「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

  • ダイヤモンド社 (2017年2月17日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478039472

作品紹介

「健診を受けていれば健康になれる」「テレビを見せると子どもの学力が下がる」「偏差値の高い大学に行けば収入は上がる」はなぜ間違いなのか? 世界中の経済学者がこぞって用いる最新手法「因果推論」を数式なしで徹底的にわかりやすく解説。世のなかにあふれる「根拠のない通説」にだまされなくなる!

「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法の感想・レビュー・書評

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  • 因果関係‥2つのことがらのうち、どちらかが原因で、どちらかが結果である状態

    相関関係‥2つのことがらに関係があるものの、その2つは原因と結果の関係にないもの

    相関関係の場合、一見すると原因のように見えるものが再び起きても、期待しているような結果は得られない。

    世の中には相関関係を因果関係と思わせてることが多いんだな。

  • 「因果推論」の入門の入門
    普段混同しがちな「因果関係」と「相関関係」をわかりやすく解説してくれています。
    「学力の経済学」からテーマを医療まで広げて、具体的な因果関係の証明方法について様々な手法を紹介しています。

    因果関係を確認する3つのポイントとして
    (1)まったくの偶然ではないか
    (2)第3の変数は存在していないか
    (3)逆の因果関係は存在していないか
    としていて、その3つが存在しない証明として、反事実と比較する事としています。

    本書では
    ランダム化比較試験
    自然実験
    差の差分析
    操作変数法
    回帰不連続デザイン
    マッチング法
    回帰分析
    といった手法を使って、さまざまな因果関係を解説しています。

    んで、
    ランダム化比較試験を用いた分析の結果、
    メタボ検診を受けても長生きにはつながらない
    自己負担割合を高くしても貧困層以外の健康状態は変わらない

    自然実験を用いた分析の結果
    女性医師が担当すると患者の死亡率が低くなる
    出生時体重が重い赤ちゃんは健康状態が良い

    差の差分析を用いた分析の結果
    認可保育園を増やしても母親の就業率は上がらない
    最低賃金を上げても雇用は減らない

    操作変数法を用いた分析の結果
    テレビを見ると偏差値が上がる
    母親が大卒だと生まれてくる子供の健康状態がよい

    回帰不連続デザインを用いた分析の結果
    学力の高い友人に囲まれても自分の学力は上がらない
    高齢者の医療費の自己負担割合が増えても死亡率は変わらない

    マッチング法を用いた分析の結果
    偏差値の高い大学に行っても収入は上がらない

    といった驚きの結果を導き出しています。

    「メタボ検診を受けても長生きにはつながらない」って、意味ないじゃーん!
    「認可保育園を増やしても母親の就業率は上がらない」って本当かよって思います。

    一方で、
    「テレビを見ると偏差値が上がる」
    については、実験結果が1940年から1950年の子供についてなので、現在の子供にそのまま適応は出来ないと思います。

    また、教育ネタでは
    「学力の高い友人に囲まれても自分の学力は上がらない」
    「偏差値の高い大学に行っても収入は上がらない」
    についてはその通りだよなって思います。

    さて、このような分析結果だからどうだという事ではなく、本書の目的は、「根拠のない通説」に騙されないという事。
    因果関係と相関関係の違いを理解して、本当に因果関係があるのかをちゃんと考える様にする事が大事と思います。

    お勧め!

  • 本書は「はじめに」でも記載されている通り、因果推論の根底にある考え方を徹底的にわかりやすく説明するために執筆された、因果推論の「入門の入門」である。
    これまで因果関係と相関関係という言葉を同じように使ってきたが、明らかに因果関係が証明されているもの以外に取り組んでも期待した結果が得られないため、今後はノウハウ本や講演会などでは、その方法が因果関係に基づいているかを見極めて、取り入れる必要がある。


    ・済学では、「2つのことがらのうち、どちらかが原因で、どちらかが結果である」状態を、因果関係があるという。つまり、体力があるという「原因」によって、学力が高いといいう「結果」がもたらされたのであれば、この関係は因果関係だと言える。一方で、「2つのことがらに関係があるものの、その2つは原因と結果の関係にないもの」のことを相関関係があるという。相関関係の場合、「一見すると原因のように早えるもの」が再び起きても、期待しているような「結果」は得られない。因果関係と相関関係をきちんと見分けることが重要なのである。因果関係と相関関係を混同してしまうと、誤った判断のもとになってしまう。

    ・因果関係が存在しないことの何が問題なのか、と思う人もいるだろう。メタボ健診を受けないより受けたほうが、テレビばかり見るよりほどほどにしたほうが、偏差値の低い大学よりは高い大学に行くほうがましだろう、と考える人もいるのではないか。しかし、私たちが何か行動を起こすときには、けっこうなお金や時間かかかることが多いということを忘れてはならない。因果関係があるように早えるが、実はそうではない通説を信じて行動してしまうと、期待したような効果が得られないだけではなく、お金や時間まで無駄にしてしまう。そのお金や時間をきちんと因果関係に基づいたことに用いれば、よい結果が得られる確率ははるかに高くなるだろう。

    ・因果関係なのか相関関係なのかを正しく見分けるための方法論を「因果推論」と呼ぶ。日常生活の中でも、因果関係と相関関係の違いを理解し、「本当に因果関係があるか」を考えるトレーニングをしておけぱ、思い込みや根拠のない通説にとらわれることなく、正しい判断ができるだろう。


    ・2つの変数の関係が因果関係なのか、相関関係なのかを確認するために、次の3つのことを疑ってかかることをおすすめしたい。その3つとは、
    1.「まったくの偶然」ではないか
    2.「第3の変数」は存在していないか
    3.「逆の因果関係」は存在していないか
    である。
    この3つが存在しないということを、どのように証明すればよいのか。その方法が、現実と「反事実」を比較することだ。反事実とは「仮に〇〇をしなかったらどうなっていたか」という、実際には起こらなかった「たら・れば」のシナリオのことを指す。現実に起こったシナリオを「事実」というのに対して、事実と反対のことを思い浮かべるという意味で、「反事実」という。
    ・因果関係の存在を証明するためには、原因が起こったという「事実」における結果と、原因が起こらなかったという「反事実」における結果を比較しなけれほならない。ただし、「だいたい同じ」を「比較可能」と呼ぶことはできない。

    ・素晴らしい偉業を達成した人のサクセスストーリーは、事実の部分だけしかとらえておらず、反事実はわからない。それにもかかわらず、事実の部分だけを見て、あたかも因果関係があるかのように錯覚し、やみくもにテレビを見るのを禁止したり、やたらに健診を受けたりしたら、偉業を達成するどころか、ただ単にお金や時間のムダ遣いになってしまう力もしれない。

    ・因果関係を明らかにするための方法は1つではない。しかし、それらの方法に通底している目標は、「比較可能なグループを作り出し、反事実をもっともらしい値で置き換える」ということなのである。

    ・経済学で使用するエビデンスという言葉は、因果関係を示唆する根拠のことである。このため、経済学者は、単なるグラフやチャート、アンケートの結果などはもちろんのこと、単に相関関係を示したのにすぎない分析のことをエビデンスと呼ぶことはない。

    ・エビデンスが高い順は以下の通りです。それぞれの詳細の説明は省力する。
    1.因果推論の理想形「ランダム化比較試験」
    2.たまたま起きた実験のような状況を利用する「自然実験」
    3.トレンドを取り除く「差の差分析」
    4.第3の変数を利用する「操作変数法」
    5.ジャンプに注目する「回帰不連続デザイン」
    6.似た者同士の組み合わせを作る「マッチング法」
    7.すでに手元にデータがあるときによく用いられる「回帰分析」

    ・貧困アクションラボは「ランダム化比較試験の専門機関」とも言うべきもので、ランダム化比較試験を用いた研究ばかりしているという徹底ぶりだ。彼らは「政治的流行に左右されやすい政策を、エビデンスに基づくものにする」という目標を掲げ、ランダム化比較試験を「政策評価の理想形」と呼ばれるまでにその地位を押し上げることに成功した。経済学では、因果推論に基づいて政策の効果測定を行う研究領域のことを「政策評価」と呼んでおり、近年その体系化が急速に進展している。

  • 「原因と結果」の経済学 中室牧子、津川友介著
    社会に生かせる統計の手法

    2017/4/1付日本経済新聞 朝刊
     本書は、社会科学の実証分析において最も重要な役割を果たす「因果関係」の検証方法をわかりやすく解説した啓蒙書である。著者はそれぞれ教育経済学、医療経済学の専門家で、この分野における様々な研究を使用して、因果関係を検証する統計的な手法を、数式やテクニカルな用語をあまり用いず、身近な問題を取り上げて説明している。
     具体的には「メタボ健診を受けていれば長生きできる」「男性医師は女性医師より優れている」「認可保育所を増やせば母親は就業する」「テレビを見せると子どもの学力は下がる」といった普段は特に疑問を抱かず受け入れている通説に対して、関係はあっても、原因と結果の関係にはない。つまり相関関係はあっても、因果関係は成立していないことを明らかにしている。
     因果関係の検証方法として「ランダム化比較試験」「自然実験」「疑似実験」(差の差分析、操作変数法、回帰不連続デザイン、マッチング法)といった分析手法が紹介される。これらの方法は因果関係のチェックで必要な(1)「まったくの偶然」ではないか、(2)「第3の変数」は存在していないか、(3)「逆の因果関係」は存在していないか、という3つの条件を完全あるいは部分的に満たしている。
     実験的な手法を使用しない政策評価分析は信頼性に欠けるという認識で経済学者の見解は一致している。そのなかでも「ランダム化比較試験」が因果関係を明らかにするという点では最も理想的である。しかしながら、費用、倫理、厳密な実験の実施や現実の問題への適用で問題は残り、観察データを用いた「自然実験」「疑似実験」の手法を、与えられた状況に応じて適宜分析に使用するよう本書は提唱している。
     最近は、実証的な証拠に基づく政策を推進する必要性が強調されるが、そのためには統計の整備に加えて、本書で紹介された研究手法による分析を蓄積する必要がある。特に医療や教育は私たちの生活の質を大きく左右する重要な政策であり、政党やイデオロギーに左右されないデータや証拠に基づく議論が必要不可欠である。本書は政策論議の深化に必要な有益な指針を提供する。
    (ダイヤモンド社・1600円)

    ▼中室氏は慶応大准教授。著書に『「学力」の経済学』。津川氏は米ハーバード公衆衛生大学院リサーチアソシエイト。

    《評》学習院大学教授 
    乾 友彦

  •  2018年、一発目はこの本です。今年は忙しくなりそうですが、しっかり読書をしていきたいと思います。

    p.186「本書でもたびたび、永田町・霞ヶ関で行われている政策的な議論を取り上げたが、残念なことに、現在の政策的な議論が因果関係を示唆するエビデンスに基づいて行われたものとはとうてい言いがたい。それどころか、選挙が近づくと、短期的に得票に結びつくような政策ばかりが議論され、これまで公約とされてきたことが覆ったり、突如として何の根拠もない政策が強引に推し進められたりして、結果として納税者である国民の利益が著しく損なわれているのを目にすることも多い。」

     『「学力」の経済学』を読んで以来、根拠って大切だなと思う今日この頃です。限りある税金は効果的に使ってほしいものですが、アベノミクス、一部の人には効果があるようでも庶民には実感なし。さらに、実感がないくらいならましですが、大きな反動が来そうで怖いです。私たちがこういう本をしっかり読んで、選挙の時に、政策を見極めて投票できるようにならなければダメですね。そのためには、国会で中身のある議論をして欲しいです。

  • 難しい事を極力分かりやすく説明してくれてる一冊。巷でだされてるデータを鵜呑みにしちゃいかんって事のようですね。
    仕事でもデータ分析をする事があるが、それが偶然なのか因果関係があるかよく考えて行っていきたい

  •  因果関係をどう突き止めるか、ということを解説してくれる入門の入門書。因果関係と相関関係は違う、と言うのはたびたび言われることではあるけれど、現実にはそれらを混同した議論をしてしまうことが間々ある。

     たとえば「保育所を増やして母親の就業率を上げよう」というとき、それに賛同する人は「保育所が増えて、母親が養育に費やす時間が減り、就業率が上がる」と、感覚的に考えるだろう。けれども、それがほんとうに原因と結果の関係(因果関係)にあるのだろうかと一考する必要がある。因果関係を見誤れば、思い付きのプランで税金を無駄遣いすることになってしまう。このことからも因果推論の大切さがよく分かる。

     と、本書はそういう真面目な話を抜きにしても面白い。因果推論の根本的な考え方は「反事実」を観察するということらしい。つまり「Aという事実のある世界」と「Aという事実のない世界」を比較する。そこで結果に差が無ければ、Aという事実は原因に関与していないと考える。すこしロマンチックに言うなら、因果関係を特定するためには、ひたすらifの世界を観察するしかないのだ。もちろん実際にはそんなことが出来るわけもない。だから学者さんたちは「もっともらしい値」を導く方法を考え、なんとか「反事実」の世界に近づこうとした。そう考えると、本書で紹介される因果推論の方法にも、なんとなく愛着が湧いてしまうではないか。

     本来このようにロマンチックに読むような本ではないとは思うのだけど、このように楽しみながら読んだ。

  •  医療費の自己負担割合が引き下げられると、高齢者は病院に行く回数が増えるものの、それによって死亡率や健康状態に影響が出ることはないということになる。(p.141)

  • わかりやすい。相関関係と因果関係とについて改めて

  • 因果推論の入門書。
    学術書っぽい記述もあるが、読みやすくてわかりやすい。
    色んな推論の仕方を紹介しているが、冗長な感じもある。
    「まったくの偶然ではないか」「第3の変数が存在しないか」「逆の因果関係は存在しないか」。
    この3つのポイントがこの本のエッセンス。

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