依存症ビジネス――「廃人」製造社会の真実

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478022924

感想・レビュー・書評

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  • 作者のデイミアン・トンプソンは本書の中で一貫して「依存症は病気ではない」というスタンスを貫いている。

    確かに、依存症はきっかけさえあれば誰でも陥る可能性があるものです。更に依存症の人の脳と恋に夢中になっている人の脳のあいだで脳内物質の違いが見られないなど、依存症を「病気」と定義するのは無理がある、というのが筆者の主張だ。

    この前提にもとづき、本書ではスマホ依存や砂糖依存などわたしたちの身近に潜む依存の罠からヘロインやMDMAなど違法薬物に対する依存まで、幅広く解説されている。

  • 依存はスペクトルであり、人は皆どこかに位置しているので、依存症という病気は存在しない。
    欲しいという感情に敏感に反応することで人間は進化してきたが、欲望を刺激するものが増えてきた社会ではその能力は悪用されてしまう。

    依存にまつわる色んな話が書かれた本。
    今の広告とかも大概人間の「欲しい」という感情(これがドーパミンを発生させ人を依存に陥らせる)を刺激するものばかりだからなあ。ソーシャルゲームの開発者が依存症治療の専門家にアドバイスを求めてきた(もちろん依存させるために)というのも笑えるようで空恐ろしい話。
    ともかく色々学びがあったのでこういう本は高評価にしてます。

  • 依存症への理解と向き合い方がわかった。

  • これだけ「各種依存症」になりやすいのは、一にも二にも世の中が便利になったからに他なりません。
    ネットを開けば、簡単にゲーム、ポルノ等の広告を見ることができます。街を歩けば、コンビニが目と鼻の先にあり、
    そこには、魅力的なお菓子、アルコール類が、所狭しと置かれています。

    便利な環境は、不便な環境よりも、生活はし易い。しかし、依存症の罠にかかりやすい環境だと思います。
    この著作は、依存症になってしまう人間心理や、社会環境、そして、企業の思惑等、具体例が豊富に紹介されています。

    もはや、現代人にとって、「依存症」になることを、避けられない状況のようです。
    ここ10年間で、私たちの生活はがらっと変わったような感じがします。ネットの登場から、今では携帯で24時間、どこからでも
    アクセスすることができるようになりました。買いたいものは、瞬時に買うことができ、見たいこと、知りたいことも、一瞬にして
    わかるようになりました。

    「気分を向上させたいときはいつでも、自分に報酬、すなわち「ごほうび」を与える習慣がますます強まったことだ」と、
    本文に書かれています。「我慢」という言葉自体が、もう意味をなさなくなっているかもしれません。
    お腹がすいたら、コンビニ行けば大抵満たされます、性欲が湧いたら、オンラインポルノにアクセスすれば
    簡単に慰められます、退屈だったら、オンラインゲームをし、買物をしたかったら、ネット通販で事足ります。

    私は今31歳ですが、10年前と比べても、格段に便利になった(買う、見る、知るという観点から)と思います。
    ただ、その弊害が下手すると、自分を「廃人」にさせる、リスキーな社会になったと思います。

    セルフコントロールとは、使い古された言葉ですが、今の時代、健全かつ健康に生活を送るためには、
    昔以上に、自分の欲望に向き合わないといけないと感じます。「普通な人」と「廃人」には、少し前には、
    明確な線引きがあったように感じます。「廃人」になる過程というものが、はっきりあったような気がしますが、
    現代は、ほぼ私たちみんなに廃人になる可能性があります。

    私事で恐縮ですが、私の兄がたった3ヶ月でオンラインゲームに150万程つぎ込んでいました。
    もう少し、発覚が遅かったら、いったいいくら使っていたのか、、、、。
    普段の真面目な兄を見ているので、その事実が発覚したときは、本人を責めましたが、
    今では、今の社会環境を問題にした方がすっきりします。

    この著作は、欧米の事情ですが、日本に置き換えても問題ないと思います。
    それだけ今の世界に、依存症が病的に急拡大しているということです。

  • 依存症は病気ではなくて、環境がかなりの影響を与えるという説は、アルコール依存症だった著者の体験から基づいているので説得力がある。アメリカでドラッグ依存症になるのは結構簡単そうなのが怖いね。

  • 日本の依存症を扱う本というと、依存症は病気だという本、依存症の治し方の本がほとんどだと思う
    その中でこの本は少し違った切り口から依存症を描いていて、とても勉強になった。

    特に、依存症は行為そのものよりも、欲しいという欲求を持った時が一番。という話にはとても共感した。

    ギャンブルは予想している時が一番楽しい。ショッピングは、選んで買うまでが一番楽しいなどの話はよく聞くからだ。

    依存症は、普通に生きてる人にとっても他人事ではなく、とても身近に存在するということがよくわかった。

    依存症というと、完全に他人事で、とにかく「意志」の問題であり、まるで問題意識を持たず、「臭いものには蓋」の傾向のある今の世の中では、読んでおいて損はないと思う。

    ただ少し、残念なのは、やはり海外の本だけあり、ギャンブル依存症に関する記述が少しなことだ。

    今の日本における最大の依存症は、やはりギャンブル依存症である。
    特にパチンコ屋というものがある日本はこの本の中にある、簡単に手に入る、ハードルが高くない、などの条件を完璧に満たしている。

    しかしながら、パチンコ業界が巨大になりすぎ、テレビや出版業界の大スポンサーになってる今、現状に比べ、パチンコ依存症は、ほとんど取り上げられていないに等しい。

    是非、しがらみのない海外作家に、突っ込んで書いて欲しかった。(結局出版は日本の出版社だけど)

    まあ何が言いたいかというと、オススメです ヾ(´▽`*)ゝ

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