走りながら考える

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478022870

感想・レビュー・書評

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  • 努力があるから挫折がある。
    挫折は人生に起伏をもたらすもの。
    人生は、穏やかな挫折を受け入れること。最後は負けで終わる。しかし負けと幸福感は別である。

    ウサイン・ボルトは生まれつき脊柱側弯症である。

    夢は持つべき。叶わなくても。できなくてもやる。挑むことが大事。
    幸福は今しかない。夢は今を輝かせるために持つもの。

    夢の実現を目指すと、我慢しなければならないことがある。他の選択肢をあきらめるという決断。

    苦しさ、一生懸命、必死、でやっている人は、無我夢中、リラックスした集中、に勝てない。

    負けや失敗は思っているよりも悪くない。勝ちには負けがつきもの。勝ち負けがあっても、それはすべてではない。

    結果に依存しすぎると、人生は意味がなくなる。プロセスの中に喜びを見出すことが知恵。

    毎日夢を求め、目を輝かせて生きていれば、叶っていなくてもすでに努力は報われている。

    イメージできるものは実現できる。やってやるぞ、よりできてしまいそうだ、という感覚。

    人は毎日老いる。だから今日という日を一生懸命生きることしかない。

  • 良書。
    人生や無常な現実に対する為末さんの考え方を記した本。
    一流のアスリートの思慮深く老成した価値観からは学べる事が多いと思う。

  • 為末さんの著書を読むのは2冊目。
    前作同様、努力してもし尽くしても叶わない夢にどのように向き合うのか、気持ちをどのように整理するのか、それでもモチベーション高く持ち続けるにはどうすればよいか?など、人生を生きていくうえで、また子どもと接する上で大切なことがたくさん散りばめられていてとても勉強になった。

    諦めること、冷静に、客観的に判断することも大切だけど、同時に諦めないことも大切。
    自分が本当に諦めたくないとこは何か?と自分に向き合うことが大切。

    特に印象に残ったのは「欠点」には存在理由がある、ということ。
    すごくなるほどな、と感じた。
    欠点を無くそうと、克服しようとすると実は良い部分を殺してしまうこともあるんだな、と。
    そういう理由で短所を補おうとするよりも長所を伸ばすほうが理にかなってるんだな、と。

    以外、読書メモ。

    ・失敗を「すべて」ではなく、成功への長い道のりの「一部」ととらえる
    ・立ち上がれたことが自信になる(勝利そのものは自信にならない)
    ・自分で選んだものは、失敗や反省も含めて、濃い(自分で選んだものは最初から最後まで自分の責任)
    ・自分自身の「臨界点」を知る(本気でやることで限界が見える)
    ・「他人軸」から「自分軸」へシフトする(他者評価でなく自分評価へ)
    ・残念ながら「やればできる」は幻
    ・残念ながらほとんどの人生は「負け」で終わる(「一番」は瞬間的な事実)
    ・挫折は早いうちに味わったほうがいい(自分の「弱さ」を早く知る)
    ・欠点には存在理由がある(全体のバランスで見始めると、欠点が欠点だけで存在しているのではなく、長所とセットになっていることがほとんど。必要な副作用。欠点も短所も悪い癖も飲み込んで、その中の伸びる部分を見つけ、そこに時間や労力を投下するという方法が効率的)
    ・夢を持ちなさい、たぶん叶わないけれど(輝きは、夢が叶う、叶わないに関係ない)
    ・長期で追いかける大目標があると、短期であきらめるものが出てくる
    ・人の真似をしている限りは、ずっと2番のままだ
    ・勝ちやすい「場」を探すのも手だ(どこなら勝てるか、その中でいかに勝てるか、を考える能力も必要)
    ・本当に強いのは、気づいたら努力していたという人(「苦しさ」や「一生懸命」「必死」でやっている人は、「無我夢中」「リラックスした集中」でやっている人にはどうしたって勝てない)
    ・「一番を目指す」を、モチベーションに使う(自分を鼓舞するためのツール)
    ・結果に依存し過ぎると、敗北感が強くなる(結果に依存しすぎていると、人生なんてほとんど意味がなくなってしまう。結果とは関係なくプロセスの中にいかに喜びを見出すかは大きな知恵だと思う。)
    ・一番を目指している。そのこと自体が幸せなのだ(すでに努力は報われている。)
    ・「考えた」ではなく「感じた」「思った」トークをしよう(判断、理屈、理論は脇へ置く)
    ・体感の先にあるものが、イメージ
    ・老いていくから毎日を一生懸命生きるしかない。「今自己ベスト」を突き詰める
    ・テンションが上がる原体験を思い出してみる(好きなものリスト。人生はワクワクしたものに変化する)

  • 為末さんはたまにツイートがタイムラインに流れているのを見たことがあるけど、どういう人なのかこの本を通して知れてよかった。アスリートの人生観だとか、プライドやメンツ、勝ち負けについて、そういったものに対する考え方。

  • Twitterで為末選手の発言を何回か拝見する機会があり、興味を持っていました。

    確信をつきながらも、刺激の強い発言は、ともすると話題性だけを狙った空虚なものになりそうですが、本でまとめて読むと、「自分の経験から得た言葉の重み」を強く感じます。

    以前、podcastで、様々な自転車選手のインタビューを聞く機会があり、それぞれの選手の言葉の深みがとても印象的でした。
    本文でも語られているのですが、アスリートは一般人の数倍の速さで人生を生きています。なので、より内省的になるし、タフな決断の連続で、経験値も蓄積されるのでしょう。


    面白いのは、スポーツの種目によって、自分の思いを言葉に変換出来る度合いが違う事です。
    個人的な感想ですが、相撲、野球、サッカーの選手はあまり上手ではない気がします。
    陸上、自転車、テニス、モトGPの選手は、自己表現がとてもすぐれた選手が多い印象です。


    理由をいろいろ考えてみたのですが、競技マーケットが巨大で、組織化されていればいるほど、自己表現の能力は落ちていくのかもしれません。
    大規模で組織化された競技では、分業化が進み、アスリートは競技にだけ集中できるような仕組みが出来上がります。

    人間の思考が飛躍的に拡大するのは、「固定観念(メンタル・モデル)」が崩れた時です。
    メンタル・モデルは日常のルーティンの中では崩す事は難しく、多くは非日常の体験からの気づきによってもたらされます。
    僕は個人での移動が多い、あるいは個人での「雑用」が多いアスリートが、この「気付き」の体験が多いのではないか?と思っています。
    出張でも旅行でも、移動というのは、目標と効率、そしてハプニングと停滞、静と動の連続です。
    移動によって、人は様々に内省して、成長するのかもしれません。


    実体験からの本だけに、とてもコンテキストの豊富な、カラフルな文章ではあるのですが、それゆえに、コーヴィー博士の「The 7 Habits..」のような普遍的な洗練はありません。

    だけど、その洗練の無さがもつ、独特の熱が、読んでいてとても刺激的です。

    コーヴィー博士も、ドラッカーも、為末さんも、突き詰めていくと、言い方は違いますが、同じ結論に達しているのも面白い。

    ・等身大の今の自分を知ること。
    ・目標(北極)ではなく、目的(北極星)を持つ事。
    ・死という時間的制約を意識する事
    ・自分の固定観念(メンタルモデル)は何かを知る事


    本編中、もっとも印象的だった箇所の引用

    <blockquote>「思いは叶う」、そしてそれ以上に「叶わないこと」がある。
    それでもなお、いかに自分の中の気持ちを奮い立たせるのかは、知恵しかない。

    それはどこか、「人間は必ず死ぬのになぜ生きなければいけないのか」という矛盾にも似ている。
    おそらく、そのあたりの苦しさを納得させるために、宗教が様々に解いたのだと思う。
    自分ではどうしようもない現実を見たり、仕方のない事に出会い、人は傷つく。努力は無駄になったと思う。
    でも、振り返ってみて「あれは本当にムダだったのだろうか」と自分に尋ねると、そうとは言い切れない。
    夢を見ているその瞬間、人は確かに輝いているからだ。

    (中略)

    自分は何か意味のあることをやっていて、これをやり続ければ「社会に驚きを与えられる」と信じていられたその毎日こそが、今振り返ると自分への報酬だったのだと思う。
    走っている最中は気が付かなかったけど、夢を叶えるために懸命に努力していた毎日は本当にキラキラと輝いていた。

    結局のところ、幸福は「今」にしかない。
    僕らはつい、未来を見ながら今を置き去りにし、過去に縛られて今を忘れてしまう。
    夢はその「今」を輝かせるためにあると僕は思う。そしてその輝き自体は、夢が叶う、叶わないなんて関係がない。

    夢は持ったほうがいい。
    たぶん叶わないけど。
    </blockquote>

  • 本文より

    ?夢はその今を輝かせっるためにあると思う。
     そしてその輝き自体は、その夢がかなう、かなわないなんて関係ない

    ?批判は攻撃だから反撃しやすいけれど、期待は応援だから無視しにくい

    ?起こった出来事は同じでも、自分がする解釈、自分が付ける意味によって物事の見え方やありさまが
     変わることはとても多い。

  • ・恥ずかしいという気持ちが成長を止める
    ・立ち上がった瞬間が自信になる
    ・自分で選んだものは、失敗は反省も含め濃い
    ・残念ながらほとんどの人生は負けで終わる
    ・勝ちやすい場を探すのも手だ
    ・一番を目指している。そのこと自体が幸せなのだ
    ・自分の限界を感じることは、清々しいことでもある
    ・とにかく物理的に変えてしまおう

  • 競技生活は人生の一つを生きているようなもの。そこを濃くもがきながら生きた為末氏の言葉は老成していて重い。

    ※失敗を「一部」として捉えられるか
    ※自分で選ぶ事は人生を濃くする
    ※悪い拘りは人生において学ぶ機会を減らす。
    ※他軸から自軸にシフトするのは難しい。何故なら時として「気にする事」を気にしない事も他軸で生きているという事だから。固定せずにいつでもフィードバック調整できる「柔らかさ」が必要。
    →個人的に自分を客観視するのは勇気がいるし、為末氏の「柔らかさ」というのもピッタリくる。昔スポーツの自分の動画を見るのは生々しくて嫌いだったが「硬かった」なと思う。他人にも強制しない「柔らかさ」を持っていたい。
    ※結果に依存すると人生は意味がない。
    ※鬱になる人は「体感」が欠如している。根拠のない自信つまり何が自分に出来て出来ないのかをイメージ出来ない。
    →昔自分は出来ない物については1発逆転を夢見る傾向があったが、ある時期からそれは危険な考えと悟った。あの時の自分はきっと「体感」が欠如していたのだろうと思う。
    ※終了ではなく完了。フィニッシュでなくコンプリート
    ※視野を広げるとは自分の動く範囲を広げる、もちろんそれも大事だが自分や自分の観点が小さく思えるような体験をする事。それにより一種の達観や良い意味での開き直りも出てくる

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著者プロフィール

1978年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2021年12月現在)。現在は執筆活動、会社経営を行なう。Deportare Partners代表。新豊洲Brilliaランニングスタジアム館長。YouTube為末大学(Tamesue Academy)を運営。国連ユニタール親善大使。主な著作に『Winning Alone』(プレジデント社)、『走る哲学』(扶桑社新書)、『諦める力』(プレジデント社、小学館文庫プレジデントセレクト)など。

「2022年 『Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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