西洋思想に飛びつくのではないかと思う。社会全体がそうなるのは、なんか厚みがなくなってしまう気もした。

    過去の話をしない、今ここ。

    2021.4.26

  • 眠かったので、何度も途中で寝ながら読んだ。
    そんなゆったりした読書に向く感じ。

    【引用】
    (細川)
    「一日暮らし」という言葉があるんです。
    白隠さんの師匠がおっしゃった言葉なんですが、
    どんなつらいこともその日一日だと思えば
    耐えられるし、どんなに楽しいことも
    その日一日だと思えば浮かれることはない」
    という意味です。



    (鈴木)
    そこでその方に、テーブルマナーを
    教えていただきました。でもその方は
    「だけど」とおっしゃるんです。
    「一番美しい食べ方は、自分が正しいと
    思ったことをちゃんとやること。
    そうやって食べなさい。これ、一生役立つわよ」
    って。(中略)ただしそれが、
    「人から見たときに自然でなきゃいけない」
    「その人のものになっていないといけない」



    (細川)
    『風立ちぬ』では、喫煙シーンが問題になったじゃないですか。重病の妻が隣で寝ていて、主人公が
    外にたばこを吸いに行くといったら、
    「嫌。ここで吸って」
    と。
    「何で病気の彼女の前で吸うんだ」
    と一部で話題になったと聞きました。
    (鈴木)
    すごく問題になりましたよ。
    自分がたばこを吸うから自己弁護になるんだけど、
    ひとつのことをダメというときに、
    今は必要がないものまで禁止している時代。
    それが気になるんですよね。
    (細川)
    残された時間がわずかな女性が、
    「好きな人がタバコを吸う時間さえも一緒にいたい」
    という気持ちがあるわけなので。
    (鈴木)
    それを感じる余裕がないんです。そこは若い人と接していて気になることが多いです。
    「枝葉末節」という言葉があるけれど、
    ここへ来て、みんながこだわっているのは枝葉
    どころじゃない。僕は強く言いたいのですが、
    「木を見て森を見ず」どころか、枝葉、
    そして現代が見ているのは葉脈です。
    この先はもうないと思うんです。
    そうすると、揺り戻しが来る気がして仕方がない。
    僕の期待が入っているかもしれないけれど。
    何で、みんな自分たちで住みにくくしているんですかね。

  • 禅語の表現の奥ゆかしさに触れていると、何気なく使っている言葉にも先人の知恵が受け継がれていると感じる。いかに生きるのかという問いは今も昔も変わらないのだ。

    「言葉ではなく 間 で伝えていく」
    「言葉では似て非なるもにしか伝えられない」
    「“間” という漢字には「めぐり合い」という意味がある」

    との一節が気になった。

    言葉によって人が傷つく場面をたくさん見てきたけれど、それは「間」を忘れてしまっているのかもしれない。

    言葉の使い方、伝え方が難しいのは、伝える人や受け手の人となりや背景、時代、言葉の組み合わせなどによって受け取られ方が変わってしまうからだ。

    それらの「間」に想いを馳せ伝えることが、人と人の繋がりを円滑にし、幸せな生き方に繋がっていくのかもしれない。

    ジブリの作品が言葉だけでなくキャラクターや物語を通して映像で訴えかけるからこそ、そのメッセージが私たちの心に響くように。
    また受け手の感じ方も人それぞれであり、その余白のようなものも大切にしたいと思いました。

  • 「間 」やほどよい距離感のようなことが思い浮かびました。鈴木さん、宮崎さん、高畑さん、それぞれの違いがわかって面白い。受け身ではだめだと思っていたけど鈴木さんの発言を読んで、そうとも言えないことに 気づきました。でも単なる受け身ではなく攻撃的受け身。その域まで行ってみたい。ちょっと努力が必要ですね。

  • 鈴木さんにとって
    宮さんとの会話
    映画を作る仲間との交流
    そのできる映画のストーリのなかの一場面

    禅問答をした先に 映画があり
    鈴木さんの不思議な人生観があるんだなと

    プロデューサーとしての
    イメージがかわった


    しかし 宮さん 鈴木さんがいないと
    宮崎駿の世界を作れてないのかも
    なんて 感じちゃった

    普段 流している なにげない日常も
    禅は あると気づけたいいなと

  • 一つのものの考え方としての「禅」。そんな禅について、スタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫氏が三人の僧侶と対談し、問答することによって、禅の考え方に触れていきます。スタジオジブリ作品の話が随所に登場し、ジブリ作品を観たことのある人には、それが本書の内容を理解する上での手助けとなるでしょう。もちろん、ジブリ作品を観たことのない人でも、楽しめると思います。

    工学域 3年

  • 禅には特に興味無く、ジブリは作品には興味あり、スタッフには興味なし。しかしこれが並ぶと「うん?」と違和感から手が伸びました。
    宮崎駿監督、高畑勲監督の作る作品のプロデュースを長年続けて来た鈴木氏がどう禅と繋がるのかが気になったのだと思います。
    禅というのはは自分自身と向き合う事なんだと思っていますが、概ねその通りの事が書いて有ります。
    対談相手が僧侶なのですが意外と大したこと言っていないので雑談感がすごい。

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著者プロフィール

1948年、愛知県生まれ。スタジオジブリ代表取締役プロデューサー。慶應義塾大学文学部卒業後、徳間書店に入社。「アニメージュ」編集長などを経て、スタジオジブリに移籍、映画プロデューサーとなる。映画「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「崖の上のポニョ」など大ヒット作多数。著書に、『映画道楽』『仕事道楽 スタジオジブリの現場』『風に吹かれて』『人生は単なる空騒ぎ-言葉の魔法-』など。

「2020年 『ジブリの鈴木さんに聞いた仕事の名言。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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