つながりすぎた世界

  • ダイヤモンド社
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478015216

作品紹介・あらすじ

政治動乱、金融危機、個人情報流出…。インターネットによりかつてなくつながり合った世界では、小さなきっかけが時に一国を揺るがす大問題へと発展する。「便利さ」とひきかえに「脆さ」を露呈しつつあるこの社会を、私たちはどう生き抜けばよいのか。ネット時代を黎明期から知るシリコンバレーの重鎮が警鐘を鳴らす。

感想・レビュー・書評

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  • 正のフィードバックがあるシステムでは、異常事態が発生すると、それが暴走する。バブル経済がその例。インターネットの普及により、正のフィードバックが加速しているため、暴走のリスクが高まっている。その抑制のために、何らかの政策をとる必要がある。

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  • [private]かのっぴ[/private]
    [memo]ネットの副作用について。著者は「過剰結合」と「正のフィードバック」という言葉を用いてそれを説く。インターネットは21世紀の情報化社会の「神経網」であり、情報はただで効率よく運び、各々独立していたシステムを、結びつけ強めていく(過剰結合状態)多くのシステムや思想が結合し、強化され変化を促し結果、思いもよらない結果を招くこともある(正のフィードバック)。
    ここでいう「正のフィードバック」とは、「ある変化がさらなる変化を生み出す」というものであり、結果の望ましさは関係がない。
    さらに著者のこの考え方を補強したのが、チャールズ・ペローであり、彼は「非常に複雑で高度に結合したシステムでは事故が発生するのは当然であり不可避だ。そればかりか、安全性を高めるほどに事故が起きる蓋然性を高めてしまう。」とする。それを裏付けるため、原子力発電所のメルトダウン、化学工場の爆発、船の衝突など様々な災害を検証しているという。


    <blockquote>自動車は移動の自由をもたらし、郊外を生み出し、二十世紀の反映に大きな影響を及ぼした。だが、自動車の副作用に気づいていた人はおそらくいなかっただろう。いや増す都市のドーナッツ化、長時間通勤、化石燃料をめぐる不安定な政策への依存、汚染、都市の空洞化現象などだ。そしていま、私たちはインターネットの副作用を初めて経験しつつある。(P.127)</blockquote>

  • 図書館

  • 世の中はネットによって、管理不可能なほど繋がりすぎている。ということ、だろうか。対策は荒唐無稽と感じたが、事態はその通りと感じた。

  • 「つながること」も、度が過ぎるとエライことになるよ!
    今はインターネットがあるから、そのスピードもエライことだよ!という話。

    急激につながりが増えると、急激な変化を引き起こす。
    そして、環境がその急激な変化についていけない・・・

    これがフィードバックされ、急激に制御不能な状況になると著者は言う。
    それを防ぐには「規制」が必要だとも。

    インターネットの「つながり」が、その爆発的な崩壊の一助になった2008年の金融危機と、鉄道網が発達した19世紀のアメリカでおこった精肉業の変化を対比するところなど面白い。
    インターネットと鉄道網が「つなげる」という意味では、同じような役割なのだそうだ。

    まったくインターネットとは関係ない話なのだけれど・・・
    原子力発電所が、制御できると考えるには危険すぎる例としてあがっている。
    核分裂で発生するエネルギーを正のフィードバックと呼ぶなら、制御棒が分裂のエネルギーを吸収するのは、負のフィードバックといえる。
    必要以上に分裂しないようにする仕掛けではあるが、それがどれだけ綱渡り的なものであるかは、2011年の地震で証明されてしまった。

    著者が言うように、すでに制御できないレベルまで世界は繋がってしまったのだろうか?

  • テーマは面白いけど結論ありきって感じで、「繋がっているからこそセーフティネットにもなる」といった相反する論理もあると思うのだけど、それに関する言及が無かったのが残念。
    見出しにあった「思考感染」というキーワードから攻殻機動隊的な何かを期待したが、メカニズムの解説などではなく「そういう現象があった!」と述べるだけで終わっていた点も少し物足りない。
    本書のメインとなる題材は金融危機だけど、エンジニア的には、「つながりすぎた世界」を「相互依存性の高いコード」と読み替えるとソフトウェアの設計に通じるものがあって、そこは面白かった。

  • 2012年刊。

     インターネット等による過剰結合状態が、正のフィードバック(ループにおける回転がどんどん増していく状態)を加速し、制御不能になる実態を、種々の例を挙げて解明するものである。
     音楽やメディアに関しては他書でも触れられているが、結合過剰の問題について、ベルリンの壁崩壊や年金・健康保険制度を示して説明する点は独特である。
     年金・健康保険を(連邦)予算と結びつけるのは、高リスクのシステムと低リスクのそれとを結合させ、低リスクのシステムの機能不全に陥ると述べる。ただし、どうにも腑に落ちず、年金・健康保険制度については個人的には勉強の要ありと感じたところだ。

     また原発再稼動に関し、少し考えたいのが次の指摘。
     すなわち「短期的な対策は割安でいかにも実効性がありそう…だが、…より長期的な問題が隠されてしまい、もっと深刻な損失を招く」と著者の主張。著者はハリケーン・カトリーナからこれを導いたが、原発問題も同様に妥当するところだろう。

     ところで、ベルリンの壁崩壊の流れにつき、①従来から西独は東独住民にパスポートを配布。②ゴルビーのペレストロイカの影響で、ハンガリーとオーストリア間での渡航制限を撤廃。③ハンガリーが東独市民の無制限移住を容認。
    ④東独市民の①のパスポート利用による西側への流出、⑤移転できない東独市民の不満蓄積という展開というあたりは記憶に入れておくべき事実かな。

  • システムがつながりすぎて、複雑になると負の連鎖も大きくなるという内容。インターネットの普及によりつながり度が加速度的に増えたと。実証的に説明しているが、ちょっとくどいか。

  • インターネットでつながったことで正のフィードバックが非常に大きくなり、その結果として様々な事象が発生していることはわかった。
    流れは止められず、昔に戻すことは現実的ではないし、つながったことの利点も消すことになる。

    つながりすぎ対応方針はいくつか示されている。しかし、私がどうしたらよいか想像するのが難しかった。

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