まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか

制作 : 望月 衛 
  • ダイヤモンド社
3.84
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本棚登録 : 1343
レビュー : 117
  • Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478001226

作品紹介・あらすじ

人はどうして、投資で儲かると自分の実力だと思い込み、損をすると運が悪かったと思うのか?トレーダーとしての20年以上にわたる経験と、数学、行動経済学、脳科学、古典文学、哲学等への深い知識と鋭い洞察をもとに、金融市場や日常生活において偶然や運が果たしている隠れた役割と、人間の思考と感情との知られざる関係を鮮やかに描き出す最高の知的読み物。

感想・レビュー・書評

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  • めちゃくちゃ雑になるけど、一言でまとめると「世の中には我々が思ってる以上に偶然で溢れていますよ」という話。人間の情緒的(本能的)の観点と、確率論の観点を実に見事に掛け合わせて、とてもわかりやすく例が述べてあって非常に面白かった。

    人は勝者にのみスポットライトを当てて(生存バイアス)、運悪くドロップアウトしていった何倍もの人のことは見ずに、偶然が重なって成功した様に見える人を見て、後付けで彼はこれこれだったから成功したと勝手に囃し立てる。その人過去の実績のみを見てこの人は将来の実績も大丈夫と判断しがち。だけど、もしかしたらその次に黒い白鳥(ブラックスワン:稀にしか起きない出来事)がやって来て吹き飛ぶかもしれない。こういった本当は偶然で成功を手に入れた人に限って自分の実力でここまで来たと思いがち。うまくいったら自分の実力、悪かったら稀な出来事というのが決まり文句。例えば、無限の猿をタイプライターの前に座らせて適当にタイプさせた時、いつかは1字1句間違わずに何かの本をタイプできる猿が現れる(確率論的にはいつか必ず現れる)が、あなたはその人が次に適当にタイプを叩いて違う本をタイプできる方に賭けないですよね。大事なのはその人の実績ではなく、何人の中で生き残った猿かという事(5匹の猿を置いてタイプをやってのけたのならその猿は本物の可能性が高い)。

    人は合理的に考えているつもりでも、実は情緒的な考え方をしている。大事なのは自分で自分のそういった性質をちゃんと認識した上でランダム性に立ち向かうこと。偶然に左右されない尊厳・品位を持つ事(偶然に翻弄されてどうしようもなくなっても周りに愚痴を言ったり、取り乱したりせず品位を持つ)。

    本当に筆者の伝えたかったのは最後の部分だったのではと感じた。良書。

  • 人間は感情の生き物だ。
    高度な数式を解けるのに根拠のないゲン担ぎをしたりする。

    無意識に心理的な動き、感情的な心の動きに行動・思考が左右されてしまうらしい。

    購入した株価が上がったら、あたかも自分は将来が読めていると思いたくなる。

    再現性があるのが科学、反証できるのが科学で、世の中にはそれ以外のエセ科学がどれだけ蔓延しているかを著者は懸念する。

    統計も解釈。心理が働く。
    確率とは、自分が確実なことがわからないことに気づく方法だそうだ。

    まぐれにだまされない理性が自分にはあると耳を塞ぐよりも、まぐれにだまされてしまう感情の生物と認識したほうが良さそうだ。

    今信じている常識や理論は将来には反証され間違っているという認識になる可能性があるかもしれない!?
    トレーダーである著者は、心理や哲学のお話に興味があるようだ。

  • 以前、一緒に仕事をしていたSさんという方がいた。

    Sさんは寡黙に仕事をするタイプだが、テクノロジーに関する造詣が深く
    また、スクリプトなんかをササっと組んでくれるので
    私は問題に直面するといつもSさんに相談していたものだ。

    そのSさんは、競艇好きだった。

    持ち前のプログラミングを生かして
    自作の「あたるくん」という予想プログラムを作っていた。

    インターネットの情報サイトから、レースの情報をダウンロードしてきて
    戦績、枠順、年齢、出身地etcの情報に重み付けをして
    最終的な予想を自動的に行うプログラムである。

    Sさんが自分の予想アルゴリズムを注入しているので
    「あたるくん」の予想と自分の予想は大体一致するらしいのだが
    たまに「あたるくん」が自分とは違う予想を出してくることもあるらしい。

    そんな時は「甘いぜ、あたるくん。正解はこれだ!」と自分の予想を推すらしいのだが
    結果は、自分が勝ったり、あたるくんが勝ったり
    まあ色々だそうだ。


    ギャンブルの世界には、過去の情報の分析が腐るほどある。
    でも、明日の勝負にはきっと役に立たない。
    不確実性が高いからだ。

    というか、先が読めないように
    わざと不確実性が高くなるように状況を設定してあるからだ。


    本書のオビより引用


    投資は運か実力か?

    人はどうして、投資で儲かると自分の実力だと思い込み、損をすると運が悪かったと思うのか?
    トレーダーとしての20年以上にわたる経験と、数学、行動経済学、脳科学、古典文学、哲学等への深い知識と鋭い洞察をもとに
    金融市場や日常生活において偶然や運が果たしている隠れた役割と
    人間の思考と感情との知られざる関係を鮮やかに描き出す最高の知的読み物!





    著者は「ブラック・スワン」が世界的なベストセラーとなった
    ナシム・ニコラス・タレブ。
    ウォール街の金融トレーダーから
    学者・随筆家・哲学家に昇華していった特異な経歴の持ち主である。


    本書は書評が難しい。

    404 blog not found の小飼弾氏の書評はこんな感じで始まる。



    「真の『迷著』」と私は書いた。
    ただしここでいう「迷著」は「トンデモ」とか「世迷いごと」という意味ではない。
    「迷いながら、悩みながら読むべき本」という意味である。
    BGMは「迷い道」がおすすめ。




    迷いながら迷った挙句に本書の内容を一文にまとめると

    タレブに言わせれば、
    数理モデルに基づいたアルゴリズム取引も、Sさんの「あたるくん」も大差はないってことかな。

  • Black swan書いた人の前著だった。

    確率苦手で、ほとんど理解できてない気がする。唯一、平均年齢75で今50歳だったら、その人の予想寿命はもっと長い という例が分かりやすかった。
    確率に対する日々の思い違いはかなり多いのだろうなぁ。

  • 著者のタレブが『編集者に文体を編集させなかった』と書いてある通り、超真面目な語りの最中に面白い言い回しが入ったり、国語的に変な部分もある。が、そこもまた面白。
    著書は、現代で言う『行動経済学』に関する分野である、その中でも事象の結果に対する『偶然』の重要性を説いています。

    著書で一番印象に残った部分を引用します

    ”起こる可能性のあるすべての歴史の中から、その一つがまったく偶然に実現しただけなのに、私たちはそれを全体の代表的な一つだと思い込み、他にも可能性があったのをすっかり忘れてしまう。端的に言うと、生存バイアスがある場合、一番成績がよかった結果が一番目につくのだ。どうして?負け犬はのこのこ出てきたりはしないからである”

    成功した人のエピソードをまとめた本がよく販売されるが、その成功した人と同じぐらい・それ以上に努力したけど成功しなかった人達もたくさんいる。
    つまり上手い事いった大半は、努力や才能以上に『まぐれ』だということである。

    文字量の多い本ですが、長期休暇にでも一読されてはいかがでしょうか?

  • 確率に関するエッセイ。要約できるほどすっきりとした構成ではないため少し読みにくい。とはいえ、統計という直感的に説明しようとすると誤った説明になってしまうトピックを、身近なものや歴史的な経緯に例えて表現した場合、こういうのも説得力あるか。

  • なべてこの世は不確実性に支配されている。
    生まれてこの方、白い白鳥を何羽見ようとも、そのことですべての白鳥が白いと断言することはできない。
    黒い白鳥は現れ得る。

    ちょうど今現在世界を席巻している未曾有の金融危機も、およそ一年半前にはこんなことになろうと予測する人はおらず、まさに「黒い白鳥」なわけです。

    この世が不確実であるなら、現在「結果として」成功をおさめている人も、特別に優れた能力があったのではなく、ただ偶然そうなっただけに過ぎない。
    まったく実力がなく運だけでその地位を得たと言っているわけではなく、偶然により何か一つ条件が違っていたら、今「成功者」となっているその人が凡庸な人生を送り、別の誰かが代わりにその地位に就いていたかもしれない。
    副題が意味しているのはそういうことです。

    ところが、我々人間の脳は、そのような不確実性、ランダム性を直感的に理解できるように作られていません。
    偶然の要素を捨象して、成功しているとの結果だけをもって、その人の能力の高さを信じてしまう。
    そういった、合理的になりきれない人間の性質は、様々な経済行動を通じて現れることが、この本にも興味深いたくさんの例によって示されます。
    話は「行動経済学」につながってゆくのです。

    著者の語り口に皮肉っぽいところがあるのと、翻訳のぎこちなさから、ストレートに頭に入ってこない部分もありますが、面白い本ですし、学ぶところも多い。
    不確実性を深く理解して人生をうまく乗り切っていくことはなかなか難しそうですが、少なくともすべては不確実なのだと考えれば生きていくにあたって気持は楽になります。

    個人的にもっとも得るところが大きかったのは、「期間を短く取るとノイズが大きくなり、リスクばかり観察することになってしまう」ということ。
    長期的(たとえば1年)にはよいパフォーマンスが出ている場合でも、短期的(たとえば日単位)に観察すると浮き沈みは発生する。
    人間は悲しいことに、短いスパンで成果が気になってしまい、しかも成果がプラスな場合よりもマイナスな場合のほうにより大きく感情が動かされてしまうので、短期での成果をチェックすればするほど気分は常に晴れないことになってしまうのです。
    著者は、ノイズに惑わされないようにするために、一切新聞は読まないとのこと。
    サッカー日本代表が10年スパンでみると確実に強くなり成果も挙げているのに、目先の一試合一試合をみるとついついイライラしてしまう、というのと同じことですね。

  • (星3つなのは自分の理解力不足ゆえ。100%理解できる人には5つ星だと思われる。)

    バリバリの文系なので、哲学やら芸術やらの話はよしとしても(思わずニヤニヤした)、著者の専門領域になると全然歯が立たず。ムチャクチャ難しかった。

    要再読。

    内容とは別だけど、「海外のノリをそのまま伝えようとしました」的な日本語の不自然さが全くない、だけどタレブという人のちょっとシニカルなインテリっぷりが染み出している翻訳に敬服。

  • 世界への誤解が少し解けた気がする

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