会社は頭から腐る―あなたの会社のよりよい未来のために「再生の修羅場からの提言」

著者 :
  • ダイヤモンド社
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レビュー : 96
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478000700

作品紹介・あらすじ

真剣勝負で「負け」を経験した人をトップに任命せよ!産業再生の請負人が提言。

感想・レビュー・書評

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  • 産業再生機構のCOOを勤めた筆者の経営者を語った本ですが、極めてストイックかつ、バランス感覚を持った意見に思いました。

    経営は理詰めで合理的に進めなくてはいけないものだが、いかんせん人間は情に流されやすい存在なので、経営者たるものは合理と情理の両方を極めなくてはいけないとの意見は、経営現場で苦労された方だからこその意見に思いました。

    この本に書かれてある事を踏まえますと、日本大企業にプロの経営者と言えるべきトップはほとんどいないように思います。他の本で筆者が現場の最前線にいる30代に経営者的視点を持つように提言していますが、経営者世代の方がしっかりとした経営者の観点を以てもらえれば、日本の閉塞した状況は打開できるように思いました。

    30代でも組織のリーダーたらんと考えている方は読んでみれば参考になることは多いと思います。

  • ・インセンティブの奴隷。リスクを取らない方向に組織としてインセンティブが向かっているのならそのように動く。ベスト&ブライテストでも一緒。
    ・挫折力に似てるな。
    ・PDCAの章はちょっと意味不明
    ・日本人は、確実なことは世の中が不確実なことであるということを忘れてしまった。
    ・失われた?年は先人たちが築いた資産を食いつぶした時代。

    ・既得権益者がリーダーでは変革は行われない
    ・人間は40歳をすぎたあたりから著しく生産性が下がってくるとのこと。

    ・カネボウ化粧品の例だと、41歳社長。社内ベンチャーで。
    実際は若手が会社を引っ張っているという話。
    現場が20代で、商品企画やマーケティングは30代。で、間が空いて60代のおじいちゃん社長をもってきてもシャーないやろうといういう話になっていた。
    ・技術者などの高付加価値ワーカーは国際市場で戦っていて、すでにgoogleはすごいことになっている。コンピューターサイエンスの天才達をあつめまくっているというわけだ。サムソンもそうだね。
    ・うちの液晶テレビのビジネスだって、高い商品価値をもっていた時のビジネスモデルと今のビジネスモデルって全然違うんだよ。
    ・40代になってから部下をもってもダメだろうという話。社長なんてできやしないよ。
    ・リーダーは徹底的に現場に入って行く必要がある。会えて七に飛び込むことも必要だ。

  • 人間の心理の深~い部分を全部炙り出した1冊です。

    『「人はインセンティブと性格の奴隷である」だから、小賢しい組織論やスキル論よりも「人間集団を正しく動機づける」ことの方がパワーを生み出す』

    『人間の価値観、行動洋式そのものを変えるのが真の経営者だ、という人もいるが、実態は、そこにいる個々人が本来持っていた個性ややる気に対して働きかけた結果、モチベーションと組織能力が飛躍的に高まった』

    『経営者としての私のスタンスは、まずは人間を動機づけているものの本質を理解する努力を行う。そこに的確に働きかけ、勇気づける。本人が相互に矛盾するインセンティブの相克に苦しんでいるのなら、それを整理して、あるいは自分自身がその一部を引き受けて、その人を葛藤状態から解放すべくベ ストを尽くす』

    『部下は上司の「見たい現実」を報告するように動機づけられている。ミクロの次元では「理に適った」行動が、全体としての転落を加速していく』

    『ホワイトカラーおやじ組織で、やたらと会議が大人数になるのは、意志決定に関する責任が自分ひとりにふりかかって来ないようリスクヘッジをするインセンティブが働くから。こうした「相互安全保障」を目的とした会議や根回しの業務量は、人と人の組み合わせの数に応じて増えていく』

    『そもそも、経営が送り出すメッセージに対して、ただちに心から反応し、動機づけられて行動する人間は多くない。経営者がそのメッセージをどこまで本気で送っているのか、それに素直に乗っかることが自分にとって得か損か、自分にとって気分のよいことか悪いことか。まずは、値踏みモードに入る。』

  • 産業再生機構の代表の著書。最近出版された著者の「挫折力」と内容が重複する。現在の日本の経営者の能力低下に警鐘を鳴らすとともに現場の重要性を説く。また、官僚機構を初め大企業の競争等は中小企業が遭う修羅場に比べたら対した物ではなく、大企業のエリートこそその修羅場を経験し、挫折の重要性を説いたものである。「人が足りないという部門からはむしろ人を取り上げた方が本質的な効率改善が進む」という指摘。このパラドックスはうちの会社をそのまま指摘したものに思えてならない。

  • 端的でわかりやすい、冨山さんらしい本でした。

  • 確かにこの著者は経験・実績もあり、言ってることも筋が通っている。
    経営者をやるからにはそれなりの覚悟を持ち、私利私欲だけではなく、社会のために・・・ということだが、なにかしっくり腑に落ちないところもあった。
    だが、ところどころ良いことも書いてある。

    P118
    ・人間は安心したい生き物
    ・人間は、自分が見たい現実しか見ない生き物
    ・企業の再生は言い訳との戦い

  • 冨山氏の名著
    経営、人間ドラマのリアルが描かれており素晴らしい。
    自身も出向経験があるだけに共感できる部分なども一部あった。

    メモ
    ・ほとんどの人間は土壇場では各人自身の動機付けの構造と性格に正直にしか行動できないという現実。
    ・腹落ちするコミュニケーションの重要性
    ・余計なことを考えず、ひたすら何をやらなければならないのかを整理する。合理的に必要最低限の人間と的確な能力と動機付けを持つ人間を揃え、しかるべき役割ときて権能を名実ともに与えて、マネジメントできれば本部機能は少人数ですむ。
    ・一人の人間も集団としての組織も、インセンティブと性格の奴隷である。
    ・私たちの判断や行動は情理に支配されている。
    ・いかに組織の人間を組織目的、戦略目的に整合する方向で勇気つけ、動機づけるか。
    ・市場や競争状況は頻繁に変わるが基本的な経済構造は実はあまり変わらない。
    ・将来に向けた戦略は予測できない状況変化の察知能力、適応力、戦力の柔軟性。みたい現実でなく、ありのままの現実をみられるか。
    ・戦略的自由度を大きく変える意思決定が重要となる。店舗を出店するかどうかなど。
    ・情理は日常の小さなところから、実践していくしかない。
    ・ガバナンスとは究極的には人間に対するリアルな影響力。自らをリスクに晒さなければその統治力は現実の影響力にはならない。
    ・一部のエリートが計画的にものを考えよりも、それぞれが自由に考え、自由にお金と人が結びついた方が効率的。社会主義と資本主義経済で実証されている話。
    ・リーダーに必要なのは人間性✖️能力=人間力。そのベースにあるのは一人一人の市井に生きる人々の切ない動機づけや喜怒哀楽というものが理解できるか。

  • ”産業再生機構COOとして企業再生に関わってきた冨山和彦さんが「現場を活かすために、真の経営人材を鍛えあげるべき!」と提言した一冊。エピローグに込められた強い想いに共鳴した。同時に、リーダーやマネジメントへの厳しい要求にも背筋が伸びる想いがした。

    冨山さんは、2007年4月に株式会社経営共創基盤(Industrial Growth Platform, Inc. (IGPI))を設立。社名に込めた想いは“より良い「経営」と「経営人材」をみなさまとともに創り出していくことを通じて、経済の持続的な成長を実現していくためのプラットフォームの一つとなる”。

    <読書メモ>
    ・組織は、人はなぜ動くのか。そもそも会社とは、企業とは何なのか。経営の基本原理とは。そしてなぜ会社は、人は、基本原則を踏み外すのか。これからの経営者に本当に求められる資質とは。(p.v)

    ・そこで私自身が今の時点で「考えている」重要な視点は何かというと、それは人間の弱さへの着眼である。(p.4)

    ・小ざかしい組織論やスキル論などよりも、人間集団を正しく動機づけることのほうが、いかに大きなインパクトを持つかを思い知らされた。そして企業組織の強さの根源が、よくわかった。それは、動機づけられた現場人材たちが、こまごまとした職務規定や指示命令なしに、自発的な創意工夫や相互補完で臨機応変に目的を達成していく力にある。(p.15)

    ・制度的なものだけでは個々人の個別性や状況の変化に対応することには、必ず限界がある。人間は一様ではない。人の気持ちも事業状況も一定ではない。現実は同期状態を常に狂わすように働く。そこにインフォーマルな働きかけ、非制度的な動機づけの重要性が生まれてくる。(p.31)

    ・このPDCAを回すというのは一見簡単に見えるかもしれないが、人間の本性と違うものを要求されているのだ。基本的に人間は弱いもので、見たい現実しか見たくない生き物なのである。(p.50)

    ★マネジメントやリーダーは、自分の仕事の責任の重さ、それも真の重さを認識しておかなければならない。なぜなら、それは他人の人生に影響を与えてしまう仕事だからである。部下が10人いたら、10の人生に責任を持たなければいけない。100人なら、100の人生がある。こういう役割は、誰でもできるような仕事ではないし、誰もがなれるような立場でもない。相当な覚悟、意志、鍛錬がなければ、立ってはいけない立場である。人の人生を背負おうという決心・覚悟のない人は、マネジメントをやらないほうがいい。
     (略)
     こういったものを背負いながら、リーダーは、情と理、人間的要素と算数的要素の中で、のたうち回っていくことになる。半永久的に矛盾がある構造の中で、苦しみ、もがきながら、自分の柱をつくっていくのだ。そうして「観」は出来上がる。人生観であり、価値観であり、世界観である。(p.213)
     #くぅ、ここは胸に響いた。

    ・最大の救いは、日本の現場を支えている人々の力、モラールは何とか世界のトップレベルを維持しているということです。(略)だから会社も日本も再生が可能なのです。「会社は頭から腐り、現場から再生する」のです。(p.219:エピローグ)
     #冨山さんが言いたかったのは「現場から再生する」の方なんだろうな。
    ★リーダー層の脆弱化が国の宝である現場人材を食いつぶす前に、私たちはしっかりしたリーダー、真の経営人材を真剣勝負の修羅場で鍛え、つくり直さなければならない。能力的な要素はもちろん、いやそれ以上に人間的な意味でしっかりとした信念の背骨を持ったタフなリーダーたちを、一人でもたくさんつくる努力、もちろん自分たち自身も少しでもそれに近づく真剣な努力を、ただちに始めようではありませんか。(p.219-220:エピローグ)

    ★経営において最終的に最も大事なものは、マネジメントする人の志です。経営の仕事は、社会や他人の人生に大きな影響を与えます。経営の単位が企業であれ、国家であれ、使命のために体を張る覚悟がなければ、引き受けるべきではありません。リーダーとは、そういう存在です。「後世への最大遺物は、勇ましい高尚なる生涯である」という内村鑑三の言葉を、私は最も愛しています。(p.222:エピローグ)


    <きっかけ>
     社内読書会 5月の課題本。社長からのオススメ。”

  • これは買いですね。12年前の本とは思えません。

  • ・性悪説でも性善説でもなく性弱説で見ると見えてくる
    ・相互安全保障を目的とした会議や根回しの業務量は人と人の組み合わせの数に応じて増えていく
    ・組織のハコをいじっても、成果主義を導入しても、それらが現実に仕事をする人間の根源的な動機付けに響き、シンクロしていないならば絶対に機能しない。
    ・戦略が仮説にすぎないことを本質的に理解し、やってみて、検証することに精力を注いでいる会社こそ、経営戦略が実践されていると言える。
    ・79 四つたして4で割る
    ・管理職の地位で付加価値を生むには相当の能力が必要
    ・ストレス社会というが硫黄島決戦に投入された兵隊たちを超えるストレスが現代に存在するだろうか。
    ・クビになることを厭わないような人間を育てる。周りに上司が誰もおらず、自分が決めなければいけない状況に追い込む。
    ・人間のインセンティブの中には非経済的なものがたくさんある。過去からの思いやメンツ、自分の得意なことをしたい、新しいことはやりたくない、といった気持ちが次々に折り重なって人は仕事に向かう
    ・観の目つよく、見の目よわく 宮本武蔵

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著者プロフィール

冨山 和彦(トヤマ カズヒコ)
株式会社経営共創基盤 代表取締役CEO
1960年東京都生まれ。東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。ボストン コンサルティング グループ、コーポレイト ディレクション代表取締役を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画し、COOに就任。2007 年の解散後、IGPIを設立。パナソニック社外取締役、東京電力ホールディングス社外取締役、経済同友会副代表幹事。財務省財政制度等審議会委員、内閣府税制調査会特別委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者、内閣府総合科学技術・イノベーション会議基本計画専門調査会委員、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会委員などを務める。主な著書に『会社は頭から腐る』(ダイヤモンド社)、『AI経営で会社は甦る』(文藝春秋)、『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)などがある。


「2019年 『両利きの経営』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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