ミュージアム・マーケティング

制作 : Philip Kotler  Neil Kotler  井関 利明  石田 和晴 
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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784474018242

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、マーケティング研究の第一人者である著者が、マーケティングの観点から、ミュージアム(博物館)の資源、使命、機会、課題を検討するための概念的・方法論的フレームワークを、ミュージアムに関連する人びとに提供するために執筆されたものである。本書では、ミュージアムのための問題解決モデルが数多く紹介されている。福井県立恐竜博物館は本書を参考に運営・経営改革を成功させたという。本書は大部で読み進めやすいとはいえないが、日本のミュージアム(博物館)の運営・経営改革を進めていくうえで有益な内容であると思われる。

  • 僕が知るミュゼオロジーの中での最強の名著です。

    著者のフィリップ・コトラーは「経営学のドラッカー、マーケティングのコトラー」としてドラッカーと並び称される、マーケティング・コンセプトの創始者にして世界的権威です。マーケティングとは主に営利団体の活動に適応されることが多いのですが、コトラーはそれを非営利団体にも拡張させていき、幅広い著作を多く出しています。

    もうひとりの著者ニール・コトラーはスミソニアン・インスティテューションに16年間勤務したのち、現在に至るまでミュージアム、文化史跡、観光マーケティングに関するコンサルタントとして第一線で活躍しています。

    ちなみに、訳者の伊関氏は行動科学やマーケティングなどを専攻されている慶應大学の名誉教授であり、石田氏はスミソニアンでマーケティングのスペシャリストです。
    著者はもちろん訳者もすごい面々です。
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    内容としては「ミュージアムのための戦略的プランニング」に集約します。

    マーケット志向の戦略的プランニングとは、組織が市場(受容側)において長期的に持続可能な経営のプロセスを策定することであります。
    ミュージアムは利益を追求しないまでも、社会やカスタマーの動向を意識しないかぎり持続的経営は困難となる点は、一般的な企業とかわりありません。つまり、非営利団体でもマーティング・コンセプトが適応可能で効果を発揮しうるのです。

    あまり詳細には語れないので、本書の方法論についてかなり大雑把にかいつまんで説明しますと、そのプロセスは以下のようになります。

    環境分析→内部資源分析→使命・目的・目標の策定→戦略策定

    これはそれぞれの企画(商品)をフィードバックしながら長期的な
    組織設計、システム設計へとつなげるなかで発展・修正していくべきものでもあるのです。つまり企画コンセプトとも、企業・団体のフィロソフィーとも関係しつつ相互をつなげるものなのです。

    さらに本書のいたる箇所で、このコンセプトを例証するミュージアムの具体的な事例を多く紹介し、識者の言質も多く引用されています。ここからも、この著書が膨大な研究と研鑽と深い洞察によって完成されたものだとわかります。

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    非営利団体、とりわけミュージアムにおけるマーケティングコンセプトの適応は、ビジネスが先行しがちなアメリカでは一般的に普及しつつありますが、日本では当然のことながらやや遅れています。
    しかしその中でも国内で既に、このコンセプトを意識的に取り入れてると施設あります。(ぼくが思うに、その代表格は上野の科学博物館でしょう。公式HPにミュージアムとしての使命が明記され持続可能な活動・社会貢献の方策を打ち出しています。)
    ここまで来ちゃうと、マーケティング・コンセプトが、現代という時代に通底する概念、パラダイムになっていると言えますね。批判もこめていっちゃえば「大流行」してるわけです。
    しかし、この先もこれ以上の優れた経営のプロセスはないように思います。たぶん。

    現在、美術館・博物館に携わる人は必読の書なのではないでしょうか。強くオススメします。

  • ミュージアム運営へのマーケティング手法の応用。

    第1部 21世紀におけるミュージアムの課題
    第2部 ミュージアムのための戦略的プランニング
    第3部 ミュージアム発展のための戦略とツール 

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著者プロフィール

フィリップ コトラー
ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院インターナショナル・マーケティングS・C・ジョンソン・アンド・サン・ディスティンギッシュド・プロフェッサー。「近代マーケティングの父」と目されている。代表的な著書である『マーケティング・マネジメント』は第13版まで出ており、MBA(経営学修士号)取得を目指している人々に世界中でもっともよく読まれているマーケティングのテキストとなっている。IBM、バンク・オブ・アメリカ、GEほか、さまざまな企業の顧問も務めている 。

「2018年 『コトラーの「予測不能時代」のマネジメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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