もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478012031

感想・レビュー・書評

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  • 「もしドラ」は「おお振り」にそっくりだ!!説。

    「もしドラ」という愛称まで付けられたベストセラー。
    「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」なんて、
    見事に人を魅きつけるタイトルと内容です。
    著者の岩崎夏海氏。さすが秋元康氏の下で修行を重ねただけのことはある。でも、この方、東京芸大卒なんですね、びっくりした。
    芸大の建築科ですよ。本来なら、スペインのバルセロナであのガウディのサグラダ・ファミリアの修復に携わるような仕事をしていてもおかしくない。
    まあ、本人を直接知らないから、何故に芸大を卒業して放送作家になったのか、全く見当つきませんが。
    ウィキによると、秋元事務所を解雇されたと書かれているが、ホントかなあ。
    こういう仕掛け作りの名人ですからね、秋元さんは。
    どうすれば話題になるかをとことん研究して物事を進める天才。
    オニャン子だって、AKBだって、結局はマーケティングの賜物。
    だから独断と偏見で言えば、これ自体、秋元氏が仕掛けたのではないかと未だに疑ってかかっています。テレビ業界というのは何でもありの世界だから。
    岩崎夏海なんて名前なので、てっきり若い女性アナリストかマーケッターを想像したら、出てきたのは全く想像を裏切る容姿の男性だったし。あのギャップがまたすごかった。

    これは、2009年12月発売ながら、2010年と2011年の二年連続でビジネス部門年間ベストセラー1位に輝いた化けもの本。電子版も入れると、今では300万部くらいになるのだろうか。
    おかげで、本家ドラッカーの「マネジメント」までミリオンセラーになった。

    病に倒れた親友に頼まれ、仕方なく弱小野球部のマネージャーを引き受けることになった主人公、川島みなみ。このネーミングだけでも、漫画「タッチ」の南ちゃんを彷彿とさせるもの。可愛い女子マネージャーって。
    で、すごいのが、というか、ある意味当たり前で、でもそれまで誰もが気づかなかった、マネージャー=マネジメントする人だということ。
    ポイントはこの一点。
    そうなんです。マネージャーって雑用係とかスケジュールを組む人じゃなくて、本来はマネジメントすべき人なんだよね。ビジネスの世界では常識。でも高校野球の世界では非常識。
    絶対権力者は監督。ここに切り込んだ発想がすごい。

    註:広辞苑と英和辞書で確認しましたが、広辞苑では、やはり単なる世話人的な記述。英和辞典では、世話するだけならcare takerと言うようです。

    野球部のマネージャーの役割を何も知らないみなみちゃんだからこそ、勉強しようと本屋の店員に薦められて買ってしまったドラッカーの著書「マネジメント」。
    どうして今まで誰も気づかなかったのだろう、そのことに。
    みなみちゃんは、全く畑違いの経営本だったことを知り、後悔するが、読み進めていくうちに「あれ、これって野球部にも当てはまるんじゃ?」と思うようになる。
    そして、どんどんイノベーションが始まっていくわけですね。
    弱小野球部がいわゆる体育会的発想、例えば根性とか、死に物狂いとか、精神論的なものではなく、組織論とかマーケティング論とかを応用して強くなっていく。これは面白いはずですよ。
    そのうえ、みなみちゃんの悲劇まで物語として織り込んでいるのだから。
    今から読んでもお釣りの来る一冊でしょう。

    で、ここからが私の持論。
    実はコミックで「おおきく振りかぶって」という野球漫画があるのですが、「もしドラ」は、これにヒントを得たのではないかというのが、私の独断と偏見に満ちた推測なのです。
    時系列でいうと、こちらのほうが明らかに早い。
    この漫画の連載が始まったのは「月刊アフタヌーン2003年11月号」らしいので、もう8年以上前のことになる。
    私がこの漫画の存在を知ったのは、2009年の秋。たまたま深夜にぼうっとテレビを見ていたら、このアニメが始まり「これ、面白いな」と思ったのがきっかけ。
    毎週楽しみに見て、そのうち話の途中で終わってしまったので、子どもに訊くと、原作のコミックがあるとのこと。後で訊いたら、私が見たのもアニメの再放送の途中からでした。

    どうしても最初から見たいと思い、とりあえず息子の持っていた漫画を読んで、それも途中までしかなかったので、買っちゃいましたね、自腹で。
    自分のために漫画のコミックを買うなんて、何年振りだったろう。
    こんな野球漫画見たことない、というのが第一印象。
    「もしドラ」が、経営論、マーケティング論なら、こちらは、野球をスポーツ心理学から分析。個人のメンタルトレーニングや、試合でもお互いの心理を読み取ることが勝利への秘訣。
    それまで全くなかった新しい野球漫画でした。

    主人公のピッチャー三橋廉は、とても気が弱く、自分に全く自信がない。野球が好きというだけで、とりたてて凄いスピードボールを投げられるわけでもない。ただ、練習のおかげで、コントロールだけは人並み外れたものを持っていた。
    進学した高校も弱小野球部。しかもそれまで軟式だったのがようやく硬式に変わったばかりで、部員は全員一年生で10人だけ。
    でも、その10人とも何かしら一つだけはとりえがあるような。
    この10人のそれぞれのキャラもまた独特で魅力的なんですね。
    で、この野球部の監督は何故か若く可愛い女性。
    この監督の経歴がまた謎で、でも野球を心理学的に分析する眼は鋭い。
    「こりゃあ、すごい」と思わず唸ってしまいました。
    アニメは、第一期が2007年、第二期が2010年に放送され、終了。漫画は新刊が出る度に購入。現在18巻まであります。
    とにかく面白い。野球が好きじゃなくても、野球を知らなくても楽しめる漫画。
    *もっと詳しく語りたいんだけど、それは「おお振り」を本棚に入れてレビューを書けばいいか。
    ウィキで見たら、やはり評価が高く、手塚治虫文化賞とか講談社漫画賞とかを受賞してるんですね。そりゃあ、そうでしょう、こんな素晴らしい野球漫画初めてだもの。
    話が「おお振り」寄りになってしまいましたが、言いたいのは「もしドラ」は「おお振り」の小説版だということです。これを見て閃いたんじゃないのかな、と思う私です。

    最後に:
    本当にどうでもいいことなのですが、ドラッガーじゃなくてドラッカーなんです、彼は。正式には、ピーター・ファーディナンド・ドラッカー。半分くらいの方々がドラッガーと書かれていたので。
    ホントにどうでもいいことなんだけど……。
    調べていたら、彼の父親はフリーメイソンのグランドマスターらしい。
    これまた、ホントにどうでもいいことなんですけどね。

  • 私的には”小説”として面白いかといわれると微妙です。
    しかし”教科書”として読むと、いいものです。
    「マーケティング」と「イノベーション」について、その重要性がわかりやすく、すっと頭に入ってくると思います。
    就職活動に向けて企業を知りたい人、就職して活躍していく人、そんな人に薦めたいです。

    所在: 楽しむコーナー
    請求番号:913.6 I96

  • 経営における名著をベースとしたケーススタディ(悪く言えばパロディ)を物語風に創作し、書き綴ったものです。
    野球部にとっての「顧客」とは、野球部に関係する全ての人であり、野球部員でもある…とか、ノーバント・ノーボール作戦とか。あまりにも話に無理があり、強引と言わざるを得ません。

    しかし、です。
    この本はある種の“イノベーション”と言えるのではないでしょうか。
    ドラッカーの「イノベーションと企業家精神」における7つの機会をベースに考えた場合、これまで「経営書は向上心の高いビジネスマンが読むもの」という出版社の“認識ギャップ”(産業内部のものが物事を見誤り、現実について誤った認識をしていることによるギャップ)をこの本は見事に解消しました。

    あるいは“プロセスギャップ”を解消したという考え方もできるかもしれません。
    消費者は「自分も読めるものなら難しい本にチャレンジしてみたい」という無意識的な願望を持ちつつも、一歩踏み出して購入するにはやはりハードルが高かった、あるいはドラッカーという存在すら知らなかった…「もしドラ」は、そのハードルを下げ、ドラッカーの存在を知らしめることで、原著のマネジメントを購入する動機付けの触媒的役割を果たしたというわけです。

    ひょっとしたらノーバント・ノーボール作戦も、野球を知っているからこその“認識ギャップ”なのかもしれません。
    …いや、やっぱり話に無理があるよなぁ(笑)

    でも最後にホロリときた分を加味して、星4つとします。

  • 分かりやすい!納得!上に立つ人に読んでもらいたい。

  • 素直な感想として、とても面白く、また読みやすい小説という感じだった。
    あくまで青春小説であり、決して「ビジネス書」ではないかな。
    ドラッカーを読ませるというよりは、標準的な喜怒哀楽のある青春小説に、ドラッカーのエッセンスをちりばめたという感じ。
    全体としてよくなじんでいるし、特に違和感なく物語の世界に入っていくことができた。最後の場面は結構感動ものだった。

  • 昔流行った本が100円で売られていたので、一応読んでおくかと購入。
    結果、同じような経緯で過去に読んだ電車男やスウィングガールズ同様、不覚にも感動しつつ読んでしまった。

    折に触れてドラッカーを引用しつつ、それが面白いように当たって最後はハッピーエンドなんだろうな、という事前予想はほぼそのとおり。しかしいかに予想どおりだろうと、凡百の日本人である自分は見事に心動かされてしまう。

    ドラッカーに触れる量は思ったよりも少なめ。ただ、あまりにドラッカー解説に紙幅を割くとエンタメ性が損なわれるので、そこはバランスを取った結果だろう。
    著者は専門的な文筆家ではないようで、確かに見せ方や設定、伏線回収などで拙さを感じる部分もある。とはいえ、そんな批評家根性は捨てて、フラットに読み物として楽しんだ方がよいと思う。
    通ぶって、頭ごなしにベストセラーを批判するのもよいが、そんなことで楽しみを減らしてむっつりと生きるのはもったいない。

    エンタメ性が高い一方で、確実にドラッカーへの興味を喚起する本でもある。
    自分はライトなビジネス書はよく読むが、ドラッカークラスの世界的名著はまだ数えるほどしか読んでいない。自分でも安直とは思うが、次はドラッカーのマネジメントを読んでみようと思った。
    日本全体に与えた影響・功績も大きい1冊と思う。若い世代を中心に、自己啓発への入り口として愛されてくれればいいと思う。

  • いいヒントをもらえました。自分の職業にも生かせそうだなと思います。
    何回か読んで、自分の今の立場ならどうするかを考えてみたいです。

  • 「真摯さである。」

  • 病気で入院した親友から、野球部のマネージャーを任された少女が、
    偶然手にしたドラッカーの経営書をもとに、野球部を「経営」していくお話です。 

    私は野球にも経営にも詳しくありませんが、「野球」と「経営」がうまく絡み合っていておもしろかったです。
    野球部の絆にも感動しました!

  • 組織を運営する立場となり、ぼちぼちマネジメント手法を勉強してみようと思い立ったものの・・・
    いきなりドラッカー本はハードルが高いかなと思い悩んだあげく、まずはエッセンスだけでも掴めるならと本書から入ってみた。
    現実的にはこうも巧くいく話は有り得ないが、そこは漫画みたいなものと割り切って読み進めると、言いたいことはそこそこ理解できたように思う。
    組織を動かそうと思うと「目標を具体化する」「個々に役割を持たせる」、このあたりが重要になってくるんだろうな。
    肩慣らしには程よい本でした。
    さ、次はドラッカーに挑戦!

著者プロフィール

岩崎 夏海(イワサキ ナツミ)
作家
1968年生まれ。東京都日野市出身。東京藝術大学建築科卒。大学卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。
放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』等、テレビ番組の制作に参加。その後、アイドルグループAKB48のプロデュースなどにも携わる。
2009年12月、初めての作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』を著す。
近著として『エースの系譜』『宇宙って面白いの?』(講談社)、『小説の読み方の教科書』(潮出版社)、『チャボとウサギの事件』(文藝春秋)、『まずいラーメン屋はどこへ消えた?』(小学館)、『部屋を活かせば人生が変わる』(部屋を考える会著、夜間飛行)がある。

「2014年 『『もしドラ』はなぜ売れたのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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