ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質

制作 : 望月 衛 
  • ダイヤモンド社
3.79
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本棚登録 : 1978
レビュー : 150
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478008881

作品紹介・あらすじ

未来予測を切って捨て、経済学とファイナンス理論を根底から揺さぶり、ベル型カーブでは扱えない不確実性の核心に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • さっぽろ図書館本。実践では問題から本へたどりつけても逆に本からは問題へはたどりつけない。予測なんて所詮出来ないのだから学者やらエコノミスト、政治評論家、CEOその他専門家のもっともらしい話には疑いを持てと。本書を出し直後のリーマンショックを当てたらしい。

  • 『喉がかれるまで何度でも言おう。社会科学で仮説の命運を握るのは伝染するかどうかだ。正しいかどうかじゃない。

    ガウス流で修行を積んだファイナンスの教授たちがビジネススクールとMBAの授業を占拠して、アメリカだけでも毎年10万人近い学生を、片っ端からインチキポートフォリオ理論で洗脳して世の中にばら撒いていると、私は後になって知った。実証的な観察結果をいくら積み重ねても伝染病は止められない。』

    (上)でブラック・スワンの概念を説明しきってしまっているので、あとはおまけの感じかな。でも、一つ一つ、私たちが依拠する判断の根拠を解体して行く知的論考は面白い。
    素晴らしい作品。素晴らしいけど、これを読み終わったら、いつも通りの日常に戻ってしまうんだろうなぁ〜。

  • 週末に風邪をひいてしまったが,この機会を捉えて本書を読むことにした.頭があまり働いていないときなので誤解があるかもしれないが,とても興味深く読むことができた.一つ残念なこととしては,本書を手に取るのが遅かったことか.本書が挙げる重要研究の一つであるテトロックのものは他書で既に知っていたし,他にも本書が元ネタではと思える他書を読んでいたりで,新鮮味という点では多少欠けたかもしれない.それでも,広範囲にわたる分野においてこれだけ一本筋の通ったことを書けるのは中々ない事だと思われる.おススメ.

  • ダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』(ハヤカワ・ノンフィクション)でたびたび言及されていた本だったので読みました。
    読み始めて面食らったのが、てっきり専門書の類の本だと思っていたのが、実際はエッセイという体裁だったこと。本文には作者の個人的な意見もだいぶ含まれてますし、間違ってると思う学者や業界人には容赦ない攻撃を浴びせます。歯に衣着せぬ独特の文体には慣れるのに少し時間がかかりますが、明確な根拠やデータに基づいた主張には確かに説得力があります。

    なぜ統計データから黒い白鳥を予測できないかという点について、そういう事象は統計学では「外れ値」として省かれるからだ、という説明にはなるほどとと唸りたい想いでした。統計を学んで最初に覚えることの一つが外れ値をデータから除外することです。しかし実生活においては、まさにその「外れ値」によってとんでもない影響を被ることもありえます。黒い白鳥は、本質的に予測を超えているものです。

    黒い白鳥にも、利益をもたらすものと損害をもたらすものの2種類がいますが、悪い黒い白鳥を避ける戦略は、意外と平凡なものです。つまり、もしその事象が起きた場合でも、受ける被害を最小限に抑えられるようなリソース配分をすること。未来にある出来事が起きる確率は予測できないが、起きた場合の損害規模の予想ならできる、という理屈です。

    どうでもいいですが、これを読んでいた2018年初めの頃、何かのビジネスニュース番組で"2018年の黒い白鳥予想"というようなランキングを見ましたが、「もし予想が的中してしまったらそれは『黒い白鳥』ではなくなってしまうのでは…?」とか思ってしまいました。

  • 賢い人が書いたっていうかんじ。最後の方の表?の人物像は参考になる。面白かった。あと数回は読もうと思う。あと思うことは結局のところ知識の積み重ね?。経験から、それを説明した本や論文はないかなーと探して論理づける。これかな?

  • 数学、統計学、行動経済学、哲学等のあらゆる分野の初歩に関して、不確実性とは何かが書かれている良書だ。この世で予測不能なことは起こるのだが起こっても慌てずに何を意味しているかそこから学んでいく姿勢が大事と教えてくれる本だ。運は準備を怠らない者に味方する、バタフライ効果、アンカリング、予測のおかげで進化をだまくらかせる、ランダム性、ロングテイル、ガウスのベル型カーブ、フラクタル、マンデルブロのべき乗測、自己相似性、等を統計的に考えてみること、現実として考えてみる柔軟性が大事だと感じた。

  • 下巻は、哲学などを引用したり、上巻の話を蒸し返したり進むも、その冗長さに挫折したことを思い出しながら読み進むと、未来予測の意味の無さ、それゆえの果ての国での不確実性を説く。また、欧州での失敗の許容度が低いのに対して米国の失敗の許容度の高さを絶賛する共に、我が日本はボラティリィ(変動幅)がとても小さいが、大きな損失が出るリスクのある戦略をとり、大きな損失を出した人が自殺すると指摘している。
    失敗しても問題無い(恥はかくけど)範囲でボラティリィの大きな不確実性にチャレンジして幸運を引き寄せるのが成功の秘訣との結論。
    それにしても日本への言及は耳が痛い、製品やサービスをリリースする際、日本人は完璧を求めて初期投資をし過ぎて、失敗したら元も子も無くすパターンが多そうなのは、心当たりがあります(苦笑)。

  • 本書の基本的なコンセプトである「ブラック・スワン」の特徴や、本来は確率が低くても甚大な影響が出ることを考慮しないといけないのに、多くの人が影響は少ないがそれなりの確立があることばかりを気にしてしまっているという問題など、多くは上巻で述べられており、下巻ではその論拠の補完と共に、「ブラック・スワン」が存在しない世界のみでその理論が構築されている統計学・モダンファイナンス・哲学などの空虚さを、独特のブラックユーモアで暴き出し、そうした空虚さに声を上げて反論することの大事さを教えてくれる(もちろん、空虚とはいえ、複雑な仮定のもとげ現実世界を矮小化することにより成立したモデル化/理論に対して、反論するのがとても大変だということも。やはり、ある理論の存在を主張するよりも、その理論が存在しないことを証明することの方が遥かに難しい)

    つまるところ、リスクと不確実性を巡る議論は、個々人の世界認識の問題そのものであると思う。ブラック・スワンを気にする人と気にしない人の間にある差異は、単にリスクの許容度の高低という「量」を巡る差異なのではなく、この世界をどのように認識するかという「質」を巡る差異である。見ようとすれば見えるし、見ようとしなければいつまでもブラック・スワンは見えず、認識されない。

    下巻も非常にスリリングで、大阪から札幌へ向かう飛行機の中でずっと読みふけってしまった。極めて高い知的興奮を与えてくれる充実の上下巻だった。

  • 下巻も引き続き、ブラック・スワンとそれを見えなくしている人間の認知的仕組みや傾向について語る。下巻に割り当てられた後半部分はやや専門的な議論もあり、ベル・カーブを信じている金融業界や、新古典派経済学について辛辣な見解が続く(p.183-200)。というより、悪口と言ったほうがよいかもしれない。

    著者によればベル・カーブ、つまりガウス分布は月並みの国に属するごくわずかな例にのみ有効である(p.176)。ランダム性は標準偏差ではわからないのだ(p.146f)。間違った数学の使い方こそ問題(p.210)であり、通常の統計学の代わりに著者はマンデルブロのフラクタルモデルを賞賛する。フラクタルモデルによってもブラック・スワンをすべて捉えられるわけではないが、ベルカーブでは黒い白鳥だったものをいくつか灰色の白鳥にすることはできる(p.180f)。ブラック・スワンを考慮に入れた戦略として有効なのは、完全な予測はできないと理解し、確からしさでなく、起こったときの被害の大きさで信じるかどうかの優先順位をつけること(p.65ff)。また、様々な黒い白鳥に分散投資してリスクをヘッジし、試行錯誤してセレンディピティを待つこと(p.67-81)。

    完全な予測が不可能なのに人間が予測を立てるのはなぜか、という問いに対して、進化の代替という見解(p.42f)が面白い(ダニエル・デネットの進化論的説明)。予想とはいわば思考実験であり、仮想的な淘汰である。予想を立てることにより、ある行動のオプションが仮想的な淘汰にさらされる。そうして行動のオプションを事前に絞り込むことで、実際の環境の変化の際に適切なオプションが取れる。

    それにしても著者が批判対象とするものについて辛辣な書きぶりが続くので、ちょっと嫌になる。『まぐれ』の方は最高に面白かったのに、この本はどうもすんなり来ない。例えばガリレオの話。ガリレオは世界は幾何学によって解明されると考えた。でも現実世界には純粋な三角形や円など存在しない。著者はこう書く。
    「ガリレオは、法的に目が不自由な人だったんだろうか?あの偉大なガリレオでさえ、あれだけ独自の考えを持てる人だと言われているのに、母なる自然をはっきり見ることができなかったのだ。彼の家にも窓があっただろうし、彼はそこから四六時中外を見ていたに違いない。自然の中に三角形なんて、そうあるものじゃないとわかってたはずだろうに、と思う。これほど私たちは簡単に洗脳されてしまうものなのだ。
    私たちは見るのに不自由か、読むのに不自由か、その両方のいずれかだ。自然の幾何はユークリッドの幾何ではない。こんなにはっきりしているのに、誰も、ほとんど誰にも、それが見えない。」(p.156f)
    著書は様々なことを分かっているはずだが、どうにも何も分かっていないように思えてしまう。自然の幾何はユークリッドの幾何ではない、それは当たり前だ。完全三角形なんてどこにも存在しない。ガリレオが自然は数学という言語で書かれた書物だとして言いたかったのはそういうことではない。その発想をプラトン化として退けるのはフェアだろうか。たしかにガリレオの時代にはユークリッド幾何しかなくて、それが「自然の幾何」に一致しないから(これがブラックスワンなのだろうか?)、様々な非ユークリッド幾何学が生み出された。それでもそれはプラトン化なのか?ユークリッド幾何学がプラトン化であって、フラクタル幾何学がプラトン化ではないともし言いたいのであれば、その基準は極めて恣意的だと言わざるを得ない。

    またポパーの反証主義を持ち上げて、現代の科学哲学で反証主義が主流になっていないのをなじるのだが、ではどうして反証主義は現代の科学哲学で主流ではないのか何も押さえていない。著者はある事象がある理論に対する反証になるということを単純に考えているように見える。反証主義が主流にならなかったのは、例えばマイケルソン・モーリーの実験の結果に対する科学者集団の社会学的観察によって、反証であるものが端的に反証と見なされるわけではないという全体論的科学観が生まれたからだろう。そうした複雑な過程を無視して、もし単線的な科学史観を採っているのなら、それこそ講釈の誤り(というか勝利者史観)と言える。うーむ。LTCMの件などは痛快に読めるところなのだが、いろいろとどうも引っかかりを感じてしまう本だ。相変わらず、概念的に明確でない本は自分には読みにくくて仕方ない。

  • リスクは常にあり、それをなくすことはできない。

  • 全般に流れる経済学への罵倒が耳に心地良い。
    カタストロフィのある事象でガウス分布を使用してはいけない。
    都合の良い適当なデータだけを取り上げればどんな結論でも導き出せる。
    モデル化自体は悪いことじゃないんだけど、そこには常に想定外を内包している自覚が必要ということだ。

  • 著者は言う、よいブラックスワンと悪いブラックスワンがいると。


    私達が、難しい論理をこねくりまわして
    安全だということ自体がリスクなのかもしれない。

    それがこの本の感想の一つになる。

  • 09/8/29
    小山龍之介 推奨

  • やはり上巻だけで充分だったかも。

  • 上巻では哲学や歴史、心理学の成果を踏まえて、人間が「なぜ」因果関係や法則性に「見える」ものに囚われてしまうかが論じられていたが、下巻ではそうした誤りに囚われた、または確信犯的にウソをついてる経済学者とか経済学者とか経済学者の思考パターンを暴き、「ではどうすればよいか」の話が語られている。

    経済学者の誤りは、自分たちが作り上げた精緻な(そして精緻であることにまったく意味がない)「モデル」に固執し、現実とモデルが合わなくなっても実害を受けない象牙の塔に籠ったまま、身内同士での高評価に酔う「お勉強のできるおこちゃま」的な性根がすべてである。

    ケインズが古典派経済学を批判したように(ケインズは古典派の始祖リカードが理論の「限界」を認識していることは正しく評価しており、現実の経済を「無理やり」理論に押し込めて、あまつさえ逆効果の経済政策を提言して世界をめちゃくちゃにしたリカードの後継者を批判していた)、経済学者の悪弊を改めるには事実に基づいた論戦が必要なのだが、ノーベル経済学賞などという妙なものが出来たせいで勘違いした経済学者がはびこるようになってしまった(フリードマンのごときは自分の金儲けのために理論を作ったような気もするが)。まったくノーベルも迷惑なことをしてくれたものだ。

    実践についてはいたってシンプルな解決策が提示されていた。自分にとって失ってはいけない資産の「限界」を把握する。資産が限界より少ないなら「絶対に」冒険はしない。資産が限界より多いなら「許容量の分だけ」冒険する。実にわかりやすい。

  • 1

  • 原文の問題か訳文の問題か(あるいは両方)はわからないのだけど、正直なところ、少し迂遠に過ぎるかなと感じる箇所も多かった。

    黒い白鳥・「果て」の国、それらの考えを今の自分がどう利用すればいいのかも、結局のところわからなかったんだよなぁ。
    書いてあるトピックの一つ一つはわかるのだけど。

  • 4

  • 【要約】


    【ノート】

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