失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

  • ダイヤモンド社 (2012年7月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784478021552

みんなの感想まとめ

リーダーシップの本質を探求する本書は、過去の失敗から学び、現代の組織におけるリーダーの役割を再考させる内容です。日本軍の敗戦を例に、組織文化や体制がどのようにリーダーの判断力に影響を与えたのかを分析し...

感想・レビュー・書評

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  • 現代のビジネスで参考になりそうだったのは、現場を知った上で戦略を立て、それを実践し、そして結果をフィードバックして改善していくこと。
    上記は当たり前のことだが、役職が上になる程、現場目線から離れる事が多々あるので肝に銘じないといけないですね。
    こちらの本で参考になった要点を5つ、下記にまとめました。

    1.リーダーの判断軸と要件
    情報を基に適応できても創造は難しい。自分たちの思い(暗黙知)を言葉(形式知)にし、言葉を形に(実践)していくダイナミックなプロセスが大切。
    優れたリーダーの意思決定は、Alでも判断できるような定型のプロセスではなく、文脈に即した総合的な判断(contextual judgement)。

    【リーダーの要件】
    ①「善い」目的をつくる能力
    ②場をタイムリーにつくる能力
    ③ありのままの現実を直観する能力
    ④直観の本質を概念化する能力
    ⑤概念を実現する政治力
    ⑥実践知を組織化する能力

    ②と③→現場感覚
    ①と⑤→大局観
    ④と⑥→判断力

    2.現場を観察、分析
    ・アメリカは戦時情報局や軍の諜報部門を中心に、軍事作戦や戦後の占領政策立案のため、アカデミズムの俊英を動員。その1人が「菊と刀」のルース・ベネディクト。
    ・山本五十六は真珠湾攻撃の際、地形を観察。乾坤一擲の大勝負。机上の議論だけでは構想と企画は至難の業。

    3.考える訓練
    リベラル・アーツ教育の拡充。アメリカでは課題図書について討議し、歴史・哲学・宗教・人間論を自分の頭で考える訓練をする。

    4.組織構成
    日本国憲法は総理大臣に大きな権限、大日本帝国憲法では総理大臣は国務大臣の一つに過ぎない。
    大日本帝国憲法は、地方行政、治安、外交は各国務大臣の天皇に対する輔弼によって行い、政治権力は分断していた。それでも日清・日露戦争を乗り切れたのは、要所に配された人物の力量があったから。
    組織は一般的・抽象的な見えない構造で実体ない。構成する実在の人間がリーダーシップが優れていれば、組織の壁を超えて横につながることもできる。

    5.状況に応じてブラッシュアップ
    ・帰納的思考がイノベーションに不可欠。見たり、聞いたり、試すこと。試すことが大切。
    ・アメリカ軍はフィードバック・ループが上手かった。日本軍も日露戦争の成功から帰納的かつ実践を通じて作戦を練った。しかし、変化する環境に修正を怠った。日本軍は硬直的で、アメリカ軍はダイナミックだった。

    ◆紹介されていた文献
    村上陽一郎 「あらためて教養とは」
    四書五経
    石原莞爾 「最終戦争論」
    石原莞爾 「戦争史大観」
    カント倫理学(人間の道徳的意識と責任)
    山本七平 「派閥の研究」
    オリバー・E・ウィリアムソン 取引コスト理論(2009年ノーベル経済学賞)

  • 2025年10月24日読了。日本軍の敗戦・失敗の要因を組織の体制・文化に求めた前作『失敗の本質』の続編。米軍と日本軍の統制を比較したり、日本軍の中の「よい軍人」と「悪い軍人」を対比させて論じているのは面白い、前作に対して「日本軍は全面的にダメダメでよい軍人はいなかったのか?」という意見があったのではと想像する。リーダーに求められる「現場感覚」「戦略眼」「判断力・決断力」のうち、最後のものの欠乏により失敗するリーダーがいかに多いことか…。組織文化やリファレンスは本来リーダーの決断を補完しメンバーを説得するために使うべきなのだろう、決断しないこと・何もしないことを正当化するために組織文化を盾にするようではダメだが、今の世の中でも政治でも企業組織でもありがちな話のように感じる。最後はリーダーの胆力・度胸が必要になるのであり、文学や哲学を通して想像力や思考力を磨くことも大事、米欧はそれを体系的に実施しているのがやはりすごいところなのだと思う。「日本のよい軍人」をやけに称賛するような文章が鼻につくので★は4つ。

  • 現代にも通ずるリーダーシップのあり方だろうと思う。

  • 全社会議で野中先生の記事が話題となったのをきっかけに読了。時代が移れど色褪せることのないリーダシップの在り方のエッセンスを、ここまで痛快に凝縮言語化していられる方は稀有。

  • 現実の動きのなかでのリーダーの要件
     大局観①⑥ 現場感覚②③ 判断力④⑥
    ①「善い」目的をつくる能力
    ②場をタイムリーにつくる能力
    ③ありのままの現実を直視する能力
    ④直観の本質を概念化する能力
    ⑤概念を実現する政治力
    ⑥実践知を組織化する能力

  • 2024/07/05読破 
    一言 リーダーとしての戦績

    感想 戦争時代のリーダー達の良かった点、悪かった点を根拠を基に記載してあり、とても面白かったです。

    下記は印象に残った点
    「暗黙知」思っていること
    「形式知」思っていることを言葉にすること
    「実践知」言葉を形にしていくこと

    フロネシス=実践知

    リーダーに求める能力
    ①「大局観」②「現場感覚」③「判断力」

  • 日本史勉強しなおしたいなと思わされた一冊。あんまり失敗の本質とは関係ないが。

  • 情報が正確に出てくるうちにこう言った振り返りはするべき。
    それを怠ってきたのは国家としての怠慢。

  •  時代の流れのなかにいるときは見えてこないことがある。
     見えていても、カタチを伴ったものとして全体を捉えることができないので、時代の片隅にいた自分が見ていたものだけで、無意識にその時代を記憶に留めている。
     自己の記憶はそういったもので、その記憶が己が生きる世のなかを造っていく。だから、人それぞれに見えている世のなかは違う。
     でも、時代というのは、今を通り越すことによってその時間経過とともにカタチを現してくる。そしてそのなかで時を過ごした自分の記憶が、そのカタチのなかに位置付けられると、自分の記憶もまた朧気にカタチを伴ってくるし、違った存在になる。
     
     もうすぐ8月が来る。また今年も日本の大きく道を誤った原点を見つめてみよう。

  • 失敗から学ぶことは多々あり、それが戦時のことであれば、生死をかけた戦略や行動であるために、更に学ぶべきことは多いと考える。ただし、完ぺきな人間などいるはずもなく、限られた情報の中で、限定合理的に行動した結果であることを念頭に置く必要がある。

    ・ウェーバーの価値自由原理である、ヒト/モノ/カネを効率的に利用できているかという効率性の問題と、価値の問題は分けて考えるべきというのはなるほど。そして、効率的なものが常に正当であるということにはならないというのも納得である。

    ・戦時において、成功した体験は、なかなか否定できない。実績が一度伴うと、それに寄りかかってしまう。必要な時には自己否定ができることが良いリーダーであり、その場合でもスピード感を持って判断できるようになるべきである。この判断のためには、大局観を持ち、真実に目を向け、新しいことを生み出そうとする思考が重要である。

    ・部下たちの面倒をこまめに見ることが、指揮官への信頼と親近感を増幅させる。

    ・これらを成すのは、体力と健康である。

  • 戦場という生死がかかる究極の状況の中でのリーダーシップ。日本を覆う「空気」というものに支配されないこと、それがリーダーとして必要なことなのだろう。

  • 名作『失敗の本質』スピンオフ。
    他のレビューにもある通りリーダーシップという共通テーマのもとに各人の論稿をまとめたもので、学際的共同作業が行われた『失敗の本質』には深み、厚みとも及ばないのが正直なところ。

    個別具体的な事象から普遍化一般化を導き現代の組織にフィードバックする意図ならば、いきなりリーダーシップ不在を嘆くのではなく、「なぜ不合理な失敗を繰り返したのか」をまず組織自身の中に求めるべきでしょう。

    実は第11章「戦艦大和特攻作戦で再現する合理的に失敗する組織」にその視点が見られますが、上述の通り論稿集であるため他の章に同じ視座が共有されていないのが残念。
    同章の取引コストを使っての分析は有用なアプローチと思いつつ個人的には同意できませんが、山本七平「空気」悪者論への反論については同意なのであります。

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1000963532

  • 本書は多くのビジネスパーソンに愛されている野中郁次郎の代表作「失敗の本質」の続編にあたる。前作がいわば状況の
    分析を通じて、日本軍という組織の特徴を洗い出し、その延長線上として日本式の組織と米系組織の退避を行うといった構造だったのに対し、本作はより直接的に、その組織でリーダーシップを振るっていた人間の分析を行おうとしている。これは野中の興味関心が組織そのものから、後年になるにつれてよりリーダーシップに移っていたことを反映しているだろう。

    ただし本書の場合、野中一人で書いているのではなく実質者が複数にいるということで、ややテーマがぼんやりしてしまっているところがあるのは否めない。また、前作はかなりの時間をかけられて執筆されたことが伝わってきていたが、今作については出版社の企画ありきだったと思えるようなところもあり、完成度としては世の中の本の中では低い方に入るだろう。

    特に第三章「リーダー像の研究」は、著者の思い入れがある人物を対象としたのか、取り上げられている石原莞爾も山口多聞も、神聖化されすぎている嫌いがある。
    これでは研究というよりもむしろファンブックという感じで、かなり強引だったというのが本音だ。

    もし、野中の後期の他の本を手にしていないのであれば、本作も読む価値はあると思うが、この代表作を既に手に取っているのであれば、無理して読む必要はないと感じてしまった。

  • リーダーにはフロネシスと実践知が必要であり、「想定外の現象への対応=新感覚への想像的適応」の必要性を謳ってるところにとても共感した!あとは、大きな組織が円滑に進むためにはプライドを捨てた建設的なコミュニケーションが常に求められると思った

  • 戦争の大局観や是非を語るのではなく、其々の戦いの戦術戦略をリーダーの資質から解説したもの。負け戦には理由があることがよく理解できる。失敗だけでなく成功例も挙げている。現代の政治や企業の組織と照らし合わせると面白い。

  • 戦後の反省と共に共感はするが、現代に置き換えた話も改訂できそう

  • リーダーシップの本質は、フロネシス(賢慮)ないし実践知と定義している。
    "フロネシスの中身を一言で言えば、個別具体の物事や背後にある複雑な関係性を見極めながら、社会の共通善の実現のために、適切な判断を素早く下しつつ、自らも的確な行動を取れる「実践知」のことを言う。そうした知を備えたリーダーがフロネスティック・リーダー"
    フロネスティック・リーダーの能力
    ①善い目的を作る能力
    ②場をタイムリーにつくる能力
    ③ありのまま現実を直観する能力
    ④直観の本質を概念化する能力
    ⑤概念を実現する政治力
    ⑥実践知を組織化する能力
    典型はチャーチル、目的が共有できなければミッドウェイのように陥る

    本書は、それを備えるリーダーについての書。
    現場とコンセプトをたえず行き来するフィードバック・ループを機能させるには、現場を身体的に理解しているリーダーの存在は不可欠。

    それにはサイロの破壊と、タスクフォースの創設を通じた機動的な知の総動員がカギ。

  • 野中郁次郎
    リーダーの条件
    フロシネスに求められるのも           現場感覚 大局観 判断力
    タスクフォース
    パラパラでなく重要な課題を集中させる
    サイロの反対

  • 「失敗の本質」の続編となる本書は、前作よりも読みやすい内容で、色々と頷きながら読み終えました。
    イスラエルは、組織の戦略的失敗から学習を繰り返したそうです。
    過去の成功事例にとらわれたり、他所の成功事例を真似るだけでは能がないと思っています。
    やはり失敗から学ばないと。

    恐怖心の存在を認めた上で、それをコントロールして任務を遂行するアメリカ兵。一方、恐怖心自体の存在を認めず、否認や抑圧によって受動的に対処した日本兵。
    このあたりは山本七平氏の「日本はなぜ敗れるのか-敗因21ヵ条」とも共通する分析かと思います。
    実践から学んで行動を修正することが出来なかった日本軍の姿も浮き彫りになっており、組織論として学ぶべき点が多い一冊でした。

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著者プロフィール

野中郁次郎
一九三五(昭和一〇)年、東京に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造株式会社勤務ののち、カリフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてPh.D.取得。南山大学経営学部教授、防衛大学校社会科学教室教授、北陸先端科学技術大学院大学教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。著書に『組織と市場』、『失敗の本質』(共著)『知識創造の経営』『アメリカ海兵隊』『戦略論の名著』(編著)などがある。

「2023年 『知的機動力の本質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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