ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業

制作 : 北川 知子 
  • ダイヤモンド社
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本棚登録 : 1039
レビュー : 131
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478012840

作品紹介・あらすじ

プロフェッショナルとして知恵を絞れば絞るほど、消費者のこころを見失ってしまう「差別化の罠」。ビジネスマンの誰もが抱えるジレンマを共に考え、共に解決の方向を探る。

感想・レビュー・書評

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    消費者心理

  • なんかイマイチやった
    論証がほとんどなされていない。
    もともと,厳密な論証をやろうなんて著者は意図してないみたいだから,著者にとっては問題ないんだろうけど。

    以下はネタバレ。

    意味のない「差別化」をやめなさい,というのが本書のメッセージ。
    どの企業も喧しく「差別化」という言葉を口にして,差別化を実践しようとしてきた。そして失敗してきた。ほとんどの企業が行う「差別化」は,差別化になっていない。「差別化」の結果もたらされるのは,どこが違うのか消費者には見分けがつかない同じような商品群である。消費者が区別できないのならば,その差別化に意味はない。
    「差別化」をやめるためには,市場調査の数字に囚われて,他社と比較することをやめなければならない。他社と比較して,自社が劣っているところを伸ばそうとするのではなく,とんがればよいのである。
    どんがり方には,三つある。引き算―GoogleやApple―,我が道を行く―ハーレーやレッドブル―,そして変換―sonyのAIBO―である。

  • 最初ざっと読んだときは、いまいちわからなかった。
    二度目にぱーっと読んだときは、なんか心に引っかかると思った。
    三度目に読み、驚くべき開眼体験を得た。

    なぜ最初、まるで頭に入ってこなかったのか?
    たぶん、それは本書がマニュアルやコンセプトを語る本ではないからだ。
    読者に対して、
    「ブランドってそもそもお客さんにとってどう見えますか?」
    という問いを投げかけ、
    あえてそれを著者の強い主観をもって解きほぐしていくかたちなので、
    なかなか流し読みが効かないのである。
    言い換えれば、私の中でよく受け止めなくてはならなかった。

    しかし、その中身はとても価値あるものだと感じる。

    なぜ大半の企業・ブランドの「マーケティング」はうまくいかないのか。
    その理由を、著者は成熟しきった市場の中で
    「競争的な調和」をしているだけだから、と考える。
    「棚に並ぶシリアルはどれも同じに見える」という冒頭の一言。
    まさに、そうだと思う。

    家電量販店のテレビ売場に行くたびに、それらの機能に感心する一方で、
    企業間の差別なんて大してよくわからんなという感想を抱く。
    どれだけメーカーが「付加」「増殖」という視点で「ヨイモノ」を
    作っても、それがどれだけ魅力的なのかよくわからないうえ、
    本当に魅力的だった場合にはすぐに他社に真似される。
    その繰り返し。

    差別化を果たすには、競争を捨て去ること。
    挙げられたアイデア・ブランドの実例(著者のいう思索の枠組み)は、
    Google、IKEA、in-N-out・・・リバース(逆を行く)。
    AIBO、プルアップス、シルク・ドゥ・ソレイユ・・・ブレークアウェー
    (概念を変える)。
    ミニクーパー、レッドブル・・・ホスタイル(好感度に背を向ける)。
    などなど。
    そして、この複合系のブランドとして「Apple」を挙げている。
    ああ、なるほど。頷ける。強烈な相乗効果。


    私たちは消費者のときは極めて支離滅裂なのに、なぜ企業人になったときに
    妙に整然と分解して進めたくなってしまうのだろう?
    きっと、それがビジネスだと思い込んでいるからだ。
    新入社員も、管理職も。
    でも、世の中で「アイデア・ブランド」になったものは、きっと
    その「整然としたくなる欲望」に打ち克つことができたのだ。
    理由はいろいろとあると思うけれど。

    著者も書いているが同じブランドに対して絶賛する人がいる一方で、
    「ありえない」と感じる人がいるのも当然なのである。
    万人ウケを狙っていないこそ、アイデア・ブランドなのである。

    と思っていて、「ラーメン二郎」のことを想起した。
    水はコップに自分で入れろ、さっさと食べて出てくれ、という圧迫感。
    料理は油たっぷりで食べるとだいたい後悔する。
    しかし、なぜかそれに心惹かれる者が少なくない。
    本書を読んで、これは消費者が刺激を求めているからなのだろう、と
    考えるに至った。
    あとは通常のラーメン屋と差別化されている一方で、
    それぞれの二郎店舗ごとにも差別化されているのが面白い。
    チャーシューとか、麺の量とか、スープの味とか、店員とか。
    だから二郎愛好者たちは、いろいろな店舗に足を運んでしまうのだ。


    以下、心に残った部分の引用。

    p.7
    私は学生たちにマーケティングは、企業の機能の中で唯一、
    ビジネスと人が出会う場として企図された機能だと教えている。
    生身の人間は、世界をビジネスパーソンと同じようには見ていない。
    箇条書きで語りはしないし、世界をフローチャートでとらえることもない。
    世界をもっと有機的に見る。独特で予測不可能な存在であり、
    見事なまでに支離滅裂だ。

    p.80
    私が最も注目するブランドは、私の期待など眼中にない。
    期待と無関係なものを提供しながら、なおかつ期待に応え、
    これまでにない新たな現実を提供する。不思議なことに、
    市場の他の商品に比べて必ずしも優れているとは限らないが、
    差別化には成功している。顧客と特別な関係を築き、群れから抜きん出ている。
    本書で冒頭から述べているように、差別化を実現するためには、
    競争ではなく、競争からの完全な脱却が必要なのだ。

    p.81
    今日の激しい競争の中では、一匹狼でいるのはますます難しくなっている。
    偏った価値提案や、平均値から外れるようなポジショニング戦略で、
    リスクを負うのは並大抵のことではない。私もそのことは十分認識している。
    (略)
    破壊しながら、混乱させながらも、同時に何かを作り上げる。その過程で、
    まだ現実には存在していないものに生命を吹き込もうとしている。

    p.98
    2006年に発売された任天堂のWiiもまさに同じだ。当時、家庭用ゲーム機は
    激しい技術競争を繰り広げていた。任天堂は私たちが期待したものではなく、
    想像もしていなかったものを提供することで競争から抜け出す。
    驚くべき製品の登場だった。

    p.142
    消費に関して言えば、私がマインドレスネスの優勢を実感していることは、
    これまでの議論で明らかだろう。ショッピング街や店内を歩いていても、
    どのブランドも印象には残らない。
    ビジネスの世界では「順応」が標準になっている以上、その状況は
    これからも変わらないだろう。企業が調和ではなく競争に向かっているのに、
    結果は同じ。競争と順応は兄弟のように結びついている。
    理由は簡単だ。全員が同じ方向を目指して走らなければ、レースは成り立たない。
    一方、「競争的な調和」の渦から飛び出そうとするアイデア・ブランドは、
    マイノリティーであり続けるだろう。しかし、消費行動に活力を取り戻すには、
    彼らのような一風変わった非凡な存在が欠かせない。
    アイデア・ブランドは競争しようとはしない。他者との比較よりも、離脱に
    関心を持っている。したがって、私たちを魅了するにしても、激怒させるに
    しても、彼らは私たちを再びマインドフルな状態へと誘うブランドである。

    p.152
    簡単な仕掛けを探し、注目を引く曲芸をやってのけるブランドがいる。
    食堂で横転するような行動で、関心を得ようとする。しかし、結果的には、
    私たちはそういった無数のブランドを無視し、ダヴやハーレー、アップルを
    大切にしまいこむ。なぜなら、後者は波紋を呼ぶような方法、
    私たちに語りかけるような方法で逸脱するからだ。

    p.153
    フローリーの亡くなった夫リッチーがよく言っていた。歳を取らない秘訣は、
    動く標的であり続けることだと。私もますますこの意見に共感するように
    なっている。私たちは少しの安定と同時に、動きを必要としている。
    じっとしていると精神が鈍ってしまう。ときには子供時代のようにハメを外し、
    心を躍らせることも必要だ。
    (略)
    私はリッチーの言葉を何度も思い返した。動き、変化、違い…。
    静寂に囲まれているときには、それらこそが私たちの生活に活力を与えてくれる。

    p.159
    ビジネスの世界では、差別化がすべてだ。私たちの誰もがこのことを知っている。
    ビジネススクールでは差別化の重要性を教えこんでいるし、重役室では日々、
    差別化戦略が練られている。
    しかし私たちは、「違っている」ことの意味を忘れつつある。私もまた
    その一員だ。今日のビジネスにかかわりを持つ誰もが、何が「違い」に
    なり得るかを忘れている。差別化についての考え方は、どこかが間違っている。
    「差別化」というコンセプトを口では賞賛しながらも、実際には違いではなく、
    類似性ばかりが目立つブランドを生み出し続けているのだから。
    (略)
    ビジネスという帽子を被るや、私たちは「差別化」という専門用語を駆使して、
    あたかも意思疎通の欠如にはまったく気づいていないかのように語り始める。
    私たちがブランドについて語る方法と、人々が実際に体験する方法には
    何のへだたりもないかのように。消費者が、ビジネスパーソンの無理解を
    嘆くのも無理はない。「わが社のブランドは他社とは違います」と伝えてみても、
    企業も顧客もそうではないとわかっている。誰もが同じ流れの中を漂っている。

    私たちは、そんな自滅的な競争サイクルから抜け出せなくなっている。
    もっとはっきり言えば、競争力が私たちを殺そうとしている。

    p.166

    イノベーションは、既存の世界の延長線上にはない。少しの間、
    マーケティングツールを箱に仕舞い、それなしで浮かび上がってくるものを
    みつめてはどうか。
    周知のとおり、市場調査には次のような問題点がある。消費者は自社製品を
    どれほど気に入ってくれているか教えてくれるが、他社製品とどれほど
    違っているのかを語ってはくれない。ましてや、どうすれば消費者を
    驚かせられるかなど、聞き出せるはずもない。
    イノベーションを実現するには、市場調査から得られるデータの先にあるものを
    見なくてはならない。調査データは客観的かもしれないが、お粗末なほど
    不完全で、そこからわかるのは物語の半分だけだ。残りの半分を手にするために、
    私たちは自らの想像力を働かせなければならない。

    p.169
    もし本書を貫く一本の糸があるとしたら、それは消費や行動、文化の一貫性が、
    私たちの周囲で崩壊している、ということだ。あるブランドは、敵対的で
    あると同時に吸引力を持ち得る。人は、満足しながらも変化を求める。
    関係性は、いらだちを感じさせると同時に満ち足りたものになり、
    共生的であると同時に自由でもある。私たちは日々、その中で生きていて、
    すでにこのことを知っている。私は夫を愛しているが、腹を立てることも
    しょっちゅうだ。
    これが、実際、人の人たるゆえんだろう。ともに生きるために、内的一貫性は
    必要ない。私たちは、私たちにとっての真実が様々であり、整然とした
    秩序に従うには人生は短すぎると感じている。

    p.175
    差別化は手段ではない。考え方だ。姿勢であり、傾聴や観察、吸収、尊重から
    生まれる。それは何よりも、取り組みなのだ。そして、その取り組みを
    通して人々に伝える。「ええ、私たちはわかっていますとも」
    まだまだ多くのアイデア・ブランドが登場する。間違いない。

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    以下参考になるまとめblogなど。

    http://www.keyis9.com/?eid=28
    過度に成熟したカテゴリーに関する消費者個人単位での
    セグメンテーションについてまとまっている。

    http://blog.isolibrary.com/archives/51610575.html
    全般。

    http://blogs.itmedia.co.jp/kichi/2010/11/post-e0e5.html
    IT製品での考え方。

    • qbominoさん
      tothefutureさんのレビュー自体が読み応えがありました。ラーメン二郎とアップル。興味深い対比だと思いました。
      読みたい気持ちにさせ...
      tothefutureさんのレビュー自体が読み応えがありました。ラーメン二郎とアップル。興味深い対比だと思いました。
      読みたい気持ちにさせていただきありがとうございました。
      2011/11/26
    • Masakiさん
      >qbominoさん
      あたたかいコメントありがとうございます。
      そう言っていただけると大変励みになります!
      >qbominoさん
      あたたかいコメントありがとうございます。
      そう言っていただけると大変励みになります!
      2011/11/29
  •  本当の意味の「差別化」について書かれている本。
     原書のタイトルはDifferent。

  • どう他のものと差別化するのかを、具体例を交えながらわかりやすく書かれていました。

    やっぱIKEAとかすげーわ。
    知らないイノベーションを起こしてる会社やその法則もあり、刺激的でした。

    そんな違いを作りアクション出来るとこで働きたい。

  • 成熟産業における競争戦略のありかたについて、とても示唆に富む内容だった。

    成熟産業において、競争が激化しすぎると、通常の差別化戦略が無意味になってしまう飽和点のようなものに到達する。

    そのような市場における競争戦略は、
    世の流れの逆を行く「リバース・ブランド」
    →任天堂のWii

    既存の分類を書き換える「ブレークアウェー・ブランド」
    →iPhone

    好感度に背を向ける「ホスタイル・ブランド」
    →ベネトン

    である。

  • 流行りのハーバードの授業スタイル。でも、難しい話ではなく、マーケティングの基礎。ただ今までの教科書的なモノからは進歩させており、作者とともに考えながら進んで行く。マーケティングに携わる初心者にお奨め。

  • HBSのマーケティングの授業の本。と言いながら、お固い話はあまりなくて、印象としては糸井重里に理論を補強した感じ。思わず、なるほどと思ってしまう事が多くて勉強になった

    P30
    このように画一的な測定方法には問題がある。一定の測定方法が定着すると、逸脱者や異端児、冒険家が生まれにくくなる。何であれ、比較する尺度ができれば、そこに群れが生じる。物理学の観察者効果よろしく、測定という行為は測定される側の行動に変化をもたらす

    P60
    かつて自己開示はダンスのようなものだった。わたしが少し心を開くと、相手も少し開いてくれる。私がもう少し話すと、相手ももう少し。親しくなるには、時間だけでなく相互作用が必要だった。微妙なやり取りを交わすたびに、相手に対する知識が蓄積され、やがて親しみが湧いていった。
    だが、インターネットはこの状況を一変させた。マッチ・ドットコム、フィスブック、フリッカー、ユーチューブ・・・。この過激な世界では、相互作用など必要ない。求めていなくても無料で捧げられる。ブログは公の場での告白と同じ。フェイスブックは自身のお披露目パーティーだ。テクノロジーが私たち全員の自己顕示欲を解き放ったようなものだ。しかも立ち入り禁止区域がなく、日常生活さえ赤裸々に語られる。ツイッターでは何百万人もが一日中、思い浮かんだことをつぶやき続けている。(中略)ここでは世界は刻々と動いている。ごく普通の人々の大胆さはどこへ向かうのか。すべてが自己表現の場であり、「自分以外の人にどう思われたいか」という問いに今風に答えている。だからこそ、インターネットはビジネスにとって宝の山なのだ。

    P68
    ビジネスパーソンは当然ながら自社ブランドにのめり込む。そのため、消費者とカテゴリーとの関係がどれほど強いものなのか見逃しがちだ。(中略)一方、化粧品店に行けば、自称コスメ中毒の大勢の顧客に出会うだろう。これはカテゴリーレベルの愛着だ。彼女たちは、化粧品というカテゴリーに魅了されている

    P99
    大きな発見の一つが、競合他社との出発点がまるで異なるからこそ、何年もの間、独自の差別化に成功し続けている、という事実である。模倣あふれる世界では、これは決して小さな成果ではない

    P105
    AIBOのようなブランドを、「ブレークアウェー・ブランド」と呼びたい。消費に関して言えば、私たちの分類は表面的で恣意的になりがちだが、消費行動に大きく影響を及ぼす。ブレークアウェー・ブランドは、そうした消費者の分類プロセスに意図的に介入し、デフォルトに代わるカテゴリーを提示する。「これが一切れのチーズに見えるのは分かっている。でも、空飛ぶじゅうたんだと考えてみたらどうかな」

    P106
    おむつ業界の競争が一筋縄ではいかないのは、顧客のライフサイクルが短いからだ。ほとんどの親は二歳前後でおむつを卒業させたがっており、二歳以上向けの市場はないと考えられていた。(中略)ところが、キンバリー・クラークはそこからヒントを得た。パンツのようにはける年長の子供向け商品を作ってはどうか。こうして「プルアップス」が誕生する。「おむつ」というカテゴリーから意図的に離れ、「幼児の下着」という別のカテゴリーへ

    P110
    ブレークアウェー・ブランドは、歩幅をぎりぎりまで広げようとする。差別化のプロセスを連続体の極限で解釈し、カテゴリーから外れない範囲で原型を保とうとする、彼らはカテゴリーにおける造反派であり、境界線の破壊者である。カテゴリー内にいながら、なおかつそこにとどまっていない

    P133
    ホスタイル・ブランドは、良かれ悪しかれ、他と摩擦が生じるほど激しい差別化を行っている。それが消費者にとっては、自身を差別化する機会となる。消せる入れ墨のようなもので、人前で見せるためのアイデンティティであり、すれ違いざまにお互いをほんの少し見せ合う手段である。私たちはみな、裏返したシャツの代わりを探し求めている。
    (中略)だが、これは必ずしも悪いことではない。完全に意見が一致していれば、お互いに語ることはあまりない。ホスタイル・ブランドは、文化の摩擦からエネルギーを得ていて、そこからある種の社会的対話が生まれ得る。

    P148
    ハーレーとダヴは、どちらも「違い」を生み出したブランドでありながら、方法がまるで異なっている。ハーレーは幻想を育み、ダヴは暴露する。

  • 消費者行動論についてわかりやすく解説してくれている。特にリバースブランド、ブレークアウェーブランド、ホスタイルブランドの概念は面白い。

  • 消費者志向戦略、的な。ブルー・オーシャンにも通ずる話。

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