「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

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  • / ISBN・EAN: 9784478016879

感想・レビュー・書評

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  • 【レビュー】
    『失敗の本質』も読んだが、正直、ビジネスにあてはめるという点では
    本書が必要かつ十分だと思う。一読を勧める。
    【特記事項】
    ・「想定外」の変化に対応できる組織だけが生き残る
    ●戦略性:
    ・目標達成につながらない勝利が多かった。
    ・大局的戦略とは、目標達成につながる勝利とそうではない勝利の峻別、そして前者の追求である。
    ・戦略とは、追いかける指標である、ともいえる。生産力か、一大決戦での大勝利か、という指標の選び方の違い。MPUで日本勢は性能を、外国勢は別の指標を採用した。
    ・これまでの日本の勝利は、経験に基づく偶然に依拠することが多かったが、それではまずい。
    ・いつまでも同じ指標で、同じ土俵で戦うな。
    ●思考法
    ・不利になれば、ゲームのルールを変える、という発想が必要である。日本軍は訓練による精度向上を図り、米軍は精度が悪くても破壊できる武器を作った。どちらが優れているか。
    ・日本は戦術側面から、一つのアイデアを徐々に精錬していくパターンだが、グランド・デザインから思考するパターンの修得が必要。
    ・目標と問題構造を所与のものとした思考ではなく、それら前提を疑う思考(ダブル・ループ思考)が求められる。
    ●イノベーション
    ・既存の指標を発見し、それを無効化し、新たな指標で戦うこと。
    ●現場重視の組織運営
    ●リスクは隠すな。それをコントロールすることこそ、真のリスク管理である。

  • 名著「失敗の本質」をビジネスに生かすにはどうしたらよいか、原作のエッセンスを凝縮してビジネスにあてはめて解説。

    「失敗の本質」はよく薦められるんだけれど、どうも難しそうで手に取れず。
    その入門編ということで読んでみた所、とってもわかりやすく、日本軍が負けた理由の本質、そしてそれが現在の日本においてもそれが引き継がれているという事を解説されていました。

    ■戦略性の弱さ。
    ■革新が苦手で練磨が得意。
    ■既存のルールに習熟することばかりを目指す気質。
    ■型の伝承にこだわりイノベーションの芽をつぶす要素があること。
    ■上層部と現場の分離。
    ■環境変化に対応するリーダーの不在。
    ■リスク管理の誤解、空気の存在。

    もー、どれもこれも思い当たる事満載で。。。。。イタタタタ。。痛すぎる。
    これ、確かに日本の企業でいーっぱい起こってる事だと思う。
    勿論戦時中の体験はないんだけど、あああ。。こんな理由で敗戦まっしぐらだったんだとリアルに納得できました。

    でもなー、戦後67年、「失敗の本質」が出てからも30年近く、でもやっぱりいかせてないって、これホントに民族性なんでしょうね。。。
    ライフスタイルも考え方も、変わっているとはいえ根っこがそうだというか、そういう資質を持っている人が多い民族。

    だとすると多少改善はするとは思うけれど、逆資質に変えるってのは相当難しそう。もうこういう資質っての踏まえた上で戦略立てたほうがいいんじゃないかな。
    戦時だとそうはいかないんだけど、ビジネスならそういう戦略もありじゃないかと。常にNo1戦略じゃないと勝てないってわけでもない。
    あと、国の戦いじゃないからね、グローバル企業だと他民族で構成できるわけだし。

    問題点を指摘しているところまで、で、それをどうするか、までは語られてません。それもあってか読後感はため息。
    原書は読むとさらにくらーくなりそう。。。なので躊躇してしまいますが、この本は読んでみてよかったです、お勧めの1冊。

  • マインドマップにセントラルイメージにゼロセンを書いてみたけど、あまりにヘタクソさに、強烈に記憶に残ったMMができてしまった。

    著者、鈴木博毅さんの講演を聞いた。
    講演より、書籍の方がはるかに納得度が高い一冊である。

    10秒Talk
    →戦略とは追いかける指標のことである。勝利に繋がる指標をいかに選ぶかが戦略である。指標があっている場合と間違っている場合を事例をもとに解説してくれている。

  • 各方面で話題になっているようですが、読み進める上で、「で、さらにその本質とは?」という部分には触れていないように思いました。これ以上は、原著を読み進めるしかない?

  • 「失敗の本質」のザ・入門編です。
    難解なので、こっちから入ったほうがとっつきやすい。

    日本軍の敗戦の原因ともいうべき内容が、
    実は現代ビジネスでの日本の衰退の原因と同じ。
    要するに昔からの失敗を今も改善されることなく、
    継続して繰り返しているというわけだ。

    何とも悲しいが、説得力がある。
    例えば…
    ①イノベーションを起こすことが出来ない
    ②リーダーシップが弱い
    ③現場を活かすことが出来ない
    といった感じ。

    今でもそうですよね。
    譲り合いの精神が強いのか、リーダーシップ無いし、
    何かトラブルが発生しても、上の人たちは現場に来ることなく、
    思いつきだけで判断するから、現場が改善されることもない。
    ③なんか、今やっている仕事で一番不満に思っていることだ。

    「現場を活かせる」
    「いろんな視点を持った」
    「責任感のある」
    リーダーが増えてくれれば、
    もう少し日本もよくなるのかなあ。

    ①は自分も弱い分野なので、広い視野で物事に取り組んでいきたい。

    以下内容整理:
    ・日本人が得意とするのは「体験的戦略」である。
     体験的戦略とは、結果的に気付いたいわゆる「偶然」によって
     生み出された戦略であり、イノベーションのような事前に練った
     戦略とは真逆の戦略である。

    ・体験的戦略は、そもそも何故今回成功したかが分からないため、
     似たようなビジネスに当てはめても大概は上手くはいかない。
     それは、成功の前提が何なのか?が十分に考えられていないからだ。
     だから、成功体験を読むだけでは行き詰ってしまう。

    ・日本には匠の技に代表するように、特定分野を極めるのに長けている。
     これには欧米諸国も太刀打ちできないが、実際のビジネスを見ると、
     明らかに日本が負けている。
     これは、創造的破壊(ヒト、技術、運用)により、戦うときのルールを
     変えたうえで戦っているためである。いわゆる、「同じ土俵で戦わない」
     といった感じだ。

    ・創造的破壊により出来上がった戦略のことをイノベーションという。
     これは、机上で考えるだけではできず、現状を把握する能力が必要。
     そういった意味では、現場を見るということを止めてはいけない。
     ユニクロが成長した理由も柳井さんといった現場主義者がいるからだ。

    ・イノベーションを起こすには以下手順を踏むこと
     ①既存指標を発見する
     ②既存指標を無効化する
     ③新たな指標を発見する

    ・強いリーダーとは以下条件を満たす人のことを言う
     ①組織にとって「最前の結果」を導けること
     (自分の考えに固執しないこと)
     ②組織の全能力を柔軟に引き出せること
     (メンバーの特徴を把握すること)
     ③問題に対しては常に危機感を持ち、強い覚悟を持って挑むこと
     (逃げてはいけない)

    ・選択した戦略が失敗だったとわかっていても方針転換は難しい。
     サンクコストや意地といったものが背景にあるからだ。
     後になればなるほど、方針転換は難しくなる。
     そういった状況でも方針転換出来るようにならないと大損害につながる。

    ・リスク管理をやった結果、何も起きなかったとしても無駄ではない。
     リスクの周知により、メンバーが注意して作業をするようになるからだ。
     そのためにも、リスクを洗い出すときはメンバーにも参画してもらい、
     自分たちのリスクであることを自覚させることが大切。 

  • 想定外の変化に対応する組織だけが生き残る
    日本軍も日本企業も転換点に弱い
    失敗の本質から学ぶ敗戦の7つの理由
     戦略性 日本人は大きく考えることが苦手であり、俯瞰的な視点から最終目標への道筋をつけることに失敗しがち
     思考法 日本人は革新が苦手で練磨が得意
     イノベーション 自分たちでルールを作ることができず、既存のルールに習熟することばかりを目指す
     型の伝承 創造ではなく方法に依存する
     組織運営 日本軍の上層部は現場活用が徹底的に下手
     リーダーシップ
     日本的メンタリティ 空気の存在や、厳しい現実から目をそむける危険な思考への集団感染。リスク管理の誤解

    1 戦略の失敗は戦術で補えない
     目標達成につながらない勝利の存在 日本軍の努力の70%は無意味
     戦略とは目標達成につながる勝利を選ぶかを考えること。日本人は戦略と戦術を混同しやすいが、戦術で勝利しても、最終的な勝利には結びつかない

    2 指標ことが勝利をきめる
     石原莞爾 戦線の限定、縮小の必要性を説く 持久総力戦という発想 国家の国力、生産補給力で勝敗がきまる
     日本軍 決戦戦争という発想、どこかの戦場で大勝利すれば勝敗が決る

    勝利につながる指標をいかに選ぶかが戦略である。性能面や価格で一時的に勝利しても、より有利な指標が現れれば最終的な勝利には繋がらない

    3 体験的学習では勝った理由は分からない
     大局観に欠け、部分にのみに固執する日本軍
     体験的学習で一時的に勝利しても、成功要因を把握できないと、長期的には必ず敗北する。指標を理解していない勝利は継続できない

    4 同じ指標ばかり追うといずれ敗北する
     体験的学習や偶然による指標発見は、いずれ新しい指標に敗れる。勝利体験の再現をするだけでなく、さらに有効な指標を見つけることが大切。競合と同じ指標を追いかけてもいずれ敗北する

    5 ゲームのルールを変えたものだけが勝つ
     練磨の文化をもつ日本と日本人の美点 型を反復練習することで型を超える 操縦技能、射撃精度を極限まで追求した日本人 当たらなくても追撃できる兵器をつくったアメリカ人(VT信管)
     日本は人にアイデアを洗練させていく練磨の文化。しかし、閉塞感を打破するためには、ゲームのルールを変えるような、劇的な変化を起こす必要がある

    6 達人も創造的破壊には敗れる
     技術の運用法を変えてゼロ戦を追撃した米軍 相手が積み重ねた努力を無効にする仕組み

    既存の枠組みを超えて、達人の努力も無効にする、革新型の組織は、人、技術、技術の運用の3つの創造的破壊により、ゲームのルールを根底から変えてしまう

    7 プロセス改善だけでは、問題を解決できなくなる

     シングルループ学習 目標や問題の基本構造が、自らの想定とは違っているという疑問を持たない学習スタイル
     ダブルループ学習 想定した目標や問題自体が違っているのではないかという疑問検討を含めた学習スタイル

    ダブルループ学習で疑問符をフィードバックする仕組みを持つ。部下が努力しないからだめだ、と叱る前に問題の全体像をリーダーや組織が正確に理解しているか再認識が必要

    8 新しい戦略の前で古い指標はひっくり返る

    戦略とは追いかける指標

    戦闘の勝敗を決定する指標の発見 敵の指標が効果を発揮しない領域を探す
    イノベーションを想像する3ステップ
     戦場の勝敗を支配している既存の指標を発見する
     敵が使いこなしている指標を無効化する
     支配的だった指標を凌駕する新たな指標で戦う

    イノベーションとは支配的な指標を差し替えられる新しい指標で戦うことである。同じ指標を追いかけるだけではいつか敗北する。家電の「単純な高性能、高価格」はすでに世界市場の有効指標ではなくなった

    9 技術進歩だけではイノベーションは生まれない
     日本人は体験的学習から過去いくつものイノベーションを成し遂げたが、計画的に設計されたイノベーションを想像するためには、既存の指標を見抜き、それを無効化する新しい指標をダブルループ学習で見出す必要がある

    10 効果を失った指標を追い続ければ必ず敗北する

     イノベーションは既存の戦略を破壊するために生み出されており、効果を失った指標を追い続けることは、他者のイノベーションの餌食となることを意味する。高性能とイノベーションは偶然重なることもあるが、本来は別の存在である

    11 成功の法則を虎の巻にしてしまう

     日本軍と米軍の強みの違いが、大東亜戦争の推移と勝敗を決定した。型の伝承のみを行う日本の組織が勝利の本質を伝承できていないことで、強みを劣化矮小化させて次世代につなげている

    12 成功体験が勝利を妨げる
     戦略を以前の成功体験をコピー拡大再生産することであると誤認すれば、環境変化に対応できない精神状態に陥る。型のみを伝承することで、本来必要な勝利への変化を全否定する歪んだ集団になってしまう。常に勝利の本質を問い続けられる集団を目指すべき

    13 イノベーションの芽は組織が奪う
     一人の個人が行うイノベーションでさえも、組織の意識構造によって生み出されるか、潰されるか左右される。「型の伝承」から離れ、勝利の本質を伝承する組織になることで初めて、所属するすべての人間が変化への勝利に邁進できる集団となる

    14 司令部が現場の能力を生かせない
     あなたが知らないという理由だけで、現場にある能力を蔑視してはいけない。優れた点を現場にみつけたら、自主性独立性を尊重し、最大最高の成果を上げさせる

    15 現場を活性化させる仕組みがない
     米軍は作戦立案する中央の作戦部員が、現場感覚と最前線の緊張感を常に失うことなく侵攻に邁進できた。現場の体験、情報を確実に中央にフィードバックし、目標達成の制度と速度をさらに高めていく仕組みをつくる必要がある

    16 不適切な人事は組織の敗北につながる
    厳しい課題に直面していたら、お飾り人事を徹底排除し、課題と配置人材の最適化を図ること。能力のない人物を社内の要職に放置すれば、競合企業を有利にさせる以外の効能はない

    17 自分の目と耳で確認しないと、脚色された情報しか入ってこない

     組織の階層を伝わってトップに届く情報は、フィルタリングされた担当者の恣意的な脚色、都合のいい部分などが強調されていることが多い。問題意識の強さから、優れたアンテナをもつトップは、激戦地(利益の最前線)を常に自らの目と耳で確認すべき

    18 リーダーこそが組織の限界を作る

    チャンスを潰す人の3つの特徴
     自分が信じたいことを補強してくれる事実だけをみる
     他人の能力を信じず、理解する姿勢がない
     階級の上下を超えて、他者の視点を活用することを知らない
    リーダーとは新たな指標を見抜ける人物
    戦略を理解しないリーダは変化できない

    愚かなリーダは自分の限界を組織の限界としてしまう。逆に卓越したリーダーは組織全体がもっている可能性を無限大に引き出し活用する

    19 間違った勝利の条件を組織に強要する
    間違った勝利の条件を組織に強要するリーダーは集団に混乱を招き、惨めな敗北を誘発させているだけである。求める勝利を得るために、正しい勝利の条件としての因果関係に、繊細かつ最大限の注意を払うべきである

    20 居心地のよさが、問題解決能力を破壊する
    居心地のよさとは正反対の、成果を獲得するための緊張感、使命感、危機感を維持できる不均衡を生み出す組織が生き残る。指揮をとる人間には、見たくない問題を解決する覚悟の強さが何より要求される

    21 場の空気が白を黒に変える
    空気とは体験的学習による連想イメージを使い、合理的な議論を行わせずに、問題の全体像を一つの正論から染め上げてしまう効果を持つ。議論の影響比率を明確にし、意図的な空気の醸成が導く誤認を打ち破る知恵を身につけるべきである

    22 都合の悪い情報を無視しても問題自体は消えない
    方向転換を妨げる4つの要素
     多くの犠牲を払ったプロジェクトほど撤退は難しい
     未解決の心理的苦しさから安易に逃げている
     建設的な議論を封じる誤った人事評価制度
     こうあって欲しいという幻想を共有する恐ろしさ
    情報を封殺しても問題は消えない
     情報や正しい警告を受け入れなくとも、問題自体は消えることはない。グルーブシンクやサンクコストの心理的罠にどれだけ早く気付き、方向転換できるかが組織の命運を決める

    23 リスクを隠すと悲劇は増大する
    コンティンジェンシープラン(万が一を想定した計画)のない状態が招く2つの悲劇 損害を劇的に増やす、新たな損害を自ら生み出す

    リスクは目を背けるものでも隠すものでもなく、周知させることで具体的に管理されるべきもの。ビジネスでは、リスクをかわすのではなく、徹底して管理しなければ、存続していくこと自体が難しくなる

  • 「超」とか「入門」とか「ジレンマ」とか無理矢理キャッチーな題名にしているが、名著『失敗の本質』を解説している良書である。
    『失敗の本質』を座右の書としている身としても、十分読みごたえがある内容である。
    本編の『失敗の本質』では、戦争の臨場感も伝わってくる内容となっているが、本書は、随所にアップル、インテル、日産等の現在の企業との対比を交えながら本編を捕捉する内容となっている。

    本書を読んでから本編に行く道筋もあると思うが、本編を読んだ人にこそ本書を勧めたい。

  • 大東亜戦争における日本軍の組織的失敗を研究した名著「失敗の本質」。
    本書はそのエッセンスのみを抽出した入門書。
    「失敗の本質」が言わんとしているポイントと共に、現在の企業事例を織り交ぜながら解説しているため、50年以上前の教訓がすんなりと頭に入ってくる。 元々の「失敗の本質」を読んでいないが、正直本書だけで十分ではないかと思うほどである。

    一番のポイントは、日本は「時代の転換点」に弱いというところ。
    従来のルールの中で改善を重ねて研ぎ澄してゆく能力において日本人は卓越している。 しかしながら、それ故にルールを覆す出来事が起ると途端に競争力を失う。 日本人は、自らルールを覆す側に立つことは稀で、また転換点に対する感度も低い。

    本書では「失敗の本質」の要諦を以下の7つの視点から解き明かしている。
    1) 戦略性
    2) 思考法
    3) イノベーション
    4) 型の伝承
    5) 組織運営
    6) リーダーシップ
    7) メンタリティ

    それぞれが章に分けられているが、概要は以下のとおり。
    <戦略性>
    戦略とは、目標達成につながる勝利を目指すための考え方。 その為には勝つための「指標」を定めること。
    「指標」を間違えると局地的には勝利しても、無駄な勝利となってしまい目標達成には繋がらない。

    <思考法>
    日本は練磨の文化を持つ。 日本軍は超人的な猛特訓・練磨で培われた精強な能力が有ったが、米軍による新技術導入で長所を無効化された。
    既存のルールを基盤とした延長線では限界がくることとなる。

    <イノベーション>
    イノベーションを創造するための3つのステップを紹介。
    (1) 「既存指標の発見」
    (2) 敵の指標の無効化
    (3) 「新指標」で戦う

    <型の伝承>
    日本人は、武道と同様正しいとされている「型」を伝承する文化がある。 それと同様、ビジネスの世界においては、過去の成功体験が「型」として優先的に受け継がれている傾向にある。 過去の体験を伝承するのではなく、「勝利の本質」を伝えていくことが大切。

    <組織運営>
    上位下達の組織体系は組織の閉塞化を助長させる。 新戦略が生まれる場所はどこか?という点を正しく認識し、現場を活性化・情報のフィードバックをする仕組みを作ること。 不適切な人材が要職につく・ついていることは競合他社に有利になるだけなので、正しい人事評価の指標を持ち、組織の最適化に努めなければならない。

    <リーダーシップ>
    愚かなリーダーは自分の認識できる限界を組織の限界にしてしまう。 優れたリーダーは組織全体が持っている可能性を無限に引き出して活用する。

    <メンタリティ>
    「集団の空気」は体験的学習による連想イメージを使い、合理的な議論を行わせずに、問題の全体像を一つの正論から染め上げてしまう効果を持つ。 意図的な「空気の醸成」が導く誤認を打ち破る知恵を身につけるべき。


    最後に・・・
    戦後の日本の経済成長を支えてきた製造メーカーが軒並み衰退の一途をたどっている中で、本書の冒頭にある一文が心に突き刺さる。
    「日本人は今こそ、過去の失敗から学ばなければならない」

  • 現在の日本が持つ経営問題、組織的ジレンマを(いわゆる名著)「失敗の本質」と重ねてみることを紹介した本。著者が最後にまとめた言葉にある通り、第二次世界大戦で起きていたまさに日本人として持っている特性が現在でも再現してしまっていることが分かる。

    概して読むと、日本人は「目的」ではなく「手法」にこだわり過ぎる気がする。それは型を模倣して本質を学ばないという点に繋がる。優秀な人物らがそうやって学び、トップにつく。優秀であるがゆえに、過去の成功例をヨク学んでいるがゆえ事例のない新しい考えを受け付けない、失敗の理由を努力不足と思い込むという体質だ
    また、この著書でイノベーションを「新たな指標」、「古い指標で積み重ねた努力と技術を無効化してしまうもの」という表現は実に良かった。まさに、それこそがイノベーションなのだろう

    メモ
    ■目次とまとめ
    第一章:なぜ戦略があいまいなのか
    01.戦略の失敗は戦術で補えない
    02.指標こそが勝敗を決める
    03.体験的学習では勝利要因がわからない
    04.同じ指標ばかりを追うといずれ敗北する
    「体験的学習や偶然による指標発見はいずれ新しい戦略(指標)に敗れる。強豪と同じ指標を追いかけてもいずれ敗北する」

    第二章:なぜ日本的思考は変化に対応できないのか
    05.ゲームのルールを変えたものだけがかつ
    06.達人も創造的破壊には敗れる
    07.プロセス改善だけでは問題を解決できなくなる
    「一方通行のシングルループからダブルループ学習で疑問符とフィードバックを持つ必要がある」

    第三章:なぜイノベーションが生まれないのか
    08.新しい戦略の前で古い指標はひっくり返る
    09.技術進歩だけではイノベーションは生まれない
    10.考課を失った指標を追いかければ必ず敗北する
    「イノベーションは既存戦略(指標)を破壊するために生み出すこと。効果を失った指標を追うのは他のイノベーション餌食となる。高性能とイノベーションは重なることもあるが、別の存在である」

    第四章:なぜ型の伝承を優先してしまうのか
    11.成功の法則を虎の巻にしてしまう
    12.成功体験が勝利を妨げる
    13.イノベーションの芽は組織が奪う
    「戦略は以前の成功体験のコピー・拡大ではない。勝利の本質を問い続けられる集団を目指さなければならない」

    第五章:なぜ現場を上手に活動できないのか
    14.司令部が現場の能力を活かせない
    15.現場を活性化する能力がない
    16.不適切な人事は組織の敗北につながる
    「米軍は現場感覚と最前線の緊張感を常に失うことながなかった。現場の体験、情報を確実に中央にフィードバックし、目標達成の精度と速度をさらに高めていく仕組みを作る必要がある」

    第六章:なぜ真のリーダーシップが存在しないのか
    17.自分の目と耳で確認しないと脚色された情報しか入らない
    18.リーダーこそが組織の限界を創る
    19.間違った勝利の条件を組織に強要する
    20.居心地の良さが問題解決能力を破壊する
    「居心地の良さとは正反対の環境が成果獲得の緊張感、使命感、危機感を維持できる。そういった組織が生き残る。リーダーは見たくない問題を解決する覚悟の強さが要求される」

    第七章:なぜ集団の空気に支配されるのか
    21.場の空気が白を黒にする
    22.都合の悪い情報を無理しても問題自体は消えない
    23.リスクを隠すと悲劇は増大する
    「リスクは周知、管理しなければならない。リスクはかわすものではなく、管理するもの。出来なければ存続自体が難しくなる」

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    http://maemuki-blog.com/?p=9297

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著者プロフィール

1972年生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒。ビジネス戦略、組織論 、マーケテイングコンサルタント。MPS Consulting代表。貿易商社にてカナダ・豪州の資源輸入業務に 従事。その後国内コンサルティング会社に勤務し、2001年に独立。戦略論や企業史を分析し、新たなイ ノベーションのヒントを探ることをライフワークとしている。『超入門 失敗の本質』『古代から現代まで2時間で学ぶ 戦略の教室』(ダイヤモンド社)、『実践版 孫子の兵法』(プレジデント社)など多数。

「2017年 『信じる覚悟 超訳 西郷隆盛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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