外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々

著者 :
  • ダイヤモンド社
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本棚登録 : 1313
レビュー : 165
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478020890

作品紹介・あらすじ

「複雑すぎて潰せない」ために注がれる多額の税金。顧客との利益相反のオンパレード。人事、報酬、キャリア、リストラの生々しい実態…。そして、それでも明るい金融の未来について超人気ブロガーがコミカルに語る。

感想・レビュー・書評

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  • 実体経済とはかけ離れたところでお金を動かしているだけの金融業界は、何も生み出さないくせに金だけ儲けてその上失敗しても血税で救済される企業倫理もクソもあったもんじゃないまさにウンコだと思っていたけど、これを読んで分かったのは金融業界は想像以上にウンコだったということ。
    この本を読んで思ったのは、知性と品性はまったくの別物であるということ。
    この本の著者は、知性はあっても品性はないです。
    金融業界ってそういうものなのかも。

  • ☆2(付箋7枚/P240→割合2.92%)

    ブログがベースなのかな。ちょっと覗き趣味も満たしてくれて面白いのだけれど、それよりもマクロ経済ってどういうことか、内輪から見るってこういうことですよね。腑に落ちます。
    そもそもCDOは小難しくて複雑な金融商品を編み出すのが得意なフランス人発祥とか、不謹慎ながら少し笑ってしまいます。

    近いジャンルの本は読んでいて繋がる事があります。この本で、銀行と商圏銀行と投資銀行とヘッジファンドの違いを説明していて、銀行システムは1000円預けたら、10円しか手元に残さず990円は利子を取って市場に回すというような説明があった。
    間違いではない。だけど、金融システムを表現するものとしては、少し前に「円の支配者」で読んだ、990円を市場に回すのではなくて、1000円手元に置いて99万円市場に回るんだ、という表現がより正確に思う。

    こういう本で自分なりに理解しないと、専門的な本を読むのも難しいよなぁと思います。この本からは文献は広がってくれないけれど、理解することの土台の一つとしても楽しく読みました。

    ・グリーンスパンは、1987年から2006年まで、19年間もFRB議長を務め、その巧みな金融政策の指揮で「金融のマエストロ」の名をほしいままにした。ちなみに、グリーンスパンの前のFRB議長が、現在さかんに議論されているボルカー・ルールのポール・ボルカーである。そして、グリーンスパンの次のFRB議長がベンジャミン・バーナンキである。
    アメリカ経済のこの黄金時代には、市場参加者の間では「グリーンスパン・プット」という言葉が囁かれていた。プットというのは、参照する資産価格が下落すると儲かるプット・オプションのプットである。グリーンスパン・プットとは、株価が急落してもグリーンスパンが利下げをして必ず支えてくれるから、株などのリスク資産を買うのはプット・オプションを買っているようなものだ、という意味である。
    こうしてアメリカのマクロ経済政策が、ある意味でうまくいきすぎていたのだ。このような右肩上がりの経済で、グリーンスパン・プットがある状態なら、投資家はどのような行動をとるのだろうか?
    「少しでも利回りが高いリスク資産を、借金して買えるだけ買う」である。こうしてリスク資産がますます値上がりし、低下した利回りで利益を上げるために、投資家は借金でレバレッジを掛けて、さらにリスク資産を購入していったのだ。

    ・このようなデリバティブ商品は、最終的には買い手と売り手で決済される。デリバティブ商品はひとつひとつの取引を見れば完全なゼロサムゲームで、片方のもうけは必ず片方の損失から来ているのだ。だからこういったトレードをするときは、必ず相手の信用をチェックしないといけない。なぜならば、いざ支払いということになって相手が支払えないのでは困ってしまうからだ。これをカウンター・パーティリスクという。
    じつはCDSを売ってボロ儲けしたヘッジファンドや証券会社は、こういった巨大なカウンター・パーティリスクを取っていた。これほどの金融危機では、本来は相手が破綻してしまい支払ってもらえない状況だったのだ。それでも支払われた。それはアメリカやドイツ、イギリス、そして日本などの世界中のなにも知らない納税者が間接、直接的にAIGやシティ・グループのような、本来はつぶれるはずだった金融機関を税金で救済したからだ。

    ・たとえば、満期が一ヶ月の借入金で満期が10年の債券を買うとしよう。一ヶ月の金利が0.1%で、満期10年の債券の金利が1.5%だとする。短期資金で100億円借りて、長期の債券を100億円買う。この短期資金は一ヶ月ごとに返さないといけないので、毎月毎月新たに借り直さないといけない。これをロールする、という。こうやって短期資金を次々とロールしていけば、この場合は1.5%-0.1%=1.4%の金利差があるので、100億円×1.4%=1億4000万円が毎年儲かることになる。
    それでは、そのリスクは何か?それはこの市場でこの銀行は危ないかもしれないと思われて、銀行が短期資金を新たに借り直せなくなると、その時点で現金がなくなるので、倒産してしまうかもしれないことだ。この場合は、長期の債券を市場で打って、なんとか現金を手に入れようとすることになる。しかし、そういう信用不安が起こっているときは、簡単に債権の買い手が見つからなかったり、見つかっても非常に不利な価格でしか売れなかったりする。このように短期の資金で、長期の貸出や投資をする、というのは危険なつり橋を渡るようなビジネスなのである。金融機関がつぶれるのは、ビジネスで損をしたからつぶれるのではなく、市場からの信用を失い新たな資金を借りられなくなってつぶれるのだ。

    ・日本国債が暴落するかどうかは、一にも二にも、これら邦銀が国債を買い続けるかどうかにかかっている。そして僕は、買い続ける、と思っている。
    邦銀が国債を買うのは他に貸し出し先がないからであり、経済の低迷が続く日本で、それがこれから急に変わるとは思えない。また、邦銀にお金を預けている日本の高齢者が、急に預金を引き出して海外に投資しはじめるとも思えない。高齢者の預金はやがて相続されるのだが、日本では80歳、90歳のお年寄りが無くなり、60歳、70歳の「子ども」に遺産が相続されているのである。60歳、70歳の子どもたちが、急に投資行動を変えるようには思えない。そして邦銀が、集めた預金で国債を買う、というお気楽なビジネスモデルをやめるとも思えない。

    ・トレーダーだったら、クリスマスイヴやクリスマスには、ケーキや七面鳥には目もくれず、12月26日以降にこれらの商品が暴落したところを買い叩いて、豪勢に七面鳥を食らいながら、クリスマス用の赤と緑のリボンが付いたシャンパンで祝杯を上げたいところだ。
    さらに想像を絶するのが、指輪やイヤリングなどの宝飾品だ。これらは10万円で買っても、質屋に売るときは1万円にもならない。売値(オファー)と買値(ビット)の差、つまり、ビット・オファー・スプレッドが9000ベーシス・ポイントなんて想像を絶するぼったくりである。こんなものを買う奴は頭がおかしいとしかいいようがない。

    ・アメリカでは、貧乏人の住宅ローンを寄せ集めたMBSのクズをさらに束ねたCDOが、急にアメリカ国際並みのトリプルAの信用を得るという奇跡が起こっていた。日本では、並程度の容姿の若い女を大量に寄せ集めて結成されたアイドルグループAKB48が大ブレークし、プロデューサーの秋元康に巨万の富をもたらした。そしてヨーロッパでは、二級国家を寄せ集めて通貨をユーロに変えると、二級国家の金利も低下するというマジックが起こっていたのだ。「寄せ集める」というのは、どうやら七難隠す不思議な力を持っているようなのだ。

    ・ところで、これからアメリカ人の雇用は回復するのだろうか。僕は、かなり悲観的である。それは、アメリカの一部の世界的な企業はたしかに強いのだが、アメリカ人の雇用に結びつくようにはとても思えないからだ。アップルの従業員数は6万人、グーグルの従業員数は3万人、フェイスブックの従業員数は2000人、そして、ツィッターにいたっては200人ぐらいである。これは世界全体での数字だ。一方で、日本のトヨタ自動車もパナソニックも、従業員数はそれぞれ30万人以上もいる。

  • 週間金融日記などネット界隈の有名人である著者の本。やはりネットが主戦場の人の2年前の本は読んじゃいけないな。鮮度が無くなってる。フローでは面白いけど、ストックとして読むにはちと物足りない。でも、金融関係の本として初めて手に取ったならそれなりに面白かったのだとは思う。

  • 外資系金融に関することに興味を持ち、友人の勧めで藤沢数希の本を勧められ手に取る。

    大枠は、外資系金融のコングロマリットにおいて資本主義体制が崩壊していることに問題意識を表し、そこで行われている取引や業務が本来の金融機関のあるべき状態と照らし合わせてどのように問題かを述べている。

    銀行は短期金利と長期金利の使いわけで利益を得ているが、
    現在銀行は貸しやすい機関には余計に貸付け、信用が低い期間には貸し渋るといった本来の役割を全うしていない。

    証券会社も本来の金融商品仲介業務は売り手を探し、買い手に適切な商品を売る作業は価格競争にのまれ、自分たちが投資家のようなトレードを行っている。


    このように、本来分業体制をとっていた各種金融機関はもはや境界が曖昧になっている。

    また株式の調査を行い顧客を投資家に持つ部署と、その評価された企業を顧客にもつ部署が同じ企業にいるため非常に勝手が悪いなどといった金融機関の矛盾も述べている。


    互いに複雑な金融商品を持ち合っているため、どこか一つの金融機関が危機に直面すると、それが一斉に波及してしまう。
    政府としてはそのような危機が起こってはどうしようもないので、仕方なく融資を行う。
    このシステムで金融機関は「大きく複雑でつぶせない」ということを逆手にとってハイリスクな取引を行っている。

    またユーロ危機に関しても、本来財政は国ごとに違うのに、為替レートは固定されているため、ドイツのように投資を行うべき企業にとっては資金調達コストがかかるためユーロを貸出し、スペインやギリシャのような財政が悪い国ではお金の価値が下がり、インフレ率が高い。本来インフレ率が高い国では金利を上げる必要があるが、ユーロで統一されている金利では貸し付ける利子が低いため、借りが増える。





    その他
    ・低金利状態は不動産資産を求める傾向
    ・新卒の首切りに対処する人事
    ・アメリカのマイホームを買わせるような社会政策と売れない金融商品の寄せ集めであるものを高い信用格付けで売りつける金融技術が複合し、土地を買えば買うほど儲かるシステムによってバブルが生まれたこと
    ・金銭感覚の違いを誇示したいんだろうという印象
    ・現体験の有無がこのような企業に対する憧れにつながるということも考えると、もっといろんな世界に足を突っ込んでみようと思った。

  • りーマンショック前後の金融バブルを解説した本、というのが正しいかな。中身は素人向け。とくに得られるものはないが、投資銀行マンとかよりトレーダーの方がずっと儲かってるのか、というシンプルな事実を認識できた。まぁ大したことはない本かな。

  • この人の本は好きで金融3冊は買って読んでいる。
    藤沢さんはあまりインタラクティブに走らず、なるべく上から目線でいけ好かない感じで書いていて欲しい。その方がセンスが光る。
    メルマガは創刊当初買っていたが暫くしてお悩み相談室が気持ち悪くなって止めた。あのメルマガのくだらなさは、本書でアナリスト・レポートの不要さを理解すればほぼ説明できるだろう。
    何度も言うが、本は好きなのでまた出たらまた買うと思う。

  • 個人的にこの人は好きではないが、マニアックな金融業の世界や歴史を、門外漢にもわかりやすく書いてある。とても頭の切れる方なのだろう。

  • 金融の話は全く知識がないので、すごいなーと読んでいた。
    でも、年収いくらあればこの人はすごいと思うのだろう?あとこの人は女の人を純粋に好きになったことあるんだろうか?と感じてしまった。

  • むつかしい内容なのにとてもわかりやすい本です。

    日本の銀行の簡単なお仕事について語られている内容(P88)、一方では当時の欧米の銀行では金融工学を駆使してマネーゲームにいそしんでいましたが、それに追いつこうとみずほ銀行が「投資銀行宣言」をして三顧の礼でカリヨンという証券会社からヘッドハンティングしたアレクサンダーとその仲間たちは、結局みずほに6720億円の損失を出して首になったというトホホな話も面白かった。(P93)

    金融機関の最大のモラルハザードは、儲かった時には多額の報酬をとり、つぶれそうになると役員は既定の退職金をがっぽりもららって政府に救済される、それも何の恩恵も受けていない大部分の国民の金で。(P97)

    日本の金融コングロマリットは、中央銀行と取引できる特権を享受しながら、証券機能という自ら持つ顧客と同じビジネスの土俵で競うという利益相反の温床となっている、(P101)

    好調な米国のハイテク企業がいくらでかくなっても米国人の雇用に大きく貢献することはない。(アップルの全世界の従業員は6万人、グーグル3万人、フェイスブック2千人、ツイッター200人at2012)P175

    金融商品はリスクの形を変えるだけで、それ自体から富が生み出されるわけではない。では金融工学の社会的意義とはなにか?それは、リスクを世界の投資家に最適配分することだ。(P183)あくまでもリスクの配分です!
    こうした金融工学の分野が、高い報酬に目がくらんで世界の理数系の頭脳を浪費し続け、もしかしたら彼らが病気や宇宙の謎を解明できたかもしれないのに、いつのまにか世界を破滅のふちに追い込んでいく。(P186)

    大きすぎるコングロマリット金融機関はその影響の大きさからつぶせない、これがモラルハザードの原因であるなら、問題をおこせばつぶせるように分割化すればいい。(P213)
    その分割化には、インサイダー問題が起こりやすい同じ会社でのマーケット営業と投資部門などの分社化を優先的に行うべき。(P217)

    結局は、ゼロサムでしかない金融工学はある意味カジノ経営のようなもの、そうした本質的な価値を生み出さない職種の人たちに現在の高報酬は異常ですよね。

  • これ恋愛工学の本の作者って後から知って結構衝撃だった。
    私たちが知らない世界の裏でこんなことが繰り広げられてるんだなって話。規模が大きすぎて理解できないところも少しある。収入の話とか意外と面白かった

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著者プロフィール

金融日記管理人。恋愛工学メルマガ発行。

「2017年 『ぼくは愛を証明しようと思う。(2)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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