ツレが「ひと」ではなかった 異類婚姻譚案内

  • 淡交社 (2023年12月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784473045713

作品紹介・あらすじ

〈私の結婚相手は「ひと」ではなかった…。異類婚姻譚の入門書〉
〈出会いと別れ、排除、殺意、幻滅、利益。様々なテーマが生み出した異類婚の世界を紹介します。〉

「ひと」と「ひと以外(動物・異人・他界の者)」が婚姻を結ぶ説話「異類婚姻譚」は、鶴女房や一寸法師などの昔話としても親しまれてきました。現在では、アニメ、小説などのテーマとしても人気のあるジャンルですが、入門書や体系化された書籍はありません。本書では、約65話の異類婚姻譚を分類・紹介しながら、「利益・排除・秩序・ルッキズム・ジェンダー」など現代社会にもつながる「異類婚姻」の世界をのぞいてみます。

みんなの感想まとめ

人間が「ひと」以外の存在と婚姻を結ぶ異類婚姻譚の世界を探る入門書で、多様な民話が分類されて紹介されています。収録されている物語は、鶴女房や美女と野獣など、広く知られた昔話から、意外な話まで幅広く、新た...

感想・レビュー・書評

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  • 「ひと」と「ひと以外」が婚姻を結ぶ説話、「異類婚姻譚」の入門書。


    人間が人間以外と婚姻を結ぶ「異類婚姻譚」の入門書。動物と、異界の者と、異形の者とといった各地の異類婚姻譚に属する民話が種類別に多数収録されています。
    私も結構昔話いっぱい知っている方だと思っていましたが、聞いたこともない話がまだまだたくさんあってびっくりしました。『熊女房』とか『かにと結婚した女』とか。

    この本で改めて読んで、子供の頃『かえるの王様』って本当に酷い話だと思っていたのを思い出したんですが(目的のため蛙を騙して利用する欺瞞とエゴイズム、怒って蛙を壁に叩きつける憤怒・暴力性、王子に変わったらころっと受け入れるルッキズムと虚飾などが全部詰まっている為)、こう色々読むと同じくらい酷い話たくさんあるな……。
    中国の『馬の恋』という話なんて、娘の邪悪さ凄まじいし……。

    また、こう分類してみると、男性的なイメージを持つ動物と、女性的なイメージを持つ動物がはっきり分かれていそうなのも興味深かったです。

  • 「鶴の恩返し」「美女と野獣」などなど、
    昔話や童話など、今一度読み直した感じで楽しかった。

    そして、必ず、美男美女が主人公で、
    貧乏が裕福になって、というお決まりの話。
    日本だけでなく、似たような話が台湾や中国にもあるのは興味深い。

    河合隼雄さんや北山修さんなど、
    心理学的にコメントがあるのが面白い。

  • 鶴の恩返し、雪女、かえるの王さま、崖の上のポニョ…世界各地の人ではないもの(異類)との婚姻譚を解説付きで紹介。非常に多くの事例が紹介されており私たちと異類との関係性を考えずにはいられません。

  • ツレが「ひと」ではなかった
    異類婚姻譚案内
    川森博司

    ∞----------------------∞

    昔話や童話がいっぱい読めた。
    こんなにたくさん、人ではない動物や幽霊?宇宙人?と結婚してた話があったのか。日本の物語でも知らないことが多くあった。
    それに日本での昔話的言い伝えが他のアジアやヨーロッパ諸国でも同様に伝えられてることが多くあるのも面白い。

    解説もなるほどと思って読んだ。「見るなの禁止」の話も好き。

    2025/03/24 読了(図書館)

  • 日本・アイヌの異類婚姻譚(動物、異界、異形の3つに分類)を中心に、東アジア、ヨーロッパの口承文芸、伝承、民話、昔話、創作文学についても言及されています。
    また、現代の純文学やアニメへの考察も一部あり、とても面白く読みました。

    個人的には、4章の総括でルッキズムやジェンダーについて述べられた点が興味深く、とても学びがありました。

    イヌイットの伝承「かにと結婚した女」が衝撃です。
    古今東西の異類婚姻譚とは明らかに異なる文脈で語られているなあと感じました。

  • 特に海外の民話は知らない物も多くて興味深かったです。日本の民話にも知らない物があったし。

    自分に似ているから、同じ様に考えているのだろう、が誤解のもとなら、
    見かけから全く違う相手なら、
    何を考えているのだろう?から始まるから、
    理解が深まったり早かったりするのかしら、
    なんて思わないではないけど、
    たいてい見目麗しくなって幸せに暮らしましたとさ、
    になっちゃう事が多いんだよね。
    結局見かけかい。

    弘法大師や水戸黄門も世を偲ぶ仮の姿で旅してるしね。

  •  日本の異類婚姻譚の例だけでなく、他国の例もたくさんあげてある。人間でないものと結婚する昔話がこんなにたくさんあり、いくつかのパターンに分けられることもわかった。あらすじだけとはいえ、例に挙げられている話が多すぎて、ちょっと疲れたが…。

    最後の「異類婚姻からみえる人間社会」の章はとても興味深かった。昔話の構造を通して、人びとが世の中をどのように見ていたのか、ジェンダーの問題やルッキズム(外見重視主義)の現れ方など、いろいろ気付かされた。

  • 異類婚姻譚とは、異類の者と出会ったものの決定的な別れにより主人公の状態が出会い前に戻る「行きて帰りし物語」の一種だと思ってたけど、それは日本本土の現象でしかないってのが衝撃だった。奄美でも韓国でも人は人外と案外ハッピーに暮らしていたという

  • 日本を含めた世界の異類婚姻譚を豊富な事例で系統立てて紹介。
    日本の異類婚姻譚は話の終わりに元の状態に戻る(貧乏→裕福→貧乏)ものが多いというのが興味深かった。

  • 古今東西、日本、世界においてツレが「ひと」ではないお話は多い。寓話、神話、伝承、日本昔話などのなかに多く設定される現象を分析した良書。例えば「鶴の恩返し」「浦島太郎」「美女と野獣」など誰でも知ってるお話から、ツレが鶴、蛇、蛙など動物系、異界系(竹取物語など)、異形系(雪女など)といったバリエーションに富んだ物語をまじめに分析して考察する。

  • まだ途中ですが、異類婚について詳しく書いている逸品。異類婚では雪女の話が一番好きです。

  • 日本だけでなくアイヌや韓国などで伝わっている類型の話も収められていてよかったです。

  • ピア・サポーターズFさんのおすすめ本です。
     タイトルから文学作品と思われがちですが…本作は「人と異形のものが結婚関係を結ぶお話」である「異類婚姻譚」について、実際に全国各地で口承文学として伝承されてきた民話を徹底的に特集した書籍です。
     異類婚姻譚のもつ特徴である「見るなの禁止」や、醜い外見である異形を排除、変化させるという「ルッキズムを根底に含んだ視点」、「異界と人間の交流」など、民話を学ぶうえで重要な要素について取り上げています。
     タイトルで「案内」とか書かれているように、「民俗学ってってなんだか難しい…」と考えている人でも取っ付きやすい内容となっているため、異類婚姻譚を学ぶ入口になること間違いなしです!

    最新の所在はOPACを確認してください。
    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00614605

  • 題名どおり、相手が”人間”ではない(嫁だろうが婿だろうが)結婚の話をわかりやすく分類し、分析した本。相手を「動物」「異界(異郷)の者」「異形の者」の三種類に分け、例となる民話を挙げて解説していますが、想像していたよりも非常に読みやすく、どの説明もわかりやすく、例も多くて異類婚姻譚を知るには最適の一冊だと思いました。

  • 佐賀大学附属図書館OPACはこちら↓
    https://opac.lib.saga-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD05019260

  • 前半は次から次へと異類婚姻の話が出て、後半は分析。昔話の分析をこのテーマでやっている人が他にもいるところを見ると、日本の異類婚姻譚の奥深さが面白い。婚姻の相手は動物に限らず、異界の者、魚や天界までも及ぶ。韓国やヨーロッパとの比較もされて、文化、男女の分析考察は、専門的すぎず、とてもいい切り口の研究本。
    見るなの禁止→違反、正体の露見、別れ、が大抵の日本のパターン。めでたしめでたしではない、あるいは非情ささえある最後は、どこかに異端の排除の意識があるということかもしれないが、別れの美学、あわれの美意識を見る。河合隼雄の分析はよく見ていると思う。
    最後の別離で終わる悲しさに日本人の心性がある。異類婚は成就されず、主人公は一夜の話として、元の状態に戻るのが日本の特徴。

  • 第124回アワヒニビブリオバトル テーマ「へび」で紹介された本です。ハイブリッド開催。チャンプ本。
    2025.2.4

  • 背ラベル:388-カ

  • 世界各地の『異類婚姻譚』と呼ばれる話を比較しながら紹介し、解説する。

    一口に異類と言っても、動物・異界の存在・異形の存在に分けられ、様々なバリエーションがあるようです。例えば「一寸法師」なども異形に該当しているのですが、小さいころから慣れ親しんでいる話なので、不思議とは思いつつもそのようなとらえ方はしていなかったです。
    解説はあまり入ってはこなかったのですが、時代やお国柄などを反映しているということがなんとなく。ただそのような話が生まれた背景というか何か示唆するものがあったのだろうか?その辺りのことがもう少し知りたかった気がします。

  • 異類婚姻譚に関する書物。
    事例がとても多く、7〜8割は事例の紹介で、
    最後の章でまとめて考察する形式。
    結構難しめと感じた。

    特に面白いと思ったのは日本の異類婚姻譚が女性に求める役割について。

    異類が女性の場合は中国や韓国は日本と似たような形の話でも人間の男からのプロポーズが多く、日本は基本的に動物女から迫られるのが多いらしい。
    「昔から美少女に迫られるのが好きなんだな日本の男たちは」と思った。

    それと同時に「この日常から抜け出させてくれる誰かと出会いたい」という希望が強いのではないか?とも思う。
    ある人物との出会いで今までとは違った世界に踏み出す物語は今でも人気なので、繋がりを感じた。

    また、異類が男であり、女が人間の異類聟の場合は女が異類を殺害・排除する物語も多い。

    どちらにせよ物語の中で男性は消極的で、出会いや別れ、排除といった物語を動かす役割は女性にある。
    未だに男尊女卑の思考が根強い割に、能動的・積極的であることを女に求めるなんて、昔も今も変わってないんだなあ、と思った。

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著者プロフィール

1957年神戸に生まれる。大阪大学文学部卒業、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程中途退学。1997年大阪大学より博士(文学)の学位を取得。専攻は、民俗学・文化人類学。日本民俗学会、日本文化人類学会、日本口承文芸学会などに所属。韓国・蔚山大学講師・助教授、国立歴史民俗博物館助手、大阪大学講師、甲子園大学助教授を経て、神戸女子大学文学部史学科教授。著書に『日本昔話の構造と語り手』(大阪大学出版会)、『ツレが「ひと」ではなかった 異類婚姻譚案内』(淡交社)など。

「2026年 『異類婚姻譚の解剖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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