顧客はサービスを買っている―顧客満足向上の鍵を握る事前期待のマネジメント

著者 :
制作 : 北城 恪太郎  北城 恪太郎 
  • ダイヤモンド社
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レビュー : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478006672

感想・レビュー・書評

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  • サービスの分解の仕方が載っている。それがとても興味深い。
    経済産業省のホームページから現存するサービス業は450種ほど。それをおおまかに、「モノ提供サービス」「情報提供サービス」「快適提供サービス」の3つに、その中で細かくさらに21個の基本メニューでサービス業を分類できたとの事。
    また、提供するサービスの型を対立項として考えると、サービスの考察が深まる項は以下の10に絞られた。
    ①「手順型サービス」と「気づき型サービス」
    ②「ロースキル型サービス」と「ハイスキル型サービス」
    ③「個人型サービス」と「組織型サービス」
    ④「お客様受け身型サービス」と「お客様参加型サービス」
    ⑤「当たり前サービス」と「期待度大サービス」
    ⑥「リピートサービス」と「その都度サービス」
    ⑦「パブリックサービス」と「会員制サービス」
    ⑧「自分でできるサービス」と「自分でできないサービス」
    ⑨「実務サービス」と「感動サービス」
    ⑩「実務サービス」と「自己実現サービス」
    である。
    自分の業種のサービスがどれに当たるかを考え、対立項のサービスと比較して、何を求められるか、、と思考が深まる。

    さて、サービスの分解であるが、まずプロセスで分解するのが基本である。レストランであれば、
    ①お客様のお迎えと席への案内。
    ②メニューを渡し、注文を受ける。
    ③飲み物や料理を提供する。
    ④料金を頂き、お見送りする。
    となる。そして、それぞれに品質の評価軸6つ(正確性・迅速性・柔軟性・共感性・安心感・好印象)の内、どれが重視されるかを考えていく。
    小売店の顧客満足評価で最も不満を顧客に与えるのは、「店員が無愛想」だそうである。なので、上記レストランのサービスフローであれば、
    ①迅速性・共感性・好印象
    ②正確性・共感性・好印象
    ③共感性・好印象
    ④正確性・共感性・好印象
    が高級レストランでは重要となる。
    逆に定食店などでは、正確性と迅速性が必要となろう。
    サービスは形が無いため、デモンストレーション、他の製品との比較、が難しく、提供する側も提供される側も、満足度や期待がすぐに変わってしまうのである。特に顧客は形の無いサービスをどのように評価したら良いか、明確な指針を持つのが難しい。なので、事前期待をマネジメントして、とても素晴らしいサービスであると思わせる事が必要なのだ。

    他にも、
    ・製造業は秒単位でラインを管理しているのに、サービス業は良くて「時間」、ものによっては「日」単位である。つまり、1日以内のロスは問題にされない。
    ・米国で病院のクレーム解決の満足度を計ったところ、当日内なら90%、翌日内なら80%以上だったが、2日目以降だと30%程度に下がり、日数が経過してもあまり満足度が変わらない事が分かった。なので、例えば修理に7日かかるものを6日に短縮してもあまり満足度は変わらないのである。

    思った通り、まとめたら長くなりました。著者がオムロンで実際に行ったサービス改革の事例も多々載せられており、革新的で素晴らしかった。

  •  素晴らしい。すべてのサービス業に汎用性が高い。サービスを科学した本。

     税理士も、事務所経営のノウハウ本など読まずに、これを一冊読んだほうが、目からウロコだと思われ!!

     特にサービスの定義「人や構造物が発揮する機能で、ユーザーの事前期待に適合するものを『サービス』という。」は金言!!この言葉の持つ意味をじっくり考えるだけでも、色々なサービス業改善のヒントが隠されています。

     この本に関しては「サービス業をマネジメントしている方は、読まないと損!」と言い切ってもいいと思います。


    ■ 目次

    ○製造業は「秒」単位なのに、サービス業は「時間」や「日」単位でマネジメントされている

    ○サービスの材料は「お客様の課題」である

    ○サービスか、余計なお世話かは、「事前期待」次第

    ○いかにサービスバリューを高めるか

    ○直感によるサービスマネジメントでは、改善の成果は積み上げられない


    ■ 第1章 いまや、企業はすべてサービス業である

    ○(お客様に満足して頂くためには)その前提となる従業員満足(ES)を高めなければならない。

    ○(良くないサービスの例示として)自分の経験を押しつけるだけのコンサルタント

    ○サービスには値ごろ感がまだない。…大したコンサルティングサービスでもないのに、何千万もの料金を支払い、…また、かなり価値のある講演を聴かせてもらっても、数万円の謝礼で済ませてしまうこともある。

    ○サービスは何といっても、お客様が何を期待されているかを理解することから始まる。
    ○ハードウェアと違い、サービスはメーカー間で大きな差異があり、これがパソコン販売の大きな差別化ポイントになっている。

    ○しかし、顧客インターフェースをひとつのシステムとして再設計し、そこに最先端の科学や技術をうまく活用することで、お客様の満足度を飛躍的に高めることができる。例えば、アマゾンドットコムをはじめ、ハーツレンタカーやザ・リッツ・カールトン・ホテルなどがその代表例といえよう。これらの事例には、サービスサイエンスと呼べる試みが随所に埋め込まれている。


    ■ 第2章 分類すると、サービスの特性が見えてくる

    ○約450種のサービス業は、大きく3つのサービスに分類できる。

    ○…複雑に見えるサービス業が、たった21個の基本メニューから成り立っているという結果は驚きの発見であった。

    ○図2-5「食事や飲み物を提供するサービス」の標準プロセス
     →これを税理士事務所でもやってみよう!

    ○図2-6「3つのサービス」

    ○図2-7「素材・部品メーカーの進歩」

    ○サービスは分類すると、その特性が見えてくる
     →この節(P.29〜)は素晴らしい

    ○自分でできることを依頼するサービスは、ブランドがあまり効果を発揮しないというのは新鮮な発見かもしれない。

    ○マニュアルサービスはマニュアルを作る人のセンスや能力が高いと、サービスの品質の高い優れたサービスを実現することができる。
     →その後のハンバーガー屋さんの事例は必読


    ■ 第3章 分解すると、サービスの要素が見えてくる

    ○契約して、つき合ってみないと価値がわからないサービスの比重が高くなると、ブランドの重要性が高くなる。

    ○分解したプロセスを「見える化」する
     →これ、税理士事務所で出来たら、最強かも!?まぁ、「お客様が期待しているサービスか」が重要だが。

    ○図3-3「サービスを因数分解する」

    ○図3-4「サービス品質を分解する」


    ■ 第4章 モデル化すると、サービスの骨格が見える

    ○サービス業は「教育とトレーニングが命」といっても過言ではない。

    ○図4-5「高い顧客満足の実現モデル」

    ○サービス提供プロセスとシステムは、お客様にとってわかりやすく、フレンドリーでなければならない。そして、サービス戦略は、お客様のニーズや抱えておられる問題点に適合していなければならない。

    ○図4-7「高品質サービスモデル」

    ○会社から大切に扱われていない従業員が、お客様を大切に扱うはずがない。


    ■ 第5章 サービスの論理をマスターすれば勝てる

    ○サービスそのものは目に見えないため、サービスの提供プロセスを見えるように工夫することが大切である。
     →税理士事務所でいうと「現地主義」もその一つ。所内でこもって作業していては、税理士(職員)の苦労は、お客様にはわからない!「誰でもできる簡単な仕事」と思われないコツでもある。

    ○サービスは製品より個別化要求が強い(個々のお客様の要求を満たさなければならない)
     →つまり、税理士事務所の経営戦略として、価格競争に巻き込まれずに高い単価を実現するには、ココがキモ!

    ○サービス事業の特徴のひとつとして、お客様がサービスに参加されることが多いというものがある。そして、このお客様のサービスへの参加をうまく組み立てられると、お客様満足の大きな向上につながるだろう。
     →ここにも税理士事務所経営の大きなヒントが隠されている。

    ○サービスのスタートは、好印象を与えることである。身だしなみも大切だが、何といって挨拶と笑顔が大切である。→図5-6「サービスの基本プロセス」


    ■ 第6章 サービスと顧客満足の鍵を握る「事前期待」

    ○サービスの定義…人や構造物が発揮する機能で、ユーザーの事前期待に適合するものを「サービス」という。

    ○「お客様」というキーワードですべての契約者の満足度を一律に上げようとする取り組みと違い、(顧客セグメントごとに具体策を検討するのは)劇的に効果の上がる取り組みになるであろう。
     →またまた事務所経営について金言です!

    ■ 第7章 誰も気づかなかった事前期待のマネジメント

    ○競合企業のサービスレベルを知っておくことも大切である。…競合企業のサービスレベルを知ることは、お客様の事前期待を知る大切な方法の一つである。

    ○図7-5「事前期待のマネジメントの実例」
     →広げすぎた風呂敷をたたむことも大切。案外私はこれが苦手だったりするので、とても参考になった。


    ■ 第8章 いかにサービスバリューを高めるか

    ○図8-3「最小単位のサービスメニューは事前期待を明確にする」

    ○サービスバリューをどんどん挙げていくと、低価格競争に巻き込まれることなく、高い付加価値を得ることができる。

    ○単に事例を知っただけでは、自社のサービスに応用することができない。そこで図8-4のように、サービスを分類し、分解し、モデル化して特長を把握する必要がある。これをやってみると、素晴らしいサービスを成り立たせている論理が見えてくるものである。


    ■ 第9章 サービスサイエンスでイノベーション

    ○一部の優秀なマネージャーの直感によるマネジメントは、小さなチームなら効果が出せるかもしれないが、ディズニーランドや巨大シティホテルのサービスを改善するのは無理である。

    ○サービス改善のスタートは、何といってもお客様のサービスに対する事前期待の把握である。

    ○サービスは目に見えないことも多く、関係者の改善のベクトルを一つにすることが難しい。

    ○サービスの論理が明確になってくれば、コツコツと努力するスタイルで一流のサービス企業を実現することが可能である。

    ○図9-4「コールセンターの顧客満足が向上しない原因」

    ○地方のセンターに行ってみると、その拠点で最も能力の高いリーダーに多くの仕事が集中していた。…判断業務を伴う難しい仕事がすべて拠点リーダーに集中しており、拠点リーダーは八面六臂の活躍なのだ。冷静に観察すると、その拠点リーダー自身が仕事の流れのボトルネックになり、仕事が滞っていることがわかった。
     →ゾゾ〜。これってまさに税理士事務所でよくありがち。ウチももしかすると、そうかもしれない。で、苦情を受けるのは、リーダー(所長・税理士)でなくスタッフだったりして。これってすごくマズイことだよね。

    ○図9-6「現状業務プロセスの分析とあるべきプロセスの定義」

    ○この問題点を解決するには「業務の専任化と整流化」

    ○まずは既存のサービスをいかに効率化するか、また価値を上げていくか→次に、どうやって価値のある新しいサービスを想像していくか。


    ■あとがき

    ○サービスを分類・分解・モデル化すると、応用のしかたが見えてくる。

    ○社団法人「日本情報システムユーザー協会」…サービスサイエンス研究プロジェクトを進めている

  • とある大先輩からの課題図書.経営者としての実績に基づくサービスサイエンスの解説本でした.サービスを広く捉えているので,経営一般が対象となっています.
    経営者の書いた本といえば,精神論が先立つイマイチな内容を想像していましたが,本書はすでにコンサル業を立ち上げている著者なので,比較的科学的な切り口での論理的な解説になっていて好感が持てました.何よりも,経営層がどのように考えているのか?考えるべきなのか?が理系人間にも分かるように説明されているのが印象深かったです.
    論理の組み立て始めの根拠が「実感」を元にするところはどうしてもあるのですが,そもそも人を対象としている「サービス」においては,合理的なアプローチなのかもしれないなぁ,と思いなおしました.

  • 事前期待のマネージメント方法がもうちょっと詳しく欲しかった

  • 自分の仕事に当てはめて考えてみようと思う。
    事前期待をマネジメントするというのは必要なことなのだろう。

  • サービスは分析できる。

  • ServiceCのセッション資料で紹介されていた

  • 顧客はサービスを買っている

    弁護士業はそのつど、期待値大のサービス。信頼感、安心感、妥当ならば高価でもよい。
    どんなにスキルが高くても、その作業者の態度が悪いと低い評価しか得られない。したがってテクニカルスキルを磨くのと同様に、ヒューマンスキルのトレーニングが大切である。
    例えば、飲食店などのプロセスをモデル化すると、どのサブプロセスで何をしなければならないかが明確になる。
    サービスの材料はお客様の課題。サービス業こそ教育とトレーニングが命。
    マーケットリサーチ、カスタマーリサーチを徹底的に行い、お客様が何を期待しているかを徹底的に調べる。これがサービス業の原点である。次に、サービスシナリオを作成。サービス業はヒューマン要素が大切。
    サービスのスタートは好印象を与えること。身だしなみ以上に、挨拶と笑顔が大切。ここを間違えるとどんなに良いアウトプットをしても、お客様に喜んでもらうことは難しい。


    クライアントの事前期待に対して適切に応えることができなければ、こちらがいくら素晴らしいと思っているサービスを提供しても意味がないという点が、当たり前のことではあるが、できてないな…と思った。ニーズに応えることが好印象に次いで大切なのだなと。

  • ○製造業で製品設計情報を作成していないという会社はないが、サービス業の多くは実はサービス設計の専門知識を持っていない。(71p)

    ○トップ企業がこのようなサービスを提供し始めると、ユーザーはこのレベルのサービスを当たり前のように期待することになる。そうすると2番目以下の企業はお客様の事前期待に応えることができないため、顧客満足を下げることになってしまう。(137p)

    ○「仕組みによる顧客満足の向上」という努力の仕方がある(142p)

    ★著者はオムロンフィールドエンジニアリング責任者。非常に実践的である。

  • サービスをサイエンスとして捉え、サービスの特性の抽象化・構造化を「試みた」1冊。
    従って必ずしも一定の解があるわけではなく、自分たちで自分なりの解を見出して行くために、著者の試行錯誤を知り・学び・参考にする上で貴重かつ有用な1冊だと思います。
    個人的にはかなり参考になった半面、一部同意しかねる箇所もあったため-1の評価にしておりますが、特に自社の「サービス」の付加価値をどのように高めていくかに問題意識を持っている方には読んで損のない本だと思います。

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著者プロフィール

ワクコンサルティング取締役エグゼクティブコンサルタント
諏訪 良武 Yoshitake Suwa

1971年 オムロン入社。1985年通産省の∑プロジェクトに参加。1995年情報化推進センター長。
1997年よりオムロンフィールドエンジニアリングの常務取締役として、企業変革を実践。
現在、ワクコンサルティング取締役エグゼクティブコンサルタント。
サービスや顧客満足を科学的に分析(見える化)するなど、サービスサイエンスを探求している



「2016年 『サービスの価値を高めて豊かになる 豊かさを実現する6つの価値』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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