技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか―画期的な新製品が惨敗する理由

著者 : 妹尾堅一郎
  • ダイヤモンド社 (2009年7月31日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478009260

作品紹介

技術だけで勝つ時代ではない。計画的に創られるイノベーションの競争モデル、インテル・インサイド型、アップル・アウトサイド型、勝利の方程式を解き明かす。

技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか―画期的な新製品が惨敗する理由の感想・レビュー・書評

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  • 日本が技術力で勝っているのになぜ負けるのか? ずっと疑問であった。 太平洋戦争中と同じ事が起こっている。 真珠湾攻撃という海から空への転換期を日本がイノベーションしたにも係わらず、その成功と失敗を見過ごしてしまった。 究極は戦略性の無さ、先見性の無さに尽きるが、今後の日本には、知財に対するマネージメントが必要である。

  • 会社のある部長さんが推薦していたので、読んでみました。とっても参考になりました。

    要は日本が90年代破竹の勢いで世界市場を席捲していた時に、欧米諸国はただ辛酸を嘗めていた訳ではなく、その次のビジネスの仕組みを着実に整えていた。日本はそこに胡坐をかいて座っていたことで、すっかり儲ける仕組みが変わってしまった現在でも、過去の成功体験にすがりついて、「今が踏ん張り時」と消耗戦を演じている・・・。
    確かに、データを見ても身の回りを見ても明らか。過去電子機器は日本のシェア8割以上あったはずなのに、今は10%前後をうろうろ。自分の周りを見回しても、日本製品の割合が明らかに減っている。
    iPhoneにACERのモバイルPC、特に感じるのがそれらの性能が格段に高まっていること。iPhoneは言うまでも無く、ACERのPCも日本製品以上に軽くて電池の持ちも良いし・・・。

    じゃあ何故欧米企業が躍進したのか?どんな仕組みを作ったのか?

    その答えは「急所技術を抑え」て作った「インテル・インサイド」と「アップル・アウトサイド」型ビジネスの構築。

    ご存知インテルは、パソコンの頭脳とも言うべきCPUを作っている会社で、今やほとんどのPCがIntelのチップを使ってます。CMでおなじみですね。
    インテルが行ったのが、”急所技術”として中心となる演算装置と、その外部とをつなぐ通信装置(PCIバス)を徹底的に開発した。そしてPCIバスの内部の演算装置はブラックボックスとして内側に抱え込み、その外側は国際標準で規格化して完全に公開した。
    公開された技術は台湾のメーカーによって安価で大量に生産され、世の中のパソコンはその規格と、安い台湾製品を使わざるを得なくなり、その規格に合ったCPUはインテルしか作れないのでIntelが市場を独占できる、という構図。

    ここで重要なのが、急所技術以外は標準化、オープン化して他社の参入を促し、投資リスクを抑えつつ市場の拡大を狙えること。新規技術は「死の谷」といって、普及して市場が確立するまで時間もお金もかかる=ディフュージョンの過程。ここを他社と分業しているのだ。

    アップルもしかり。MACにしてもiPhoneやiPodにしても、iOSというOSを公開することで、アップルはiTunesからの莫大なソフト収益を得ることができている。

    大体こんなとこで、後は後は知財の仕組みが結構なボリュームがありましたが、難しめなので軽く読み進めました。

    今後日本の技術を語っていく上での参考書にしたいと思います~

  • 返却期限が来たので全般流し読み。

    かなり端折ると...どこで主導権を握り儲けるか、儲けのしくみをいかに維持するのかという点の構想力が日本企業の弱さであり、オープンイノベーション【分業・協業の推進】と知財戦略【どこまで何を公開し、秘匿するか】とビジネスモデル【儲ける箇所・主導権を握れる箇所の維持】で実現しましょう、という話か。

    Q: 技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか
    A:
    ・既存モデルのインプルーブメント(改善)を得意としてきたため、競争モデルを変えるイノベーション(発展)が起こり辛い
    ・【事業のための技術<技術起点の事業開発】の発想であり、独自技術開発の内製化のこだわり、イノベーションが起こせない
    ・開発した技術の市場導入により初期は大きなシェアを得、標準となるが、普及段階以降のイニシアティブを取る施策の不備により、主に新興国企業の低価格品に競合できていない

  • まず、タイトルのインパクトがすごい。

    なぜ『技術大国日本』(技術力No.1)が『技術立国日本』(技術で世界の市場をリードする)になれないのか。 製造業を中心に、今まさに日本が直面している課題について、筆者は熱く語ります。
    そして、自分の会社や業界と照らし合わせながら読んでいくと、残念ながら筆者の指摘・懸念は正しいと感じます。

    著者は、とにかく今までのような垂直統合的な自前主義の経営戦略や、インプルーヴメント(進化・改良)のみに頼った競争戦略ではもう世界に通用しないし、世の中はすでに変わってしまった or (日本の脅威によって敗退した欧米企業によって)変えられてしまったと主張します。
    かなり、くどく主張します。同じことをさんざん、再三にわたって主張します。
    それぐらい主張されないと、読者にとって今の日本の(特に大企業の)危機感はホンモノにならないと思いますし、特に自動車業界にとっては、エレクトロニクス業界の日本勢惨敗の二の舞の危機が迫っていると感じます。

    このような危機感を読者に突きつけた後に、今までの何がいけなかったのか(敗因の診断)とその対処法(処方せん)について、特許などを代表とする知財マネージメントを中心に本書では述べられています。
    知識社会における知的財産を自分が有利になるようにどのように活かすか、「インテグラルとモジュール」「標準技術と独自技術」「オープンとクローズ」といった対比のキーワードをもとに語られる戦略からは、多くの示唆が得られます。
    これら対比の戦略についても、「どちらかしか取り柄ないのか」「右か左か」といった単純・短絡的な話で済ませるのではなく、どこをオープンにするのかどこをクローズにするのか、といった柔軟な提案とその実例紹介がふんだんに盛り込まれ、なるほど~と納得すること請け合いです。

    また、著者の想いは最終章(第8章)のコラム(第二次世界大戦における日本軍の大敗)にすべてが集約されていると思います。
    まさに著者の指摘通りのことが今現在、戦争から経済へと舞台を変えて起こっているのではないでしょうか?

    唯一の救いは「今ならまだ間に合う」と思えることです。

  • モノ売りから脱却して新たなビジネスモデルを構築するヒントを得るために読んだ。長編だが、内容が重複しているところが多い。重要な内容が含まれているものの、内容の濃さという点では薄いように感じる。商工ビジネスデータの「妹尾教授のビジネスモデル塾」は、全く無駄がなく極めてコンパクトに要点がまとめられているので、それと比較をすると☆を下げざるを得ない。

  • かつては世界を席巻した日本製家電。それがあっという間に中国や韓国製品に取って代わられ、シャープは台湾企業の鴻海に買収され東芝も解体の危機に直面。なんでこんな事になってしまったのか?日本企業はどうすればボーダーレスになった世界を生き抜いて行けるのか?インテルやアップル等の成功企業の例を取り上げながら生き抜く為のヒントが書かれています。

  • 2008年刊。

     一旦は頂点を極めた日本の製造業は大きな曲がり角、いや衰退過程にあり、例えばそれは、近い将来にモジュール化を想定できる電気自動車が主流に据えられそうな自動車業界も同様だ。
     本書はかような現状の認知と、これを踏まえ目指すべき目標を示そうとする書。

     もっとも、例えば、本書提示の知財戦略は、90年代での言及とさして変わらず、①インテル的な中枢部材販売と機器製造工程のパッケージ、②iPhoneのように機器と利用方法とのパッケージという実例自体に多少の変動が見受けられるのみである。
     つまり目指すべき到達点は変わっていない。それは、問題がより深刻化しているのに何も対策が打てていないということに他ならない。
     ならば重要なのは、そこで求められる人材育成の方法論、青少年の教育、現場トレーニングの内実、上層部が意図すべき注意点の具体的方法論であろう。

     が、本書でそれが触れられるわけではない。カッコいい分類・分析用語と実例の新鮮さ、そして説明のための比喩の面白さのみの本書は、全くの期待外れである。

     まあ約10年前の、この種の書を喜々と読破している私もどうかと思うが…。

     著者は東京大学特任教授(東京大学イノベーションマネージメントスクール校長役)

     なお、製品の商品スバンの極短期化により、従来の所謂下請け系列型・垂直型の製品開発・販売で投下資金回収・利潤確保が困難な中、技術やノウハウ開示、或いは個々の商品毎で製造・販売の協同先の変容すら、想定される以上、映画などの製作委員会方式を製造業に如何に落とし込むか、がウオッチすべき視座かもしれない。

  • 知財戦略の重要性を説いた一冊。イノベーションに興味がある方向けの入門書としてお勧めかと思います。

  • 2016_053【読了メモ】(160903 17:00)妹尾堅一郎『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのかー画期的な新製品が惨敗する理由ー』/ダイヤモンド社/2009/これは、きちんとレビューを書かないと頭に定着しないぞ。>来週の自分へ

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