リバース・イノベーション

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478021651

作品紹介・あらすじ

リバース・イノベーションとは「途上国で最初に生まれたイノベーションを先進国に逆流させる」という、従来の流れとまったく逆のコンセプトであり、時に大きな破壊力を生み出す。そのインパクトとメカニズムを、シンプルな理論と豊富な企業事例で紹介。

感想・レビュー・書評

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  • 1.この本をひと言でまとめると
     これからのグローバル競争の鍵

    2.お気に入りコンテンツとその理由を3から5個程度
    ・10ドル費やせる人が1人いるのと、1ドルを費やせる人が10人いるのとでは、ウォンツやニーズはまったく異なる。だからこそ、富裕国の製品やサービスが貧困国でも大きな効果を出せるなどと期待するのは、非現実的なのだ。(p22)
    →逆パターンはこれからもっと成功の可能性が高まると思う。

    ・途上国の人々はむしろ、超割安なのにそこそこ良い性能を持つ画期的な新技術を待ち望んでいる。つまり、わずか15%の価格で、50%のソリューションを望んでいるのである。(p25)
    →根本的な思想の転換が必要。そのためにチームを作るのは合理的な考え。

    ・リバースイノベーションにとっての最大のハードルは、科学的なものでも、技術面でも、予算でもない。経営者や組織である。(p91)
    →日本企業はこの問題が顕著ではないか。

    ・リバース・イノベーションではビジネスの利益と人々の利益がほぼ一致する。実際に、世界で最も頭の痛い社会問題の一部を解決するツールとして、リバース・イノベーションの力を見逃すことはできない。(p334)
    →ビジネスの利益と人々の利益が一致するのは理想的だと思う。

    ・本書は我々日本人に「変革なくして発展なし」からさらに踏み込んで、「変革なくして生存なし」という考え方に転換すべき時が来たことを訴えている。(p375)
    →イノベーションに真剣に取り組むべき時代が来たということ。

    3.突っ込みどころ
    ・経営者視点の話が多く、そうでない下っ端の視点での記述が欲しかった。
    ・本の内容の2/3が事例、理論は最初の1/3というのは、理論としてはまだ未完ということ?

    4.自分語り
    ・いかに守りを続けるのではなく、新たな挑戦を継続して行っていく必要があるかは明らか

    5.類書
    ・イノベーションのジレンマ

  • 新興市場向けのイノベーションを自国のイノベーションに活用するという観点が参考になった。

  • イノベーションは先進国で生み出され、それが途上国にも普及するのはもはや過去の考え方。今や途上国が大きなマーケットになっているため、途上国に合わせた製品開発が必要。そしてその製品は先進国の今まで気づかなかったところで広がっていく。この点に視点をおいた著者の分析は見事だが、後半に同じような実例が続くのは読んでいて少々疲れる。

  • 従来考えられてきた、先進国から途上国への技術・市場の流れとは別の事例が起きている。
    ーリバース・イノベーションー
    それは途上国に端を発し、先進国に至る破壊的な技術革新である。
    その本質は、15%の価格で50%のソリューションを提供する事だ。それは、先進国に住む者からすれば、魅力とはならない。しかし途上国の人々からすれば、0%が50%になると言う大きな価値を持つ。
    リバース・イノベーションを導くために、以下の必要性が示されている。
    ○先進国での前例(成功体験)を延長せず、ゼロから作り上げる。
    ○性能、インフラ、持続可能性、規制、好みと言うギャップを見極める。
    ○途上国での革新が、先進国への破壊的なリバース・イノベーションとなって遡ってくる。
    上記は、日々の仕事の中でも、意識してみたいと思う。

  • 先進国で起こったイノベーションは、時間差で発展途上国で開花するといった説は、現在ない。
    コミュニケーションが発達した現在は、一段も二段も飛び越えた技術浸透がなされる。
    よって、利益の構造や求められる使い勝手も先進国のものとは全く異なる。
    ローカリゼーションも大事ではあるが、大事なことは、地場地場に会った商品やサービス地場の環境や課題になぞらえて開発すること。
    そのためには現地の人たちからのマーケティングが、最も重視される。

  • 『グローカリゼーションは、国境を越えたマイナーチェンジには対応できるものの、富裕国と貧困国のギャップを解消するまでには至らない。

    ほとんどの場合、富裕国向けに設計した製品をただ持ち込んだり、微調整したり、コスト削減のために二、三の機能を省いたりする程度で、これでは中国やインドで急に大ブレイクする製品は生まれない。

    10ドル使える人が1人いる市場と1ドル使える人が10人いる市場との基本的な違いに対処しようとするのであれば、もっと変革をもたらす何かが必要となる。』

    読みやすく、シンプルで、実践的。
    具体例も豊富で説得力もある。

    自国での先進国的成功体験に漬かりきった企業への痛烈な警告に聴こえるなぁ。

    ここで言われているLGT(ローカル・グロース・チーム)を組織化できる企業風土があるかどうかが、成功出来るかどうかの試金石なんだろうなぁ。

  • 途上国でなくても、応用できる考え方であると思います。
    途上国に限ったリバースイノベーションの話であれば、我々、中小よりも大企業の方々こそ読むべき本だろうと思いました。
    ただ、その考え方は先進国内でも適用できるものである。

  • リバース・イノベーション
    Vijay Govindarajan,Chris Trimble著

    最近話題になっているので読んでみました。

    先進国と新興国の市場に違いについて、さまざまなフレームワークと多くの実例で解説されているので、理解しやすく書かれて、多くの気付きが得られました。

    自分の会社で当てはめるとどうなのかは、深く考えてみたい。

    新興国で先進国製品のマイナーチェンジ品が売れないのは、経済水準が追いついていないと判断している多くの企業に対して、アプローチが違うと警鐘を鳴らしている。

    そこで求められているのは、「70%の性能を70%の価格」で提供することではなく、「50%の性能を15%の価格」で提供することであるからだと述べている。

    そのためには、リバースイノベーションが必要で、新たなマインドセットとマネジメントモデルの開発が必要とのこと。

  • ハーバードビジネススクールのMBA、博士号取得の方と、元海軍将校でタックビジネススクールの方の共著。
    大企業が先進国のモデルを新興国に持ち込んで成功させるグローカリゼーションの考え方ではなく、大企業が新興国発で新しいイノベーションを起こし、先進国に持ち込んで成功させる『リバースイノベーション』が重要であるということが書かれた本。
    具体的な事例がふんだんに書かれており、読みやすいこともグッド!
    リバースイノベーションを考える際のワークシートも付いており、経営者の方や経営企画の人にお薦めしたい本である。

  • ・ネクスト・マーケット[増補改訂版]――「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略  http://www.amazon.co.jp/dp/4862760783
    ・BOPビジネス 市場共創の戦略 http://www.amazon.co.jp/dp/4862761119
    ・未来をつくる資本主義[増補改訂版]――世界の難問をビジネスは解決できるか  http://www.amazon.co.jp/dp/4862761275

    上記のBOPビジネス本の後に読んだ、本書『リバース・イノベーション』。

    BOPとは(Bottom of the Pyramid/Base of the Pyramid)の略で、先進国をピラミッドの頂点としたピラミッドの底辺となる、今後、全世界で40億人近い人口になると言われる新興国層のこと。
    そして、グローカリゼーションとは、多国籍企業が先進国で商品開発した商品やサービスを、新興国層向けに機能を少なくしたり、BOP層を一定のニーズのみで成立してるセグメントとして捉え、規模の経済を活かし、所得の低いBOP層向けに廉価な製品などを提供するスタイル。しかし本書では、このスタイルのビジネスは、うまくいかない場合が多いと。

    そして、その解決策がリバース・イノベーションとしている。

    2部構成の本書は、第1部では、リバース・イノベーションの概論と重要な手法などを解説している。

    リバース・イノベーションでは、今までは、グローカリゼーションなども含めて、ピラミッドの頂点である先進国でのイノベーションの成果としての商品やサービスを、底辺であるBOP諸国に向けて提供していた従来の手法を改め、BOP諸国で発生したイノベーションの成果としての製品やサービスを、幾つかのステップを経て先進国に逆流させる。

    具体的には、BOP諸国のなかで1つもしくは少数の国をサンプル市場として選び、現地のパートナーと白紙の状態から顧客のヒアリングを始め、適した商品やサービスを、ヒアリングなどで接点を持った顧客予備軍もマーケティングに活用しつつ、多国籍企業として持っている知的資産などのリソースを総動員して、コストなどの制約条件を徹底的に管理しクリアし、現地に受け入れられる商品やサービスを提供する。

    現地のサンプル市場では、LGT(ローカル・グロース・チーム)という、少数精鋭で多様なチームをまずは組織し、ヒアリングし、プロトタイピングなどを重ねていく手法をとる。

    第2部では、まだまだ浸透していない、リバース・イノベーションという概念を理解出来るように豊富な事例で解説している。


    読み終わった際に感じたことは、リバース・イノベーションに必要な手法や概念などがある程度明確になったこと。
    ・LGTが現地のニーズを把握するのは、エスノグラフィーなどのデザイン思考的なアプローチ。
    ・ニーズは確認していく際に必要となるプロトタイピングなどのアプローチは、顧客開発モデル。
    ・ビジネス・アイデアがビジネスとして成立するかは確認するための価値創造アプローチは、ビジネスモデル・ジェネレーション的な発想。

    リバース・イノベーションをテーマに、関連する項目がかなり整理した本でした。今後、5年、10年価値が薄れない本ではないかと思いました。

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著者プロフィール

<著者>
ビジャイ・ゴビンダラジャン
 世界有数の戦略とイノベーションの専門家。12冊の著作のほか、学術誌や実務雑誌にも幅広く寄稿している。その著作はニューヨーク・タイムズ紙やウォール・ストリート・ジャーナル紙のベストセラーリストにも登場。現在は、ダートマス大学とハーバード大学の教授陣の一員である。
 ゴビンダラジャンは、フォーチュン500(フォーチュン誌が年に一度発行する総収入に基づく全米上位500社のリスト)企業の25パーセント以上のCEOや経営チームと、戦略やイノベーションについて議論を交わし、思索を深めてきた。また、ゼネラル・エレクトリックで初めての招聘教授、およびチーフ・イノベーション・コンサルタントを務め、当時CEOのジェフ・イメルトと協同執筆したハーバード・ビジネス・レビュー誌(HBR)の記事、「GEはどうやって自らを破壊しているのか」で「リバース・イノベーション」(途上国で先に採用されたイノベーション)の概念の先駆者となった。HBRは「リバース・イノベーション」を20世紀の「経営の重要転機」の一つに挙げている。

「2021年 『イノベーション創造戦略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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