- 淡交社 (2024年1月19日発売)
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感想 : 83件
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Amazon.co.jp ・本 (184ページ) / ISBN・EAN: 9784473045799
作品紹介・あらすじ
〈「ホットプレートほしい人いませんか?」――或る日、或る食卓、9つの物語。〉
〈女も男も、子どもも大人も。誰にでも、感情を呼び起こす“食と道具”がある。〉
数々の「おいしい小説」を手掛けてきた著者が贈る――“食にまつわる道具”を通して揺れ動く老若男女を描いた短編集。「今年のゼリーモールド」「ピザカッターは笑う」「コーヒーサーバーの冒険」「あのときの鉄鍋」「水餃子の机」「錆び釘探し」「ホットプレートと震度四」「さよなら、アクリルたわし」「焚いてるんだよ、薪ストーブ」の9篇を収録。
みんなの感想まとめ
食にまつわる道具を通じて、さまざまな人々の心の動きを描いた短編集です。登場人物は家族や友人、恋人など多様で、それぞれの物語には深い思いが込められています。特に「ホットプレートと震度四」や「さよなら、ア...
感想・レビュー・書評
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食べ物にまつわる道具をめぐり、揺れ動く心を切り取った9つの短編集。
家族、たとえば親子であったり、夫婦であったりもしくは友人だったり、恋人だったりと登場人物は変われどみんなそれぞれ心に何か思うものがある。
どれもそのあとはどうなる…と気になるのである。
それもちょっと危うい夫婦に友人が絡むものなら尚更、後日譚を想像してしまう…
特に「ホットプレートと震度四」と「さよなら、アクリルたわし」のその後。
サクッと終わらせているのが憎いなぁ…。
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気になっていた本ですが、図書館の返却本コーナーにあったのをご縁に感じて借りてきました。てっきりエッセイ集かと思っていたのですが、短編小説でした。でもなんだかしみじみよかった。人生いろいろ、と使い古された言葉が胸に浮かびました。
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月刊誌『なごみ』の連載「味を作る道具と人」(2021年9月~2022年4月)をもとに加筆修正された9つの短編集です。
考えてみれば、台所やリビングに当たり前のようにあるものにも、一つ一つ物語がありますね。今、私の目の前にあるマグカップにも思い出があります。
ゼリー型をみつけて過去に想いを馳せ、前を向くことができた母親の気持ちがうまく表現された「今年のゼリーモールド」
コーヒーサーバーを持って小さな冒険をしたチルが、なんとも愛らしく感じた「コーヒーサーバーの冒険」
母が水餃子を作っていたテーブルが、ちゃんと受け継がれたことに、ほっとした「水餃子のテーブル」
4人で囲んだホットプレートのお好み焼きの味が妙に気になった「ホットプレートと震度四」
人間は生きていかなきゃと、励まされた「炊いてるんだよ、薪ストーブ」
私のお気に入りはこの五つの短編です。
他、「ピザカッターは笑う」「あのときの鉄鍋」「錆び釘探し」「さよなら、アクリルたわし」
大沼ショージさんの写真は、モノクロなのに、食べ物がとても美味しそうに見えました。
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美味しい料理と料理を作るためのいろんなものの短編集
表題の短編が一番よかったかな
「緊張してたのが地震で決壊して」麻子の恋人の光一が言う
「皆緊張してたよ」と、女性達
「僕は緊張してなかったよ」と、拓郎
いい男性達
ワイン浸しのお好み焼きどんな味だろう
味と同じように4人とも興味深い
それぞれの短編は中にはどうなるのと言う危機感があるのに、最後には美味しいものを食べたような味わいで終わる -
料理や料理小物に関わる9つの短編集。どこから読んでも楽しい。私は表題作の「ホットプレートと震度4」が気に入った。大学の同級生とその元カレである、主人公の夫。2人が住むマンションに同級生が同棲相手を連れて来る。彼氏が新人賞を取り副賞のホットプレートをくれると言う事で。
同級生と夫との関係にモヤモヤを抱えた主人公の心理が生々しい。ホッとした終わり方も気持ち良く読めた。井上氏の人間観察の鋭さが短編でも濃厚にしてくれている。 -
この作者は「照子と瑠衣」という大好きな作品を書いた方だ。照子と瑠衣を薦めた人が、これも面白かったと教えてくれたので読んでみた。
軽快な文章が読みやすい。でも、心の機微もちゃんと描かれている。 -
食にまつわる道具を巡る短編集と本の帯に書いてあるが、その通りだった。
どの物語も淡々と綴られていて、さらっと読めた。
タイトルになっているホットプレートと震度四と焚いてるんだよ、薪ストーブがよかった。
何となくでも先に希望が垣間見える話が私は好きなのだ。 -
もっと読んでいたかったー。
どの短編もよく、もう少し読みたいと思うところでいい感じに終わってしまう。
一番好きなのはチルちゃんの「コーヒーサーバーの冒険」だ。
可愛い可愛いチルちゃんの大冒険で、家族みんなが可愛い。
「ピザカッターは笑う」は高校生の青春と切なさと「俺」のなんともいえないアホさ加減が面白かったし、表題の「ホットプレートと震度四」もちょっとニヒルな感じでよかった。 -
食にまつわる道具をテーマにした短編集。
連作ではないけれど、読むほどに深まっていく短編たち
中でも「水餃子の机」、「錆び釘探し」が物語だけでなく、道具としても歴史が刻まれていて秀悦だ。 -
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微妙な、はっきりしているわけじゃないできごとの違和感や困った感や距離感を描くのがうまいなぁと思う。
男女のあれこれはあまり興味が持てないため、なんかめんどくさそう…としか思えないのだけど、、
でも老年期の人間を描いている作品も数あって、これからの私には助かる。
井上荒野さんは、読む時にちょっと力が要るというか、覚悟がいるというか…、「井上荒野を読むぞ!」と思わないと読めない。
うかつに手にとってやっぱりうかつだった、となることが多いので、気をつけて慎重に読む作家だ。
新しく追いかける作家を見つけられて嬉しい。これからも少しずつ読んでいきたい。
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お料理をテーマにした お話はよくあるけど これは調理道具がテーマ。
雑誌の連載だったんですね。
テーマではあるけど その道具達がお話の中にさりげなく出て来て どの短編も面白かったです。
それぞれのタイトルもおしゃれ。 -
「食にまつわる道具」をめぐる短編集。
鉄鍋、ピザカッター、ホットプレート…料理道具にスポットが当たっているのが面白い。
どのお話も最後は胸がぽっと暖かくなった。
どれも好きだけど、お気に入りは「あのときの鉄鍋」と「水餃子の机」、「焚いてるんだよ、薪ストーブ」!
井上荒野さんの本を読むと、やっぱり台所に立ちたくなる。料理はちっとも得意じゃないけれど! -
『なごみ』という月刊誌に「味を作る道具と人」というタイトルで連載されていたものが元ということ。
ここに登場する「道具」は、本来の仕事をこなしながらも、使い道以上にその存在が意味を持っている。
長く一緒に居ること。道具と人。人と人。
近くにいる人を大切にできることが一番幸せなのだと思う。
時としてそれは失わなくてはならないこともある。
そんな時、自分自身とどう向き合って生きていくのか。そこに道具は寄り添ってくれるのか。
みな短いお話だけど、一つ一つがきらり。
『今年のゼリーモールド』
娘が東京の大学に行き、夫婦二人になった八ヶ岳西麓の家と、母親の心のすき間
『ピザカッターは笑う』
妻と二人で洋食屋を営むシェフ。
店に集う、高校生の息子たちの男女グループのやり取りにきゅんとしながら、自分の青春を思い出してしまったか、アホなことを企む。
『コーヒーサーバーの冒険』
年長さんになったチルちゃん。水色の靴を履いて。
『あのときの鉄鍋』
大学時代のサークル仲間が死んで、30年ぶりに吉祥寺に集った。
三千枝がずっと抱えていた、あの一夜の謎が解ける
『水餃子の机』
家族の歴史と共に生きてきた机・・・何だか健気
『錆び釘探し』
結婚が怖い若い男が、偶然出会った老夫婦の道程に思いをはせる
『ホットプレートと震度四』
地震がいい仕事をした!
ホットプレートはむしろ被害者(笑)
『さよなら、アクリルたわし』
ぐるぐるする心で、ぐるぐるとアクリル毛糸を編む
『焚いてるんだよ、薪ストーブ』
仲の良い二組の夫婦に訪れた、突然の欠落 -
食べ物、というか調理器具にまつわる短編集。ごはんものはそれなりに読んだけど、調理器具縛りっていうのは新鮮だった。
収録作品ではあのときの鉄鍋が一番好き。湊と城之内氏について「ああ、そうか、そういうことか」と映画同好会のみんなと一緒に私も納得させられた気分だったし、「鉄鍋をあの家に置いてきてよかった」でボロクソ言ってた旦那とも時間とともにわかりあって大切な存在になったことが伝わってくるいい話だった 。
次点で焚いてるんだよ、薪ストーブ。最初はあんまピンと来てなかったんだけど、妻の死後に思い出の詰まった薪ストーブに近寄れなかった佐野さんがようやく薪ストーブを使えるようになって「そうそう縮こまってばかりもいられないんだよな。俺はまだ生きてるからなあ」って流れはかなり来るものがあった。その後の「人間っていうのはそういうふうにできてるんじゃないの? 生きてるかぎりは、生きていくようにさ」も良い。
さよなら、アクリルたわしは…なんか…川はその後大丈夫なんか!?環境汚染では!?の気持ちが強く…燃やしてくれたほうがよかったかな…スッキリするし… -
すごく好きな感じ。
料理や、料理にまつわる道具を通して描かれる家族、友人との関係。
短編だから読み易いし、一作は短いのにすごく心に響いた。 -
短編集。
大学時代の友人がホットプレートを譲ってくれるというので、夫と住む家に招いたところ、友人がパートナーを連れてきて、互いに気まずい空気が流れていく…(『表題作』)
若い頃付き合っていたとかいろいろあったとか、大人になってしまえば何も気にせず顔を合わせることが出来るのかと思いきやそうでもない。
やっぱり少しのわだかまりは残る。ただ、皆大人なので表面上は何事もなかったかのように仲良さげに振る舞うことができる。
それが良いことなのか本音を隠して付き合うのが悪いことなのかは分からない。
地震は恐ろしいものだが、それによって場の雰囲気が和らいだこの話に限っては、地震に感謝すべきなのかもしれない。
友人に自分の夫と愛し合ってるから別れてくれと言われた主人公女性。夫は(友人の)冗談だから気にするなと言うが、ある日、友人がいきなり押しかけてきて…(『さよなら、アクリルたわし』)
怖い。怖すぎる。誰が悪いのかと言えば離婚もせず友人を本気にさせた夫だと思うが…。堂々と不倫の上、夫を寄越せと言ってくる友人、妻には良い顔をしている夫、黙々とアクリルたわしを編む主人公女性。全員が怖い。
私は主人公女性がとっとと夫を見限って一人立ちすることを願うが、どうなるんだろう。
女性同士の間にはマウントの取り合いが発生することがある。この友人は明らかに自分がマウントを取っているという自信があったのだろうが、最後は泣き落としという強硬手段に出ているあたり、決して強くはない。一見、弱々しそうに見える主人公女性の方が、したたかな感じがするのは私だけだろうか。 -
「今年のゼリーモールド」
「ピザカッターは笑う」
「コーヒーサーバーの冒険」
「あのときの鉄鍋」
「水餃子の机」
「錆び釘探し」
「ホットプレートと震度四」
「さよなら、アクリルたわし」
「焚いてるんだよ、薪ストーブ」
“食にまつわる道具”を共通テーマに取り入れた9話収録の独立短編集。
井上作品に感じる不穏さは鳴りを潜め、日常生活のふとした瞬間、心にさざ波が立った登場人物の姿がリアルに描かれる。
彼ら、彼女達の揺れ動く心が自分の思いとリンクし、悶々としたり共感したり。
黒い井上作品も魅力的だが読後にかすかな光を感じる本作も秀逸。 -
きれいな水を飲んだみたいな
ゼリー型、ピザカッター、コーヒーサーバー、鉄鍋、
水餃子の皮を作る机、錆びた釘、ホットプレート、アクリルたわし、薪ストーブ
主にキッチン周りにあるものを題材にした短編集
ひとつのお話は、20ページにも満たない短い物語なのに
とても繊細に静かにそれぞれの物語が運ばれてくる
ひととひととの間に生まれる摩擦とか
手のひらの中におさまるような小さな真実みたいなものの存在を書ききらないこととか
とても居心地のいい本だった
この小さな物語は誰かの気持ちをすくうことがあるだろうな
物語の持つ力みたいなものを感じていた
一度読み終わってから、もう一度ぱらぱらと読み返した
一番好きなのは「焚いてるんだよ、薪ストーブ」で
次に好きなのは「さよなら、アクリルたわし」かもしれなくて
でももうひとつあげるとしたら「あのときの鉄鍋」かなあ -
さらっと読めた
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井上荒野の作品
