たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478004524

感想・レビュー・書評

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  • ごりごりの統計学というわけでもなく、割と初歩的な内容や統計学の面白くて分かりやすい部分のみにうまく触れている一冊。

    統計学の本かと思って手に取ったら、人生勝ち確定ルートの開拓方法を教えてもらえた気がする。
    あざす!!!

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    コインの表を「成功」、裏を「失敗」と定義したとして、何回でも投げていいといわれたら誰でも表が出るまでコインを投げるだろうに

    でも現実世界だとコインを1,2回だけ投げて、「俺には成功なんて無理だー」とあきらめる人が多いのが事実ってことを教えてくれた

  • 日常に偶然がふりそそぎ、具合が悪くなるケースってあります。僕もなんだこりゃ!な時期を経験したことがありますが、それも、人生を「大数の法則」で考えれば、そのうち大きな分母の確率に収束するようなことです。大数の法則というのは、たとえばサイコロを60回振るとする。各々の目は1/6の確率ででますから、1から6まで10回ずつでれば気持ちいいですが、実際は揺らぎがあって、1が15回(1/4の確率)でて、5が3回(1/20の確率)しか出ないだとかになります。でも、サイコロを1万回くらい振れば、ピタッってくらいに各目の確率は1/6に近づくんですよね。それを、大数の法則といいます。だから、ちょっと偶然が多いときには、そういう「引きの良さ」で確率の分母の遥か下のところで当たりを引いてるな、となり、そのうちまったく偶然が起きなくなって確率が収束するだろう、とおおまかな予測がついて構えていられたりする。また、統計で考えると、こういう場合もあります。1から100までの数値のうち、真ん中のところが膨れ上がり、両端へ向かってしぼんでいくグラフを想像してください。平均を50として、どういうふうに人の運勢は分布するかみたいな図なのですが、1という位置にいるのは、まったく当たりを引けない数少ない人たち。100という位置にいるのは、当たりが引けまくる数少ない人たち。どうしても、そういう人たちって数%くらいはでてくるんです。その数%にどうやら自分ははまっているのかもしれない、という気づきを得ることは大事なんです。なぜなら、偶然という意味の無いものに対して意味を求めだすと、場合によっては病んでしまったり、へんな宗教にはまったり、ろくなことにならないからです。本書から抜き出すと、「意味が存在するときにその意味を知ることが重要であるように、意味がないときにそこから意味を引き出さないようにすることも同じくらい重要である。」となります。

  • 確率の、特に簡単そうに見える確率の問題というのは、ときに大きな錯覚に陥りやすい。
    本書もそんな好例にあふれているが、個人的には3択のあとの再チャンスの問題と、「フロリダ」という名前の女児の問題が特に印象に残る。後者についてはいまだ釈然としないものがあるのだが。。。

  • 読みもの★確率&統計。

  • 読む前と後とでは明確に世界が、もとい世の中に対する「見方」が変わる一冊

    世の中のいたるところに存在する様々な「確率」。人間が確率に抱くイメージと、その本質的なものとの大きな差。そして人がいかに「それっぽさ」というものに惑わされ、思考し、行動しているか。また、そのあるべき本来の姿を見失ってしまっているか。

    物事は人間が思っているほど規則的ではなく、また努力が結果を生むこともあれば、ちょっとした要因が思ってもみない結果をもたらすこともある。結果が、必ずしもその人物の才能やたゆまぬ努力を示しているわけではないということ。そしてランダムネスという概念の中では想像もしないような幸運の連続も起こり得るし、またその逆もしかりだということを本書は教えてくれた。

    自分自身経済学部の(とは言っても不真面目な)学生ではあるけど、もちろん本書はそうでない読者でも、しっかり理解し読み解けるよう丁寧に書かれていた。加えて標準偏差、分散、正規分布、中心極限定理などなど、確率統計を学ぶ上では欠かせない様々なツールが実験や例と共に記されている。自分が学んでいる経済理論が、現実世界にどのように応用できるのか。そういった面からも興味深く、楽しめる一冊であった。

    この本に繰り返し書かれていたのは「物事の本質は目に見えているものだけではない」ということだったと思う。過去を顧みるのは大切なことだが、過去から現在を判断することはもちろん未来を予測することだってできないのだ。確率の話に限らず、いかに人間が自分の先入観や社会の常識、直感的なイメージで物事を判断しようとするのかということ、そしてその危険性をこの本は教えてくれた。そのことは、この先の人生で直面するであろう様々な選択の大きな判断材料になってくれると思う。

  • なぜヒトは偶然を必然と勘違いしてしまうのか?というのをテーマにランダムネスの簡単な規則から複雑なシステムの中でそれらがどのように現れるかを、その歴史と発明者と共に語られている。人間は状況をコントロールしたがるらしい。そのコントロールしようとする願望には目的があり、そのコントロールしようとする感覚は自己の概念や自尊心の感覚と不可分であるらしい。コントロールしているという感覚が大事らしく、その感覚があればストレスを引き起こさないようである。よって、完全にたまたまな事象に対しても規則性を探し、必然性を導きだそうとするようである。
    ぼくは数学は早々にドロップアウトしてしまったのでなかなか難しいこともあったのだけども、確率というメガネからの見える世の中は、自分のこれまでのメガネよりもかなり違って見えるし、とても前向きになれた。ムービースターや、起業家の成功はその個人の純粋な能力だけではないということ、同等の能力者がそこらへんにいるかもしれない。その差は?答えは完全な偶然。次、成功するのはあなたかもしれないし、ぼくかもしれない。過去と現在を結びつけるのは簡単だが現在と未来は結びつけるのは誰にもできない。成功するためには回数を増やすこと。打席に多く立てばいい。そのうち成功がやってくるという楽観的な気持ちだ。もちろん、能力を磨くことも怠ってはならないのだろうけど。平均回帰、ゼノンのパラドックス…かなり面白かった。科学系にも興味ももちだしたのだから、ぼくの何らかの確率は上がったのかもしれない。

  • 古本屋でたまたま見かけたので購入。
    あらゆる事象には偶然性があり、概して人はそれを蓋然と取り違える。それはなぜか?を説明している本。
    「なんでもたまたまなんだから努力しても仕方ないじゃん」になるのか、「たまたまでも成功できるんだから努力を重ねて確率上げていこー」となるのか。ポジティブなときはネガティブに、ネガティブなときはポジティブになりそうな感じ。天命反転の書w

  • 確率・統計の歴史をひも解きながら、人間の直感で誤解する確率の数々を解説していく。

  • 「リアリティは見る者の目の中にある」
    というのは私の考え方の根幹(になるよう意識しているもの)だけれども。
    難しいよね。この本が面白いのも、自分の考え方に似てるってのが大きいかもしれないしね。個人の趣味だから別に良いんだけど。また読みたいなあ。今度は腰を落ち着けて。

  • 世の中に起こっている偶然を人はなぜ必然と考えてしまうのか。

    成功者、その逆の人々、それは必然ではなく、偶然によってもたらされた結果。つまり偶然の積み重ねの結果である。
    その認識をもつだけでも世の中の見方は変わってくる。

    1ついえるとするならば成功するためには、その分、数をうつという事が重要である。失敗が増えれば結果として成功も増えるだろうということ。

    挑戦、チャレンジを多くするのが本質的な成功方法だということだろう。

著者プロフィール

レナード・ムロディナウ
カリフォルニア大学バークレー校で理論物理学の博士号を取得し、マックス・プランク研究所でアレクサンダー・フォン・フンボルト・フェローを経て、カリフォルニア工科大学で教壇に立った。著書に『ファインマンさん 最後の授業』(安平文子訳、メディアファクトリー、2003年、現在ちくま学芸文庫)、『たまたま:日常に潜む「偶然」を科学する』(田中三彦訳、ダイヤモンド社、2009年)、『しらずしらず:あなたの9割を支配する「無意識」を科学する』(水谷淳訳、ダイヤモンド社、2013年)、『この世界を知るための 人類と科学の400万年史』(水谷淳訳、河出書房新社、2016年、現在河出文庫)、『柔軟的思考:困難を乗り越える独創的な脳』(水谷淳訳、河出書房新社、2019年)などがあり、スティーヴン・ホーキングとの共著に『ホーキング、宇宙のすべてを語る』(佐藤勝彦訳、ランダムハウス講談社、2005年)、『ホーキング、宇宙と人間を語る』(佐藤勝彦訳、エクスナレッジ、2011年)がある。

「2023年 『「感情」は最強の武器である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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