能楽ものがたり 稚児桜

著者 :
  • 淡交社
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本棚登録 : 74
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784473043597

作品紹介・あらすじ

〈能の名作からインスパイアされた8編の物語〉
〈破戒、裏切り、嫉妬、復讐。今、最も注目される歴史作家があぶり出す人間の情念〉

能の曲目のストーリーを下敷きにした8編の時代小説集。
「やま巡り─山姥」
「小狐の剣─小鍛冶」
「稚児桜─花月」
「鮎─国栖」
「猟師とその妻─善知鳥」
「大臣の娘─雲雀山」
「秋の扇─班女」
「照日の鏡─葵上」。

(月刊『なごみ』の連載(2017年7月〜2019年6月)「能楽ものがたり」をもとに加筆)

感想・レビュー・書評

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  • お能の曲目を下敷きにした8話短編集。
    能とは全く別物になっているが、これはこれでおもしろい。元話より人間の欲望が前面に出ていて、ゾッとする。
    お能の幽玄さや哀れ、幻想的な感じを言葉だけで表現するのは不可能かもしれない。だからこそ意欲的な挑戦作。

  • 能の曲目に題材をとった短編集ということで、サブタイトルに、元になった曲目が添えられている。
    生で能を観たことが無いけれど、興味はあって、少し本など読んだことはある。

    個人的に能のイメージは、途中で世界が一転するということ。
    目の前の老婆がいきなり美女の霊になったり、人が精霊の姿を現して舞ったりする。
    現実が、いきなり夢幻の世界に変わる。
    もともと、美しい能面の下はおじさんの顔だったりして、外と中身は違う世界なのだ。
    この本の物語も、そういった、“変わる”"本性を現す"瞬間がある。
    時代を映してか、親子別れの話も多い。

    子育てに向かない女、夫には向かない男、稚児にむかない美少年、スパイに向かない女。
    ひたすら狩りをする美しき野生の女。
    継母と、捨てられた娘。
    「後で迎えに来る」という男と、同姓の同僚は信頼してはならない。
    物の怪は貴人たちの心の中に棲む?

    「稚児桜」と「照日の鏡」の意外な落としどころが良かった。


    ・やま巡り――山姥(やまんば)
    ・子狐の剣(こぎつねのつるぎ)――小鍛冶(こかじ)
    ・稚児桜(ちござくら)――花月(かげつ)
    ・鮎――国栖(くず)
    ・猟師とその妻――善知鳥(うとう)
    ・大臣(おとど)の娘――雲雀山(ひばりやま)
    ・秋の扇――班女(はんじょ)
    ・照日(てるひ)の鏡――葵上(あおいのうえ)

  • すっごくドロドロした人間関係の短編集なのに、幻想的な感じ(^^)能が下敷きになっていると思って読んでいたからかな?(^^;)一番印象に残っているのはタイトルにもなっている「稚児桜」♪短編も良いけれど、長編でガッツリ読んでみたいな~(^-^)

  • 能には今まで興味持たなかったけど、本書をきっかけに曲目のあらすじを調べました。今も昔も人間は欲が深いね。詳細はこちら→ https://www.naginagino10.com/2020/07/09/chigosakura/

  • 能の名曲を題材に書かれた8編の時代小説集。

    遊女が雪山で怪しげな老婆と出会う話
    「やま巡り」から始まる。
    恐ろしくも逞しく生きる者を描いた「猟師とその妻」は
    読み応えありだが、
    卑賤(ひせん)であれ、上つ方(うえつがた)であれ、その道を行くしかない悲しみが胸に迫る「照日の鏡」が良かった。
    生霊に取り憑かれた光源氏の妻・葵上(あおいのうえ)の苦しみとは。
    能の演目としてどのように舞うのか気になるところ。

  • 第163回直木賞候補となっている澤田瞳子さんの作品。日本の伝統芸能である「能」にインスパイアを受けて生み出した8篇の時代小説。「能」についてあまり詳しくなかった為、「山姥、小鍛冶、花月、国栖、善知鳥、雲雀山、班女、葵上」ら8つの「能」をyoutube等で調べつつ、小説と照らし合わせて読んでみた。全体的に人の業というか、人間の弱さを描いた作品が多く、文章に独特の怪しい雰囲気があって面白かった。

  • 能の曲目を題材とした短編集。小説のタイトルだけでなく、能の曲目が記載されているので、時代小説などを読んだことがない人は、あらかじめ曲目で検索して、あらすじを確認してから読んだ方が良い。小説は完全に曲目と一緒ではないので、あらすじを読んでいてもネタバレにはならない。

    作品としては、身分の差や貧富の差、様々な立場の中で人が生きている中、富める者が幸せか、貴族は幸せなのか、教訓めいたものも示してくれる。人の優しさを感じる表題作の「稚児桜」、人の強さを感じる「猟師とその妻」、人の怖さを感じる「秋の扇」、人の執念を感じる「照日の鏡」など、様々な角度で読者を楽しませてくれる。

  • 「能の名曲からインスパイアされた8編の物語」──らしい。そう言われても、能なんて一度も観たことがないし、まったくの無知だ。まあ、元ネタは知らなくても、なんだか面白い短編集を読んだなあ……という気にはなった。逆に元ネタがどんなふうに演じられるのか知りたくなった。

  • 全編面白かった…!元の演目を知っていればもっともっと面白いンだろうなあ。掘り下げたいが、如何にせん。

  • 能の曲目のストーリーをもとにした8編。
    やま巡り─山姥
    小狐の剣─小鍛冶
    稚児桜─花月
    鮎─国栖
    猟師とその妻─善知鳥
    大臣の娘─雲雀山
    秋の扇─班女
    照日の鏡─葵上

    んんー。澤田さんは長編のほうが好き。
    短編だと、やや消化不良を起こすかな。

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著者プロフィール

澤田瞳子(さわだ・とうこ)
1977年京都府生まれ。同志社大学文学部文化史学専攻卒業、同大学院文学研究科博士課程前期修了。専門は奈良仏教史。母は作家の澤田ふじ子。時代小説のアンソロジー編纂などを行い、2008年、第2回小説宝石新人賞最終候補。2010年『孤鷹の天』で小説家デビュー。2011年同作で第17回中山義秀文学賞を最年少受賞。2012年『満つる月の如し 仏師・定朝』で第2回本屋が選ぶ時代小説大賞、第32回新田次郎文学賞受賞。2015年『若冲』で第153回直木賞候補。2016年同作で第9回親鸞賞受賞。2017年『火定』(PHP研究所)で第158回直木賞候補。2019年『落花』(中央公論新社)で第32回山本周五郎賞候補および第161回直木賞候補に。

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