なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478017593

作品紹介・あらすじ

ふたりの天才画家、ゴッホとピカソの偉大な名声なら、誰もが知っているだろう。だが、ふたりの生前の境遇には、天と地ほどの差があった。
両者の命運を分けたのは、なんだったのか?
それは、ピカソのほうが、「お金とは何か?」に興味を持ち、深く理解していた、という点ではなかったか。というのも、ピカソがお金の本質を見抜く類まれなセンスを持っていたことがうかがえる逸話が、数多く残されているのである。

感想・レビュー・書評

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  • 幸福とは期待と実体が一致した状態だ。「心を満たすお金」だけでなく「心をコントロールする意思」との両方がそろって初めて人は幸せになれる。

    広義のお金は金融機関によって日々製造されている。
    2000年には190兆ドルだった世界のお金は、金融危機以前の2006年には570兆ドルまだ3倍に膨らんだ。しかし、同じ時期の実体経済(名目GDPと貿易)は50兆ドルから70兆ドルへとわずか1.4倍に増えたにすぎなかったのである。

    不安と欲望を糧にしたビジネスの最たるものが、生命保険とギャンブルである。生命保険は不安を、ギャンブルは欲望を喚起することで稼ぐ。

    中国のことわざ
    ・お金で家は買えるけれど、家庭は買えない
    ・お金で時計は買えるけれど、時間は買えない
    ・お金でベッドは買えるけれど、睡眠は買えない
    ・お金で本は買えるけれど、知識は買えない
    ・お金で名医は買えるけれど、健康は買えない
    ・お金で地位は買えるけれど、尊敬は買えない
    ・お金で血は買えるけれど、命は買えない
    ・お金でセックスは買えるけれど、愛は買えない
    マダム・ホー「世界一愚かなお金持ち、日本人」

    現代人は知覚傷害に陥っている。外を認識する五感ばかりが僕たちの感覚の主役となり、幸福を直接に感じ取る体内センサーが麻痺している。

    デザインの語源はでDe:削る、ザインSign:形作る
    ラテン語で私欲を削り落とし、本質を磨き上げること
    decide,cideは斬る
    desire,sireは星、星が見えなくなる→惜しむ、欲する

    私欲を削り、自分自身を透明な状態に保つことによって、使命に沿った生き方ができるようになり、それが社会にとっての一番の価値創造や貢献につながり、結果的にお金となって返ってくる。

    日本は、これから価値を産み出すものより、すでに築かれた信用が重視される社会なのだ

    神は我々を人間にするために、なんらかの欠点を与える
    By シェイクスピア 『アントニーとクレオパトラ』

    事業は価値と信用を創造するゲームだ
    僕たちが管理すべきものは、信用総量であってお金の額ではない。

    世界の三層構造
    第一層 地政学的に切り分けられた国家
    第二層 国境を越えて雲のように漂う企業
    第三層 オゾン層のように点在し結びつき合う個人

    金融はなくなり、数融に移行する
    お金の形状は、貝から鉱物、そして紙幣で代替され、そして今、ビットへと変質し世界に溶け込んでいる。

    個人の発行する信用が重視される世界へ

    大切なことは、日頃から信用を貯めて、その信用のATMから生活や事業に必要な量を適宜引き出すという生活習慣なのである

    価値の源泉たる使命の本質は「エゴを濾過すること」によって見えてくるのと同様、信用の源泉たる信念も「短期の欲に流されず一貫性を担保する」ことによって成立する。価値の積み上げと信念の保持が信用創造の要であるならば、信用においてもっとも重要な考え方は「欲の規制」という概念である。

    TwitterやFacebookはコミュニケーションツールではなく、コントリビューションツールとして使うといい。

    お金を中心とした資本主義の基本的な考え方は、17世紀、デカルトの時代に成立した哲学に基づいている。それは、「物事は、要素に分解し、客観化することによって捉えることができる」という思想である。この数字で世界を捉えるという哲学が現在の「お金をコミュニケーションの中心に置く」という社会システムにつながっている。

    お金で買えるものとお金で買えないものの境目を倫理という。

    この世界の最大公約数であるお金を、人が求めてすり寄っていくことは責められないが、それは個別の使命を持っているはずの自分自身を失う一歩でもある。そうした不自然さを直感するからこそ、人はお金を避けるのではないだろうか。

    文脈を残した価値交換経済である有機経済が進むにつれて、誰かに与えた価値が、別の角度から返ってくる、give & givemという仕組みが増えるのではないだろうか。

    お金のない世界を観る、それが本当の意味で「お金の正体を知る」ということなのだ。


  • 価格とは、価値と信用の掛け算である。
    信用は、欲を制して、謙虚であることで積み重ねる。

    常にこの2つを高めていくこと、広げていくことを大切にしたい。

    所有でなく保有。
    自分の持っているものや価値を点在していくこと。

  • Give & Givenというフレーズを知れた事が最大の収穫です。


    ・誰かに与えた価値が 、別の角度から返ってくる 、 g i v e & g i v e n

  • 気になった箇所。著者がコンサルタントになり、買収案件の膨大な資料を提出した際、クライアントから言われたこと。「こんな資料役に立たない。この会社に価値を産み出している源泉、会社を動かしているエンジンは何か?この会社の価値の「本質」はなにか?」そう、会社の本質は会計システムでも、戦略でも組織でもない。会社の本質は、組織内に張り巡らされた価値観を共有する繊維細胞や、価値を産み出す遺伝子、自己成長しようとする免疫力といった生態系である。これら本質は目に見えない。

  • 経済啓発本であろうが、あまりにもタイトル詐欺だ。もっとピカソとゴッホのこと語れよ。(せめてあとがきとか結論にはピカソとかを再登場させてほしかった。)

    おもしろい本でした。お金の価値をバッサリ語っていたし。


    物々交換がこれからどうなるかっていうのは、、、主流にはならないだろうけど、やる人はいるのかもね。
    やっぱどうしてもネットオークションとかSNSで個人情報明かすのに抵抗ある人いるだろうし。でも、結構そういうのクラスタに物々交換するような人情味ある人間が含まれるんじゃないかな。


    こういう経済新書は「結局、歴史は繰り返される」っていうのが分かるよね。景気循環というか、そんな感じのを。

    資本主義もそろそろパンクするよねー。近いうちにリセット局面到来かな。

    ___

    p163  科学が、やるべきことではなく、できることを実現してしまうのと同様に、お金の科学、金融工学も、商品化できる者を全て商品化してしまう。


    p194  失業率は高い方が正しい。
    日本の一般企業の中で付加価値を出している業務は4割もないかもしれない。それ以外の人達は無駄なことや仕事を産むための仕事をしているだけかもしれない。
    もはや会社の多くは価値を生み出す経済体ではなく、月30~50万円の年金を支払っている生活保護団体になり下がっているようにも見える。

    なのになぜ社会や国はそんな会社組織を必死に守ろうとするのか、ケインズの言う労働・雇用効果を信奉しているからではない、

    それは、
    「人はみな時間を持て余すのを恐れているからだ。現代人が真に恐れていることは飢えることではない。存在意義を失うことだ。」

      → 生産過剰な先進国では、経済の成功にがむしゃらになっているのに、経済の本質である「資源の最適配分」が崩壊しているということ。
     変に会社への所属にこだわって不必要な仕事ばかり生み出すより、一人一人が価値を生み出せる社会を作る方が健全である。もしその社会が実現できたなら、高い離職率が出る。それはもはや離職率ではなく、労働解放率といえるだろう。
     社会は一人一人の自己実現を目指すなら、労働解放を目指すべきである。ってことがいいたいのね。

  • お金とは何であるか?

    信用は国家が担ってきた。
    電子マネーなど企業が信用を担ってきている。
    個人同士の信用で世の中が回るようになる。

  • ピカソのお金に対するアプローチが面白かった。
    信用に価値が有るとのことで、遠い未来には「お金」は無くなっていると感じた。

  • お金は、非常に強力で大事なものであるが、絶対的なものではない。

    お金は、人と人とがコミュニケーションする手段の一つである。
    しかし、それが"数字"という世界中すべての人が理解可能なメディアであるがゆえに、きわめて強力な存在であるに過ぎない。

    お金が絶対的な存在でなく、数あるメディアの一つだからこそ、他のメディア、たとえば、言語や宗教、ボディランゲージ、時には笑顔ひとつすら、お金の代わりになるのである。


    タイトルにこそ、ピカソやゴッホといった名前が出てきますが、彼ら芸術家に関する本ではなく、本の主題は「お金」。


    今までのお金の捉え方について、そしてこれからの未来のお金のあり方について考えさせられます。

    特に個人の信用力がより重要になっていくという考え方には非常に共感。

  •  本書は、お金をめぐる著者自身の思索と実践、それからお金の歴史と進化を踏まえて、これからの時代を幸せで自由に生きる方法について書かれた一冊です。
    「お金」の呪縛から解放されて自由に生きるために必要な考え方や方法が分かりやすくまとった中身となっています。

     詳細なレビューはこちらです↓
    http://maemuki-blog.com/?p=591

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著者プロフィール

山口揚平(やまぐち・ようへい)
事業家・思想家。早稲田大学政治経済学部卒・東京大学大学院修士(社会情報学修士)。専門は貨幣論、情報化社会論。 1990年代より大手外資系コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わったあと、30歳で独立・起業。劇団経営、海外ビジネス研修プログラム事業をはじめとする複数の事 業、会社を運営するかたわら、執筆・講演活動を行っている。NHK「ニッポンのジレンマ」をはじめ、メディア出演多数。著書に、『知ってそうで知らなかったほんとうの株のしくみ』(PHP文庫)、『デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座』(日本実業出版社)、『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』(KADOKAWA)、『なぜ ゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』(ダイヤモンド社)、『10年後世界が壊れても、君が生き残るために今身につけるべきこと』(SBクリエイティブ)、『新しい時代のお金の教科書』(ちくまプリマー新書)などがある。

「2021年 『ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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