反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478023211

感想・レビュー・書評

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  • 言いたい事は、分かる気もするが。

    一つ抽象概念を打ち立て、これも当てはまる、こんな良い事がある、という創作本であり、こじ付けにも見えるので取り留めがない。「反脆弱性」という概念だが、ホルミシス反応とか、具体例でいうと、恐らくワクチン反応みたいな事だろうし、失敗は成功のもと、とか。他にも、心的外傷後成長、雑音が集中力を高めると言うような過剰補償、一定限度までであればストレスがプラスに働く効果とか。骨は一時的なストレスがかかると密度が高くなる。

    そういう作用はあるだろうが、それらを抽象化させて反脆さ、と言われても。当てはまらない例も無数にあるが、それを無視してはあまり論理的な話ではないし、何だか一方的で気になって素直に読めない。読みながら、だから何?と、本当にそう?と、いや、じゃあこういう場合は?が頭に浮かぶ。頑健さだって必要なのだから。

    また、反脆さなど言わなくても、脆性には靭性という対義語があって、それを打たれ強さとして理解して不確実性に立ち向かっても良いだろう。ならば、結局は、言葉遊びかな、と。
    下巻も読んでみよう。

  • 【感想】
    柔軟な組織、とはどのような存在だろうか。
    オフィスでも自宅でも働ける、ライフワークバランスがしっかりしている、仕事の進め方が個人の裁量に任されている、さまざまな要素が挙げられると思う。
    しかし、私は「不測の事態が起こってもリカバリーが効く組織」のことだと思っている。
    例えば、各員の仕事を他の人が共有している組織だ。事故や病気によって誰かが欠けても、他の人が代わりに仕事をすることができる。一人だけでなく全員が全員の進捗を把握していれば、互いにパスし合いながら仕事を進められる。
    各人のスキルに依存しすぎていない組織、と言えるかもしれない。

    本書ではこうした組織を「反脆弱な組織」と呼んでいる。
    反脆弱な組織とは失敗を起こさない組織ではなく、失敗が起こってもそれを最小限の被害に留め、次の進化の糧にする組織だ。ミスをリカバリーし、失敗を繰り返すたびに組織が強くなっていく。

    本書の面白いところは、その「反脆弱」をテーマにして、金融業界や経済学者たちに痛烈な皮肉をかましていることにある。
    ウォール街とワシントンのエリート層たちが、サブプライムローンという国家的詐欺行為に加担していた。彼らはMBAで教わった大層な予測モデルや経営分析によって、「市場」という有機的なシステムの未来予測を立てようとした。しかしながら、歴史が語るとおりビジネスは大失敗し、彼らの欺瞞が暴かれた。それにも関わらず、国は彼らを救済し、結果として他の国民が割を食っている。
    筆者は、彼らが行った詐欺行為――市場分析や経済予測といった占いまがいのビジネスも含む――に怒りをぶつけ、同時に、経済がそうした詐欺行為抜きでは回らなくなっていることを強く批判している。そのうえで持続可能な世界を考え、「それは反脆弱型のシステムである」と提言しているのだ。

    アイロニーたっぷりでパンチの効いた一冊。かつ、今後の経済を考えるうえでも貴重な情報源となりうる本だろう。


    【本書の概要】
    本書は、次のふたつを前提として書き始めている。
    (1)ブラック・スワン(極端な事象が人々に深刻なダメージを与えること)が社会や歴史を支配していること。そして、人間がブラック・スワンを理解できると思いこんでいること。
    (2)非線形性が激しいところでは、何がおこるかなんてわかったものじゃないこと。

    「脆さ」とは「変動性を好まないもの」である。「変動性を好まないもの」はランダム性、不確実性、無秩序、間違い、ストレス、未知のもの、時の変化などを嫌う。
    これと正反対の概念が「反脆さ」「反脆弱」である。反脆弱は失敗を念頭に入れている。失敗によって壊れるシステム(失敗しないように動くシステム)ではなく、失敗があってもそれを吸収することのできるシステムが反脆いということだ。
    脆いシステムは、物事が計画通りの針路に従うかどうかに依存している。逸脱は少なければ少ないほど良く、脆いシステムでは予測性の高いアプローチが必要になる。
    一方、システムが反脆い、つまり逸脱を好む場合、そして未来の事象にどれだけばらつきがあってもかまわない場合には、間違うたびに情報という価値が手に入る。

    変動性やランダム性、ストレスを奪うことはかえってシステムの反脆さを増す。
    トップダウン的なもののほとんどが脆さを生み出し、ボトムアップ的なものはみな、適度なストレスや無秩序のもとで成長していく。


    【本書のまとめ】

    1 脆弱 頑健 反脆弱
    脆いものは平穏を求め、反脆いものは無秩序を成長の糧にし、頑健なものは何事にもあまり動じない。多くの物事はこの三つ組のうちのどれかに当てはまる。

    長続きするシステムには一定のストレスやかき混ぜが必要である。


    2 過剰補償と過剰反応
    イノベーションを起こすには自分からトラブルに足を突っ込むことだ。最初の発明や何かを作ろうという努力が思ってもみない副作用をもたらし、必要を満たす以上の大きなイノベーションや洗練へとつながっていく。
    痛めつけられた筋肉が超回復で大きくなるように、失敗への過剰反応で巨大なエネルギーが解き放たれたとき、イノベーションが生まれるのだ。

    過剰補償とは冗長性の一種である。人間に備わっている無駄な器官、銀行が保有している余分な現金など、「いざというときのストック」のことだ。

    過剰補償を行っているシステムは、必ず背伸びモードにある。今よりも悪い結果に備えたり、危険が迫っているという情報に反応したりして、予備の容量や力を蓄えるのだ。
    そして、反脆さがストレスや傷に対する過剰反応や過剰補償を呼び覚まし、更に強い存在へと進化する。


    3 生命と無機物
    有機体は複雑系で、無機物は非複雑系である。
    命あるものは、みなある程度は反脆い。対して無機物は、ストレスがかかると、物質の疲労や破壊につながる。
    有機体や動的なシステムが正常な状態を保つには、一定の変動性、ランダム性、継続的なストレスが必要だ。だから、変動性を奪うとかえって有害になることもあるのだ。
    そして、現代生活の大部分は、変動性を排除し、安全を提供してきた。それは確実に寿命を伸ばしたが、同時にあらゆるものを慢性的なストレス障害にした。


    4 反脆さの中にある脆さ
    システム全体を反脆くするためには、システム内部に脆い部分が必要なこともある。
    レストラン業界を想像してみてほしい。レストラン業界が金融業界と違って破綻の憂き目に遭遇していないのは、個々のレストランが潰れ、新しいレストランが生まれ続けているからだ。
    一方、個々のレストランが決して潰れなければ、業界全体は停滞してしまう。まさにソ連のように生産性が低下してしまうのだ。

    反脆さを逆手に取ったのが「進化」のメカニズムである。生命に寿命を設けて、世代間で修正を行う。生物という脆い存在に残った遺伝子が、ある程度のノイズや撹拌を行い、種の絶滅につながるような極端な衝撃を食い止めている。ランダムな形質が環境に合致するものと合致しないものを生み出し選別することで、種全体の反脆さを保っているのだ。

    脆いシステムは、物事が計画通りの針路に従うかどうかに依存している。逸脱は少なければ少ないほど良く、脆いシステムでは予測性の高いアプローチが必要になる。
    一方、システムが反脆い、つまり逸脱を好む場合、そして未来の事象にどれだけばらつきがあってもかまわない場合には、間違うたびに情報という価値が手に入る。

    飛行機の墜落事故、船の沈没、メルトダウン。こうした失敗が起きるたびに、システムは改良され、より安全になる。それはシステムが反脆く、小さな失敗を活かすようにできているからだ。
    これと同様のことが経済全体で起こっている。経済全体が反脆く、進化するためには、個々の企業が脆く、破綻の可能性を持っていることが欠かせない。進化が起きるには、生物が死滅し、別の生物で置き換えられる必要がある。そうでなければ、いつまでたってもシステム全体は改善しないからだ。

    システムの反脆さは個人の犠牲によって成り立っている。

    しかし、経済システムについては、このモデルを政府がぶち壊しにしている。
    グローバル化した経済システムはひとつのものとして機能しているため、飛行機の墜落のような「小さい失敗」を吸収できず、次々と膨らんで大きな失敗になっていく。
    そのため、政府はたいてい、被害がほかの企業に及ぶのを避けるために、大きくてつぶせない一部の企業を優遇している。これは健全なリスクテイクとは逆の行いである。
    唯一の安全策は、誰かが破綻してもほかの人々が巻き添えをくらわないシステムを構築することである。


    5 ランダム性はすばらしい
    変動性を人工的に抑えることの問題点は、システムが極端に脆くなることだけではなく、同時にリスクが見えなくなることである。安定を課すことで安定を実現しようとすると、ブラック・スワンが起こった時に一気にしきい値まで吹っ飛び、安定が消滅する。

    私たちは、分野を問わず、科学的な予測というものを無条件に信頼している。そして、当てになるかどうかにかかわらず、未来を単純な数値で語ろうとする。

    システムに「自然に」備わっている反脆さや自浄能力を無視することはやめよう。われわれは、そこまで干渉しなくていい分野に手を出し、確固たる干渉が必要な分野に手を出していない。
    大切なのは、システムに干渉する場合と放任する場合を定める、体系的なルールを設けることである。
    頑健なシステムや反脆いシステムでは、脆いシステムほど正確に世界を理解する必要はないし、予測も必要ない。測定不可能で予測不能なものは、永久に測定不能で予測不能だ。
    事象が起きたあと、私達が反省すべきなのは、事象そのものを予測できなかったことではなく、脆さや反脆さを理解していなかったことについてだ。

    ほとんどの人々が理解していないことだが、先延ばしは、物事を自然の成り行きに任せ、反脆さを働かせる、人間の本能的な防衛手段なのだ。もちろん、絶対にやらなければならないことを先延ばしにしてはいけない。そうではなく、「結果が変わること」に過度に干渉しないことが大切である。

    データに触れれば触れるほど、「信号」と呼ばれる貴重な情報よりも、ノイズに触れる可能性は不釣り合いに高まっていく。ノイズ対信号比が高くなるからだ。
    また、自然環境では、ストレスは情報である。だから、過剰な情報は過剰なストレスとなり、反脆さの限界を超えてしまう。
    大切なのは、データにたくさん触れることではなく、生死に関わる重大な信号とノイズを間違えないことである。


    6 バーベル戦略
    バーベル…両端に極端な重りがあり、中央に何もない状態を指すこと。バーベル戦略とは、中間にあるものに手を加えずに、アップサイドとダウンサイドを両方組み合わせた行動をとること。
    例えば、一週間のうち3日だけ思い切り執筆し、あとの4日は何もしない、というように、一つの物事を振り切る形で行うのがよい。

  • 「ブラックスワン」の提唱者として有名なリスク工学の研究者であり、トレーダーや哲学者の顔も持つ著者が、社会や経済がリスクを予測して回避するよりも、むしろリスクを活用して強くなる「反脆弱性」を養うことの必要性を説いた啓発書。

    過度な医療行為が免疫力低下による大病を招いたり、森林環境の人工的な管理が破壊的な山火事につながるのと同様、企業の経済活動や社会システムにおいても、「リスクは予測可能であり、回避すべきものである」という思い込みは、むしろ不確実性と複雑性の高い状況で、大規模な金融危機のような予測不能な事態(ブラックスワン)が発生した際にシステム全体の破綻を招く脆弱性を助長する。

    著者は、リスクを予測しようと無駄な努力をするよりも、むしろ許容可能なリスクや失敗は学習の糧として積極的に取ると同時に、ブラックスワンの発生がプラスに作用するオプションを確保することで、単にリスクに対して頑健なのではなく、リスクを活用して更に強くなる「反脆さ」を身に着けるべきであり、それは目的論に基づく学術的な理論ではなく、実践的な経験値として試行錯誤を通じてのみ獲得できると主張し、今日の科学偏重の風潮に警鐘を鳴らす。

    著者はまた、自らは”身銭を切る”、つまりリスクを負うことなく、ダウンサイドを他者に押し付けて無償で利得を得る学者や大企業を舌鋒鋭く批判しており、このような著者のエスタブリッシュメント層に対する極度に批判的な論調、少々ウィットの効き過ぎた冗長的な表現、それに耳慣れない「反脆弱性」というタイトルが本書を分かりにくくしている面は否めない。とはいえ、著者の主張自体は正論であり、トレーダーとしての実務経験に裏打ちされた実践的な哲学には耳を傾ける価値がある。社会・経済システムというマクロな視点とともに、リスクテイクという観点から読者自身の今後のキャリアや人生をも再考する機会になり得る良書。

  • ひょっとすると、バイブルになるかもしれない書。世の中論理的に判っていることは少なくて、ほとんどは実践的に体系つけられてきた。論理的なシステムは論理が破綻したら脆く(脆弱)、論理が破綻しても壊れないぐらい強いもの(頑強)を対義語と考える人が多いが、本当の対義語は論理が破綻したとき(ブラックスワンがが舞い降りた時)さらに飛躍する(反脆弱)システムを指す。ブラックマンデーで儲かった人たちこそ反脆弱である。ある予想に対して実際は非対称な分布を持つものを探し(ほとんどがそうだ!正規分布なんてそれほどない)確率は低いが 論理学者が思っているほどは低くない事象に賭ける(もちろん全額ではなく、一部)と将来安泰になるかもしれない みたいな主張である。
    いろいろなオプションを考え、バーベル戦略:オプションの両極端に両方投資するを行う。片方は上限なく儲かり、片方は損失の上限が限定される。

    ちょっと違った角度で言うと、論理的にみえるビジネスプランに投資するのではなく、人に投資しろ 

    医者の論理は、合理的なものだが、経験によるものを否定することもある。現代医学が新しい病気を産む(医源病)こともるのだ

    等が 上巻での結論かな?

    下巻に期待

  • 前半微妙だったけど、後半畳み掛けるように面白かった
    口は悪いけど、反脆弱性という概念はとても面白いと思う

    下巻も読みたい

  • 本書を簡潔にまとめるとすると、
    「事象の予測はほぼ不可能である。しかしその事象から受ける影響はある程度予測可能であり、コントロールすることもできる。この"影響のコントロール"によって、予測に頼ることなく予測不可能な世界を生きていくことが可能になる。当たりもしない予測に振り回されるくらいなら、その労力を"影響のコントロール"へと注げ。」
    といったところになると思います。

    例えば、日経平均株価という"事象"自体は予測が困難ですが、自分のポートフォリオがその事象の変動によってうける"影響"はかなりの程度予測できます。
    ここでポートフォリオの組み方等によっては、予測に頼らず(日経平均株価がどう動こうとも)、いやむしろ予測のできない変動が大きいほど、自分の利益につなげることができる、というようなことです。
    この考え方は株以外にも、他の投資や職業、さらには科学という大きな営みにすら適用できます。著者は多くの事例を用いてこのことを論述しています。

    (ただ、著者の主張は上記の考え方に留まるものではありません。
    上記の記述は著者の主張する大きな公理から導かれるもののうちの一つでしかないのです。その公理とは、
    「全てのものは変動性によって損、または得をする。変動性によって損をするものを"脆い"と定義し、逆に変動性によって得をするものを"反脆い"と定義する」
    というものです。
    本書のあらゆる主張はここを出発点としています。
    下巻の付録にグラフを用いた、わかりやすくより数学的な解説があるのでそれを参照しながら読むとすんなり理解できるとおもいます。)

    私はこの本を読み始めた当初、実はこの本を買ったことを後悔しました。
    序盤は誤解を生むような極端な表現が多く、エッセイ調であったこともあり、かなり不確かで危険な印象を受けました。
    しかし読み進むにつれて考えを改めました。
    著者の言葉を借りて言うと、著者はあえて過激な表現をすることで書物の"反脆さ"を最大限に引き出そうとしているように思えます。これは本書を読めばなんとなくわかっていただけるのではないでしょうか。

    とにかく序盤で諦めずに読み続けることをお勧めします。

    エッセイの形で論述されているので、読み心地は人によって変わるかと思いますが、内容としてはとてもおすすめです。

  • 正直全部を理解できた自信がないのでもう一度腰を据えて読み直したい。所々極端な考え方と感じる場面もあったが、「反脆い」という考え方は自分の中になかったのでためになった。

  • ある程度のランダムさを受容しないといけない、リスク・リターンの計算でなんでもコントロールできる思い上がりはやめておけ、という話。しかし、読みづらかった。

  • 脆いもの=脆弱性、環境変化の影響を受けないもの=頑健性というのが従来の議論。自分もそうだけど頑健なものが良いことのように思っていたけど、この反脆弱性というのは変化を取り込んで良い方向に向けるということかな。もちろん変化をすべてポジティブに変えることはできないけど、小さな失敗はむしろ良しとして、むしろ大きな変化からは大きなリターンを得ることが反脆弱性。

  • 反脆いという概念って何だろ?と手にとってみた。冒頭、「衝撃を利益に変えるものがある。変動性、ランダム性、無秩序、ストレスにさらされると成長・繁栄する。そして、冒険、リスク、不確実性を愛する。」って、ドラゴンボールの孫悟空みたいなものかと。

    「第1部の反脆さとは」、「第2部 現代性と、反脆さの否定」、「第3部 予測無用の世界観」と、例えば進化、例えば歴史、例えば医療と、他にも様々なエピソードを用いて、反脆い状況の説明と素晴らしさが書かれている。本の半分くらいまでは、これは、良い本なんじゃないか?という期待のもと読み進めたが、後半から、自説に対する批判的な人への攻撃的な物言い(たぶん、デブのトニーは筆者の事なんだろう)が鼻に付く。そして、どんどん、株の取引をやった人なら知っているであろうオプション取引のロングポジションが筆者の思考のベースにあって、前半のエピソードは、それを展開した物なんだなと思ってしまい、反脆いの概念が筆者が言うように分からなくなってしまった… 情報の非対称性の連呼とか、トレーダー目線丸出しに思えるのだ。
    この本やエピソードのそれぞれは成る程と思ったのは、これまでの既成事実を疑ってみる視点。ただ、反脆いというのかそれは?と。

    概念理解なんてどうでも良くて、うまいことやれや!って言うのが、デブのトニーのスタイルなんだし、まあ、読んだ人が、良いとこどり出来れば筆者の主張の通りなんだろう。

    筆者は、ナシーム・ニコラス・タレブ氏で、肩書きは、哲学者と名乗っている模様。もとはトレーダー。

    文書から滲み出る自己中心的な性格から、編集者のアドバイスも聞かなかったんだろうし、翻訳者も大変だったんだろうと推察されます。

    善か悪か、右か左か、白か黒かみたいな概念がベースになっていると、一旦悪い方に倒れたんだけど、結果、良い方向になった的な、ダイナミックな概念として”反脆い”という言葉で定義してエピソード満載にしたところがこの本の価値?
    この「反脆い」、日本語だと、「雨降って地固まる」、「転ばぬ先の杖」、「七転び八起き」などいくつもの表現があるように思える。


    下巻に入り始めたが、同じ事を他の章で書いてるから読まなくて良いと筆者が言う第5部は、エピソードを読んでみると、それって運動量の考え方だと自明すぎない?と思ったり、なんか違和感あったけど、ページ数も上巻より少ないので、一応最後まで読んでみるつもり。





  • 非常に本質的なものとして
    利益に上限があり、損失が無限に欠けるのではなく
    損失は限定でも、利益の可能性は無限にベットする
    これがこの本の本質ではないか
    金持ちはこれを実行しているのであろう

  • antifragile(反脆い)という新概念をものすごく丁寧に、体に染み込ませるように教えてくれる1冊。冗長と感じる人もいるかもしれないが、好きなところだけ読めばいいのではないかと思う。

  • 日経新聞2017826掲載 評者:小関広洋(上武大学国際ビジネス学科教授,会計学)
    日経新聞202324掲載 評者:藤野英人(レオス・キャピタルワークス会長兼社長,最高投資責任者,東京理科大学上席特任教授,早稲田大学政治経済学部非常勤講師,叡啓大学客員教授,)

  • 「なんでも強くしすぎると想定より強い外力に対しては無力。ある程度の弾力が必要だ。」とのメッセージ。
    色々なエピソードを交えながら書かれているが長すぎると思う。

  • 400ページのそこそこ難解な文章を読んで、「反脆弱性が大事」という7文字の学びを得た。

  • 「反脆弱性って?」って質問されて、スラスラと説明できる自信はないけど、フワッと理解しつつ、ふんふんと面白く読み進んだ。
    若い時分には、理屈が(自分なりに)完全に消化できないと先に読み進めなかったが、もうそんなにヒマじゃないしな。個人的にはこのくらいで満足、下巻も読む。

    第6章後半にある、ランダム性の必要性の話が面白かった。ビュリダンのロバ、確率共鳴、冶金の「焼きなまし」…果てはカオス系の安定に繋がるとは。そう言えばマニキュアを塗ってる最中、擦れたり引っ掻いたりしちゃった時にはヘタに触らないで放置すると、均されたりしてるよな…って、ん?アレは表面張力か。

  • 「ブラックスワン」のタレブさんの著書。できるだけ堅牢なシステムを作ろうとしたり、安全神話を信じてしまうことが多いが、「想定外=ブラックスワン」のことが起こると、予想以上の被害(あるいは利益)が発生することがある。これに対抗する唯一の術が「脆弱性」であるという説。毎年軽い風邪にかかった方が深刻な伝染病にかかりにくいとか、多少のプレッシャーやストレスがあった方が成長しやすいとか、日常にもこういった脆弱性を活用する「反脆弱性」のメリットが多いということ。言い換えると、変化を好むことこそが安定につながるということで、大企業とスタートアップの関係にも似る点が多く、参考になる。

  • 4年ぶりに再読。
    将来の事は誰も予測できないので、将来を予想して計画を立てて安定するよう管理するよりも、ある程度の変動はある物と考え、変化に耐えられるよう備えていく方が結果的に良くなる事を、種々事例をあげつつ、前者を実践している実在の人物を批判している本。
    ボリュームは多く、事例説明が多いので中々読みにくい感はあるが、自分が実際に感じ取っている事と似通っているので、この本の主張は正しいと私は思います。
    この後ようやく下巻に入るが、時間をかけて読み進めていきたいと思う。

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