ドラッカー名著集15 マネジメント[下]―課題、責任、実践 (ドラッカー名著集 15)

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478007839

作品紹介・あらすじ

組織による人間の自己実現を標榜するドラッカー経営学の集大成。

感想・レビュー・書評

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  • ついに最終巻、下巻。より実践的・近代的なテーマ、ただし本当に直面していなければイメージしにくいテーマが多いかもしれない。
    そして、多角化、グローバル化、そして成長とイノベーションのマネジメントは、選ばれしもの向けのマネジメントではないかとも思った。とはいえ、「どんな組織であれ組織としての責任の真髄は、一人ひとりの人間の強みを生産的なものとし、成果をあげさせるということ」であり、「マネジメントはその責任を負わなければならない」とするならは、企業規模・業種に関係なく、組織のリーダーとされる人間は、等しく本書の読者として該当するはず、と思い直した。
    書いてあることは普遍的で古さは感じない。イノベーションについて、『イノベーションは技術用語ではなく、経済用語であり社会用語、イノベーションをイノベーションたらしめるのは、科学や技術そのものではない』とあるが、その旨は今もって有効。ただし2021年においては技術要素の比重は最大限高まったように見える。
    あとどんな業種、規模、形態の企業でいようが、多角化の誘因〜多角化のマネジメントに至る論調は、頭に入れておくべし、と感じた。

  • <規模のマネジメント>
    規模の尺度は相対的なもので業界により違ってくる。一般には従業員数、すなわちトップマネジメントから全従業員が見渡せるかどうかが物差しになることが多い。売上高は付加価値部分の占める割合が異なるので誤解を招きやすい。売上高が多くても、その大半が外製の部品に由来する場合は、規模が大きいとはいえない。

    不適切な規模への対処
    1.事業の性格を変える
     人絹→化繊への転換など。むずかしい。
    2.M&A
    3.売却と整理

    地域社会において大きすぎる存在になることも好ましくない。


    <複雑さのマネジメント 多角化>
    組織には、もうマネジメントが出来なくなる複雑さの限界がある。しかし多角化の誘惑は根強い(中でも興味深いのは求人市場からの多角化へのプレッシャーがあるとする分析。知識社会における組織の責任のひとつとするかのような記述も)。

    多角化は、共通の市場を核とするか、共通の技術を核とするかのどちらかでなければならない。後者の方が難しい。さらに事業間での体質の一致が必要である。医薬と化粧品の兼業は無理(!)。あと、市場を核とした多角化と、技術を核とした多角化をいっぺんにやるのも無理(!)。

    多角化のマネジメント
    1.自力開発と買収
     両方ともリスクがある。補完的であるが向き不向きがある。自分たちでマネジメントできないものを買収してもダメ。
    2.分離
     ライセンスなんかも入りそう。
    3.合弁
     目標をはっきりさせるのが大事。


    <グローバル化のマネジメント>
    1970年代にここまで意識していたのですな。市場がグローバルになったからグローバル企業が登場したと。国家主権との緊張関係にページを割く。

    成功しているグローバル企業は単一市場かつ単一技術である(!)。

    途上国の若者や資本に機会を与えるものでなければならない。

    CPCのマネジメント。全社のトップマネジメントは1人ずつ各地域のトップマネジメントチームに入る。しかし、各地域の長は別の人間が勤めている。


    <成長のマネジメント>
    必ずしも成長をしなければいけない訳ではないと。最低の成長ラインはどこか、業界などに応じて見分ける。


    <イノベーションのマネジメント>
    ここは難しいですな。既存事業のマネジメントとは別物だと。

    イノベーションではタイミングも重要な要素。1835年前後には汽船が帆船に取って代わるのは見えていたが、それが実際に起こったのは50年後だった。帆船の黄金時代は、汽船が実用化された以後のことだった。



    最後に「マネジメントの正統性」で激を飛ばしておしまい。正当性の根拠は、人の強みを生産的なものにすること。

  •  上巻に引き続き、中巻を読了。下巻はトップマネジメントの役割、組織、意思決定について焦点を当てている。規模、多角化、グローバル化、成長、イノベーション等、トップマネジメントでしか決められない事項は様々あるが、この本が出版された1970年代も現在も大きくは変わらないようだ。最近はオープンイノベーションが流行っているが、多角化の議論の中で外部リソースの活用についても既に論じられている。
     「企業として何をなすべきか?」この問いに正面から向かい続けることこそが、トップマネジメントの課題であり、責任であり、実践であるとドラッガーは伝えている。

  • うむ。

  • マネジメント下

  • 1年間学べることがワクワクする!その題材です

  • グローバル企業の問題点等、およそ40年前の著書とは思えない程の考察(あるいは日本企業が40年前からわかることに対して何の対処もしてこなかった、という見方もできるが・・・)

    上~下までおよそ900ページに及び大著であり、また身につけておきたい考え方、言葉も数多くあるため、今後も継続的に読み返し、本書の全てをインストールしたい。

  • 最後の二つ、成長のマネジメントとイノベーションのマネジメントは、今の自分のテーマとシンクする部分があって良かった。再読必至。

  • ここはトップマネジメントの話。その構造、取締役会の無意味さ、企業規模とマネジメントのあり方が述べられている。その上で、多角化の是非・取組み方、グローバル化のあり方、成長とイノベーションとの関わり方が述べられている。特に、成長とイノベーションを担当部門任せにせず、マネジメントが自ら関わるべしとしているところが特色。そして、マネジメントをする上で、正統性に欠けることがあってはいけないと。3巻に及ぶ対策だが、上中では広くマネジメントを捉えていたが、下巻ではトップに近い領域で何をするか、そのスタッフは何をすべきかに力が入っていた。

  • 取締役会の役割・・・メルクの例
    戦略と構造・・・組織の規模が大きくなると複雑さは飛躍的に増大する。質の変化が必要。権限委譲すればそれは取り戻せない→ジェニーンは各部門からの”綿密な報告”を行わせていた。これは委譲された機能の翻訳機能ともいえるか。

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