ブルーエコノミーに変えよう

制作 : 黒川 清 
  • ダイヤモンド社
3.67
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本棚登録 : 41
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478013625

作品紹介・あらすじ

ブルーエコノミーとは、自然生態系から着想された経済モデルであり、「成長の限界」を克服し、「ゼロ・エミッション」を実現する、すべての人々が待ち望んでいた理想的な21世紀の経済と環境のビジョンである。カスケード(連鎖)的に利用することで持続的なビジネスを実現できる100個の技術的イノベーションを紹介し、そこから、競争型のレッドでもなく、援助型のグリーンでもなく、連鎖型のブルーエコノミーを実現し、10年間で、1億人の雇用が創出できることを説く本著は、現代人にもたらされた必読の書である。

感想・レビュー・書評

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  • ビジョンを示すリーダーはこのくらい夢あふれる語りであるべきなのだろう。簡単なことでないのは明らかでも、これがきっと向かうべき方向だ、と感じさせる。
    「プロセス」「原材料」「生産物」「成果」で組まれるフローチャートは思考方法として参考になる。

    [more]<blockquote>P013 おそらく京都議定書の最も重大な欠点は、ただひとつの持続可能性の問題、即ち炭素排出量への対処だけを狙いとしていることである。ただひとつの目標を掲げた政策と戦略はほぼすべて、コスト負担があまりにも重いという共通の問題を抱えている。

    P050 ビジネススクールの古い教えに基づいて操業している企業は今も多い。その中では、既成概念から踏み出すことは勧められない。

    P051 競合他社を圧倒する強みというコア・コンピタンスの盲目的な追求は、企業を社会の倫理から切り離し、道徳面での二重規範を作ることさえある。驚くことに、自社の活動による「悪影響が少ない」ことを、まるでよいことをしているかのように結論づける企業は少なくないのだ。

    P064 私たちは生分解性が持続可能性と同一ではないことを学んだ。貧困層の生活や、霊長類の命をリスクにさらすグリーンソリューションは、道徳的、倫理的に受け入れがたい、別の形のグリーンウォッシング、環境偽善にすぎない。

    P071 生態系は周りにあるものだけを使い、簡単に入手可能なものでニーズを満たすのだ。その土地の生物多様性があってこそのものであるため、生態系では標準化はほとんど役に立たない。結局のところ、生物多様性は文字通り多様性を基盤にしているのだ。

    P074 「自然のMBA」つまり生態系の「見事な適応力」は、資源や存続に必要なものを消費する代わりに、この惑星の物理の力を利用している。「自然のMBA」はとにかく驚異的でその成果は魅力的である。

    P115 シマウマは縞模様の相互作用によって生じる空気の流れで、体表温度を8.1℃下げることができる。

    P164 すべての惑星が太陽を中心に回り、太陽に頼っているというのに、まるで宇宙には他にやることがないかのように、一房のブドウを実らせる−ガリレオ・ガリレイ

    P233 自然では、非や燃焼はどちらかと言えば例外だ。乾物顔料が50%でも、燃焼によって処理することはない。人間は、廃棄物とみなせば何でも、水でさえも安易に燃やそうとする。取り扱いがわからないものは、何でも燃やす。

    P284 私たちの周りに豊富に存在する微小なエネルギーを活用する時代がきたのだ。これこそが、まさしくブルーエコノミーが提案していることである。</blockquote>

  • ・生態系を模した原材料、栄養分、エネルギーのカスケード(連鎖的)接続
    ・必要だったものを不要にする技術
    ・接続可能性を支えるプラットフォーム技術
    ・とてもユニークで検討すべきアイディア

    の4つに分けて、事例を説明。

  • ○この本を一言で表すと?
     持続可能な技術のイノベーションとその導入事例について書かれた本


    ○この本を読んで興味深かった点
    ・何となく聞いたことがあるZERI財団の設立者が著者だったということに驚きました。元々若くして複数の企業を設立してから自分のビジネスを見つめ直し、日本にある国連大学などに働きかけて持続可能な技術のアイデアを集めて実践していったという著者の行動力には驚かされました。

    ・「刊行に寄せて」をソフトバンクの孫正義氏が書いていたり、「まえがき」を国連事務総長次席兼UNEP事務局長とIUCN会長が書いていたり、推している人たちが豪華だなと思いました。

    ・全体的に妙に日本のことが多く取り上げられているなとは思っていましたが、この本が日本向けに加筆されて出版された本だということを最後の方に書かれてあった記述で知りました。加筆されたであろう箇所以外にも日本がよく登場していて、日本に縁のある著者の思い入れが伝わってきますし、日本が環境と言う分野では期待されている存在なのだなと思いました。

    ・実際に実現可能な技術、既に実現している技術などを知ることで、環境に対して打てる手はまだまだあるのだということがわかり、希望が持てる内容だなと思いました。

    ・シマウマの白と黒の縞が太陽光の吸収度合いの違いから温度差に繋がり、それが気圧差に繋がって空気の流れを作り、体表温度を8.1℃下げているという仕組みには驚かされました。(第3章)

    ・0.2%しか使われていないコーヒーの残りの99.8%がきのこ栽培に適しているということ、ジンバブエの孤児の少女チド・ゴヴェロが12歳でそれに着目し、事業を立ち上げたという話はすごいなと思いました。スターバックスなどのコーヒーショップで抽出後のコーヒーかすを集めてきのこを栽培することなども可能なのかなと思いました。(第4章)

    ・絹が金属と同じかそれに優る商品になり得ること、絹を生産するために必要な桑の木が土地の土壌を富ませることなどから維持可能な仕組みになるという話はすごいなと思いました。単一種生産による土壌疲弊をこういった形で解決できるという話には感動しました。(第4章)

    ・ワクチンを開発途上国に届ける方法として、マイクロソフトの元CTOが設立したコンサル会社でライフルの専門家とキャッシュディスペンサーの専門家と自動販売機の専門家を集めて開発した機材があることは知っていましたが、それは冷蔵を効率的にする仕組みでした。そもそも冷蔵不要にする技術ができていたというのはすごいなと思いました。(第5章)

    ・コロンビアの見捨てられたサバンナで植林活動を実施し、経済的にも自立できるようなシステムを作り上げたラスガビオタスの話はすごいなと思いました。その支援を日本政府が実施していたというのは初めて知りました。カリブ松を植えるときに菌根菌と一緒にして不毛な土地でも成長できるようにし、多彩な生物が生存可能な環境をつくり出し、食物やエネルギーも自給自足可能なしくみにしているというのは、こういった分野の可能性を感じさせるなと思いました。(第6章)

    ・携帯電話用の電波塔がディーゼルエンジンで動いているというのは初めて知りましたが、電波塔に風力発電のタービンを併設することで電力を自給できるというアイデアは理にかなっているなと思いました。風力発電はあまり実用的ではないという話を聞いたことがありますが、どう利用するかによっていろいろ考えることができるのだなと思いました。日本は世界有数の風力を得やすい環境にあるそうなので、風力発電とその供給方法が整備されれば原発が必要なくなるというのはある程度の説得力があるなと思いました。(第8章)

    ・発電所から交流を送るというシステムに疑問を持ったことがなかったのですが、直流で送るという選択肢があるというのは発電方法の選択肢も広がりそうだなと思いました。(第8章)

    ・ブータンが氷河を利用した水力発電による電力をインドに売ることで収入を得ているということ自体初めて知りましたが、気候変動の為に20年以内に不可能になること、それに代わる経済基盤を得るために新たな取り組みをしているということを併せて知ることができました。(エピローグ)


    ○つっこみどころ
    ・最初の100ページ弱は理想論ばかりで読んでいても面白くなく、ハズレの本かと思いました。それより以降は具体的な話になって格段に面白くなったんですが、本の構成としては失敗ではないかと思いました。

    ・東日本大震災について「日本で起きた三重の被害」という言葉が何度も出てきますが、「三重」を「みえ」と読んでしまい、「そんなに海外でも特筆するほどの被害があったのかな?」と思ってしまいました。結局「三重」が何を意味しているのかは書かれていませんでしたが、「地震、津波、原発被害」のことでしょうか。

  • グリーンの次はブルーエコノミー

  • ああ、これは夢が拡がるいい本です。
    すべての血の気の多い、そして悪いことよりはいいことをする方がうれしい野心家(企業家でも政治家でも)の人、これから社会の中枢となる若い人たちに読んでほしいなあ。そして片っ端からやってってくれないかなぁ。
    カテゴリーを「実用」にしたのは、実用であってほしいから、であります。

    「ブルーエコノミー」は、自然をお手本とした、連鎖によっていくつもの利益を得ることができる新しいかたちの経済モデル。

    いわゆる「エコ(ロジー)」なことを考えると、手間とお金をよけいに使ってでも自然を守りましょうというようなところがあって、なんかもやもやします。こう、自然派とつけばなんでもちょっとお高くて当たり前、みたいなね。その分はちょいといいことやったった的な自己満足でおつりがでればいいですけれどもね。
    あと、実は本当にそれが自然にいいことなのかもよくわかんないしなあ。

    「ブルーエコノミー」はあくまでビジネスのお話なので、ちゃんと採算を考えます。自然のシステムを元にすれば、廃棄するものなんてない、というのが基本的な考え方で、いちいちなるほどなあ、と思ってしまいます。そしてかならずそのことによって雇用が確保される、というのも私の好みです。
    あまりにたくさんの例が羅列されているのでちょっと途中でだれてしまいましたが^^;

    最後に「日本を脱原発で経済再生させる」という章があります。
    本当に、権力と実行力のある人に読んでほしいなあ....
    あのね、検討するだけでもいいんです。「反・反原発」の人たちってもう最初に原発ないと絶対だめでしょ、これだから無知蒙昧な輩はみたいな前提で話すでしょ。読売新聞の社説の人とか編集手帳の人とか、とりあえず読んでください。

    追伸:孫さん、頑張れ。そしてよろしくお願いします。

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