希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478011928

感想・レビュー・書評

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  • 登録番号:0141926、請求記号:332.107/I32

  • 日本のことなど、正しいことをいってますが、いろんな人のコメントや分析にケチを付けてる部分が目につき、結局何をしたいのか、よくわからない。
    希望を捨てて、現実を見ることばかりが、謳われて読後に何かすっきりした気持ちにはなれない感じで、いまいち。

  • 経済学が中心ではあるが、労働問題、教育、政治も含め、幅広い視野で述べられている。いくつかは具体的な現状の問題点の指摘もあった。内容と本のタイトルがいまひとつしっくりこない感もある。
    個人の希望がすべて100%達成するよう努力するのでなく、国益、国際社会の持続性を考慮しつつ、国民は多少の我慢や妥協も必要らしい。なんでもかんでも希望をかなえようとすると、必ずどこかで歪みが生じるということか。【書店で立ち読み】

  • 目次
    はじめに・・・1
    第一章 格差の正体・・・1
    1何が格差を生み出したのか・・・2
    2新しい身分社会・・・14
    3事後の正義・・・25
    コラム:情報の非対称性・・・34
    第二章 ノンワーキング・リッチ・・・37
    1社内失業する中高年・・・38
    2働きアリの末路・・・50
    コラム:補完性・・・56
    第三章 終身雇用の神話・・・59
    1終身雇用は日本の伝統か・・・60
    2日本型ネットワークの限界・・・68
    3雇用のポートフォリオ・・・73
    コラム:効率賃金仮説・・・82
    第四章 長期停滞への道・・・83
    1長いくだり坂が始まる・・・84
    2輸出立国モデルの「突然死」・・・90
    3希望の消えてゆく国で・・・99
    コラム:長期的関係・・・110
    第五章 失われた20年・・・113
    1どこで間違えたのか・・・114
    290年代をどう見るか・・・127
    コラム 自然利子率と自然失業率・・・137
    第六章 景気対策の限界・・・139
    1財政政策の欠陥・・・140
    2金融政策の功罪・・・151
    コラム:リフレ論争・・・158
    第七章 日本株式会社の終焉・・・161
    1会社は誰のものか・・・162
    2官僚社会主義の構造・・・169
    コラム:負の所得税とベーシック・インカム・・・179
    第八章 「ものづくり立国」の神話・・・181
    1「すり合わせ」ではもう生き残れない・・・182
    2ITゼネコンの末路;・・・189
    コラム:ホワイトベース・・・198
    第九章 イノベーションと成長戦略・・・203
    1株主資本主義が必要だ・・・204
    2リスク回避からリスクテイクへ・・・213
    3イノベーションの意味・・・219
    4創造的破壊の可能性・・・226
    コラム:コンテンツ三行の未来・・・235
    おわりに・・・239

  • 図書館

  • レビュー:物々しいタイトルに反して、高度経済成長以降から現在までの日本の状況について相互に関連し合う経済や政策、金融の観点から俯瞰し、わかりやすくまとめた内容となっている

  • いろいろ書いてあるけど、結局は労働市場の流動性を高めろに尽きる。

  • 本の最後に「今の日本に足りないのは希望ではなく、変えなければ未来がないという絶望ではないか。」という一言がある。
    著者はこの一言がどれだけ現状に即しているかをざまざまな日本の問題点を挙げて説明している。

    とても読みやすくスラスラ読める良書です。

  • 「閉塞状態を打破し、流動性を生みだしてくれる何か、その可能性の一つが戦争である。」 平和は素晴らしい。 ただ、今の平和は単に「既得権を守ること」だけに終わっていないか。 このまま変わらずに全てを固定化させるのか。 変えること、変わっていくことだけが生き残る策ではないのか。 「改良・改善」にとどまらない文字通り「革命的」イノベーションが必要なのではないか。 

  • 経済関係の本を何冊か読んだ人には理解しやすい内容だと思います。
    小難しい理論やらは置いといて。
    年功序列を排して、本来は年齢に依存する職能給を廃止し、業務の成果に応じた職務給に一本化し、正社員と非正社員の差別もやめて同一労働・同一賃金にすべきと主張しています。

    中高年に多い社内失業者。仕事をしなくても多額の給料が貰えるのは、若年時の過度な働きで薄給に甘んじ辛酸を舐めた結果であって、年齢と共に給料が増え、それにより家族を養えるようになります。右肩上がりの経済成長時代にはこれがマッチした制度だとい言えます。年齢が上がるにつれて支出が増えるので、こういったシステムが機能しているうちは良かったのだと素直に思います。
    若年時の多忙な業務に応じての所得分配をしていたら、お金の管理ができない人は、中高年時になると大変な思いをするのではないかと思うし、働いた分相応の賃金がもらえない若年時は、それだからこそ転職しないで今の職場に残ろうとするわけです。
    しかし、昨今の不況のように、経済成長が見込めなくなると、今ある正社員で仕事をフル回転させるか、非正社員の採用で人件費を安くするか、等の対策がある種「当たり前」に思えてきます。採算が取れないと会社は破綻しますから、一番経費のかかる人件費にメスを入れるのは当然といえば当然です。
    ただ、中高年の正社員はそれで納得できるでしょうか?だって、若年の頃は会社にこき使われてしんどい目に遭ってきたわけですから、仕事量が少なくても給料が高いのは正当であると考えるはずです。

    僕の職場でも、「5年選手は5年選手の、10年選手は10年選手に相応しい仕事をやってもらう」と上司は豪語しています。今までの職場は割と年功序列的な世界だったので、中高年はまさに社内失業状態(職場の皆さん失礼!)でゆったりとしていましたが、今ではせっせと身を粉にして働いています(笑)
    その姿を見て、「あぁ、長年に亘って精勤しても、まだ働き倒さなきゃいけないんだぁ~」と思ってしまい、ため息が出ます。肩書のすごい人が、朝早くに出社して事務所の掃除をしている姿は滑稽です(笑)

    社内失業について友人と話したとき、その友人は「上司が怠けているのに給料が高いのは、『お前らも昇進したら楽だぞ、今のうちに働けよ』と昇進欲を掻き立てる絶好のシステムだよ」みたいなことを言いましたが、この考え方にいは頭をガツーンと叩かれたような衝撃が走りましたね。なるほどそういう考え方があるのかと得心しました。

    年功賃金の恩恵を受けている人というのは、日本にどれくらいいるのでしょうか?日本の企業数の99%は中小企業であるからして(従業員数は7割を占める)、大多数を占める中小企業が年功賃金を採用しているのか否かが大きな鍵になりそうです。仮に年功賃金を採用していても、それぞれがしっかりとした年功賃金システムを導入していなくては、そもそも著者の主張が誤りである可能性があります。

    経済とは簡単に言えば『お金の流れ』です。
    不況だと『お金の流れが悪く』、好況だと『お金の流れが良い』というのはイメージしやすいかと思います。
    今は不況なので、お金の流れが悪いのですが、今までの国内のお金が無くなったわけではないので、どこかに大量のお金が動かないでいる状態になっています。政府は借金だらけなのでお金を持っていません。となると、残りの経済主体である企業か家計が持っている、ということになります。

    ベーシック・インカムの議論は、日本でももっと活発になるべきだと思います。まだ日本には「働かざる者食うべからず」の格言が生きていますが、著者のいうように、汗水たらしても、成果が上がらなければダメで、逆に言えば、汗水たらさなくても、成果が上がればそれで良しの時代になっています。ベーシック・インカムで得たお金をプールするのではなく、一定率を消費する仕組みにすることで、経済効率は高くなる……と思います。政府からのお小遣いをみんなが貯金したら、それはそれは恐ろしいことになりますので(笑)

    感想に一貫性がないのは僕の文章技量の問題で申し訳ないですが、大学生向けの本かなぁと思います。この本から派生して『安心社会から信頼社会へ』や『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』が面白く感じると思うので、是非そちらをオススメします。
    本書の評価は、僕はA-にします。

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著者プロフィール

1953年生まれ。東京大学経済学部卒業後、日本放送協会(NHK)に入局。報道番組「クローズアップ現代」などを手掛ける。NHK退職後、博士(学術)取得。経済産業研究所上席研究員などをへて現在、アゴラ研究所代表取締役所長。著書に『イノベーションとは何か』(東洋経済新報社)、『「空気」の構造』(白水社)、『「日本史」の終わり』(與那覇潤氏との共著、PHP研究所)、『戦後リベラルの終焉』(PHP研究所)他。

「2022年 『長い江戸時代のおわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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