ユングの生涯 (レグルス文庫 100)

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  • 第三文明社
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784476011005

感想・レビュー・書評

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  • 読みやすく面白い内容だった。内向的な私には共感できる部分があった。だがユングの独創的すぎる性格は理解し難く、誇張しているのではないかと疑わしく思う部分もあった。
    筆者である河合隼雄氏は、ユングが、世間のイメージを超越するほどの人物であったこと、彼が生涯かけて成し遂げた研究の成果と本当の意味を、読者に伝えたかったのではないだろうか。
    ユングは、人生の分岐点に差し掛かる前や、彼の周辺の人物が亡くなる前に予知夢を見ることが多かったようで、この本には予知夢の内容が事細かに説明されている。そして彼が生涯をかけた研究については、理想的でありながら理想にしてはいけないという矛盾があることを河合氏は説いている。これは現代のユング信仰に対して暗に警鐘を鳴らしているのだと私は感じた。
    私が最も共感したのは、彼が子どもの頃から内面の世界に没頭していたということ。しかし彼の場合、没頭するだけでなく研究者となって追究していく姿勢があった。これは彼の生育環境に理由があるのかもしれない。
    私はてっきり、ユングは精神病患者のために心理学研究に尽力したのだと思っていた。あながち間違いではないのだろうけれど、おそらく彼は好奇心が強く、自身が抱く疑問を追究するために、心理学研究に没頭していたのだと思う。
    ユングの、物事に対して好奇心旺盛なところや、疑問をなげかけるところは、私自身にも当てはまるところであった。彼はそこから深く追究し、実体験を重んじた。彼のこの行動力を私は深く尊敬する。
    内向的な人間にとって、ユングが行ってきた研究は大変意味のあるものである。私は、ユングのように内面の世界と向き合い、そしてユングとは違う方法で自分自身を理解していこうと思った。

  • 興味がある人について興味がある人が語っている。という意味で二重にお得な本だったかな。日本人のその筋の専門家がまとめたユングという感じ。なるほどユングという人が少しわかり河合隼雄という人が少しわかったような気がした。面白い時代を生き抜いたユニークな人だと思う。西洋人のアイデンティティを大切にしつつ東洋の感覚を西洋的に顕現できないかと苦悩、思索したことが伺える。観る夢の内容がユニークで興味深かった。

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    [ 参考となる書評 ]

  • ユングの生涯を著者の解釈を含めて紹介している本です。ユング自身の書いた自叙伝に沿ってはいるようですが、文体はずっと容易です。

  • ちょっと敷居が高いかな…と思っていたユング。でも人間らしい側面に出会えてちょっとホッとしました

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