ALLIANCE アライアンス―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用

  • ダイヤモンド社
3.96
  • (41)
  • (53)
  • (35)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 811
感想 : 57
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478062579

作品紹介・あらすじ

イーロン・マスク、ピーター・ティールを生んだペイパル・マフィアで、リンクトイン創業者が提唱する「人と企業」の新しい関係とは。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 篠田真貴子さんのファンだからという軽い気持ちで手に取ったのですが、最近読んだ本の中でも特に感銘を受けました。
    本書は、終身雇用が事実上なくなった今、会社と個人の関係性をどう構築し直すかを提案しています。終身雇用のメリットは長期的視野を促すことができる点でした。終身雇用が崩壊した今でも、長期的視野を残すためには、ある程度の忠誠心が必要。それを、「会社と個人のフラットで互恵的な信頼関係」を通して担保しようと提案しています。

    ポイント
    ・信頼関係の基本は隠し事のない誠実さ。「会社をいつか去るかもしれない」という前提をオープンにした上で、数年単位で会社と社員の目指す方向を合意すれば、双方とも信頼をベースに安心して時間と労力を投資し合える。
    ・特定のミッションを完遂することを目的とした変革型コミットメント期間の社員の存在は、会社に適応力をもたらす。

    ネットワーク情報収集力、卒業生ネットワークの章も面白く拝読しました。

    感想
    「上司部下の間で信頼関係が損なわれていくのは、双方期待値を明確に開示しないことが根本にあり、期待から外れたときに勝手に失望していくからではないか」という個人的に抱いていた課題意識に対して一つの解を示してくれる本で、夢中になって読みました。「信頼関係とは何か」について、もっと深掘りしたくなりました。
    また、old economy的な発想のまま、社員に紋切り型に一年単位の評価を下していく方法は、現在の事業環境に即していないのでは、という課題意識に対しても示唆がありました。規模拡大役のローテーション型社員、適応力役の変革型社員、継続性役の基盤型社員の望ましい割合、うちの会社だとどう?が解かないといけないイシューだと思いました。
    この本はlinkedinの働き方を主なベースに論じられていますが、今の時代背景を前提に働き方を一からデザインしているシリコンバレーの企業から学ぶことは多いと思いました。今「よくわからないけど人事制度が軋んでいるかも」というold economyな会社の人が読むと示唆深いと思います。

  • 関係を続けること。


    働くときは期間を決めて働くこと。
    お互い何がしたいかを擦り合わせておくこと。

    卒業しても関係は継続すること。
    卒業生ネットワークを作ること。

  • 読みたい理由:異動後の仕事への取り組み方に悩んでいて目についた本。PJT型やミッション型の仕事だとモチベが上がるけど、それをどう積み上げていくか、その答えを少しでも掴めれば嬉しい。

    読んだ結果:変革型でありたいと思った。そのために改めて自分のミッションの確認と自分の得たいものを確認しなければと思った。(任せてもらう仕事をチューニングしてもらえばいけそう)

    ◆1 ネットワーク時代の新しい雇用
    ・アライアンス(関係)p28
    マネージャーは部下の社員に対し、会社がその社員にどのような投資をするつもりか、そしてかわりに何を求めるのかオープンに誠実に伝えることができる
    社員は自分がどんな成長をしたいのか(スキル・経験)、そのかわりに努力と献身を通して会社にどんなメリットをもたらそうと思っているか、オープンに誠実に変われるようになる
    両者とも自分の期待値をはっきりと相手に示すのだ

    ・チームp30
    プロのスポーツチームは終身雇用を前提としていないにも関わらず、相互信頼と相互投資、そして相恵の原則が機能している
    個人の栄光よりもチームの勝利を優先するほどメンバー同士の信頼が強い時、チームは勝つ。逆説的だがそのようにしてチームとして勝つことがメンバーの個人的成功にとっても最短の道になる。
    (社員との関係:家族というよりチーム)

    ◆2 コミットメント期間を設定しよう
    ・p49
    あなたはできる限りいい人材をみつけて採用したんでしょう。その最高の人材が自らの意志でこの会社に居続けよう、時間を投資してみようと思えるような環境を用意する責任はあなたにあるのです
    →これは日常的に使おう。どうしたらいい人がとれるかではなくどうしたらいい人がきたいと思ってくれる会社になれるか。(先日みかけたツイートより>https://twitter.com/Jn_Matsumoto/status/1192788906120364033?s=20

    ・変革型コミットメント期間は2〜5年p54
    1年目:背景事情の理解
    2年目:変革を実現し、自分のやった仕事だとはっきり示す
    3〜5年目:自分の生み出した変革を根付かせ発展させる。もしうまくいかなかったら方向転換するための時期。

    ◆3 コミットメント期間で大切なものp82
    目指すべきは会社と個人の目標の整合性。
    アライアンスを長続きさせるのに必要十分な整合性。

    ミッションステートメントは一部の有能な人たちに強い整合性を感じさせる一方でほかの人たちにはこの会社は自分には合わないと気づかせるほど十分に具体的かつ厳密でなければならない。

    整合性の大きさ
    ローテーション型>変革型>基盤型

    ⇄集団にとってよいことはそこに属する個人にとってもよいことである、というのは産業化時代のみ。

    →どこまで社員に求めるか。基盤型コミットメントじゃないのに求めすぎてるケースは多そう。きちんと理解しないと関係が破綻して社員はやめてしまうんだろうな。

  • 世界最大のプロフェッショナルネットワークである、Linkedin(私も登録してます)の共同創業者が書いた本です。取引先の部長さんから進められて読みました。

    企業と社員がお互いの付加価値を高めることができるような長期の良好な関係(Alliance)を築くことの重要性を説いています。確かに雇用は双務契約です。雇用者と被雇用者の利害が一致することが重要です。

    この本では更に、従業員が会社を去ったあとでもAlumniの一員として、会社との関係が継続されることにより、相互に恩恵が得られること、そして企業としてAlumniのネットワーク構築に努力すべきことが協調されています。

    終身雇用が前提の時代では企業と社員の関係が義務に縛られ、お互いに付加価値を交換することなく、不正直な建前のもとに堂々巡りをするようなケースも多かったと思いますが、企業と社員のそれぞれが明確なキャリアの目標を持っていれば、Allianceも可能となるでしょう。 逆説的には、変化のスピードの速い今日では、雇用関係にもより一層のフレキシビリティが求められる、ということかもしれません。

  • もっと早く読んでおけばよかった。 個別の事例や施策は、日本の労働慣習や実情に合わないところはあるとは思いますが、根本の考え方は学ばなくてはいけないと思う。 企業にとっての「人の価値」とはなんなのか、逆に働く者にとって企業とどう向け合えばいいのか、これからの時代の基本の考え方がここにあると思います。 終身雇用を約束しなくても、相互に信頼し互恵的な関係になることができるのだと、納得することができました。

  • 高度成長期に最適だった終身雇用モデルが崩壊した今日、あえて企業と社員の関係を「契約」に基づく”権利と義務の取引”から、「信頼」に基づく”互恵的な提携”に見直すことを提唱した一冊。

    特に変革期の企業に有効な人事戦略として、企業と社員が「お互いに」果たすべきミッションを明確化し、目標達成までの「コミットメント期間」を設定した上で、誠実な対話を通じた丁寧な相互フィードバックを繰り返すことで生まれる(もし社員が転職した場合でも続くような)長期的な信頼関係をベースに、社員の社外人脈や「卒業生」も含めた巨大なアライアンス・ネットワークを構築することにより、企業の変化に対する適応力が高められると主張する。

    Linkedin創業者である著者の知見が凝縮された本書は、社員は成果という価値を、企業は成長やキャリアという価値を、相互信頼に基づいて提供し合うという、フリーエージェント時代の雇用関係の理想を描いている。どんな企業でも実行可能とは限らないが、本書をもとに目の前の部下や上司との関係を少しでも見直すことは可能だろう。終身雇用を前提とした硬直的な人事制度が早晩弱みに転じることにも改めて気づかされる。

  • 「定年まで働くことを期待すること」「終身雇用を期待すること」「個人の価値観やなりたい姿は会社に持ち込まずシェアしないのがむしろ美徳とされる傾向」「転職は会社にとって良くないこと?」就活の時から感じる違和感や上手く整理できないもやもやを明快に言葉にしてかつ代替案を提示してくれたような一冊。リンクトインのリード・ホフマンらが書き、ほぼ日の篠田さんが訳したこの本では、「アライアンス」関係という、個人と会社の新しい関係性が示されていました。読みながらひたすら共感して、こんな関係にできたらいいな、とただただ憧れながら読んでいました。

  • 全て同じように導入することは無理だろうし、同じものを導入してもうまく機能するとは思わない。その点から考えても本書は「参考書」という位置付けになるだろうが、特徴として捉えられる部分に、実践した結果に基づき非常に基礎的なところから書かれていることがある点が挙げられる。

    つまり、ただ参考となる事例が羅列されているだけではなく、読み手が個々の解釈に従って汎用していくことが可能な手本的な要素が満載なのだ。

    まあ、滅多にビジネス書を読まなくなった自身としてはこれで1500円+税は安いな。と思ったが、この本を読んだ御蔭で、生物の連鎖・関係のあり方を研究した書物を読みたくなったので高くつきそうです(笑)

    これからの社会の一つのあり方の参考として良い示唆をあたえてくれる書籍。

  • 社内、そして、社外との繋がり方の大切さが描かれている一冊でした。まだまだ出来るようになったほうが良いことってあるな。

  • 資質にある共感。これは大事。

全57件中 1 - 10件を表示

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
シーナ・アイエン...
ヴィクトール・E...
リンダ グラット...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×