依存症ビジネス――「廃人」製造社会の真実

制作 : 中里 京子 
  • ダイヤモンド社 (2014年10月10日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478022924

作品紹介

もはや病気ではない。最強最悪のビジネスモデルである。iPhone、フラペチーノ、危険ドラッグ、お酒、フェイスブック、アングリーバード、オンラインポルノ…私たちは、なぜこうも簡単に「病みつき」になるのか?元アルコール依存症のライターが、人間の意志の弱さにつけ込むテクノロジーとビジネスの共犯関係に迫る!

依存症ビジネス――「廃人」製造社会の真実の感想・レビュー・書評

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  • なにしろ読みづらい。訳がおかしいのか?麻薬、スイーツ、アルコール、処方箋薬、ソーシャルゲーム、インターネットポルノの事例を交えて「すぐに気分を良くしてくれるもの=Fix」を容易に手に入れることができる現代の環境、依存症になり易い社会についての記述。「HALT」と呼ばれる、空腹、怒り、孤独、疲労が2つ以上組み合わさると"Fix"に手を出しやすい状況になる。マーケティングはそのニーズ=欲望に答えることであり、それは返せば依存させるためのものとも考えられる。ネット依存が社会問題になる昨今では当然にうなずける。

  • 我々の目の前には、“誘惑”という名の社会が広がっている。とりわけ、「買い物」・「スイーツ」・「お酒(アルコール)」・「ドラッグ」・「インターネット(SNS、ゲーム、ポルノ)」を本書ではその対象にあげている。

    確かに、ここ数年のうちに人を取り巻く環境は劇的に変化し、それに合わせて生活スタイルも変化してきた。町のいたるところで大量に安価な製品が出回り、家に居ながらクリック一つで購入することすら可能となった。

    その中にあって、本書で取り上げる“誘惑”が、単独もしくは相互に影響し合い人の関心を執拗なまでに集めるようになった。当初は種火だったものも、いつしか取り返しのつかない大きさにまでなってしまったのである。

    依存症を引き起こすこれらのものがビジネスモデルとして拡大し、それに合わせて依存症から抜け出すものもまたビジネスモデルとして成立するに至っている。よくよく考えてみれば、各々が自分でセーブし依存症になる前に食い止めておけば、そこにビジネスモデルが成立する余地はなかったのだと言える。

    社会は社会を創造したいような社会へと変化する。結果として、「一人一人の弱い心が今に至る依存症社会をいみじくも望んでしまった」と言わざるをえないところである。

  • アルコール、ゲーム、薬物、買い物、ポルノなどあらゆるものに依存する可能性がある。
    ポルノ産業で儲けている企業も増えており、子供たちは過激な動画に触れることでポルノ依存症に陥る。これにより生身の人間との付き合い方がわからなくなってしまう子もいる。
    依存するものが手に入りにくくなると、より手に入りやすいものに依存するケースもある。
    欲しいという欲求により、ドーパミンが駆動するが、薬物を注入するときよりも、薬物がもうすぐ手に入るというタイミングで大量のドーパミンが噴射される。企業はやみつきになる製品を開発するのにしのぎを削っている。そして依存症から抜け出すリハビリ産業が大きなマーケットになっている。

  • 依存はスペクトルであり、人は皆どこかに位置しているので、依存症という病気は存在しない。
    欲しいという感情に敏感に反応することで人間は進化してきたが、欲望を刺激するものが増えてきた社会ではその能力は悪用されてしまう。

    依存にまつわる色んな話が書かれた本。
    今の広告とかも大概人間の「欲しい」という感情(これがドーパミンを発生させ人を依存に陥らせる)を刺激するものばかりだからなあ。ソーシャルゲームの開発者が依存症治療の専門家にアドバイスを求めてきた(もちろん依存させるために)というのも笑えるようで空恐ろしい話。
    ともかく色々学びがあったのでこういう本は高評価にしてます。

  • 「依存症」と聞くとまず思い浮かぶのは「薬物」「アルコール」。本書はこれらに関する依存症の話ではありません。オンラインゲーム、スイーツ、買い物、無料ポルノ・・・私たちを取り巻く環境に普通に存在し、恩恵を受けているとすら思っているものに潜む依存性のお話。ちなみに著者は元アルコール依存症です。

    そんな著者がレポートする陥りがちな怖さとは、ヘロイン依存、麻薬依存、アルコール依存が人間の脳に依存たらしめる仕組み(脳内に放出されるドーパミンが原因とのこと)と、一日中家にこもってオンラインゲームをしたり、吐くまでスイーツを食べてしまったり、聖職者すら児童ポルノコレクターにしてしまったりする仕組みが実は同じであるということ。しかし後者の例も本人すら依存症になっていることが気付かないのだといいます。

    そしてこれらを提供する企業は、脳の反応を研究しつくしていて、依存してもらうような戦略を駆使していて、ますます抗うことが難しくなってきている。

    この傾向は今後ますます増え、私たちは嫌でも目耳に入ってくるこれらの誘惑に打ち勝つために、敢えて意思を強く持ち、勤勉であることが求められる。一昔前はそもそもそんな環境ではなかったため、そんなことをしなくても誘惑そのものが少なく、脳科学的にも刺激的ではなかったものが、今や頼んでもないのに刺激してくるという環境。そして本人は気付かない内に誘惑の虜になっていて気付いたら社会的にどうしようもない状況になっている、という。著者は実際にそうなってしまった人の取材例を引き合いに出し、依存症は病気ではなく習慣なのだと主張しています。なんでもかんでも手に入りやすくなった状況が事を悪化させている。

    最後に、「狩猟採集民がもっていた警戒心を取り戻す必要があるかもしれない」という一文は、ジャレド・ダイアモンド著『昨日までの世界』の内容を彷彿とさせます。インフラが整い、便利で安心で安全な世界を築いてきた代わりに、人類に備わっていた警戒心、観察力、判断力が損なわれてしまったという内容ですが、これにはやはり教育をしっかりしていかないと...

  • アルコール、ドラッグ、糖質、Apple製品やスマホ、買い物にポルノと様々な依存があるが、一般の普通の人も依存症になる可能性は十分にあるということがわかった。

    また、依存症の専門家に、カジノ業者から「興味ない人に賭博をやらせ、病み付きになるようにできないか」という依頼がいくというのは、興味深いと共に怖いと思った。
    消費者に依存症になってもらえば企業は儲かるのか。

    途中、面白さに書き込みや線を引きたくなって、書き込んでしまった。

  • 日本の現状はわかっても海外は?という場合に読むとわかりやすい。

    最後のポール・グレアムの文はらいおんの隠れ家さんとこで”中毒性の加速”(http://blog.livedoor.jp/lionfan/archives/52682116.html)ってタイトルで訳されているのでそれをなぞっていただくと、文献にもっと意味が出てきたような。

  • 元、重度アルコール依存症のイギリス人筆者が、様々な依存症に関わる人たちの症例を交えて紹介している本。

    タイトルに惹かれて購入した。

    もう少しセンセーショナルな内容を期待していたが、全体的に読みづらく、分厚い割に凡長で、もっと端的にまとめられないのかと思った。英訳があまりよくない気もする…。

    謝辞に「しまりのない主張」云々書いてあったが、本当にそのとおりで、途中から読むのが苦痛になり、眠れない夜の睡眠導入に役立ったくらいだ。。

    イギリスの地理や宗教的な背景(キリスト教)、政治や社会保障に関する知識の前提がない日本人には親しみにくい文である。

    要約すると、
    ・ITテクノロジーの発展で、人間はより短期で即効性のある快楽を求めるようになった。

    ・それにより人をモノのように扱えるようになった。SNSの友達を簡単に追加・削除できるのもその一例だ。

    ・スイーツも、ゲームも、スマホも、アルコールも、麻薬と同じように依存性があるが、それが巨大な経済市場になっているため社会的な印象が悪くなることはなく、潜在的重度依存者を急激に増やしている。

    ・砂糖はコカインと同様の中毒性がある。合法的な誘惑の多い環境で麻薬よりも簡単に手に入る。

    ・依存症は遺伝でなく誰にでもなる可能性がある。
    1980年代に比べ、あらゆる誘惑の洪水に対して、より理性的に欲望を自制する意識が求められている。

    ・依存症はMRIや脳波などでは判別できないし、色んな要素が複合的に絡んでいるため原因を特定できない

    ・依存要因は、世界中の人々の日常習慣に巧妙に組み込まれている

    ・ゲーム開発者は、できるだけユーザーの心を長く惹きつけ、長期的に課金するような心理を綿密に研究して設計している。

    ・依存症を治すリハビリ施設も需要の多いビジネス。依存症患者が増えて高い利益を上げている。

  • これだけ「各種依存症」になりやすいのは、一にも二にも世の中が便利になったからに他なりません。
    ネットを開けば、簡単にゲーム、ポルノ等の広告を見ることができます。街を歩けば、コンビニが目と鼻の先にあり、
    そこには、魅力的なお菓子、アルコール類が、所狭しと置かれています。

    便利な環境は、不便な環境よりも、生活はし易い。しかし、依存症の罠にかかりやすい環境だと思います。
    この著作は、依存症になってしまう人間心理や、社会環境、そして、企業の思惑等、具体例が豊富に紹介されています。

    もはや、現代人にとって、「依存症」になることを、避けられない状況のようです。
    ここ10年間で、私たちの生活はがらっと変わったような感じがします。ネットの登場から、今では携帯で24時間、どこからでも
    アクセスすることができるようになりました。買いたいものは、瞬時に買うことができ、見たいこと、知りたいことも、一瞬にして
    わかるようになりました。

    「気分を向上させたいときはいつでも、自分に報酬、すなわち「ごほうび」を与える習慣がますます強まったことだ」と、
    本文に書かれています。「我慢」という言葉自体が、もう意味をなさなくなっているかもしれません。
    お腹がすいたら、コンビニ行けば大抵満たされます、性欲が湧いたら、オンラインポルノにアクセスすれば
    簡単に慰められます、退屈だったら、オンラインゲームをし、買物をしたかったら、ネット通販で事足ります。

    私は今31歳ですが、10年前と比べても、格段に便利になった(買う、見る、知るという観点から)と思います。
    ただ、その弊害が下手すると、自分を「廃人」にさせる、リスキーな社会になったと思います。

    セルフコントロールとは、使い古された言葉ですが、今の時代、健全かつ健康に生活を送るためには、
    昔以上に、自分の欲望に向き合わないといけないと感じます。「普通な人」と「廃人」には、少し前には、
    明確な線引きがあったように感じます。「廃人」になる過程というものが、はっきりあったような気がしますが、
    現代は、ほぼ私たちみんなに廃人になる可能性があります。

    私事で恐縮ですが、私の兄がたった3ヶ月でオンラインゲームに150万程つぎ込んでいました。
    もう少し、発覚が遅かったら、いったいいくら使っていたのか、、、、。
    普段の真面目な兄を見ているので、その事実が発覚したときは、本人を責めましたが、
    今では、今の社会環境を問題にした方がすっきりします。

    この著作は、欧米の事情ですが、日本に置き換えても問題ないと思います。
    それだけ今の世界に、依存症が病的に急拡大しているということです。

  • ドラッグ、無料ポルノ、パンケーキ、カップケーキ、スタバのフラペチーノなど、どうして人はやめたくても止めることができないのか。それは、人を依存症にかかるように仕組まれたビジネスモデルにあることを著者は指摘しています。例えば、スマホアプリのゲームではある一定レベルまでは無料でプレイできるが、レベルアップをするためには課金を求められる。アプリ内課金は、お金を支払うという行為を限りなく簡略化した仕組みで、気付かぬ間にゲームに大金を浪費してしまう。
    こうした依存体質を生み出す原因となるのが、脳から分泌されるドーパミンである。ドーパミンは、「欲しい」という衝動に強く反応し、ドーパミンが恒常的に分泌されると常に新しい刺激を求めるようになる。このドーパミンの分泌に拍車をかけているのが、あらゆるものを手にいれることが出来る環境であると、筆者は述べる。アマゾンで注文すればもれなく「この商品を注文した人は、これらの商品も注文しています」と紹介され、コンビニのレジの隣には食欲をそそるドーナッツが置かれ、無料ポルノではあらゆるジャンルのポルノ動画が公開されている。企業は顧客にこうした無数の選択肢を提示し、人々に「欲しい」という衝動抱かせることで、依存症へと追いやっている。
     本書で繰り返しし述べられてるように、あらゆるものが溢れかえっている現代社会では、「依存症の人」と「普通の人」の境界線は極めて不鮮明になっており、誰もが依存症になる可能性があることを留意せねばならない。

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