失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

著者 :
  • ダイヤモンド社
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本棚登録 : 738
レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478021552

作品紹介・あらすじ

旧日本軍の失敗の原因を追究した不朽の名著「失敗の本質」の続編が刊行!
今回のテーマは「戦場のリーダーシップ」です。

感想・レビュー・書評

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  • 戦場という生死がかかる究極の状況の中でのリーダーシップ。日本を覆う「空気」というものに支配されないこと、それがリーダーとして必要なことなのだろう。

  • 名作『失敗の本質』スピンオフ。
    他のレビューにもある通りリーダーシップという共通テーマのもとに各人の論稿をまとめたもので、学際的共同作業が行われた『失敗の本質』には深み、厚みとも及ばないのが正直なところ。

    個別具体的な事象から普遍化一般化を導き現代の組織にフィードバックする意図ならば、いきなりリーダーシップ不在を嘆くのではなく、「なぜ不合理な失敗を繰り返したのか」をまず組織自身の中に求めるべきでしょう。

    実は第11章「戦艦大和特攻作戦で再現する合理的に失敗する組織」にその視点が見られますが、上述の通り論稿集であるため他の章に同じ視座が共有されていないのが残念。
    同章の取引コストを使っての分析は有用なアプローチと思いつつ個人的には同意できませんが、山本七平「空気」悪者論への反論については同意なのであります。

  • 2012年7月に書かれた本で、1984年に書かれた「失敗の本質」に対して多面的な検証とさらなる考察が実施された本、「失敗の本質」はずっと読みたかった本なのですが、まだ読めておらず、先に新しい版を読むことになりました。

    相応の歴史知識や、太平洋戦争時代の人物像に関する情報がもともとないと、やはり難解であるとは思うが、それなりに長い間勉強してきてから読んだので、僕にはさらに造詣が深まったと思う。

    『戦場のリーダーシップ』という観点では、僕もこれまでいくつか勉強してきてましたが、「キスカ撤退の木村」や「組織人になれなかった天才参謀 石原莞爾」、「独断専行はなぜ止められなかったのか 辻 政信」など、これまで知らなかったことも新たに知ることができました。


    後半には、大和特攻の伊藤長官の
    「我々(大和)は死に場所を与えられたのだ」の名言による戦艦大和特攻作戦における意思決定プロセスに関しても記載あり、大変興味深い。 山本七平の『空気論』という部分も大変勉強になった。
    (山本七平:『「空気」の研究』1977年)

    → 伊藤長官の論理的思考は空気で説明できない
    → 「空気」の本質を科学的に分析する
      2009年度ノーベル経済学賞を受賞した、
    オリバー・E・ウィリアムソンの取引コスト理論に従って分析

    → いかにして、空気に水を差すか
    カントの人間学的道徳哲学を引用して「自律的な意思を実践できる人間:啓蒙された人」と

    以下、引用 P277
    ====================
    日本軍は、設立当初はメンバー同士が自由闊達に議論する組織であった。 ところが時間の経過とともに制度が完備され、特に人事制度が明確になると、制度上、どうすれば昇進できるのかが明確になった。 こうした状況で、昇進制度に忠実な他律的エリートたちが育成され、実権を握っていった。 (中略)

    こういう他律的エリートが統率する組織では、メンバーは容易に取引コストを計算し、合理的計算のもとに全員一致で「空気」を読み取ることになる。 そして、合理的に非効率で不正な結論に導かれることなる。

    この意味で、海軍は、不条理に陥ったエリート集団の典型であった。 取引コストにとらわれた人々の、他律的な意思決定に対し、一石を投じることのできる人物、それが自律的な意思を実践する「啓蒙された人」である。このようなリーダーが帝国海軍に数人いれば、組織の不条理から救われたはずである。
    ====================

  • 第二次大戦時の帝国陸海軍が犯した数々の失敗を、個別の事例の丁寧な調査と解説で分析してくれている。この手の本の中でもとてもわかりやすいものだと思う。何を読んでも当時のお粗末な意思決定や視野の狭さに呆れるが、やはり他人事ではない。特に戦艦大和の特攻にあたっての意思決定では、米国留学経験のある知性派でさえ、今考えれば合理的でない決定をしている。本書の分析によれば、「敗戦が濃厚な状況で、大和を温存しておくことは、臆病者のレッテルを貼られるだけでなく、終戦後に大和が敵国の実験などに使用されることになり、これらを何より恐れた」とされている。当時のその立場であれば当然の意思決定かもしれないが、そのせいで数千人の戦死者を出したとなれば、同情できる話ではない。ただ、こういう「空気感」のなかで誤った判断をしていないかについては常に自省する必要があると感じた。

  • 「失敗の本質」の続編。太平洋戦争時の日本軍におけるリーダーシップ不在、大きな戦略不在についてが、具体的な事例、人物を取り上げながら説かれている。実用的な知識だけでなく哲学が必要なこと、グランドデザインを持ちつつ現場の細かな様子にも気を配る必要があること、リーダーシップにおいては日常の部下とのコミュニケーションも重要であることなどが印象に残った点です。

  • 第二次大戦における日本の軍事行動の失敗から教訓を得ようとする本。リーダーシップに的を絞り、主に司令官に焦点を当てて分析を試みている。空気で説明される大和特攻を、取引コストの点で説明を試みたことは興味深かった。

  • ●リーダーシップを発揮するためには、実践知をを備えなければならない。経験や教養により、大局観と現場感覚、判断力を養うことが大切。

  • オーディオブックで読了。
    失敗の本質の28年ぶりの続編と言うことで、
    色々現代の時事ネタも入ってきていて面白いです。

    前作は戦略や戦術のレベルでの失敗の分析でしたが、
    今回はリーダー及びリーダーシップにフィーチャー
    して分析が為されています。

    本作の最大の山場はやっぱり空気感と取引コストかなと。
    なんというか、日本という国は本質的にはやっぱり
    連綿と続いているのだなぁということを感じずには
    いられない下りでした。

    現代の組織にもかなり適用可能な歴史の教訓を
    是非本作から学んで頂ければと思います。。。

  • 名著「失敗の本質」の続編.リーダーシップに焦点を絞って議論.
    ・若手に権限移譲し「小さい組織」を任せるなど,次世代のリーダーが実際に権限を行使する場を設ける事が重要
    ・開かれた多様性を排除し,同質性の高いメンバーで独善的に意思決定する内向きな組織が問題
    ・求められるのは「現場感覚」「大局観」「判断力」

  • リーダーに求められる6つの能力
    ・善い目的を作る
    ・場をタイムリーに作る
    ・ありのままの現実を直視する
    ・直感の本質を概念化する
    ・概念を実現する政治力
    ・実践知を組織化する

    見る、聞くも大切だが、1番は、試すこと。
    知性教養、勇猛心、寛容、闘魂、粘り強さ、決断力
    が必要

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著者プロフィール

野中郁次郎(一橋大学名誉教授)

「2019年 『賢者たちのダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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