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Amazon.co.jp ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784478012376
みんなの感想まとめ
知的財産戦略に関する実務的な知識が豊富に詰まった一冊で、特許や知財を研究開発や事業と結びつけて考える重要性が強調されています。参入障壁やオープンクローズ戦略、アライアンスの形成、秘密保持契約、紛争予防...
感想・レビュー・書評
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特許、知財の実務的な話ー研究開発、事業、知財を三位一体で考える、参入障壁、オープンクローズ戦略、アライアンス、秘密保持契約、紛争予防、標準化、情報の秘密性ーが詳しく書かれていてとても役に立った。知財は参謀が戦略的考えて、量だけでなく質もどのように動かしていくのかを徹底的に考えないといけないと感じた。NOをYESに変える、排他権、事業参入のためのオープン化、ハブメイド権、クロスライセンス、反トラスト法等学ぶべきことはたくさんある。
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定量的な研究から、特許の件数と業績にははっきりとした相関がないことが確かめられた
もっと早くに読んでおくべきでした。これぞ知財とはこうあるべき、という姿です。知財は相対的、知財部は参謀であるべきなど、胸に響く言葉盛りだくさんです。
今更今後身を引くまでに、本書の記載全てをこなせるとは思えません。ただ、ようやく目標らしい目標ができました。いつか著者のような知財部員になれたらと思います。 -
【配置場所】特集コーナー【請求記号】336.17||M
【資料ID】 11103007 -
今通っているセミナーで「読んどけ!」と渡された本。
そのうち、著者が講義に来るらしい。
正直、今どき「プロパテント」なんて時代遅れな、しかもこんな分厚い本・・・と思ったものの、レビューを見てみるとそれなりに為になったとか、実務向けとか書いてあるので少し興味が出てきてる。
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第一章 知的財産経営とは何か
知的財産を事業競争力として活用する経営
事業・研究開発・知財の三位一体の戦略
排他権、相手の弱みを適性に判断、守りと攻め
知財部門の考え方、知財部門に対する考え方、予算
基盤技術、国の制度の先読み
中小企業における知財戦略の重要性、経営者の認識
キャノンのコピー機の事例
第二章 事業競争力を高める知財活動環境の構築
環境づくりには社長の号令が重要
著者の若いころの経験の話
知財が各研究部門に横串的に入る
知財部門はフラットでローテーションも不要
NoをYesにできない知財担当者は要らない
キャノンの電卓での失敗の話
第三章 研究開発における知的財産戦略
コア技術の特定と特許による確保
延命の為の周辺技術確保と特許化
権利形成、訴訟を意識した研究開発
アメリカでのラボノートの提出、訴訟を意識したノートの書き方、不利なことは記録に残すな
先使用権について、発明を保護する物ではない。他国では個別に先使用権を取らなくてはならない。
営業秘密、不正競争防止法「非公知性」「有用性」「秘密管理性」における秘密管理性の難しさ
ノウハウを権利化したければノウハウを開示しないで出願すべき
研究開発は知財形成で完結する。モノを作ること論文を書くことではない
知財センスの形成
研究開発テーマの決定には、先行特許の調査を
パテントマップが真っ黒でも、時間の経過考慮して見なおせ
問題特許の認識と解決方法
早い時期なら安価で、一括払いに
ただし、全てを直ちに解決する必要はない
共同研究の成果の取り決めは事前に
実施:共有者それぞれが自由に行える
第三者への攻撃:共有者それぞれが自由に行える
第三者へのライセンス:共有の相手方の承諾がないと出せない
※上は日本の場合、アメリカは違う
海外研究所との連携では成果の扱いの違いに注意を
産学連携では研究の早い時期から始める、成果が出始めてからでは遅い
大学での機密情報の取り扱いの難しさ
不実施補償の回避
国際標準化活動とWTO(TBT協定)
デジタルカメラのファイルフォーマットのケース
第四章 事業戦略に適った知的財産権の形成戦略
事業の強みと弱み
知財は参謀、主役はあくまで事業
権利は役割で分けて扱う
守りの権利は絶対に譲らない、思想化して権利を取る
参入障壁を形成する
攻めの権利とは、自社の弱みを解消する権利
相手の実施したがる技術を攻める権利
質と量
知財評価は定量よりも定性
グローバル戦略、活用しやすい、効果の大きい国はアメリカ
海外拠点での権利形成
商標権とその難しさ
キヤノンの場合 -
キヤノン、多岐にわたる知財の知見と実行力。
事業を強くするための交渉、契約etc 。
NOではなくYESといえる知財職。 -
事業において戦略的勝利を収める上で、如何に知的財産権(主として特許権)を運用すれば良いかを論じた本。
本書は、特許分野における、クラウセヴィッツの「戦争論」、孫子の「兵法」であると言ってよい。その心は、今後間違いなく古典となることが予想されるほど高いクオリティと、本書に記載されていることの多くが、戦争のアナロジーを介するとスンナリ理解される点にある。
実際、上記の軍事研究における名著が、戦争は政治目的を達成するための戦略行為であると定義し、この前提から全てを導出するのと同様に、本書も特許の取得を、事業目的を達成するための戦略行為と定義し、ここから全てを体系的に導出している。本書の記する処を戦争アナロジーで以って説明するならば、特許とは、事業における戦略的勝利を得る上で、敵(競合)の行軍を阻むために用いられる地雷である。
実際著者は、特許は点(単独)で捉えてはならず、面(複数)で捉えなければならないという。単独の特許は、無効化審判や侵害解釈、特許請求範囲の技術的迂回等を通じて、比較的容易に無力化されうる。よって、戦略的目的を達成するためには、一連の特許群を形成する必要がある。これは、地雷は単独では機能せず、地雷原を構成しなければ戦略的効果がないのと同じである。
著者はまた、特許を「攻めの特許」と「守りの特許」に分け、それぞれ全く異なる運用方法があると語る。「守りの特許」は、自社が現在実施している、あるいは将来実施することが計画されている事業領域への、他社の参入を、完全に阻むか遅らせることで、その領域に確固たる牙城を築き制圧するために用いられる。これは、特許請求範囲において実施の独占権を行使することで得られるため、実施権をライセンスすることがあってはならない。地雷のアナロジーで述べるならば、「守りの特許」とは、自軍の進軍領域を取り囲むように地雷原を設置しておき、敵軍の進攻を阻むか遅らせ、その隙に陣形形成や要塞の構築等を行い、領地制圧を狙う行為に等しい。一方、「攻めの特許」とは、競合の事業領域において必要となる技術に関して特許を取得し、実施権を奪い事業を妨害することで交渉の場に引きずり出し、自社にとって有利な譲歩を引き出すために利用されるものである。自社にとって有利な譲歩とは、自社の事業領域において競合が保持している特許の無力化である。そのため、「攻めの特許」の場合は独占権を保持することにあまり意味はなく(自社の事業領域ではないため)、クロスライセンス契約などを提示することが望ましい。地雷のアナロジーにおいては、敵軍の進軍予定領域に地雷原を設置しておき、進軍を妨害することで敵軍を交渉の場に誘い、互いの地雷を安全な場所から一斉に起爆させ無力化させることに等しい。
本書は、上記を基礎として、戦略レベルから戦術レベル、果ては銃剣を用いた白兵戦の技術レベルに至るまで、著者が経験したエピソードをふんだんに織り交ぜながら、順次、体系的かつ詳解に論じている。
例えば戦略レベルのエピソードとして、デジタルカメラの事業化戦略が触れられている。デジタルカメラの本格的普及が始まった当時、著者の所属企業であるキャノンの営業部門は、デジカメの開発を著者に要請した。しかしながら、キャノンは技術的に出遅れており、通常の方法では電機メーカーに勝てないと判断した著者、この要請を一旦退ける。実際、自社はデジカメを製造するための部品技術を持っておらず、心臓部分を競合となる電機メーカーからの供給に頼ることになっては、事業として立ち行かない。そこで著者は、自社の一眼レフと、一眼レフに用いるセンサーのノイズ消去に関する知的財産に目をつける。これらを「攻めの特許」として用いれば、デジタル一眼レフの市場を制圧する上で、大きな武器となる。問題は、当該センサーの製造に必要な半導体技術をキャノンが持っていなかった点である。そこで、「守りの特許」を用いて、半導体メーカーと共同開発アライアンスを締結した。この戦略が功を奏し、キャノンはデジカメ市場で成功を収める。これは、戦略レベルで「攻めの特許」と「守りの特許」を巧妙に活用し、新規事業を成功に導いた例である。
また、戦術レベルのエピソードとしては、電卓市場における知財形成の失敗が語られる。電卓市場の黎明期において、Canonは電卓を開発したものの、発明として核となる技術的思想が何であるのか、著者を含めた関係者は皆目見当がつかなかった。結局、計算方法に特許性があると考え、これを請求範囲として特許を取得したが、これが誤りであることに気が付いたのは、シャープから電卓が発売されたときであった。Canonの電卓はテンキーを用いていたが、シャープの電卓はフルキーシステム(各桁用に0から9の数字キーが並んだもの)を採用していた。テンキーシステムの独自性・有用性に気が付いたときは後の祭りで、分割出願は認められず、程なくシャープからもテンキー電卓が発売された。最終的に、電卓市場はカシオとシャープの二社にほぼ独占される。これは、有意性のある技術的思想の特定失敗という戦術的失態により、市場からほぼ撤退する戦略的大敗北を喫した例である。
最後に、白兵戦の技術レベルの話としては、特許権侵害訴訟においてデポジション(証言録取)をする際のテクニックがある。デポジションは、法廷外で相手の弁護士の問いに答える形で証言を行うことを指し、その様子はビデオ撮影され法廷で公開される。その際、弁護士は何度も似たような質問を繰り返すことで証言に矛盾点を生み出そうとしてくるため、証人は極力レスポンド(「はい」か「いいえ」のみで答える)するだけに留め、アンサー(理由の説明)はしないほうが望ましいと一般的にされている。しかしながら、弁護士は当然自身の有利に働くような誘導尋問を行ってくるため、レスポンドしているだけではなすが儘にされる。ここぞという場面では、アンサーを入れないと、証言を極めて不利に解釈されてしまう。
上記のようなエピソードが、より抽象的な文面による論考にまとめられ、一般論として体系的に記述されている。
本書は、非常に抽象度の高い戦略論から極めて個別具体的な事象までをカバーする稀有なものとなっているが、これは著者の、(しつこいようだが、軍事アナロジーでいうところの)一兵卒として最前線で白兵戦を行うころから始め、最終的に幕僚長として一国の軍事を取り仕切る立場までを経験した経歴の賜物だろう。事業目的を達成するための特許、という側面から見た場合の迫力が、弁理士などの著作物とは比べ物にならない。
特許権方面の金字塔として、関係者必読の本。感覚的には☆10つの、☆5つ。 -
図書館で借りた。すごいよこの人
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#なぜ大企業同士で争っているのか(アップルは和解しないのか)アップルは、自社の強みと弱みをよく把握している。 アップルの強みは、OSと、意匠やGUIを含めたトレードドレス(独創性)。一方、アップルの弱みは、ケイタイの通信技術。スマートフォンとは、先に成功したiPod に + ケイタイを追加したもの。アップルにはスマートフォンの中にあるケイタイの技術が無かった。
#Apple訴訟の本質はトレードドレス。それを見抜ける目が大切。スマートフォンは誰が作ったのか? みな、アップルがスマートフォンを創ったと知っている。では、アップルは タブレットPC(iPAD) でもサムスンに訴訟で
勝てるか?
iPADを対象にした訴訟では、アップルが不利なのは、タブレットPCは、元々アップルが創ったものではないため。 本質は、「独創性は何か?」ということ。アメリカでは、独創性があれば、特許も意匠もなくても、トレード
ドレスで模倣者を差止めることができる。一方、日本にはトレードドレスの保護が無い。日本の法律だけで考えていると、トレードドレスで勝つという戦略は思いつかない。
#弱みを解消する知財戦略
アップルは弱みの携帯技術をどう解消したか?携帯の通信技術は標準化されている。標準化特許は、ライセンスを受ければ(お金を払えば)絶対に差し止められない。しかも金額はフェア&リーズナブル(FRAND)でなければならないという決まりがある。更に、iPhone の部品は全てベンダーから特許補償条項を得た。
#クアルコムのチップを使わず、弱みを解消
当初、アップルはクアルコムの3G通信チップを購入を検討していた。
しかし当時、クアルコムとの契約には、競合携帯メーカーに対して自社特許が使えなくなる条項があった。クアルコムのチップを購入すれば、自社の強みであるOSの特許が使えなくなるため、知財戦略上、クアルコムの3Gチップを購入せず、品質の劣る他社チップの採用を決定した。一時的に商品の競争力を抑えても、自社の弱みを解消する戦略をとった。その後、iPhone が爆発的に売れだすと、クアルコム側からアップルに採用を願い出た。勿論、このときには上記の不利な知財条項は削除されていた。現在のiPhone には、クアルコムチップが採用されている。アップルはまさに事業戦略と知財戦略とに一体性があり、知財を最大限活用している。
#グーグルと日本企業の関係との比較
実はグーグルは携帯技術の特許を殆ど持っていないことが弱みであり、訴訟を恐れていた。しかし、クロスライセンスによって、アンドロイドを採用した携帯メーカーの特許を無力化してしまった。これは昔IBMがとった戦略と同じだ。グーグルのアンドロイド契約では、ライセンシー間でも無償クロスライセンスが要求されている。日本企業はアンドロイド+αの部分で差別化しようとしているが、グーグルは良い"+α"の技術をアンドロイドのバージョンアップで取り込み、誰でも使えるようにしてしまう。
#標準化戦略で一番大切なのは、そのなかでどうやって自分が勝つかのビジネスモデルを確立すること。ブルーレイ(BD)は、全てが標準化され、勝つためのビジネスモデルが確立されていなかった。日本企業は当面事業を継続するために、アンドロイドを採用している。業績が悪いため、長期的な戦略をとれず、衰退の原因となっているのではないかと危惧する。一社でできないのであれば、業界単位、又は国単位で勝てるビジネスモデルをつくる必要がある。 -
経営者が知財を異界した経営を意識するために読む本
エンジニアの観点からは参考になる点は少ないので
当たり前のことしか書いてない -
巨匠丸島先生の集大成とも言える一冊。
知財戦略を組織的にどのように運用するかという、もっとも難しいことにチャレンジされている。
知財戦略を実行する企業は、必ずここでつまずくであろうポイントが、実体験を豊富に取り入れて重点的に解説されている。 -
●技術者のやりがい
・結局のところ技術者がやりがいを感じるのは、自分が没頭してできるようなテーマを与えられることであり、喜びを感じるのは、
自分の成果が実施されることである
●戦略
・勝者による短い製品ライフサイクルの裏には長期戦略に基づく調査や研究開発も含め事前に深く潜行した時間があるはず
・必要な範囲に限ってインターフェースを標準化するというようなオープンとクローズの戦略が重要
・重要なのは、事業の強みを維持する守りの権利については排他権を維持し、事業拡大と弱み解消のために、オープンにするところとクローズにするところを決めること
・研究開発部門は、基盤技術について、その動向、変化の気配などを調査し、変化への対応を考える
・開発時から知財が連動して戦略的権利形成ができないと、よい発明をしても事業の優位性を確保できない
・特許マップは事業化の時までに、どのように変化するかを先読みしながら見なければ意味がない
●守りの権利と攻めの権利
・守りの権利とは事業を守る権利であり、技術系企業の最も大切な権利である
・攻めの権利は、事業の実施とは必ずしも関係なく、自社の弱みとなる権利の所有者を責めるための権利である
・標準化実施のための必須特許はリーズナブルな条件でライセンスすることをRAND(Reasonable and Non-Discriminatory Licensing)という
●権利化の価値
・企業の研究開発が完結するのは、その成果を知的財産として確保した時である
●脅威の回避
・キーパーソンの特許を全件調べることで、将来の脅威を予測・回避できる
・契約相手がM&Aされる場合もあるが、ある程度契約で縛ることも可能。契約期間に相手の状況が変わることを予測して条項を入れる
・提案内容については電話や来社での対応はその場では内容を聞かず、提案内容を知ってもなんら義務が生じないことを確認して書面で受領する
●共同出願
・共同開発技術の権利を共有する場合、特許法上は、実施と第三者への攻撃は共有者が自由に行えるが、ライセンスは共有者の許可が必要
●交渉
・交渉は交渉相手を選ぶところから始める。相手がまとめる意思を持たない場合には、議論は1回で済ませて結論を求めるようにする
・訴訟では証拠の収集が重要 -
キヤノンの知的財産戦略を一から創り上げた丸島氏の著書。
企業の知的財産戦略のあるべき全貌を解説しており、製造業に勤務していて技術開発・研究に携わる(特に)管理職は必読の本であると感じた。
企業における知的財産経営のあるべき姿として、「有効な権利を戦略的に形成、活用し、事業で勝つこと」と喝破している。
丸島氏のキヤノンにおける人生は、まさにこの考え方に則って歩まれてきており、その経験に基づく考え方、実践方法がこれでもかと埋め込まれているのである。
知財経営を考えるにあたっては、全社横断の知財担当本部を設置して、事業部門、研究部門とは各々のあり方に従った知財の運営をすべきだと言う。
事業部にとっては目の前にあるビジネスに結びつく知財として、研究部門としては将来どのようにその技術が活きるかという視点の知財としての権利化を目指せと。
知財担当者そして担当の技術者は、権利化を目指す上ではなんとしてでも技術の思想化を成し遂げなくてはならないこと。
こんな特許の基本中の基本のことについても、丁寧な具体例を用いて説明している。
例えば「転がらない鉛筆」を思想化すればどうなるか、それは円柱だけではなく三角柱、六角柱、楕円柱といった具体例の先にある「中心から周囲の点までの長さが一定ではない断面積を持つ鉛筆」ということ。
こんなわかり易い例から始まり、数々の具体例を経験から並べ上げて説明している。
初期の頃の失敗として、知財意識が低かったために電卓事業へ参入した時に「テンキー」の形状に関する特許を取得せずに差別化出来なかったこともその一例。
そういった特許の形成面だけではなく、活用の仕方についても詳しい。
特許の排他権の使い方には、守りの権利、攻めの権利としてがある。
前者は事業を守るために使い、コア技術を押さえ、侵害訴訟で勝つことを意識する。
後者は弱みを解消するため、コア以外の技術の権利であり、他社が使いたくなるような権利でもあり、相手に脅威を与えることを意識する。
このような使い方を意識した上で権利形成も出来れば、まさに強い知財網を築けるはずだ。
また特許のクロスライセンスのやり方の解説も詳しい。
どうやって相対的に強い知財権利を手に入れるのか、そのための会社対会社の契約にまで踏み込んだ解説は、なんとなく頭ではわかってきたつもりだったが、これだけ明瞭な説明があると納得感も増す。
クロスライセンスだけではなく、他社との知財権利の交渉に関する考え方、事例も数多く掲載されている。
例えば有名なレメルソン特許のライセンスを受けるための交渉経緯があるのだが、他社が数件だけの特許に対する契約を結ばされたのに対して、キヤノンはどうやって全件包含の一括払い契約で済ませられたのか。
標準化戦略に関する説明も参考になる。
国際標準の形成に対する重要性、難しさとそこにおけるRANDやパテント・プールの問題点などにも触れていて、ともすればどうしても優先度下げがちなこの分野について考えを改めさせてくれる。
アライアンス戦略についても一章を割くだけではなく、様々な箇所に関連する事例が掲載されている。
共同開発におけるラインセスのまとめ方を間違えると、事業そのものがうまく広げられなくなるという点や、契約締結で揉めることの多いNDAにおける二条項の問題など、極めて簡潔にまとめられており、大変参考になるものである。
こうやって読み解いてくると、知財戦略とは言うものの単なる特許や商標だけの話ではなくて、それらを用いて事業戦略、企業戦略をどのように構築するべきかという視点で非常に重要な視座をそこかしこで与えてくれる一種の経営戦略の本であることがわかってくる。
MBAのコースではこのような知財戦略のクラスについてあまり聞いたことがないが、所謂MOTではどうなのだろうか?
ここまで実践的でかつ経験に裏付けられてまとめられた著書は、そうそう出てくるとは思えない。
日本の知的財産経営の道を切り拓いた丸島氏だからこそ、書き上げられた著書であることは間違いないだろう。
過去に在籍されたキヤノンにとって、これだけのノウハウ、知財経営のエッセンスを本にされてしまっては困るのではないかとも考えたが、そのような稀有の著書であること、そして丸島氏が「はじめに」で述べていた「・・・人生の集大成として記した本書が、読者の今後の活動の一助となることを祈念する。特に、本書から得た考え方を読者がさらに発展させ、共に知恵を出し合い、国力を高め、国際競争力ある日本企業を復活させる活動を率先して実行されることを、心から祈念するものである。・・・」という思いを知れば、そんな小さなことは考えていてはイカンと改めて思い直した次第である。
とにかく名著である。
日本のすべての技術関連企業に勤務する技術系管理職には、是非とも目を通してもらいたい名著である。 -
知財実務書として、さまざまなエッセンスが凝縮されている。
手元におき、ふとまよったときに立ち返りたい一冊。 -
新着図書コーナー展示は、2週間です。
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