サラサラの組織―あなたの会社を気持ちいい組織に変える、七つの知恵

  • ダイヤモンド社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478007877

作品紹介・あらすじ

「日本企業復活の鍵は、知識創造にある」という思いの下に生まれた企業内イノベーション集団KDI(富士ゼロックスKnowledge Dynamics Initiative)が、仕事のあり方を変革していこうとする企業人たちとともに、組織の「知」のめぐりを「サラサラ」にしていく物語と方法論を示した。

感想・レビュー・書評

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  • 本書の著者の一人である、仙石太郎は、『ソフトウェアテストHAYST法入門』の「第12章 HAYST法の組織的展開」を執筆した人で、本書では、「第2章 ドロドロの組織」を担当されました(サラサラとかドロドロは、血と知をかけているんですね)。

    本書の内容を一言で言うと、
       組織を変革する「変革リーダ」は特別な人じゃなくて"あなた"です。
    といったものです。

    まず、「第1章 サラサラの知恵」では、KDIのリサーチャーの野村恭彦が、実在の人物をモデルとした「物語」を通してサクセスストーリーを読者と共有し「7つの知恵」を授けます。
    作家が書いた小説ではないので、ちょっとコテコテのところ(たとえば、主人公の名前が麻丘沙羅……アサオカサラだったり)もあるのですが、たとえば、沙羅が、役員に噛み付く次の部分などいいなと思いました。

     役員:「コミュニティをいろいろ立ち上げるのはいいが、そのアウトプットは何か? 誰がコミットするのか? また、アウトプットの出ないコミュニティはどう閉じるのか? こういったことをしっかりと計画しておかないとだめだよ」

    沙羅:「コミュニティの本質をご理解いただけてなく、残念です。コミュニティの価値はアウトプットではなく、インプットです。最先端の知識、新たな知識を必要とする社員が、その知識にアクセスするための媒介となるのがコミュニティです。たとえば経験入社の社員がいたとして、最初の1ヵ月でどれだけこの会社の仕事のやり方を理解することができるでしょうか。各分野のキーパーソンが誰で、どんな部門がどんな知識を持っているかなど。もしコミュニティが無ければ、こういった知識から完全に切り離されてしまい、経験入社社員は、他社で培った能力を十分に発揮する前に、1年かけて少しずつ会社のことを理解しなければならないでしょう。つまり、コミュニティはアウトプットを出すから必要なのではなく、コミュニティは存在することに意義があるのです。コミュニティにアウトプットを求めて、その立ち上げに失敗した企業は数知れません。アウトプットが欲しいなら、プロジェクトを立ち上げるべきです」


    「第2章 ドロドロの組織」では、本音ベースで現状の問題点(ドロドロの組織で各年代の社員が何を思っているか)が取り上げられ、KDIの紹介がされます。89ページからまとめられている「なぜなぜ分析」はなかなかよいです。

    「第3章 サラサラの組織」は、実際にKDIが手がけた9つの会社の事例紹介です。人と人をつなぐことの重要性がわかります。

    「第4章 これからの企業経営」は、KDIを作った木川田一榮(現在は大阪大学の教授)によるKDI創立秘話と、野中郁次郎×小林陽太郎の対談です。木川田一榮の、
    人はコスト(経費)ではない、キャピタル(資本)だ
    という観点が重要と思いました。

    膠着した組織を何とかしようと考えている方、コミュニティ作りで悩んでいる方は一読の価値ありと思います。

  • すばらしい。あとで書評を書きます。

  • No.923
    1. 目的
     富士ゼロックス時代の野村さんが著者であることを知って読みたくなった。
    2. 得たこと
     いかに自分の組織がドロドロであるかを痛感。
    3. アイデア
     サラサラにする仕掛けはコミュニティ。それを実現したい。

  •  

  • おもしろいけど、とても初歩的だし、抽象論に終始してた気がする。

  • 経営コンサル会社の宣伝が半分くらいあるけども、ドロドロ→サラサラ化の事例がたくさん載ってます。

  • 綺麗事だけじゃない、生々しいレポートと共にある、企業変革の書。挫折しそうになったとき、読み返そう。

  •  自社で取り組んでいる業務改革活動では「定量成果」にこだわりすぎて、数字ばかりを追いかけ、虚しさを感じる結果となっています。2年目の展開に向けて、ヒントを求めるために本書を買ってみました。
     第1章の物語で語られる「定性的成果でもいい」「むしろインプットが大事」という考え方は、アウトプットに傾きすぎた心を逆方向に引き戻してくれました。活動の目的とあるべき姿をもう一度考えて、再チャレンジしてみようという前向きな気持ちになりました。
     第2章で紹介される「ドロドロ組織」の実例は、そっくりそのまま自社の姿と言っていいくらい。「うちはちょっと特別な業界だから」という言い訳は今後使わないと決意。
     第3章ではKDIが関わって「サラサラ組織」となった取り組みの実例を、クライアント企業のキーマンが語っています。彼らの積極的な取り組み姿勢には学ぶところ多いですが、KDIの手前味噌的な臭いが漂い始めます。成功例だけじゃなく失敗例も欲しいところ。
     第4章以降はKDIのプロモーションです。読み飛ばして可。
     以上の通り、中盤から後半にかけては宣伝臭がかなりきつくなって来ますが、自社で採用したコンサルとは異なるアプローチの方法を知り得たことは、今後の活動を考える上でプラスになったと思います。早速明日から、人と人とをつなぐためのアクションを取ります。

  • うちの社内はドロドロです。

  • 「知的にぎわい」を創り出すためには、多様な信念を持った「個」が集まり、対話や実践を重ね、「知の綜合」を引き出すしかない。本書で展開されるのは、こうした「組織イノベーション」の具体的な方法論である。(Amazon.co.jpより)

    「サラサラの組織」とは、業務がサラサラする組織のことではない。社員同士の繋がりがサラサラして、とてつもない相乗効果を発揮することなのだ。とても良い表現だ♪

    企業はここ10年、KM(ナレッジマネジメント)、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)、SFA(セールス・フォース・オートメーション)などを導入し、生産性向上や業務効率化を推し進めてきた。多くの経営者達は、社員を歯車の一部でしか見なかったため、企業の将来性を見据えられない社員が増えてしまった。結果、個人優先主義が横行し、他部門との連携不足、リーダー(部課長など)とのコミュニケーション不足を招いて閉塞感たっぷりのオフィスが出来上がる。業務の細分化をしてしまった弊害が、本著を通じて良く理解できる。

    ネットワークや業務システムの導入はあくまで手段であり、目的にすり替わると逆効果になるのは周知の事実。一日中、PCに向かって仕事をしていると、孤立感は増すし、他社員との関わりも薄れてしまう。これでは仕事がオモシロいはずがない。やはり自分の仕事が、どの様なお客様へ、どの様に提供され、どの様に貢献できているかというバックグラウンドは知ったほうが良い。自分一人で仕事を完結しているという愚考はしなくなるはずだ。

    第1章の変革ストーリーはとても印象的だ。情熱を持った人達を巻き込んで、連帯感や達成感を醸成し、ボトムアップ変革していことが、血の通ったサラサラの組織への再生方法と紹介してくれる。恐らく、『こんな簡単に会社が変わるかよ!』とツッコミたくなるが、実践しなければ何も変わらない。大~中堅企業のミドルクラスの方は特に読んでみたらいいと思う。

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