ピクサー流 創造するちから――小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法

  • ダイヤモンド社
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本棚登録 : 1213
レビュー : 98
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478016381

感想・レビュー・書評

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  • 原書タイトルは"CREATIVITY, INC."
    個人的には、どちらかというと"INC."の方が強い意味合いで、「どうしたら創造的なアイデアを生み出せるか」という個人向けの本ではなく、「どうしたら会社全体の創造性を保ち、伸ばしていけるか」というコミュニケーションの本なのかなと。
    アニメーション制作会社の話ということで、一般のサラリーマンとは随分毛色が違うかなと思っていたのですが、読んでいるうちに、チームで成果を出すという本質は変わらないと気付き、身近な例に当てはめながら読み進めました。

    思い出語りではなく、生々しい経験と実践的な学びが詰まっていて、勉強になります。
    キャットムル自身が社長なのでマネジメント寄りの観点も多く、いかにしてチームの文化を創造して管理するかについて書かれています。
    ちなみに、日本のアニメ制作業界は結構デスマーチ的だという話を聞きますが、本書を読むとアメリカだってクリスマス休暇を返上したりしてます。どこだってこういう要素はあるもので、ただ時間を費やすだけでなく、問題意識を持ってコスト意識を持って粘り強く取り組むことの重要性を感じました。

    終章のスティーブ・ジョブズとの思い出は非常に心温まる話でした。あと、巻末には要点をまとめたメモがついていて大変実用的。
    手元に置いて、繰り返し読みたい本です。

  • トイ・ストーリー他、数多くのヒット映画を生み出してきたピクサーの想像力(Creativity)に迫った本。
    第三者による批評ではなく、ピクサー社長本人による本なので、本の中身にリアリティーがある。

    結構驚きだったのが、社長はもともとアニメーションを研究していた技術者で、
    あんまり経営に精通していたとは思えない点。
    しかし、技術者ゆえに、エンジニアやクリエイターの豊かな発想を維持するための企業文化や風土をとても大切にしている様子がよく分かる。

    少し前に出た、ピクサーのCFOが書いた本も合わせて読めば、
    ピクサーという不思議な会社を立体的に理解することができそうだ。
    (自分は残念ながらまだ未読。)

  • 本書は、ピクサーの共同創設者でピクサー及びディズニー・アニメーション社長の著者が書いた、「ピクサーの社員やエンターテインメント界の管理職やアニメーターだけでなく、創造性と問題解決力を育む環境で働きたいと思っているすべての人に向けた」、「持続する創造的な企業文化を築く」ための方法論。

    その要諦は、上下の別なく誰にでも躊躇せず率直に批判的な意見や提案が言えるようにする(風通しの良い社風が保たれているか常にチェックし、工夫を凝らすことが必要)、チームワークが最大限発揮されるようにする(共感力、寛大さ、聞く力などを養う)、できるだけ規則を減らし、管理を緩める、社員を信頼して情報をできるだけオープンにする、全社員に問題解決の権限を与える(一番詳しい者がすぐにリカバリーできるようにする)、福利厚生を充実させて社員の働きやすさに最大限配慮する、「隠れしもの」(自分自身の思い違いやバイアス、盲点=知り得ない問題)の存在を自覚する、保守的に成らないよう常に意識し、失敗を恐れず果敢にチャレンジする(失敗は必然、とりあえずやってみて早めに失敗してやり直す方が慎重過ぎるよりダメージも小さい)、といったところか。

    どれも、こんな組織で働きたいと思わせる素晴らしい取り組みばかり。もちろん、社員を信頼して任せるからには、社員の一人ひとりが粋に感じて責任を自覚し、モチベーション高く仕事してもらわないと困るし、当然、高いレベルのアウトプットが求められる。まあ、そもそも芸術作品を創造するっていう仕事は(産みの苦しみはあるにしても)クリエイティブで楽しい仕事な訳だし、厳しい管理と馴染まない職種ってこともあるのかな?

    全社員一丸となって映画の高いクオリティを維持しつつ手間やコストを下げる工夫に取り組んでいたり(「AND」の才能の重視)、著者たちが去った後もピクサーらしい強烈な企業文化が残るよう仕組みづくりに腐心していたりと、ピクサーもビジョナリー・カンパニーなんだな!

    著者は、スティーブ・ジョブズの人となりについてもページを割いて熱く語っている。スティーブは、最初は資金を提供してくれた後援者、その後は庇護者(内部的には建設的な批評家、外部に対しては猛烈な防御者)としてピクサーに関わった。著者は、直情的で傲慢、強引で扱い難かったスティーブが、(エンタテインメントの素人として)ピクサーと関わることによって大きく変わった(共感や思いやりや忍耐強さを見せるようになった)という。物分かりのよいスティーブ・ジョブズってイメージしにくいなあ。

    いずれにしても、組織のあり方やマネジメントについて深く考えさせられた一冊だった。

  • ピクサーの歴史とピクサーの創造力の基盤たる思想や仕組みについて、ピクサー・アニメーション・スタジオ共同創設者であるエド・キャットムル氏によって語られる本書。

    創造力。
    言葉にすると至ってシンプル。
    しかしながら、これを有能な人材に最大限に発揮させ、また、組織として継続的に向上・維持させていくことは、たいへんな労力と努力を要する大きな課題であろうと想像します。
    本書では、この課題に対するピクサー(やディズニー)での試行錯誤と失敗と成功について、時系列に、そして、すばらしい具体性と臨場感をもって語られています。

    まず何よりも人が大切であるということ。
    創造力の源であり、意志ある人材のみが何かを創り出せる。
    人と人をつなぐコミュニケーションが重要。
    人と人とのつながりが、時に創造力に相乗効果をもたらし、時に建設的な批判によって創造力を磨き上げる。
    個人の力と集団のつながりを支える思想や考え方、また、システム(仕組み)や組織が必要。
    失敗や変化を積極的に受容する思想、人と人とのつながりを促進する仕組み。
    そして、これらの人・組織の現実世界での存在を可能とする資本やインフラが不可欠。
    資本やインフラがなければ映画などのエンタメ作品は創れない。
    スティーブ・ジョブズとの出会いと協働の大切さ。

    本書を通じて、ピクサーの歴史に関する知識を得られることもまた楽しい。
    ピクサー作品はすべて鑑賞し、大いなる親近感を抱いている私ですが、お恥ずかしながらピクサー・アニメーション・スタジオという企業の変遷についはほとんど存じ上げずにおりました。
    大学における研究、ルーカスフィルム、スティーブ・ジョブズとの出会い、ディズニーとの距離感の変化などなど。
    ピクサーという会社の成長過程を、共同創業者の視点から振り返るといった点も本書のたのしみのひとつです。

    そして、終章。
    様々なメディアで様々に語られるスティーブ・ジョブズ像。
    本書の終章にて、著者による、著者にとってのスティーブ・ジョブズへの想いが綴られています。
    アップルとは別の企業ではあるものの、スティーブ・ジョブズと非常に近い場所で接した著者ならではのスティーブ・ジョブズ像かと思います。

    訳者あとがきを含めて413頁の本書。
    1頁あたりの文字も比較的びっちり詰まっていて、なかなかの読み応え。
    (43字×18行×413頁=約32万字 ⇒ 400字詰め原稿用紙約800枚!!)
    が、大変興味深くて身近なテーマに加え、とても読みやすい翻訳のおかげで、のめり込むとスイスイ読めます。

    作品を鑑賞する度に感動と驚きと喜びを提供してくれるピクサー作品。
    これまでのピクサー作品、そしてこれからのピクサー作品。
    創造力への思いを胸に、観る眼が一段も二段も上がったように感じる読後感です。

  • 分厚い本なので読むのを後回しにしていたのだが、それを後悔するほど深い洞察力と人間愛、そしてアニメーションとそれらに携わる人たちの未来を守るために、ピクサーがどれほど全力を尽くしているのかが描かれた優れたビジネス書でした。

    この本に出会えて良かった。トゥイーンにはいつもお世話になっております!

    特に最終章丸々さいてスティーブ・ジョブスへの尊敬と愛情(人々が思っているジョブス像は違うんだ!)については涙を禁じ得ませんでした。

  • おもしろかった! 分厚くて密度の濃い本なので読むのになかなか時間がかかったが、それだけの価値がある一冊。具体的には「ピクサー誕生まで」「創造力を引き出し組織を活性化させる方法」「ディズニー・アニメーションの復活」の3部に分かれており、時に自伝的でありながらしっかり読者に伝えたいビジネスマインドがメッセージとして組み込まれており、読んでいるとワクワクする。そして最後にピクサー裏の立役者、スティーブ・ジョブズの話を持ってくるあたり、本としての構成もさすがと言わざるを得ない。

  • 創造性と問題解決力を育む環境で働きたいと思っているすべての人に向けた本。

  • 時々出てくるスティーブ・ジョブズの話が強烈で面白い。

    ピクサーは技術者集団かと思っていたが、それが覆された。
    技術以外の情熱や人々との交わりとアナログなものを重視しそれがピクサーの価値となっていることがわかる興味深い話だった。

  • リベンジ

  • ビジネス書を読み過ぎて新たな驚きは無くなってしまったけども…
    やはり、ピクサーという自分の幼少期を彩ったスタジオの内部事情をここまで詳細に知ることができるだけで読む価値はある。

    そして、やはり第四章以降が特に面白い。
    ディズニーとの合併から名門の再興まで。
    そしてスティーブジョブスについて。

    同シリーズのお金のはなしでもジョブスについて記載があったが、彼の人間性や、結婚後の変化について同様の捉えられ方をされているので、今は亡き彼の人間性を垣間見ることが出来る点も評価。

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