「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法
- ダイヤモンド社 (2017年2月17日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478039472
作品紹介・あらすじ
「健診を受けていれば健康になれる」「テレビを見せると子どもの学力が下がる」「偏差値の高い大学に行けば収入は上がる」はなぜ間違いなのか? 世界中の経済学者がこぞって用いる最新手法「因果推論」を数式なしで徹底的にわかりやすく解説。世のなかにあふれる「根拠のない通説」にだまされなくなる!
感想・レビュー・書評
-
夜型さんの紹介
2021.2.16 入手しました。少し読みました。当たり前のことを、文章にされている、という印象を受けました。我慢して読んでいきます。
「軽薄な人間は運勢を信じ、
強者は因果関係を信じる」
19世紀を代表するアメリカの思想家・作家であるラルフ・エマーソンの言葉。…そうですか。我慢して読む。50ページまでは、印象変わらず。51ページ、チョコレートの消費量が増えると、ノーベル賞受賞者が増える?のコラムから、面白くなってくる。
第2章読み終わる。知らなかった言葉がでてきた。
自分の都合のいい論文の結論だけを正しいとする。このような行動のことを、英語ではチェリー・ピッキング(サクランボ狩り)と呼び、特に研究では厳に慎むべきだと考えられている。残念なことに、昨今の日本のインターネットのまとめサイトでは、このチェリー・ピッキングが散見され、間違った情報が広められていることも少なくない。
こんなときに用いるのが「メタアナリシス」である。「メタ」とは「高次の」、「アナリシス」とは「解析」という意味で、複数の研究結果を1つにまとめて、全体としてどのような関係があるのかを明らかにする研究手法のことである。
、、、なるほど。覚えておくことにする。
半分ほど読む。1600円+税の分の、情報を得ようと、懸命によむ。ほとんど頭の体操である。
、、、とにかく読み終えた。ああ、ロマンスのかけらも無い文章を読んでしまった。これ、何かりまのの役に立つのだろうか。悔しいので、何度も読むことにする。
、、、夜型さんは、この本、面白いと思われたのでしようか。この先、面白さが分かるまで、読み込んでいこうと思います。のちに。普段絶対読まない本を、紹介していただきありがとうございました。
りまの
-
以前読んだ著者の一人・中室牧子氏の『学力の経済学』が面白かったので、本書を手に取ってみた。ちょっと予想とは違って本書は「因果推論」の入門書であり、純粋な学術書。
因果推論の根底にある考え方を図やイラスト、そして身近な事例などを踏まえて徹底的にわかりやすく説明するために執筆された本である。
・健診を受けていれば健康になれる
・テレビを見せると子どもの学力が下がる
・偏差値の高い大学に行けば収入は上がる
など、一見して「これはそうなんじゃないの?」と思うようなことがらについて、それが「因果関係」なのか「相関関係」なのかが分かりやすく説明されている。
「因果関係」と「相関関係」を誤って認識してしまうと、全く違った方向に企業戦略や国家戦略が向かってしまうことが往々にしてある。
例えば、Aという政策をやったらBという結果がでた。だから「Aをやれば必ずBになる」のかといえば、そうはならない。
その結果はもしかしたら
1「まったくの偶然」かもしれない
2「第3の要素C」が関係しているかもしれない
3「逆の因果関係」で、BだったからAなのかもしれない
ということがあるのだ。
こういったことを踏まえ、本書では日本の各種政策等がきっちりとした検証が行われずに行き当たりばったりで行われているのではないかと思われるような事例も多く紹介されている。
本書は数式など出てこず、非常に分かりやすく説明されており、ビジネスパーソンとしてはマーケティングなどを担当している人が読んだら非常に参考になると思う(もしかしたら、そのような人にとっては「ここに書いてあることは常識だよ!」と言われてしまうかもしれないが・・・)。
本書を読んで、さらに「因果推論」を勉強したいという人には専門書もきっちりと紹介されているので、興味を持った人はそちらも読んでみると良い(僕はいいかな・・・)。 -
相関関係があるということは、因果関係があるということを意味しない。
相関関係と因果関係の違いについて、学術的な難しい説明は一切なく、素人にも非常に分かりやすく書いてある概要書だった。
アメリカやメキシコではエビデンスに基づく政策を重視する動きがある。
わが国はどうか。短期的に得票に結びつくような政策ばかりが議論されてはいないだろうか。 -
「因果推論」の入門の入門
普段混同しがちな「因果関係」と「相関関係」をわかりやすく解説してくれています。
「学力の経済学」からテーマを医療まで広げて、具体的な因果関係の証明方法について様々な手法を紹介しています。
因果関係を確認する3つのポイントとして
(1)まったくの偶然ではないか
(2)第3の変数は存在していないか
(3)逆の因果関係は存在していないか
としていて、その3つが存在しない証明として、反事実と比較する事としています。
本書では
ランダム化比較試験
自然実験
差の差分析
操作変数法
回帰不連続デザイン
マッチング法
回帰分析
といった手法を使って、さまざまな因果関係を解説しています。
んで、
ランダム化比較試験を用いた分析の結果、
メタボ検診を受けても長生きにはつながらない
自己負担割合を高くしても貧困層以外の健康状態は変わらない
自然実験を用いた分析の結果
女性医師が担当すると患者の死亡率が低くなる
出生時体重が重い赤ちゃんは健康状態が良い
差の差分析を用いた分析の結果
認可保育園を増やしても母親の就業率は上がらない
最低賃金を上げても雇用は減らない
操作変数法を用いた分析の結果
テレビを見ると偏差値が上がる
母親が大卒だと生まれてくる子供の健康状態がよい
回帰不連続デザインを用いた分析の結果
学力の高い友人に囲まれても自分の学力は上がらない
高齢者の医療費の自己負担割合が増えても死亡率は変わらない
マッチング法を用いた分析の結果
偏差値の高い大学に行っても収入は上がらない
といった驚きの結果を導き出しています。
「メタボ検診を受けても長生きにはつながらない」って、意味ないじゃーん!
「認可保育園を増やしても母親の就業率は上がらない」って本当かよって思います。
一方で、
「テレビを見ると偏差値が上がる」
については、実験結果が1940年から1950年の子供についてなので、現在の子供にそのまま適応は出来ないと思います。
また、教育ネタでは
「学力の高い友人に囲まれても自分の学力は上がらない」
「偏差値の高い大学に行っても収入は上がらない」
についてはその通りだよなって思います。
さて、このような分析結果だからどうだという事ではなく、本書の目的は、「根拠のない通説」に騙されないという事。
因果関係と相関関係の違いを理解して、本当に因果関係があるのかをちゃんと考える様にする事が大事と思います。
お勧め! -
因果関係:原因が起きたから結果が起きた。
相関関係:原因と結果の関係ではない
確認チェック3つの点
1全くの偶然ではないか
2第3の変数は、存在しないか
3逆の因果関係は、存在していないか
交絡因子:相関関係に過ぎないものを因果関係があるかのようにみせる情報
エビデンスの階層
メタアナリシス、ランダム化比較試験、自然実験と疑似実験、回帰分析
統計的に有意
観察された差が偶然の産物である確率、5%以下のとき統計的に有意という。偶然でない意味のある差ということ。
-
◯安易に前後比較デザインを用いて政策を評価することは「スケアード・ストレート」のように期待した結果が得られないどころか、むしろ社会的な害悪となる可能性がある政策を高く評価してしまうということになりかねない。(112p)
◯「政治的流行に左右されやすい政策を、エビデンスに基づくものにする」ことが重要なのではないか(187p)
★因果推論の本。ランダム化比較試験、自然実験、差の差分析、操作変数法、回帰不連続デザイン、マッチング法を説明している。最後に回帰分析についても紹介している。『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』と同じテーマ。どちらも読みやすい。 -
「原因と結果」の経済学 中室牧子、津川友介著
社会に生かせる統計の手法
2017/4/1付日本経済新聞 朝刊
本書は、社会科学の実証分析において最も重要な役割を果たす「因果関係」の検証方法をわかりやすく解説した啓蒙書である。著者はそれぞれ教育経済学、医療経済学の専門家で、この分野における様々な研究を使用して、因果関係を検証する統計的な手法を、数式やテクニカルな用語をあまり用いず、身近な問題を取り上げて説明している。
具体的には「メタボ健診を受けていれば長生きできる」「男性医師は女性医師より優れている」「認可保育所を増やせば母親は就業する」「テレビを見せると子どもの学力は下がる」といった普段は特に疑問を抱かず受け入れている通説に対して、関係はあっても、原因と結果の関係にはない。つまり相関関係はあっても、因果関係は成立していないことを明らかにしている。
因果関係の検証方法として「ランダム化比較試験」「自然実験」「疑似実験」(差の差分析、操作変数法、回帰不連続デザイン、マッチング法)といった分析手法が紹介される。これらの方法は因果関係のチェックで必要な(1)「まったくの偶然」ではないか、(2)「第3の変数」は存在していないか、(3)「逆の因果関係」は存在していないか、という3つの条件を完全あるいは部分的に満たしている。
実験的な手法を使用しない政策評価分析は信頼性に欠けるという認識で経済学者の見解は一致している。そのなかでも「ランダム化比較試験」が因果関係を明らかにするという点では最も理想的である。しかしながら、費用、倫理、厳密な実験の実施や現実の問題への適用で問題は残り、観察データを用いた「自然実験」「疑似実験」の手法を、与えられた状況に応じて適宜分析に使用するよう本書は提唱している。
最近は、実証的な証拠に基づく政策を推進する必要性が強調されるが、そのためには統計の整備に加えて、本書で紹介された研究手法による分析を蓄積する必要がある。特に医療や教育は私たちの生活の質を大きく左右する重要な政策であり、政党やイデオロギーに左右されないデータや証拠に基づく議論が必要不可欠である。本書は政策論議の深化に必要な有益な指針を提供する。
(ダイヤモンド社・1600円)
▼中室氏は慶応大准教授。著書に『「学力」の経済学』。津川氏は米ハーバード公衆衛生大学院リサーチアソシエイト。
《評》学習院大学教授
乾 友彦 -
統計的なデータの見方の基礎がきちんと書かれた良書。
中室牧子の作品






この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。






夜型さんの クールなところも、嫌いじゃないです。
夜型さんの クールなところも、嫌いじゃないです。
おやすみなさい……。
おやすみなさい……。