日本はすでに死んでいる―希望社会をもたらす国家破産宣言

著者 :
  • ダイヤモンド社
3.50
  • (0)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 5
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478003473

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日本の財政が破綻状態にあると宮沢大蔵大臣が国会答弁かなにかで口を滑らせてしまってから10年あまり経ちましたが、本当のところはどうなっているのでしょうか。埋蔵金が出てきてそれが使われたりもしているようですが、この本のタイトルにあるように、「日本はすでに死んでいる」のでしょうか。

    イギリスが世界覇権の座から落ちる前に、多くの危機説が唱えられたそうですが、直前には、もう話題にもなっていなかったそうです。ということは、現在この種の本が出ているということは、もう少し時間があるのでしょうか。

    私の年齢から考えて、今言われていることの是非は見届けることができそうな気がしますので、その点では楽しみですが、一方では二人の子供を育てている身でもあるので、もしも備えて何らかの手を打っておくべきだと思います。この本を参考に、後で後悔をしないようにしたいものです。

    以下はためになったポイントです。

    ・分母に税収、分子に(利払い費+借換債)とした財政爆発指数は、2007年度で205:(9.9+99・8)/53.3、100を超えると注意信号である(p26)

    ・60年償還ルールを採用すると、償還期限が10年の長期国債の場合、10年経過後には6分の1のみを現金で返済、残りは借換債を発行する、2007年の赤字国債発行額(20兆円)を60年償還すると、完済までに2.7倍が必要(p62)

    ・最近の利払いが抑制されているのは、超低金利政策、中短期債の増発による国債償還期間の短期化による(p66)

    ・平成19年度の国債発行額は25.4兆円だが、借換債が100兆円あるので、国債発行総額は143兆円(p67)

    ・10年ものの国債利回りが低くなった日本(2003年)で経験したことは、イタリア・オランダ・イギリスと同じ、日本の金利が中国よりも高くなったときが、確実に衰退に向かうとき(p95)

    ・平成14年から18年度までに、合計21兆円の買入消却を行っている、今後は余剰金23兆円を使って実施する(p101)

    ・2007年度末の国債残高:547兆円の56%を占める赤字国債が60年償還であることが問題(p101)

    ・実印が押されていない文書は裁判では認められないという太政官布告が1873年に出されて、印鑑の地位が強固になった(p102)

    ・大国の覇権は、16世紀がポルトガル(挑戦者はスペイン)、17世紀がオランダ(同:フランス)、18世紀がイギリス(同:フランス)、19世紀がイギリス(同:ドイツ)、20世紀がアメリカ(同:ソ連)、21世紀は中国(同:アメリカ)で、1820年の中国、インドへの先祖がえりが見えてきた(p107)

    ・日本は昭和60年(1985年)のプラザ合意から失敗サイクル、平成37年までは失敗サイクルである(p109)

    ・31の特別会計(28へ統合)は、289兆円の債務超過であるが、財務省(433兆)、総務省(55兆円)の債務超過が原因、言い換えると他の省庁は、貯蓄超過である(p124、129)

    ・歳出歳入の重複分を除いた純計ベースで、特別会計(郵便貯金、簡保、年金積立金)という裏帳簿が、一般会計(税収、国債)の帳簿の6.7倍もあるのは異常(p130、132)

    ・日本政府の総資産は、一般会計と特別会計をあわせて695兆円(平成15年末)、名目GDPの1.4倍でアメリカの5倍、金融資産は400兆円(7割は財政投融資)である(p141)

    ・自治体財政を連結ベースでチェックすることが2008年から始まる、すると特別会計の赤字・第三セクターの借金等が表面化する(p144)

    ・郵貯で販売している投資信託の手数料は、個人国債の手数料の10倍であるため、国債販売額が落ちてきている(p147)

    ・労働者年金という強制貯蓄で始まったのは1942年、1944年に女子・一般事務職を対象にして、厚生年金保険となった、この目的は生産力拡充のための労働力確保・戦費調達という目的があった(p151)

    ・基礎年金の給付額は満額で月:6.6万円であり、給付実績は男性:5.8万円、女性:4.9万円で、生活保護(都市部:8万円)より低い(p167)

    ・官僚の生涯給与は3億円、一方で1年間に3億円の税金を払う人が日本には、100人もいる(p184)

    ・皇紀は西暦年に660年を加えると求められる、2009年は2669年、初代の神武天皇に始まり、125代の今上天皇まで、平均在位期間は22年(p219)

    ・日本国政府の債務総額は、19年度で1059兆円、特別会計を合算すると1816兆円である(p220)

  • 住んではいるものの将来に光を感じないこの国に対して、いろんな本が「まだ未来がある」みたいなことを書いてますが、本当のところはどうなのかな、と思って購入してみた。やはりこの国は為政者(政治家、官僚)が腐っていて、現実を正確に、そして正直に認めるということを恐れて後回しし続けているために借金まみれになっていること。そして、それを抜きには前に進めない(事態は刻一刻と悪化していく)ということが、認識できた。このままではこの国に未来はない。そして、これまで海外逃亡を目指してきた自身の将来設計の正しさを改めて認識できた。ただ一点、アダム・スミスの慧眼には感心するが、そこからの著者の論理展開にところどころ甘さを感じたので、現状否定派からは、突っ込みが多く出るのではないだろうか・・・

全2件中 1 - 2件を表示

森木亮の作品

最近本棚に登録した人

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×