漂白される社会

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  • ダイヤモンド社
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本棚登録 : 520
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478021743

感想・レビュー・書評

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  • なかなか読む気になれなかったけれど、読み出したら早かった。日本にいる限り、何とか生きていくことは可能なんだと心強くも思ったが、果たしてそれで生きていると言えるのだろうかとも思った。

  • 普段視界の中心にはない事柄。しかし確実にこの世に存在するもの。そんな実態が描かれている。社会学なんていう大層な興味からではなく、ただ単に野次馬根性で読んでみたが、それでも十分に気付かされることがあった。もちろん好奇心も満たされる。

    社会とは一般的な私たち(この括り方にも大いに問題があるのだろうが)+周辺的な存在 これらの総称であり、決してマジョリティーだけが社会なのではないと思った。

  • なんかちょっと学術論文っぽく書いてるけど、ぶっちゃけ、周辺世界というか、アウトロー、底辺世界のルポとして読めるかな。ただ、自分と同い年の人間がこういう本を書いているのは刺激になる。

  • ○社会学者である開沼博氏の著作。
    ○現代日本社会の“裏側”を「漂白される(された)もの」とし、12の具体的な事例・ケースをもとに、様々な場所、時間で見られる、普通の日常生活に溶け込んだ「見えないもの」を明らかにしていくことで、日本社会の実像に迫るもの。社会学者の学術書というよりも、ルポライターによる実話本という印象。
    ○結局のところ、終章にあるとおり、「漂白される社会」とは、「見て見ぬふりをしてきたもの」があふれる社会であり、異端なものをそこに押し込むことによって、表面上は“キレイ”な社会であることを装っているものとのこと。
    ○私も、本書の12のケースが自分の身近で実際に起こっていることに全く気がつかず、存在自体が無意識に受け入れていた(排除していた?)ということに気がついた。
    ○世の中の“キレイゴト”の本質をつかむための貴重な一冊。

  • ちょっと裏モノっぽいところも多く(著者本人もその手の雑誌に発表した記事もあると吐露)、のぞき見的な感じにも陥りがちだが、著者が各「旅」の終わりに図式化して説明しているところが最も腑に落ちる。

  •  ホームレスがいても、そこに誰もいなかったように通り過ぎる人々、あってはならぬものを許容しない社会は、本来存在しているものを表向きなかったように見せる。 射幸性の高いパチスロ台が規制され、違法なバカラ店が摘発されても、人の射幸性をあおるビジネスは昨今コンプガチャという形で、子どものケータイゲームという表の世界で表面化して、問題となった。
     豊かで自由な先進国であるという日本という建前とは別に直視してこなかった日本の貧困が今あきらかになってきている。ホームレスギャルなど今までそれを表現する言葉がなかった人々が生まれてくる背景には、それはあってはならぬものだったから。言語化されない・表面化しないことにスポットライトをあて、ジャーナリストとして、社会学者として単に好奇心やかわいそうという視点で貧困を描くのではなく、日本の貧困の裏にある社会の現実が明らかにされる良書。

  • 表通りを歩いているだけでは、気づかない魔窟のようなスポットがこの世にはあるらしい。

  • 日常を何気無く過ごしていると気付くことのない周縁の人達

  • セックスやギャンブルから、ドラッグ、シェアハウス、過激派、偽装結婚など、あってはならない人や得体が知れないものを指す「周縁的な存在」について深く考察した本だ。対象は、実に多岐に渡っている。ダイヤモンド・オンラインで公開されていたエントリが元になっている。
    http://diamond.jp/category/s-hyouhakushakai

    必ずしも自分とは相入れない人々と共存せざるを得なかった旧来の共同体と違い、IT化・グローバル化され、カネ、モノ、情報が溢れることで選択肢が増えた社会では、不愉快なものを容易にフィルタリングできるようになった。経済格差は現代の隠れた貧困を産み、家庭や地域、社会の軋みは、「正しさ」という浄化の強迫観念に囚われていく。
    猥雑さや歪さを許容せず、消し去ろうとすればするほど、それらはより見えづらくなるか、むしろはっきり固定されていく。光が当たる部分と、それにより作り出される影の間に線を引くことにより、その隙間にあったはずの多くのグレーな領域が目に見えるようになる。

    筆者は、商業誌のライター経験もある社会学研究者である。正直なところ、学術的な冒頭の数十ページは少々退屈だった。一体、何が・誰がテーマなのかという、対象そのものの定義が各章の最初に繰り返されるのも、やや冗長に感じていた。
    しかし、対象と視点を明確にしなければならないことそのものが、問題の根深さを示すことに徐々に気づいていく。社会の辺境に存在せざるを得ない人々の姿が、自分自身に重なる。雇用が流動化し、個人化=フリーランス化が進んでも、高い付加価値を維持できない人材が自然淘汰されていくという指摘には、息苦しさすら憶える。

    平和で豊かな現代社会に渦巻く、完全には満たされない安心・安全が、不安の温床となっている。歪な自由と平和によって、内側にいる一般市民に当面の幸せが作られているその状態こそが、人を不安感・不信感を抱かせている。
    正義・合理・普通という概念は、不安定なまま変化し続けるにも関わらず、二極化を進めるほどに、明示されないリスクヘッジだった明るいグレーゾーンの逃げ場は失われていく。筆者はこの社会現象を、「漂白」という残酷な二文字に見事に集約した。都合よく見て見ぬ振りをしてキレイな自由と平和を求める、「普通の市民」の恐怖を感じずにはいられない。

    後部の注釈や出典、参考資料との行き来が面倒なのは紙の書籍の制限だが、この本の発端となったダイヤモンド・オンラインには、収録しきれなかった内容や、出版後の状況、テーマに関係するいろいろな人たちとの対談も掲載されている。併読することで、程度や立場の差こそあれ「漂白」から誰も逃れられない事実をさらに深く知ることになる。

  • 電車の車窓から見るように、社会を見る。冒頭で表明した視点と視座が貫かれていました。


    メモ:
    ・純粋な弱者しか許さない現代社会
    ・一見、わかりにくい、グレーな貧困
    ・インフォーマルなセーフティネットに頼るしか術がない貧困
    ・合理的な思考を積み重ねていく「普通の人」としてではない、生まれ、生きていく中で、生き続けるために「思考のスイッチ」を切りながら善良な市民が眉をひそめるような生き方へと突入せざるを得なかった人々の貧困
    ・弱者へ憑移した議論
    ・あってはならぬものとして不可視化されながらも存在し続ける「周縁的な存在」

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著者プロフィール

1984年福島県いわき市生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。専攻は社会学。現在、立命館大学衣笠総合研究機構准教授(2016-)。東日本国際大学客員教授(2016-)。福島大学客員研究員(2016-)。
著書に『福島第一原発廃炉図鑑』『はじめての福島学』『漂白される社会』他。

「2017年 『エッチなお仕事なぜいけないの?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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