リバース・イノベーション

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478021651

感想・レビュー・書評

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  • 新興市場向けのイノベーションを自国のイノベーションに活用するという観点が参考になった。

  • 従来考えられてきた、先進国から途上国への技術・市場の流れとは別の事例が起きている。
    ーリバース・イノベーションー
    それは途上国に端を発し、先進国に至る破壊的な技術革新である。
    その本質は、15%の価格で50%のソリューションを提供する事だ。それは、先進国に住む者からすれば、魅力とはならない。しかし途上国の人々からすれば、0%が50%になると言う大きな価値を持つ。
    リバース・イノベーションを導くために、以下の必要性が示されている。
    ○先進国での前例(成功体験)を延長せず、ゼロから作り上げる。
    ○性能、インフラ、持続可能性、規制、好みと言うギャップを見極める。
    ○途上国での革新が、先進国への破壊的なリバース・イノベーションとなって遡ってくる。
    上記は、日々の仕事の中でも、意識してみたいと思う。

  • 途上国でなくても、応用できる考え方であると思います。
    途上国に限ったリバースイノベーションの話であれば、我々、中小よりも大企業の方々こそ読むべき本だろうと思いました。
    ただ、その考え方は先進国内でも適用できるものである。

  • ハーバードビジネススクールのMBA、博士号取得の方と、元海軍将校でタックビジネススクールの方の共著。
    大企業が先進国のモデルを新興国に持ち込んで成功させるグローカリゼーションの考え方ではなく、大企業が新興国発で新しいイノベーションを起こし、先進国に持ち込んで成功させる『リバースイノベーション』が重要であるということが書かれた本。
    具体的な事例がふんだんに書かれており、読みやすいこともグッド!
    リバースイノベーションを考える際のワークシートも付いており、経営者の方や経営企画の人にお薦めしたい本である。

  • ハイスペック製品をハイエンド市場に売ることに慣れてしまっているマーケティング担当者、ハイスペック製品をハイエンド市場のために開発に慣れてしまってる開発担当者には、グサっと来るか何も響かないか両極端に評価が振れる本だと思う。
    どこに市場があって、どこでイノベーションを起こすかの感度があるかないかは企業の生死を決めるポイントになり得る。

  • 第一部でリバースイノベーションの概念を簡潔に説明し、続く第二部で事例を次々と説明することで概念の理解を促すという構成が良かった。とても読みやすい。

    途上国のニーズは先進国のニーズとはかけ離れていることや、途上国では超割安価格でそこそこ良い性能を持つ製品が求められていることなどは、本書から学んだ重要なことの一部である。そして、これらの主張から「ファクトフルネス」の内容を思い出した。世界の中心は欧米からアジア、アフリカに移っていくという同書の主張はリバースイノベーションの重要性を支持すると思う。一方で、同書は世界の大半が極度の貧困から既に抜け出しているとも書いている。本書が書かれた時代や、本書が参考にした事例が起きた時代はすでに10年以上前であることを踏まえると、本書を活用する前には、世界の見方のアップデートが必要であると思う。

    本筋ではないが、学習について説明責任を負わせるという教訓は印象に残った。不確実性が高いプロジェクトでは、計画遵守や財務指標についてリーダーに責任を負わせるの合理的ではない。しかし、フリーパスで良いわけではない。そこで、例えば、統制の取れた実験を行ったか、迅速かつ低コストで学習したか、学習結果に基づいて適切な意思決定を行ったか、その過程で仮説を精緻化できたかを評価することが重要。

  • 得るものが多かったというよりは思考が整理されて、自分の目の前の事象と対比して考えさせられることが多かった。

  • イノベーションとは、決して富裕国から途上国への一方通行ではなく、昨今は途上国から富裕国へのリバースイノベーションが当たり前のように起こっているという点を、当該理由(途上国と富裕国のニーズのギャップ)、マインドセット、ビジネスモデルの3つの視点で記載されています。
    全体的な印象としては、クリステンセンの繁栄のパラドクスの無消費経済に対するイノベーションに違い文脈という印象でした。

    ①富裕国と途上国でのニーズのギャップ
    「性能」「インフラ」「持続可能性」「規制」「好み」に必ずギャップが生まれるという論点がありました。途上国には、富裕国の製品の廉価版を提供しておけばOKという考えでは絶対に成功せず、ゼロベースでビジネスを考えていく必要がある。これは、富裕国と途上国という構造のみならず、市場創出活動において全て当てはまるのではないかと感じています。

    ②マインドセット
    一番心に刺さったのは、「自分たちが相手にするには利益率が低すぎるというバイアス」でしょうか。この考えは、単にビジネスモデルを考えきれていないだけ。1億の利益を出す顧客が1人いるのと、100万の利益を出す顧客が100人いるビジネスでは、戦い方が異なるのはごもっともです。
    また、途上国だからといって古い技術で安い製品を出せば良いというわけではなく、途上国だからこそ最新の技術を応用してより効率的で安価な製品を出す必要を感じました。そのために如何に社内を巻き込むか、組織の重心を当該事業を推進する組織におくか、そして権限や財務の独立性を保ちながら、既存のリソースを使うことも可能にする。ここまでやって初めて成功への道筋が見える。やはり、成功している人や組織は、並々ならぬ覚悟を持って取り組んでいることを痛感しました。注意点として記載されていたのは、決して全てを途上国向けのイノベーションに注力せよという話ではなく、バランスを維持する必要性についても言及されていたことが、さらに難易度を上げる要因でした。

    ③ビジネスモデル
    まず第一歩は支配的論理を壊すこと。端的には過去の成功体験に縛られないこと。そして、独立した組織を作り上げることが重要なポイントとしてあげられています。その組織で何をコミットするかというと、決して数字ではなく、最も顧客のために効率的で効果のある学習をしているかという点。そういう組織が必要。自分たちの組織に当て嵌めたらそうかな。顧客との接点を持つ組織と、そのニーズを具現化する研究機関とそれを製品化する我々の組織くらいの座組みが必要ではないかと。自分自身も知識として蓄えるだけでなく、行動を伴って支配的論理を崩していきたく、その仲間も欲しいなと思いました。

  • リバースイノベーションとは、新興国で生まれる(または生み出す)イノベーションを先進国に輸入すること。
    ①先進国と途上国の5つのギャップ
    ・性能
    ・インフラ
    ・持続可能性
    ・規制
    ・好み

    ②リバースイノベーションの3つのステップ。私見だが、CVCにも共通して言えそう。
    ・新興国市場に重心を移す
    ・新興国市場の知識と専門性を深める
    ・はっきりと目立つ個人的な行動で雰囲気を変える

    ③新興国市場担当チームは予算も時間も人員も少ない。しっかり市場調査した後(マーケットバック)、小規模のプロトタイプでテストし、どんどん改善して世に出していく。

    本書では各章で具体的に以下の事例が紹介されている。
    ・中国でのロジテックのマウス(日本ではロジクール)
    ・メキシコでのP&Gの生理用品
    ・中国でのEMCの検索ソフトウェア?
    ・インドでのジョン・ディアの農業用トラクター
    ・インドでのハーマンの自動車用ナビ
    ・インドでのGEヘルスケアの携帯型心電計
    ・インドでのペプシコのスナック菓子
    ・ハイチやリマ(ペルー)での医師によるパートナーズ・イン・ヘルスの医療モデル

  • 新幹線内で飛ばし飛ばし読み終えた。

    リバース・イノベーションという名前に惑わされていたのだが、リバースに力点があるのではなく、新興国でのイノベーションにポイントがあるのだということが理解できた。いかに真剣に、ゼロから新興国対応に取り組むか、それにかかっている、というのが第一のポイントで、それを富裕国に活かすのは、その次。

    扱う製品や事業を言い訳にしたくはないが、適する製品、適さない事業があるのではないかと思ってしまった。だからイノベーションが起きないんだな。

    [more]
    (目次)
    【第1部】 リバース・イノベーションへの旅

    第1章 未来は自国から遠く離れた所にある
    第2章 リバース・イノベーションの5つの道
    第3章 マインドセットを転換する
    第4章 マネジメント・モデルを変えよ

    【第2部】 リバース・イノベーションの挑戦者たち

    第5章 中国で小さな敵に翻弄されたロジテック
    第6章 P&Gらしからぬ方法で新興国市場を攻略する
    第7章 EMCのリバース・イノベーター育成戦略
    第8章 ディアのプライドを捨てた雪辱戦
    第9章 ハーマンが挑んだ技術重視の企業文化の壁
    第10章 インドで生まれて世界に広がったGEヘルスケアの携帯型心電計
    第11章 新製品提案の固定観念を変えたペプシコ
    第12章 先進国に一石を投じるパートナーズ・イン・ヘルスの医療モデル
    終章 必要なのは行動すること
    付録 リバース・イノベーションの実践ツール
    ネクスト・プラクティスを求めて

著者プロフィール

<著者>
ビジャイ・ゴビンダラジャン
 世界有数の戦略とイノベーションの専門家。12冊の著作のほか、学術誌や実務雑誌にも幅広く寄稿している。その著作はニューヨーク・タイムズ紙やウォール・ストリート・ジャーナル紙のベストセラーリストにも登場。現在は、ダートマス大学とハーバード大学の教授陣の一員である。
 ゴビンダラジャンは、フォーチュン500(フォーチュン誌が年に一度発行する総収入に基づく全米上位500社のリスト)企業の25パーセント以上のCEOや経営チームと、戦略やイノベーションについて議論を交わし、思索を深めてきた。また、ゼネラル・エレクトリックで初めての招聘教授、およびチーフ・イノベーション・コンサルタントを務め、当時CEOのジェフ・イメルトと協同執筆したハーバード・ビジネス・レビュー誌(HBR)の記事、「GEはどうやって自らを破壊しているのか」で「リバース・イノベーション」(途上国で先に採用されたイノベーション)の概念の先駆者となった。HBRは「リバース・イノベーション」を20世紀の「経営の重要転機」の一つに挙げている。

「2021年 『イノベーション創造戦略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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