聴くということ

制作 : 堀江 宗正  松宮 克昌 
  • 第三文明社
3.80
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本棚登録 : 70
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784476033168

感想・レビュー・書評

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  •  私は精神分析については門外漢だし、フロムの本はこれまで『愛するということ』しか読んだことがなかったが、これは面白く読めた。

     副題のとおり、講義録である。フロムの高弟で、師の遺稿の指名管理者であるライナー・フンクが編者となり、講義・講演・インタビュー・セミナーの録音の文字起こしをもとに一冊にまとめている(短い終章のみ、フロムが原稿として書いたもの)。話し言葉が活かされた文章なので、わかりやすい。

     別々のセミナーの寄せ集めだから体系性は欠くが、珠玉の言葉が随所にちりばめられ、読みごたえある濃密な内容となっている。

     印象に残った一節を引く。

    《すべての真の成長とは、革命行為であり、個人的な革命です。それは、他人の人生を支配したがる人々から自分自身を解き放つことを意味します。その支配があからさまであるか、穏やかであるかは問題ではありません。いずれの場合でも、どんな人の発達においても、真の成長のためには、自分自身であるという点で、解放の問題なのです。(263ページ)》

    《批判的に考えることは、人生の危険に対抗して人間が持てる唯一の武器であり防衛手段です。批判的に考えなければ、私が生まれたその日から教え込まれ、行き渡ってきたすべての影響、すべての示唆、すべての間違い、すべての嘘に屈することになります。(280ページ)》

    《ナルシシズムは人間の発達に関する極めて重大な問題です。仏教、預言者的なユダヤ教、キリスト教、(中略)それらの教えのいずれもが、本質的にはナルシシズムを克服することに尽きると要約できるはずだからです。それは、あらゆる愛、あらゆる兄弟愛の始まりです。なぜなら、人はこのナルシシズムによって互いに疎遠になるからです。(310ページ)》

     引いたくだりを見ればわかるとおり、本書はフロムの精神分析技法の解説書などではない。フロムの思想の核が開陳された、ある種の哲学書なのである。ゆえに、精神分析にくわしくない人が読んでも得るものが多い。

  • 西部進文明の敵民主主義から

  • フロムはセラピスト・社会心理学者・哲学者で、フロイトに影響を受けながら、精神分析の方法に社会学の視点をとり入れた・・・と、まあゴチャゴチャ書きましたが、要するに「私ってナニ?」という壁にぶちあたった時、琴線に触れる1冊なのです!!

    琉球大学:点ちゃん

  • 【新刊情報】聴くということ 146.1/フ http://tinyurl.com/8zl567k セラピストとして多くの人にその名を知られたエーリッヒ・フロムのセミナー講義録。理論的俯瞰に加え、身近な日常目線での経験をもまじえながら、精神分析について平易な表現で語った遺稿 #安城

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著者プロフィール

エーリッヒ・フロム (Erich From)
1900年ドイツ・フランクフルト生まれ。フロイト理論にマルクスやヴェーバーを接合して精神分析に社会的視点をもたらし、いわゆる「新フロイト派」の代表的存在とされた。また、真に人間的な生活を可能にする社会的条件を終生にわたって追求したヒューマニストとしても有名である。しだいに、禅や東洋思想へも関心を深めた。
著書に、『愛するということ』『悪について』『生きるということ』『フロイトを超えて』『希望の革命』『反抗と自由』『人生と愛』『破壊』(以上、紀伊國屋書店)ほか多数。1980年歿。

「2016年 『ワイマールからヒトラーへ〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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