レジリエンス 復活力 あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か
- ダイヤモンド社 (2013年2月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (404ページ) / ISBN・EAN: 9784478012338
みんなの感想まとめ
様々な状況変化に対処する力、すなわちレジリエンスについて深く掘り下げた本書は、個人や組織、システムが逆境からどのように立ち直るのかを探求しています。自然災害や経済的危機、さらには人の心のケアに至るまで...
感想・レビュー・書評
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どんなに有効なシステムであれ、自然災害や人的ミス等、さまざまな要因によって破綻させられるということはあるわけで、大切なことはそういう事態に陥った際に、どのように破綻を回復させていくかということなのである。
筆者は、自然、経済、金融、インターネット、テロ、医療、さらには人の心のケアまでを取り上げ、それぞれの破綻と回復の経過、必要なリーダーシップ等を明らかにしている。いささか間口を広げ過ぎたきらいはあるが、それほどに社会のあらゆる場面でレジリエンスは求められているということなのであろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
レジリエンスとは、システム、企業、個人が極度の状況変化に直面した時、基本的な目的と健全性を維持する能力。レジリエンスを向上させるためには、抵抗力を強化し、いざという時に備えて許容性の幅を広げておく。
信頼性の高いフィードバックグループ、ダイナミックな再構築、固有の対抗メカニズム、分離可能性、多様性、モジュール構造、単純化、高密度化は、システムのレジリエンスを決定づける。信念と価値観、思考の習慣、信頼と協力、認識の多様性、強力なコミュニティ、通訳型リーダー、記紀に対応する敵う能力が社会的レジリエンスを育む。
レジリエンスが発揮される環境を整えるには、システムをモジュール化し、ネットワークを構成し、オープンで汎用性の高いプロトコルで連携すること。人々に正しい情報と動機を与えること。
都市の大きさが倍になると、平均収入、高級レストランの数、凶悪犯罪など、すべての要素が15%増える(スケーリング法則)。
協調と裏切りのさまざまな戦略を対戦させた結果では、上位には少なくとも最初は協調的な戦略をとるものが占めた。2回連続で裏切られたら報復する戦略は、好戦的な戦略に弱いが、ミスをしかねない人間関係を想定したノイズを含んだ条件では最良の成績を上げる。
活動の成否が組織の団結力に大きく左右される集団においては、どれほど困難な状況にも対応できるという意思決定者の幻想、グループには倫理観が存在するという思い込み、組織の考え方に同調しないメンバーのステレオタイプ化、合理的に物事を掘り下げることを阻害する過度に単純化された精神構造といった集団思考が発生する。やがて、「思想の番人」が組織を巡回し、反対意見の拡散を食い止め、異端者に圧力をかけ、組織は一枚岩であるという錯覚を醸し出す。
レジリエントなコミュニティや組織の中心部では、通訳型リーダーが、様々なネットワークや視点、知識、課題を一体的な全体像にまとめ上げる役割を果たすことによって統率力を発揮している。立場の異なるさまざまな組織の間に協力関係を築き、相互の交流の橋渡しをすることによって、危機的状況において協調する能力を引き上げている。 -
社会
心理 -
<目次>
序章 レジリエンスとは何か
第1章 頑強だが脆弱なシステムはどう崩壊するか −漁場・インターネット・金融市場
第2章 感知し、拡大し、参集する −アルカイダ・結核菌・新しい電力網
第3章 多様性を密集させる −都市と熱帯雨林
第4章 人はいかに心の傷から回復するか −個人のレジリエンス
第5章 協力と信頼はいかに生まれるか −社会のレジリエンス1
第6章 リスク志向を抑制する多様性と寛容さ −社会のレジリエンス2
第7章 コミュニティの適応能力 −社会のレジリエンス3
第8章 コミュニティを支える「通訳型」リーダー −社会のレジリエンス4
第9章 レジリエンスの習得
2013.06.10 ウィルソン・ラーニングのイベントで紹介されているのを見つける。
2013.07.02 読書開始
2013.07.08 読了 -
【由来】
・綻びゆくアメリカの、図書館での関連本で。ちなみに全然同じ著者じゃないけど。
なお、その前に既にhonzの紹介でMMarkerには登録してた。
【期待したもの】
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【要約】
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【ノート】
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【目次】 -
「レジリエンス」は、近年大きな注目を集めている概念。元々は物理学で「外部から力を加えられた物質が元に戻る力」を意味する言葉だったが、いまでは広い分野で用いられている。本書で扱われているのは、「人や組織、システムが大きな失敗や挫折から立ち直る力」――すなわち副題に言う「復活力」としてのレジリエンスである。
個人や企業、経済や生態系など、あらゆる分野のレジリエンスが包括的に論じられる。
たとえば、テロ組織アルカイダと結核菌がなぜ高いレジリエンスをもっているのか(つまり、レジリエンスは「善なる力」とはかぎらない価値中立的概念であるわけだ)が、両者の共通項から論じられたりする。
また、レジリエンスを論ずる前段階として、一見頑強に見える組織やシステムが、どのような道筋をたどって破綻に至るのかが分析されている。
どの分析も興味深いエピソードを通してなされるので、読み物としてもすこぶる面白い。思わず人に話したくなる事例が満載なのである。
私が本書を読んだのは「人が逆境から立ち直る力とは、どのような力なのか?」を知りたかったから。なので、個人のレジリエンスを扱った第4章「人はいかに心の傷から立ち直るのか」に、最も感銘を受けた。 -
正直、"レジリエンス"というキーワードは、本書を読むまで知りませんでした。
システム、企業、個人が極度の状況変化に直面したとき、基本的な目的と健全性を維持する能力ということですが、必ずしも良かった状況まで回復させるだけでなく、その時の状況にあわせた形まで昇華させること。
様々な要素が複雑に絡み合っているこの時代において、全体を俯瞰しながら相互の関係性を解きほぐす様なアプローチで、解決に至った事例を解説している。
その事例は、社会システムなどハード的なものから、心理的なソフト的なものまで幅広い内容でした。
例えば、なぜ経営的に危ない大きな金融機関に対して、政府が公的資金を投入するのか、当該金融機関が金融ネットワークの中のハブ機能の様に密接度が高いと、この機関の倒産が引き金となり、リーマンショックの様な金融ネットワーク崩壊を引き起こすリスクがあること。
ハイチの災害対応の時には、仕事や近所付き合いなど比較的緩い知り合い関係である、弱いきずなの情報ネットワークが有効に機能したこと。
人には固有のリスク許容値があり、それを一定に維持するリスク・ホメオスタシス理論に基づき、例えばシートベルトをすると、しない時よりも確実にスピードを上げてクルマを運転するなど。
繰り返しますが、本書は、ソフト面では人や組織・社会の心理学的アプローチ、ハード面ではシステム学的アプローチに行動経済学を織り込んだ実践的な内容です。
今の自分の興味ある分野がパッケージングされており、面白かったです。 -
レジリエンス概念を共有するにあたっての格好のケース集と言えるだろう。構造化の過程で社会、国家、個人に脆弱性が蓄積する怖さを描いている。レジリエンスを育むのは、困難だが、一つの方向性を本書は示唆している。
・「レジリエンス」を本書では、「システム、企業、個人が極度の状況変化に直面したとき、基本的な目的と健全性を維持する能力」と定義する。
・2008年夏、ノセラは人工的な光合成に成功した。
・ホテルのタオルの再利用実験で、周りがどうしているかが一番影響があった。
・生物と同じく都市にもスケーリング則がある。
・要するに、レジリエンスは非凡なスーパーキッズ云々というものではなかった。じつはごくありふれた性質、ありふれた魔法だったのである。
・大切な人を亡くした反応で五つのパターンが現れたことは意外ではなかった。トラウマに直面しても45.9%は揺るぎない目的意識をもち、人生に意義を見いだし、前に進む勢いをもっていた。
・ハーディネス(強靱さ):人生に有意義な目的を見いだせるという信念。自分が周囲の状況や出来事に貢献できるという信念。経験は良かれ悪しかれ学習と成長に繋がるという概念。これらは信仰心、コミュニティによって左右されうる。
・瞑想を1万時間以上行った僧侶の大脳辺緑系にはきわめて強い活性化が見られ、意識を共感に集中した結果、脳に変化が起きている。
・一般人で毎日27分間、8週間の瞑想で、学習や記憶、不安やストレスへの抵抗力が高まった。
・毎日6時間3ヶ月でマインドフルネス、人生の目的意識、認知的制御力が高まり、神経症的傾向が低下した。
・離脱型瞑想が不安を和らげる。
・極度に消耗している人には、参加型瞑想。
・面と向かって議論すると対立点が浮き彫りになりやすいが、横に並んで歩くと比較的冷静に対話する余裕が生まれる。
・危険補償:安全性が高まったという感覚が、人を向こう見ずにしてしまう。
・近視眼的になった組織でどうするか。アメリカ軍ではプロの懐疑派集団を養成し、配備している。
・能力と多様性はどちらも同程度のプラスの影響を正確な予想スキルに与える。
・注意すべきはメンバーは価値観が違っていたり、最終目標が一致していなかったり、方法論の差を埋められないほどに多様であってはいけない。
・暴力問題には、処罰の必要性と教育、貧困、育児など全てを改善しなくちゃ行けない「何もかも神話」の両極端が見られる。
・犯罪歴のあるワーカーを雇う。イエスはアウトリーチワーカーだった。
・多くの人は解決策を提示する。しかし、私は対話を呼びかける。→通訳型リーダー
・ハリケーンでのハンコック銀行の対応。
・内省的実践を通して、あるいは人生により深い意味を見いだす経験を通して、自己のレジリエンスを高める事ができる。また、レジリエンスは内から外へと伝搬していく。 -
【新着図書紹介】推薦図書です。http://booklog.jp/users/tokyokaiyolibs ←他の本はブクログから。
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レジリエンスとは何か、多彩な事例をもとに、包括的に解説する。端的に言えば、レジリエンスとは、適切な多様性を有する構成員にもとづく、小さな自律的な組織からなるハブ型ネットワーク組織であり、バランス型フィードバックループを持つシステムである。
特に通訳型リーダーの意義は印象深い。システムリーダーシップと呼ばれるものであり、プロセスコンサルタントや対話型ファシリテーションにま通ずるところがあるなあと思う。
本書では何かしら分かりやすいツールが与えられる訳ではないが、レジリエンスの概念を理解するためには非常に価値がある。『世界はシステムで動く』を読んでからの方が理解が深まるかな。 -
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生命体、生態系、電力システム、危機管理体制、ボランティアネットワーク、治安・・。これらはすべて、システムとして理解しなくてはならない。個々のパーツの入出力特性や構造にばかり眼を奪われて近視眼的な対症療法しか考案できないようでは、複雑なこれらのシステムの安定運用は、はなはだ心もとないこととなる。個々の要素のディスクリプションは技術の進歩でますます詳しく複雑になる一方であり、それらをバインドしたマニュアルは、もはや人間が理解する域を超えてしまったものもある(CDSなど)。複雑なシステムの特性は、システムの言語で語られなければならない。
著者らが提言する「レジリエンス」の概念は、<span style='color:#ff0000;'>分散でアドホックで非線形で情報グリーディーでダイバーシティ</span>、etcという特性を要求する。ただ、各種のシステムにはそれ特有の処方箋が必要となる。 -
2014年17冊目。
今日本でも話題になりつつある「レジリエンス」の概念を、あらゆる分野を越えて包括的に考察した本。
「レジリエンス」は「弾力性」「元に戻る力」「回復力」などど訳されることが多いが、
本書では、
「システム、企業、個人が極度の状況変化に直面したとき、基本的な目的と健全性を維持する能力」
と定義される。
もう元には戻れない閾値を越えずに耐えられ、環境の変化の中でも目的を失わずにいられる柔軟性。
本書は、そんなレジリエンスを養うためのハウツー本ではない。
これを読んだからといってすぐにレジリエントな何かを生み出せるわけではないが、
様々な分野の、示唆に富んだ数々の事例は非常に学びが大きく、
「レジリエンス」の概念を深く知るには素晴らしい良書だと思う。 -
序章 レジリエンスとは何か
第1章 頑強だが脆弱なシステムはどう崩壊するか
第2章 感知し、拡大し、参集する
第3章 多様性を密集させる
第4章 人はいかに心の傷から回復するか
第5章 協力と信頼はいかに生まれるか
第6章 リスク志向を抑制する多様性と寛容さ
第7章 コミュニティの適応能力
第8章 コミュニティを支える「通訳型」リーダー
第9章 レジリエンスの習得 -
あらゆるシステムの破綻と
回復を分けるものは何か
現代では災害や大混乱を避けるのは
難しい。では、どうすればよいのか
1 漁場・インターネット・金融市場
2 アルカイダ・結核菌・新しい電力網
3 都市と熱帯雨林
… 毎日が最初の一歩なのだ。 -
レジリエンスという言葉に出会ったのは、つい最近。メンタルヘルスにならない職場から、なったとしても持ち直せる職場へ、というセミナーにおいてでした。本書ではレジリエンスという考え方を個人から文化、自然、経済、社会まで拡げてサステナビリティの先の概念として語っています。概念というか、コンピテンシーみたいなものかも…あまりに複雑化したシステムの中に暮らし、9・11とか3・11とかそのシステムの崩壊を目にしている我々の身につけなければならない素養のように感じました。そういう意味で通訳型リーダーシップというリーダー論が印象的でした。またレジリエンスがビッグデータや社会的イノベーションと結びつく終章では、「予測とコントロール」から「測定と対応」へのシフトを訴えるダンカン・ワッツ「偶然の科学」とのシンクロを感じました。
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レジリエンスとは、
「システム、企業、個人が極度の状況変化に直面したとき、
基本的な目的と健全性を維持する能力」
と(この本では)定義される。
似た概念に「サステナブル」があるが、本書によると
サステナブルには次の問題があると指摘している。
・資源の維持に注目するあまり、特定のモノの保護という
部分最適な行動を引き起こす。
・今の状態の持続に固執し、手遅れになった現実に対応できない。
・社会規範、文化との対立を解消できない。
この本では、レジリエンスとそうでない事例を、
金融システム、病原菌、テロ組織、電力網、自然環境、
人の心、集団、社会という広範囲の分野で紹介している。
特に面白かったのは以下の事例。
・サンボジャ・レスタリ(不朽の森)
複数の樹種を十数年かけて多層的に植林し、
中央に動物保護区を設置、人が生計を立てられる作物も植え、
生態系と経済の利益の両方を最大化する。
・ミッション4636
ハイチ大地震において、緊急メッセージのマッピングシステムを
2日で構築。誰かが強力なリーダーシップを発揮したわけではなく、
ソーシャルネットワークなどの弱いつながりを元に、
入力する人、翻訳する人、現地の電話会社、ラジオなどが
ボランティアで活動した。
・パラオの父
1970年代のパラオは、 市場経済の流入により漁業が産業化し、
乱獲により魚が絶滅するおそれがあった。
パラオの青年ノア・イデオンは、ダイビングによる観光立国を目指し、
議会、漁師たちを説得し、魚を獲るものから見せるものに変えた。
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レジリエンスは冗長性とは違う。必ずしも同じように元に戻らなくてもいい。これは、当たり前かもしれないが、結構衝撃的な宣告だった。
どこかで目標をさだめてレジリエンスにしよう、というのは、だから結構難しい、のだ。本書にも、実践はいつも暫定的でしかない、と書かれている。ある瞬間のレジリエントなものが、ずっとそういうわけではない、ということだ。本書は、失敗例も含めて、個人や組織、さまざまな事例がその発想の手助けをしてくれるだろう。
ただ、個人はともかくとして、社会のレジリエンスは政治そのもので、どこかにとどまり続けようとすると、冗長化は出来ても強靭化は出来ないかもしれない。なでしこジャパンはレジリエンスなチームだそうだ。それで、なんとなくつかめるのかもしれないが。
キーワードは素晴らしいけれど、単純には明るい気持ちにはなれない。 -
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最初から最後まで、わかるようで分からない、
捉えられているようでつかみ切れていない、
そういう感覚のまま走り切ってしまった。
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コンセプトが東洋的なものであるから、なのだろうか。
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タイトルのレジリエンスというのは復活力とか弾力性という意味で、大きなダメージを受けたものが修復する力という意味だそうです。
(ダメージとかショックを受けても壊れないという意味ではなくて、ダメージを受けて崩壊したり壊れたところから再生する力ということだそうです。)
対象の範囲が生態系、組織、個人ととても広くていろんな話を読めました。
おもしろかったです。 -
組織、機関、個人、レベル感はそれぞれだけど、
不測の事態に柔軟に対応するために必要なことは何か、
について書かれている。
特に個人の章は、人が苦しみや悲しみを抱えながらも、
精神的に病むことなく、人生を謳歌できるのはなぜか、
という問いに、分析的な立場から解明を試みている点が
とても興味深い。
図書館で借りたが、すべて読み切れなかった。
ただ、文体はそこまで難解ではなく読み始めれば腑に落ちることも多い。学術書であるため、研究の内容など直接役に立つ情報ばかりでもないが、購入してしっかり読み込みたいと思える書。
