自信が湧いてくる心理学: 自分を好きになれば人生は楽しい

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  • 第三文明社
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784476032437

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  • プロローグで、個々人の病的な問題については「上手く行ってる自分は大好きだが、ダメな自分はゼロ点で嫌い」という自身に厳しいジャッジを下す他人思考の考え方だからダメで、まずは自分の中のメンタリティをしっかりさせる、いわば主体性の確立を著者は促します。

    問題の核心となるのは、オトナとしての自分とコドモの自分がアンバランスを起こしていることが主要因であるとしています。
    これは、交流分析や、東大式ビッグ5がベースになっていると思われます。

    以降の章では、社会病理についてメスを入れます。

    共同体が喪失し、父権は時代遅れで、個々人が自立しなければならないのに、メンタリティのバランスを欠いている。
    それゆえに多くの問題群が表出しているのですが、表層的な問題を考察したり批評したりモグラ叩きをしても、抜本的な解決にも至らないし、おざなり状態なのでしょう。

    社会構造の変化に現代人(特に日本人)は追いつけておらず、家庭は孤立し壊れて行き、若い世代の心は幼くなり、全体的に病んでいるという分析を通して、夫婦関係と家族関係を良くする方法を説きます。

    かつては日本のお母さんは理想的でしたが、いまのお母さんは最低水準となっていると指摘し、「母原病」という言葉も出てきました。この言葉の生みの親である久徳医師は、著者の義理の父親で、文明と社会構造の変化を受けた母親が子の不幸を生み出すといっていました。

    最低水準というのは、社会構造の変化で母親に異常なまでに過負荷がかかり過ぎているのです。共同体の機能が喪失し、助け合いがなくなり、すべて自己責任となってしまっているために、母親に限界が来て虐待などが起こる……それほどまでに母親に余裕が無い社会になったと言うのです。

    SNSでは、夫への殺意や不満を募る妻、子育てに疲れて苦言を呈する母などの意見が一定数支持され、ネットニュースになりますが、これらはきわめてワイドショー的で、当事者たる女性陣の溜飲は下げられたとしても、社会病理に対しては何も資するものがありません。

    久徳医師は、原因を夫や妻になすり合うのではなく、様々な不都合は社会構造や文明の変化によるものだということをひとまず受け入れて、夫婦が主体性を持つことすなわち賢くなることを促していました。次を担う子にとっては家庭が基盤だからです。

    著者によれば、個々人が自立した心を持っていなければ、承認願望を充足させようとしたりするし、自立した個による関係性でなければ大なり小なり組織は成り立たないとのことでした。ゆえに家庭でさえも壊れてしまうというのです。

    たとえば、この間、小島慶子さんの「エア離婚」が紛糾していました。僕には、フェミニズムやモラハラだとかのお話いぜんの問題で、家庭内の両者が各々メンタリティのバランスを崩しているように見えました。すなわち、大人としての家庭内での役割は果たしているが、関係性を作るためのモノが希薄なので、機能不全に陥っていたのです。

    家庭が壊れないためには、上下関係、依存関係ではダメと著者は言います。ご指摘通りと思います。
    そして、関係性を築く上では、仲間関係が大事と代替案を出していました。オトナとしての自分の役割の務めを果たしつつ、コドモの自分を分かち合える関係性が仲間関係なのだそうです。

    解決策は以上の二点でした。仲間関係を作ること、各々が自分自身を好きになること。

    多くの社会問題を取り上げて考察しながらもデータがなく、印象批評や個人の感想の域を出ないから、実証性ゼロの空論に過ぎないかもしれません。読んでいて、一個一個丁寧に論証して欲しいなと思いました。

    しかし、この社会はもしかしたら根元から、基礎土台からグラグラだから、いくら取り繕っても、この社会で暮らす人々は、無明の闇をさまよい続けているのかもしれません。

    さらに、社会がダメなら個人もダメ、個人がダメなら、家庭もダメ、ダメな世代の家庭はダメな次世代を作る。そしてダメな社会が変わらない。
    すべてが循環していると僕は思います。

    僕が嫌いなのは”みんなと同じ””思考停止””固定観念””ステレオタイプ””バイアス”などなどでしたが、社会の病理を叩くには、主体性を確立しなければなりません。

    そのためには、著者に従えば、無意識に構築された価値観に付き合わないこと、どんな自分であっても好きであることを貫けること、それが主体性を確立する最初の一歩となります。

    言葉化して問題意識の焦点がかなり定まりました。
    社会病理は、根深い問題だと思います。

  •  なぜ今の日本人は自信がない人が多いのか、精神的な問題がふえているのか…etc わかりやすく書いてある。自信を湧かせるための具体的な方法よりは、各問題の構造・原因の解説が中心。

  • 自信が欲しい.

  • 夫婦間、親子間、そして、他人との間で、これは駄目だという関係の置き方などを指摘している。なんと、自分に当てはまる事がいくつかあって、ドキッとしてしまった。手遅れにならないうちに、意識的に治さなくては、、と反省。自分を変えていくヒントも参考にしたい。

  • 就職活動でよい結果がまったく出せなかった日々。
    まるで自己の存在を否定されているような、そんな感覚。
    その時にであったこの本。
    人生の主役は誰なのか。
    とても支えになった本。

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