期待バブル崩壊――かりそめの経済効果が剥落するとき

著者 :
  • ダイヤモンド社
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本棚登録 : 55
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478027325

作品紹介・あらすじ

消費増税後のアベノミクスはどこへ向かうのか?空回りを続ける異次元金融緩和策、円安下で拡大する貿易赤字…「期待」は実体経済を動かせず、やがて「幻滅」に変わる-円安、物価、賃金、成長戦略など、日本経済の喫緊テーマを検証する。

感想・レビュー・書評

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  • 最近、パソコンが高い。海外生産あるいは海外からのパーツ調達が多いため、円安の影響をもろに受けた結果である。発電用燃料の輸入とエレクトニクス製品の輸入の増加により、物価の円安感応度が近年とみに高まっている。反面、円安で増益になる企業は限定的であり、全体としては今もなお賃金は下降傾向にある。消費者物価は上昇し、ますます労働者の生活は貧しくなっている。財界に賃上げを呼びかけるもさしたる効果もない。賃金は個々の企業が決めるのではなく労働市場が決めるものであれば当然の帰結である。企業の売り上げが伸びなければ労働需要は増えないし賃金も上昇しない。日本の就業構造は大きく変化している。まずはその現実を見つめなおさなければならない。賃金問題は産業構造の問題。賃金の高い製造業の縮小は新興国の工業化によるものであって、いかなる先進国もこの状況を覆すことはできない。政府が緊急に実施すべきことは円安を抑えて実質賃金を上げること。日本再興戦略に欠けているのは縮小する製造業にかわって日本産業の中心となる産業をどうするのかという視点。製造業を中心とする発想からの脱却を図らなければならない。成熟経済における成長戦略は投資より消費。サービス産業は国際競争力が低く国際収支は恒常的に赤字であるという現実。これにどう取り組んでいくのかが日本浮沈の重要な鍵となる。

  • ■書名

    書名:期待バブル崩壊――かりそめの経済効果が剥落するとき
    著者:野口 悠紀雄

    ■概要

    【帯コピー】
    消費増税後のアベノミクスはどこへ向かうのか?
    空回りを続ける異次元金融緩和策、円安下で拡大する貿易赤字・・・
    「期待」は実体経済を動かせず、やがて「幻滅」に変わる――
    円安、物価、賃金、成長戦略など、日本経済の喫緊テーマを検証する。


    【カバー折り返し】
    安倍内閣の三本の矢のうち、
    金融政策と成長戦略は、実体経済に影響を与えていない。
    意図どおりに経済拡大効果を発揮しているのは、
    公共事業の増加のみだ。
    アベノミクスというと、人々は金融緩和政策をイメージする。
    しかし、その実態は、旧来型の公共事業バラマキ政策なのである。


    【主な目次】
    はじめに
    第1章 経済の好循環は生じていない
    第2章 データが裏づける「期待バブル崩壊」
    第3章 空回りを続ける異次元金融緩和措置
    第4章 ユーロ鎮静化で円安になったが輸出は伸びず
    第5章 デフレ脱却すれば実質成長率は下がる
    第6章 アベノミクスでは賃上げは実現できない
    第7章 日本活性化に必要なのは何か?

    【概要】
    アベノミクスで景気が回復していると言われるが、
    その印象は円安による輸出産業の利益増に幻惑されたものにすぎない。
    「期待」は株価高騰をもたらしたものの、実体経済の改善にはつな
    がっていない。
    これから賃金は上がるのか、景気はどうなるのか。
    円安、物価、賃金、成長戦略など、日本経済の喫緊テーマを検証する。
    (From ammazon)

    ■気になった点

    なし

  • ユーロ危機は再燃する可能性がある。
    トルコ、インド、ブラジル、南アフリカ、インドネシアの通貨は信用が低く、ふらじゃいるファイブと呼ばれてきた。
    経常収支が黒いか赤字ではなく、資本収支の黒字を計座億できるような信頼を獲得しているか。

  • 「アベノミクス」が失敗であることを豊富なデータで論証している書である。
     本書は、報道での経済動向を聞く時に新たな視点を提供してくれる良書であると思えた。
      なるほど専門家はこう評価するのかと、いちいちうなづく思いがしたが、はたして事実は本書のように推移するのだろうか。

  • 出張移動中に読了。
    主張はこれまでと変わらず、
    ・アベノミクスは期待された効果を発揮してはいない
    ・異次元金融緩和によりマネタリーベースをじゃぶじゃぶにしてもマネーストックはほとんど増えていない。金利はむしろ上昇した。企業の設備投資は増えていない。
    ・日本国債バブル崩壊の危険性を政府は認識しなければならない。
    ・経済成長策において、製造業を主体に考えた輸出立国モデル、設備投資牽引モデルはもはや日本においては成り立たない。
    ・企業の利益が増えても賃金は上昇しない。
    ・日本経済の活性化に向けては、消費を主体に考えた政策と、産業構造の転換を図るしかない。
    等々といったところか。
    Q&A形式での章だて(節だて)となっており、読みやすい。

  • 自分はこれまでアベノミクスの効果効用について、とても疑問を抱いていた。円安が進み、輸出企業の利益が増える、賃金がUPという循環が報道されているが、本当にこのやり方が国際競争力という点で、正しい方向なのか?ということが疑問だった。円安で製造業の利益が増えたように見えるが、本来、為替が変動してみせかけの利益が増えることは、企業にとってあまり良く無いと考えている。というより、たかが円安が進行しただけで、こんなに株高になることが、自由資本主義にかなっていることなのか?

    この本は、そんな疑問に答えてくれる良書だと思う。
    一つの結論は、もう日本は貿易立国で無いということを認識することである。私の世代は、学校なので、「日本は貿易立国であり、そのお蔭で経済発展をしている」と教えられている。すなわち、今後も日本が貿易立国であるということを信じさせていることである。

    アベ首相は、「円安で日本国内に製造業が戻った」と言っているが、この本を読めば、日本に製造業が戻ることはあり得ないことが理解できると思う。自分も製造業の現場にいると、つくづくそう感じる。

    日本のこれからの産業構造を考えるには、とても参考になる一冊である。

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著者プロフィール

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業。64年大蔵省入省。72年イェール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て2017年9月より早稲田大学ビジネスファイナンス研究センター顧問。専攻はファイナンス理論、日本経済論。ベストセラー多数。Twitterアカウント:@yukionoguchi10

「2018年 『「超」整理手帳 スケジュール・シート スタンダード2019』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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