- Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478022931
作品紹介・あらすじ
遺伝子は同じなのに、なぜ1人がゲイで、もう1人は違うのか?うつ、自閉症、ガン、肥満、同性愛、浮気性…どこまでが遺伝し、どこからが遺伝しないのか?5000組の双子を研究した権威が、人間の本質に迫る。長寿、ガン治療、iPS細胞に関わるキーワード「エピジェネティクス」がわかる1冊!
感想・レビュー・書評
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エピジェネティクスの本。専門的な用語も数多く使われているため、知識のない方には少し難しいかもしれません。遺伝子に対する新しい見解であり、今後の研究に大きく影響を与えるものです。大変興味深く、面白い一冊です。
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興味深いテーマで情報量が多く、面白い。何組もの実際の双子の事例から、遺伝子に関係するものとそうではなさそうなもの、病気や遺伝子、能力や性格、性的指向などを解き明かす。
豊富な情報量。以下、その一例と感想を。
1972年は平均的に、広告を目にする数は年間200件。2012年には3000件以上になった。広告は物質主義による幸せを提唱する。一般的には、健康、家族、友人、旅行、富が幸福感のヒントだというアンケート結果があるが、幸福感は、文化的モデルによる。期待度が低いほど、幸福だと。ならば、幸せをモデル提唱する広告を目にする程、人は不幸なのでは。インターネットが普及し、どこもかしこも広告だらけ。でも、そのせいで広告の意味は薄れたと思う。対して、SNSによって他人の幸福モデルに触れる機会が増え、結果、現代人は相対的不幸に見舞われる。
長寿との相関が最もはっきりしているのは、誠実さ。楽観的な人は早逝する。悲観主義者は風向きが悪いと不平を言い、楽観主義者は風向きが変わるのを待つ。現実主義者は帆の向きを調整する。アイルランドは鬱病と自殺が世界一だが、環境か遺伝かは不明。鬱や自殺の遺伝率は40から50%、幸せになる確率は周りの人間が幸せな人が多い方が上がるという。自己評価による社会的地位が低ければ低いほどストレスを感じる期間が長くなる。意志の力と満足を遅らせる能力は、遺伝の影響も受けるが、訓練によって伸ばすことも可能。
プラスチックや高齢出産がエピジェネティックに子孫に継承されるリスクがある。獲得形質は遺伝しないだろうと思いながら、確かに、胎児や子供に影響する病気というのは存在するから、エピジェネティクスというのは有るのだろう。ならば、若くして作る子供と、高齢で作る子供は、継承される能力だけを見れば、どちらが良いのか。ゲームなら、鍛えてからの方が優秀な子供になりそうだが。 -
むずかしかったなあ
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双子研究とエピジェネティクスから、遺伝と環境の相互作用の重要性をとく内容。行動遺伝学がともすれば遺伝決定論的な論調、あるいは、そこまで行かなくても遺伝率を強調するのに対し、著書は遺伝要因は重要ながらも、人の行動や方向性は遺伝の知識だけで把握、増してやコントロールすることは複雑すぎて不可能であり、相互作用の多様性に個性の由来を見ている。原題が「そっくりなのに大違い」というのもそれゆえで、安藤寿康氏やその引用者たちとトーンが真逆のである。
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うつ、自閉症、ガン、肥満、同性愛、浮気性…どこまで遺伝する?読みやすかった。一卵性双生児の遺伝情報が同一ではないことが明らかになってきたそうなので、違う本も読みたい。
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説明がはっきりしなくて、回りくどい訳になっていて読むのが飽きました
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分厚い本だが、軽い記載で簡単に読める。ただ途中でやや飽きてきた。
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双子研究でのトピックスが満載ではあるが、遺伝子による類似性を強調したいのか、環境や親の影響の大きさを強調したいのか、その振り子が揺れていて良く判らないところ。
遺伝子の影響は大きいものの、遺伝子の持つ情報を「いかにして出現させないか?」が各細胞にとって大事なことであれば、環境がその手助けをしているということになるのだろうか?
遺伝子の制約は大いにある。ただそれが正常に機能するならば、人間としての生き方や役割を妨げることにはならないという当たり前の結論とも理解できる。